ARIA The PIACERE 3 その素敵な出会いの先に   作:neo venetiatti

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第26話

「ちょっと灯里?いったいどうなってんの?」

藍華は、ARIAカンパニーの、そのカウンターの外から、やって来た勢いのまんまで話し始めた。

「藍華ちゃん、いらっしゃい!」

「はい、どうもお邪魔します、って違うでしょ!」

藍華は、ARIAカンパニーへ来る前に、灯里に電話を入れていた。

「今から行くけど、いるわよねぇ?」

「うん、いるけど。何かあったの?」

「それはこっちが聞きたいの!」

藍華は電話を切ってからARIAカンパニーに到着するまで、そう時間がかからずにやって来た。

「早かったねぇ」

「あのね、灯里?あんた、なんでそんなに落ち着いていられるの?」

「ええ?何が?」

「何がってさあ、こんなこと聞かされて、普通は驚くでしょ?」

「う~ん」

灯里は、天井に目を向けて思案していた。

「わざとじゃないわよね?」

「もしかして・・・」

「もしかして?」

「きのう」

「きのう?」

「アリシアさんが」

「そう、それよ!アリシアさんが、ナニ?」

「元気?って電話があったけど」

ドタッ

「藍華ちゃん、大丈夫?」

「ダイジョウブ」

「鼻つまんでる」

「そんな解説はいいの!」

藍華はカウンターを乗り出さんばかりの勢いになっていた。

「特別チャーター便の件よ!」

「ナニそれ?」

「今朝、いきなり電話があったの。この間、サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会で結婚式を挙げられないかって聞いてきたカップルがいたでしょ?あの人たちから!」

「そうなんだ」

「そしたら、教会で結婚式をやるから、その日一日よろしくお願いしますって」

「そうなんだぁ。よかったねぇ」

「あんた、ほんとになんにも知らないの?」

「何が?どういうこと?」

「あのねぇ~。その後よ!問題は!」

「ええ?」

「そしたら、今度は後輩ちゃんから電話がかかってきて、あのアンドレさんの結婚式が決まったって言うの」

「それはそれは」

「でも聞いて驚かないでよ!そのアンドレさんの結婚式の日が、あのカップルさんの結婚式と同じ日だったのよ!しかも場所も同じ、サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会よ!」

「ええー!」

「しかも、後輩ちゃんも、アンドレさんからチャーター便を頼まれたんだって!」

「そうなのー?」

「こんな偶然て、あるわけないでしょ?」

「そう言われれば、そうかも」

「なんか知らないの?と言うかさぁ、あんた、絶対なんか隠してるでしょ?」

「なんかっていうか、結婚式の話が、確かに多いなぁって思ってたよ」

「ほんとにそれだけ?」

「ああ、そういえば私の方も先日なんだけど」

「先日がどうしたの・・・」

藍華はそう言いながら、何気なく壁に掛かっているスケジュールボードに目を向けた。

だがその瞬間、藍華の顔が一変した。

「ちょっと、灯里、いったいどういうこと?」

「えっ、なに・・・」

藍華の様子を見て、灯里もスケジュールボードを見た。

「そこに、すご~~く気になることが書いてあるんだけど」

「どれ?」

「それ。〈アンナさん 結婚式(の予定)〉って」

「そうなんだよ。アサカさんの娘さん、結婚するんだって。ビックリしたぁ~」

「それももちろん、ビックリなんだけど。なんで同じ日なの?」

「何が?」

「何がじゃないわよ!あのカップルも、アンドレさんも、そしてアンナさんも。みんな同じ日に結婚式を挙げるんじゃない!」

「ええ~~!」

「もしかして、サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会じゃないでしょうね?」

「そうなんだよねぇ~」

「はぁ?なんなの、それ?」

その時、電話がなった。

「はい、ARIAカンパニーです。はい、はい、ええそうですけど。ええ、先ほどお聞きしました。おめでとうございます。いえいえ、そんなぁ。まあまあ。そうですねぇ」

「灯里、あんた、おばちゃんみたいなんだけど」

電話を切った灯里は、驚きでいっぱいの笑顔で話し始めた。

「さっき藍華ちゃんが話してたカップルさんからだった!」

「何だって?」

「サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会で結婚式を挙げることが決まったって。それはみんな、ウンディーネさんのおかげだって言ってた!」

「えっ、ちょっと待って。私は?」

「藍華ちゃんのことは、特に、何も」

「何も?」

「うん」

「そういう感じなのね、今回は」

「そういう感じ?」

「でもちょっと待って!それじゃあさぁ、なんで灯里に頼まないの?チャーター便?」

「それはね、もう予約が入ってるからってお断りをしたの。こないだ」

「えっ、なに?どういうこと?」

「一日貸し切りでお願いしたいって言ってこられたんだけど、アサカさんの予約が先に決まってたから、お断りしたんだよね」

「つまり、アンナさんの結婚は、すでに決定事項だった、ということ?」

「そういうことになるねぇ」

「はぁ~~なんか疲れた」

また電話が鳴った。

「はい、ARIAカンパニーです。はい。はい。ええ。そうなんですかぁ?それは良かったですねぇ。おめでとうございます!はい。はい。はい!そうですね。いえ、こちらこそよろしくお願いします」

受話器を置いて、振り返った灯里は、またもや笑顔満面だった。

「アンドレさんからだった!」

「はぁ?アンドレさんていったら、あのアンドレさん?まだ会ったことないけど」

「なんかね、アリスちゃんと話をしてたら、サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会での結婚式は大丈夫だろうとなって。それで神父様に尋ねたら、やっぱりオーケーだったてことらしいの」

「ふ~ん。そうなんだぁ・・・」

「藍華ちゃん、どうしたの?急にトーンが落ちてるようだけど」

「なんとなく察しはついてるんだけど、一応聞いてあげる」

「それでね、神父様の方から、合同結婚式のかたちになりそうだけどって話したら、それはとてもサプライズですばらしいってことになったんだって」

「なるほど。それで?」

「それでね、それを発案したのは、わたしだって話したらしいの」

「ふ~ん。発案してたのね」

「うん、してた」

「それで?」

「それなら、ARIAカンパニーに一度お礼の電話をしておこうとなったらしくて・・・」

「そうよね。お礼ぐらいはするもんよね」

「ねぇ、藍華ちゃ~ん。どうしたの?」

「あのさぁ、私が驚いてるのって、なんかバカみたいじゃない?」

「そんなことないと思うけど」

「はぁ~あぁ。今回の私は脇役も脇役。というより、灯里の引き立て役ということね」

「それ、どういうこと?」

「そうでしょ?どう考えたって、そうとしか思えない・・・」

また電話が鳴った。

「は~い、灯里ぃ~!電話でございま~す!」

「はい、ARIAカンパニー・・・アサカさん!」

「やっぱりね」

「はい。先日はどうも。はい。はい。はい。そうんなんですか?それは良かったです。ええ。はい。はい。こちらこそよろしくお願いします。アンナさんによろしくお伝えください!」

灯里は、三度目の満面の笑顔を藍華に向けた。

「決まったんでしょ?」

「えっ、なんでわかるの?」

「わかるわよ!誰だって!」

灯里は満足げな表情で、きらめく海に目を向けた。

「藍華ちゃん」

「なんでございますか?」

藍華はカウンターに肘をついて、両手にあごを乗せ、あきれたような顔で返事した。

「こんなことって、あるんだねぇ」

「そうねぇ~」

「あのカップルさんに出会って、そしたら今度はアリスちゃんの出会いから繋がってアンドレさん、そしてアサカさんにアンナさん」

「そうね~。そんな偶然て珍しいわよねぇ~」

「そうだよ!滅多にあるものじゃないよ!」

「はい。ということで、いつものあれ」

「まるで、このアクアが、みんなの結婚を祝福して、お祝いのメッセージを送ってくれてるみたいだね~~」

「はい!恥ずかしいセリフ~~~、禁止っ~~!」

「えぇー!」

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