ARIA The PIACERE 3 その素敵な出会いの先に   作:neo venetiatti

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第28話

デュカーレ宮殿から海岸近くまでが、多くの人で埋め尽くされていた。

だが、その中央には、周辺に人を排除して、丸く大きな空間ができていた。

そこには、純白のウェディングドレス姿の三人の花嫁たちが、少し距離をおいて立っていた。それぞれ胸に小さなブーケを持って。

その三人の前には、それぞれタキシード姿の花婿たちが膝まづいて、目の前にいる花嫁たちに手をさしのべていた。

花嫁たちがそれぞれの花婿の手に手を重ねると、花婿たちはその手に口づけをした。

その瞬間、周りからは盛大な拍手と歓声が沸き起こった。

その人だかりの輪の最前列にいた灯里、藍華、アリスたちは、拍手をしながら感激に浸っていた。

その少し離れたところには、目に涙を浮かべているアサカの姿もあった。

三組のカップルが腕を組んで歩き出すと、その人だかりが左右に別れ始めた。

その先を進んでいた灯里たちは、それぞれのゴンドラの前に立ち、その三組のカップルたちを待ち構えた。

サン・ジョルジョ・マッジョーレ島を貸しきれないかと相談していたあのカップルは、藍華の前で立ち止まった。

何かとアリスと縁のあったアンドレと忙しいお相手は、アリスの前に。

そして、アンナとその相手の男性は、灯里の前で立ち止まった。

「アンナさん、とってもキレイです!」

「ありがとう、灯里さん」

三組のカップルは、それぞれに用意されたゴンドラに乗り込んだ。

そして、灯里、藍華、アリスは、それぞれ手にオールを持つと、確認し合うように視線を交わした。

「それでは、出発します」

灯里は、そう声をかけると前を向き、ゆっくりとオールをひとかきした。

海の上を滑るように、ゴンドラが動き出した。

灯里のゴンドラに続いて、藍華、アリスのゴンドラも動き始めた。

灯里のゴンドラを追うように、その両側に藍華とアリスのゴンドラが続いた。

それぞれのゴンドラに乗る三人の花嫁たちのベールが、風に吹かれ、長く尾を引いている。

サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会へ進むゴンドラたちの姿は、そこにいる見るものすべてを魅了していた。

そして、岸から離れてゆくゴンドラたちを、みんな名残惜しそうに見送っていた。

「よかったですわね、アサカさん」

目に涙を浮かべ見送っているアサカのそばで、アラトリアもその光景を見送っていた。

「アラトリアは行かなくていいの?」

「わたくしは、ここで結構ですの。いくらわたくしでも、そこまでヤボではございませんの」

「そうなんだ」

「ええ。わたくしの役目はここまで。ここからはアリス様の舞台ですわ」

「花嫁たちではないのね」

「まあそうですわね。そんなことより、アサカさんこそ、なぜここにいらっしゃるのですか?あなたこそ、あちらにいなければいけない人では?」

「うん、わかってる」

「じゃあ、早く」

「もう少しだけ見ていたいの」

「どうしてですの?アンナさんのことをですの?」

「それもあるけど」

アサカは離れてゆくゴンドラたちの姿を、眩しそうに、そして嬉しそうに眺めていた。

「この風景だったんだ、って思ったから」

「この風景?」

「そう。灯里さんの描いた風景」

「灯里様の?」

「ぜひ、それを見せてほしいって言ったの」

すると、少し離れたところから、アサカを呼ぶ声が聞こえた。

「アサカさん、呼んでますわ。あれ、教会のチャーターしたボートではありませんの?」

「うん。それじゃあ、アラトリア。行ってくる」

「お気をつけ下さいましっ!」

ボート乗り場へ急ぐアサカを見送りながら、アラトリアは、改めてサン・ジョルジョ・マッジョーレ島へ向かうゴンドラたちに目を向けた。

「灯里様が描いた風景」

不思議そうにポツリと呟いたアラトリアは、そのままニッコリと微笑んだ。

「素晴らしい風景ですの」

すると、アラトリアの背後から声がかけられた。

「あの~、お嬢様?」

「こんないい気分に浸っているときに、誰ですの?」

そこには、アラトリアに抵抗できない、例のアムネジアが立っていた。

「あら、アムネジア。あなたも来ていたのですか?」

「だって、お嬢様?あれから、全く連絡が取れなくて困ってたんですよ」

「ああ、それは申し訳なかったですわ。かなりバタバタしてましたから」

「それでですね、どうなりましたでしょうか?」

「どうなったって、あなた、見れば一目瞭然ですわ」

「ああ、それはご結婚おめでとうございます。そうじゃなくてですね?」

「他に何かありまして?」

「お嬢様~~」

「なんなのですか?その変な声は」

「あのお二人に、こちらの話に乗っていただく代わりに、ナイトパーティーの代替案をご用意していただけると、おっしゃいましたよね?」

「ああ、その件」

「はい、その件です!」

「なくなりました」

「はぁ?」

「アリス様が、わたくしの用意したドレスは絶対着ないとおっしゃったので、却下となりました」

「じゃあ、代替案は?」

「ですから、いま却下と」

「お嬢様~~~」

「だからなんなんですの、その声!」

「社内でも、今日のこの話題で持ちきりなんです。それに私が関わっていたなんてことが知れたら、もうオレンジぷらねっとには、いられなくなります!」

「そこは大丈夫じゃないかしら?」

「どうしてですか?」

「アムネジア?あなた、アリス様をなんだと思ってるのですか?あのアリス様ですよ!」

「それはどういう・・・」

「後でわかることですわ!」

「お嬢様~~~~」

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