ARIA The PIACERE 3 その素敵な出会いの先に 作:neo venetiatti
ネオ・ヴェネツィアは、いつもの風景を取り戻していた。
ウンディーネたちの姿は、これまでと変わることなく、この街に華やいだ雰囲気をもたらしていた。
そして、ARIAカンパニーの水無灯里も、これまでと変わらない姿でいた。
ただ、明らかにこれまでと違うのは、忙しい日々に追われていることだった。
それ故に、灯里、藍華、アリスの三人は、これまで以上に会う機会を失っていた。
でもそれは当然といえることで、三人それぞれ、これまで以上にその役割が増している証拠でもあった。
そう。これまでとは違う。
プリマとしての日々は、また新たな一歩を踏み出すことでもあった。
藍華は、今日も自ら営業へ出る予定でいた。
そんな藍華が、ゴンドラで朝早くARIAカンパニーの前にいた。
「おはよー!灯里ぃー!」
「藍華ちゃん?どうしたのー!」
灯里は驚いた様子で、カウンターから身を乗り出していた。
「調子はどうなのー?」
「バッチリ大丈夫だよ!」
「最近さぁ、全然顔見れてなかったから、ちょっと心配だったんだけど。その調子だと、大丈夫そうね」
「ありがとう、藍華ちゃん!」
「じゃあ行ってくるね!」
「行ってらっしゃーい!気を付けてねぇー」
だが藍華は、その場で振り返った。
「あのさぁ・・・」
「なに?どうかした?」
「うん・・・」
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
灯里は、藍華の少しためらった表情に戸惑いを感じていた。
「あのさぁ、灯里?」
「なに?」
「今度時間作れない?」
「時間?うーん。今すぐには答えられないけど」
「そうだよね」
「でも、藍華ちゃんが言うなら」
「そう?それじゃあ考えといて!」
「うん、わかった!」
お昼過ぎ、ARIAカンパニーの前には、アリスの姿があった。
「せんぱーい!灯里せんぱーい!」
「アリスちゃん、どうしたの?」
「やっぱりいましたね。この時間ならいると思ってました」
灯里は、カウンターに両手をついて、身を乗り出していた。
「何かあったの?」
「いいえ、特にはありません」
「そうなの?」
「ただ、最近先輩の顔を見てないなぁって思いまして」
「アリスちゃん」
アリスは灯里に向かって、ニッコリと微笑んでみせた。
「そういえば、今朝なんだけど、藍華ちゃんも来たんだよ」
「藍華先輩もですか?」
「うん」
「以心伝心ですね」
「なに?」
「それでは、お仕事の続きがありますので」
「はぁ」
アリスは、何か納得したような顔で、そのまま帰って行った。
「なんなんだろう・・・」
その日の夕方、灯里はARIAカンパニーで部屋の掃除を終え、いつものようにシャッターを下ろそうとしていた。
その時、その側の電話が鳴った。
「はい、ARIAカンパニー・・・藍華ちゃん!」
「灯里、生きてた?」
「うん、生きてた」
「そう。それは良かった」
「なに?」
「今朝話したこと、覚えてる?」
「時間作れるかって話でしょ?」
「そうそう」
「少し先なら大丈夫だと思うけど」
「そうなんだ」
「なに?なんかあるの?」
「あるっちゃー、あるけども」
「なに、それ」
灯里は藍華の反応にクスッと笑った。
「実はね、ちょっと息抜きにどっか出かけようかなって思ってね」
「ええ~そうなのぉ~?なんで~?」
「何なんでって」
「だって藍華ちゃん、忙しいでしょ?」
「だからよ。このままだと、ますます三人で出掛けるなんて、できそうにないじゃない?」
「えっ、三人?てことは、アリスちゃんも?」
「当然でしょ?」
「そうなんだぁ」
「今がいいチャンスなんじゃないかって思ったわけ」
「いいチャンス?」
「というか、今しかないかもって思ったんだけどね」
「今しか・・・」
灯里は少し戸惑いの表情になっていた。
「三人でゆっくり会うための、ね!」
「そうだね。それでどこに行くの?」
「それはまだ決めてない」
「なんだ。そうなんだ」
「灯里、どこか行きたいとこ、ある?」
「う~ん。そうだねぇ~」
「どこ?」
「う~ん。どこがいいかなぁ」
「まだ時間あるからさぁ、考えといてよ」
「うん、わかった。あっ、でも」
「なに?なんかあるの?」
「具体的にあるわけじゃないけど、私たち三人の思い出がある場所ってどうかなぁ」
「三人の思い出の場所かぁー」
「アリスちゃんはどう言ってるの?」
「まだ聞いてないけど」
「そうなんだ。お昼に来たんだよ、アリスちゃん」
「そうなの?」
「藍華ちゃんのこと話したら、なんか以心伝心なんて言ってたけど」
「へぇ~。そんなこと言ってたの、あの子」