ARIA The PIACERE 3 その素敵な出会いの先に 作:neo venetiatti
「Welcome!ってどうですか?」
「ええ~!変えちゃうのぉ~?」
「その心は?」
「ようこそ!到着おめでとう!的な意味なんですが」
「う~ん、どうかしらねぇ。なんかもうひとつ、ピンとこないような・・・」
「じゃあ、藍華先輩は、どういうのがいいと思うのですか?」
「そうねぇ。〈こんなん出ましたけど〉は?」
「却下です」
「はやっ!」
「ねぇねぇ、変えちゃうの?前のままでいいんじゃないの?」
「何言ってんの、灯里?せっかくのチャンスなのよ?ここは私たちが、ゴールを祝福しての、なんかいい言葉を考えれば、記念に残るわけでしょ!」
「藍華先輩?今自分でゴールって言いましたよ」
「そういうことじゃないの!」
三人がああだこうだと言っている間に、管理をしているという老人は、いつの間にか用意した椅子に座って、お茶をすすっていた。
「日が暮れるまでには終えるよう頼んだぞぉー」
「すみませーん」
灯里たちは、申し訳なさそうに頭をさげた。
「じゃあどうする?」
「だから、私はそのままでいいと思う」
「そうですね。いまさら変えるっていうのも、どうかと思いますし」
藍華はふたりの顔を交互に見比べると、あきらめたようにため息をついた。
「そうか。じゃあそうする?」
「うん!」
「右に同じです!」
三人は、壁を見上げながら、どんな感じに仕上げるかを相談し始めた。
少しして、灯里がその老人のそばにやって来た。
「あのー、管理人さん?」
「なんじゃ?」
「ちょっと高いところが大変そうなんですけど」
灯里の申し訳なさそうな様子を見て、その老人は、また茂みの中に消えていった。
「はぁ~」
「ちょっと灯里ぃ?おじいさん、また消えていったじゃない?」
「あの茂みの奥、でっかい謎です」
三人は、恐る恐るその茂みに近づいていった。
すると、その横をすり抜けて、アリア社長がその茂みに突進していった。
「ばぁばーい!」
「アリア社長ぉー!」
「ぷい?」
アリア社長は、お尻がつっかえて途中であえなく失速してしまった。
「威勢がいいわりには、結局こういうことよね」
藍華が冷めた目で、そのまん丸なお尻を見つめていた。
しかしアリア社長は、お尻を一生懸命左右に振って、なんとか茂みに中に入っていった。
「入っちゃいました」
「そうね」
「大丈夫ですか~アリア社長~!」
「でもさぁ、考えたらこん中って、いったいどうなってんの?」
「なんか不思議な入り口があるとか」
「ええーアリスちゃん!なにそれ~」
「またそんな話になると食いついてくるんだから、あんたは」
「例えばですよ?異世界への入り口があるとか」
「そうなのぉー?」
「でもさぁ、ああいう話は、大体はこっちからあっちに転生しちゃうもんじゃないの?」
「まあ、大概はそうですけど」
「じゃあ、アリア社長は、その異世界に行っちゃったってこと?」
「あのさぁ、灯里?今、例えばの話って・・・」
「どうするの?」
「いや、あのね、例えばって」
「大丈夫だと思います」
「なんでぇ?」
「アリア社長なら、きっとギルドの綺麗なお姉さんと親しくなって、なんとかやってるんじゃないかと」
「そうなの?」
「以外とモテモテかもです」
「アリア社長~さすがですぅ~」
「さすがに、冒険者は無理ですけどね」
「あ、あのね、あんたたち・・・」
灯里は、何か意を決したかのように、緊張みなぎる表情になった。
「じゃあ、わたし、行ってくる!」
「い、行くってどこに行くつもりなの?」
「異世界に行って、アリア社長を連れ戻してくる!」
「後輩ちゃん、どう責任とるつもり?」
「わ、わたしですか?」
「だってそうでしょ?やたらと張り切っちゃってるじゃない!」
バサッ
「灯里先輩、首を突っ込んでます」
「ぬ、ぬな?」
灯里は茂みに首をつっこんだまま、身動きひとつしなくなった。
「どうしたの?」
「なんか不気味な格好です」
バサッ
灯里は、茂みに突っ込んでいた頭を元に戻した。
「どうなってた?」
「なんか、普通にドアがあった」
藍華はそれを聞いてダルそうにため息をついた。
「はぁ~。そんなことだろうと思ったけどね」
すると、ドアが開く音がした。
「あっ、誰か出てきます」
「誰かって、大体決まってると思うけど」
茂みから、ポコンとアリア社長が顔を出した。
「ぷいぷい~~」
「お帰りなさい!アリア社長~!無事だったんですねぇ~~」
「あんたたち、南極でも行ってたみたいな感じ出してるけど」
アリア社長に続いて、茂みからニョキっと梯子の先端が顔を出した。
すると、脇に梯子を抱えた管理人の老人が姿を現した。
地面につきそうな後ろを、アリア社長が懸命に支えている。
「ぱーぱい!ぱーぱい!」
「さあ、これを使え。これなら届くじゃろて」
三人は、その場で梯子を受けとると、壁の前まで協力して運んでいった。
「ぷいにゅ~~」
アリア社長は、大きなため息と同時に、その場に大の字になって寝転んだ。
「お疲れ様です、アリア社長。ギルドのお姉さんはどうでしたか?」
「ぷい?」
「灯里?まだそんなこと言ってんの?あんた、ラノベ作家にでもなったら?」
「悪くないかもです」
「はいはい。とっとと始めるわよー!」
「はーい!」
「でっかいコメディです」