ARIA The PIACERE 3 その素敵な出会いの先に 作:neo venetiatti
それからしばらくの時間が流れた。
いつものように、灯里は、気持ちのいい朝を迎えていた。
シャッターを開け、外の新鮮な空気を店内に入れた。
「ARIAカンパニーにお届けものなのだぁー!」
風追配達人のウッディーが、ARIAカンパニーの上空から降りてきた。
「ウッディーさん!おはようございます!」
「灯里ちゃん、おはよーなのだぁ!」
「いつもご苦労様です!」
「今日は特別急貨便なのだぁー!」
「特別・・・ですかぁ?」
「そうなのだぁ」
「それってなんですか?」
「アクアにしか咲かない花、テラ・フィオーレが手に入ったのだぁー!」
「それって、とっても珍しい花じゃないんですか?」
「そうなのだぁー」
「でも、それをどうして届けていただいたのですか?」
「ウェルカムのプレゼントなのだぁ」
「ウェルカム?」
「そうなのだぁ。ARIAカンパニーの新人さんに、ようこそアクアへの気持ちなのだぁー」
「それでわざわざ届けていただいたのですか?」
「そうなのだぁ」
灯里は、その小さな花束を大事そうに受け取った。
「ありがとうございます。こんなにしていただいて・・・」
「実はこの花は友好の証なのだぁ」
「どういうことですか?」
「テラは地球なのだぁ。そしてフィオーレは花なのだぁ。つまりこの花は、マンホームそのものなのだぁー」
「そうだったんですか。知りませんでした」
「よろしく伝えてくれなのだぁー!」
ウッディーはエアロバイクで上空高く飛び立っていった。
「ウッディーさーん!ありがとうございまーす!」
灯里は、まるで泳ぐように飛んでいくウッディーに、手を振って見送った。
そして、カウンターの上には、小さな花瓶に生けられたテラ・フィオーレが、そよ風に揺れていた。
灯里は手早く店内の掃除を済ませると、キッチンへ向い、朝食の仕度を始めた。
テーブルでは、待ちかねたようにアリア社長が、鼻唄を歌いながら、椅子の上でからだを前後にゆすっていた。
「アリア社長ー!出来ましたよぉー!」
「ぷいにゅーい!」
アリア社長は、目の前に運ばれてきた、灯里の特製オムレツを口いっぱいにほおばった。
口のまわりには、ケチャップがつきまくっていた。
だが次の瞬間、アリア社長はのどをつまらせ、悶絶の表情となった。
「ぷ、ぷ、ぷい、ぷ」
「アリア社長ぉー!大丈夫ですかぁ~?」
灯里は急いでアリア社長に水を飲ませた。
「ぷいにゅ~」
「ゆっくり食べないとダメですよー!アリア社長ぉー!」
その時だった。
「ただいまぁー!今帰りましたぁー!」
カウンターの外から、ARIAカンパニーの制服姿の女の子が、灯里とアリア社長に向かって元気よく声をかけてきた。
頭の後ろで結んだ、印象的な大きなリボン。
「お帰りなさい!アイちゃん!」
「ぷいぷいぷいー!」
愛野アイは、その初々しい姿に、まぶしいくらいの笑顔を輝かせていた。
「アイちゃん、早朝練習どうだった?」
「はい!とっても気持ち良かったです!」
「ひとりで大丈夫だった?」
「はい。でも灯里さん、なんにも言わずに行ってしまってごめんなさい」
「ううん、大丈夫。気にしなくていいよ」
「今朝目が覚めたら、なんかすごく気持ちがよくて、どうしてもじっとしてられなかったんです」
「そうなんだ。よかったね」
「はい!」
アイはそのまま店内へ入ろうとしたが、カウンターの上の花に気がついた。
「灯里さん、この花は?」
「それ、さっきウッディーさんが届けてくれたんだよ!」
「そうなんだ!」
「ARIAカンパニーの新人さんに、ようこそアクアへの気持ちだって。それと友好の証だって」
「うれしいー!ウッディーさんていい人だねぇー」
「そうだねぇー」
そう言いながら灯里は、カウンターに両肘をついてその花を嬉しそうに眺めているアイの姿を、ぼんやりとした表情で眺めていた。
確かどこかで、こんな景色をみたことがあるような・・・
不思議な気持ちだった。
まるでそれは、以前からわかっていたような、当然そうなると決まっていたような、なぜだかわからないが、そんな気持ちだった。
「でじゃびゅ?」
「ぷいにゅ?」
灯里がポツリとつぶやいた言葉に、アリア社長も続けてつぶやいていた。
「えっ、灯里さん?何か言いました?」
アイは灯里とアリア社長の様子を不思議そうに眺めていた。
「別になんでもないよ。それより、アイちゃん?お腹空いたでしょ?朝食にしよう!」
「はい!」
「ぷいにゅーい!」
ARIAカンパニーの朝は、いつものように見えて、これまでとは違っていた。
賑やかになったその光景は、笑顔に溢れ、活気に満ちていた。
テーブルについたアイの姿を、灯里は頬杖をついて、まじまじと眺めていた。
「あの~、なんでしょう~」
アイは顔を赤くして、テーブルの下に隠れようとしていた。
「だから、ちょっと嬉しいだけ」
灯里も少し照れた顔で応えていた。
「前にもそんなこと、ありましたけども・・・」
アイは、顔半分だけテーブルから出していた。
「だって、嬉しいのは嬉しいんだもん。しょうがないじゃない?」
「もう~!灯里さ~ん!」
アイのかわいらしい抗議には応えずに、灯里は嬉しそうにその様子を眺めて続けた。
完