ポケットモンスターSPECIAL 12.n章(仮) 作:オラクス
見づらい/読みづらいとかあったらごめんなさい。
Side Y @帰路
カルネさんに呼んでもらって、ドラセナさんに送ってもらう最中。まだ夕方だけど、曇り空も相まって暗くなり始めていた。
スカイスーツは予備を持ってきているけど、ヤコちゃんにつかまってもサラメとスピードを合わせられない。だからこうしてサラメに同乗させてもらう。
ドラセナさんもオンバーンに乗って、昨日と同じく空路で帰ることになった。ホントは"テレポート"が最適だったらしいけど、帰還場所が研究所に設定されているから出来ない、とのことだった。
「………皆さん、大丈夫でしょうか。」
「心配なのはわかるけど、今は貴方達二人が1番危険なのよ。」
「それは、そうですけど………」
アタシたちが1番危険。それは分かってる。研究所にいる人たちのほとんどは戦えるし、本当に危険な状況ならミアレに留まった方が安全かもしれない。
でもアタシは訓練校にいる方が人目につくし、それぞれの家やウチのお母さん、アサメの人を守るためにはエックスと四天王の人たちが必要不可欠だ。
少なくとも、アタシたちかアサメの人たち、どちらかの安全が確保されるまではこの体制が続けられるらしい。
「今貴方達に出来るのは、襲われた時にすぐ知らせることと、それまで安全を確保すること。」
「倒さないんですか?」
「こう言ってはアレなんだけれど、それは難しいでしょうね。
グリーンさんはカントーのジムリーダーで、メガシンカも継承している。少なくともカルネと同等には強いわ。
そんな彼が屋内で全力でなかったとは言え、主力のポケモンでも仕留められなかったの。
それも、そこまで強いわけじゃないポケモンを。」
「………ポケモンへの指示が上手いってことですか?」
「それもあるし、戦い慣れている。天候操作や威力の低い技をメインに使っていた、って言ってたそうだけど、それも時間稼ぎには最適だった。
他にもボールジャック機能で手持ちが増える可能性や、そもそもエレザード以外に手持ちがいる可能性だって十分考えられる。
複数人で対処しないと、本気で挑まれたら私たちでも勝てる見込みは薄いのよ。」
四天王の1人にそこまで言わせる実力。メガシンカ継承者、という肩書きを持っているアタシだけど、戦い慣れしているかと言われたらさっぱり。年単位で経験を積んでいる人たちには、アタシはもちろんエックスだって敵わないかもしれない。
いつだったかエックスが新聞でジムリーダーだの四天王だの言われてたけど(なんと師匠が言った言葉だったらしい)、それだって"末は"という未来への期待。そこに届くにはあまりにも高い壁がエックスには待っている。
「だとしたら、アタシたちは時間稼ぎを目的に戦った方がいい、ってことですね。」
「そうね。それは正しい。………ただし、それが出来ないほど相手の実力が圧倒的だったら別よ。
"そらをとぶ"でも"あなをほる"でも、とにかく逃げなさい。」
「分かりました。どうするエックス?何か案で「何か来る!」え?」
エックスが叫んだ。感覚が鋭いエックスがたまに発揮する、いわば"きけんよち"。アタシには分からないが、その精度は高い。
「っ!サラメ、着陸だ!ワイちゃんも準備して!」「ちょっとエックス!?」
「オンバーン、"ちょうおんぱ"!………見つけた!上から来るわ!」
サラメが急降下をはじめる。アタシたちがつかまったまま、3番道路に着地してアタシ達を降ろした。もう何が何だか分からないけど、何かが起きていることは分かった。
「エックス!説明をー」
「エレク、任せた!」
「"―――――"」
エックスがサラメと交代でエレクを出した瞬間、もの凄い電気がエレクに降り注いだ。あまりの光量に目を瞑る。
「ワイちゃん、今のうちにバトルの準備を!ラスマ!」
「え、ええ!?そ、そるそる!」
アタシがそるそるを、エックスがラスマを繰り出す。視界が悪くても、エックスの指示なら任せられる。
こういう時のエックスは、口下手で勝手だけどとっても頼りになる。それはアタシが誰より分かってる。
「これは"かみなり"だ。エレクが"ひらいしん"で受け止めている間にポケモンを―――っ、正面だラスマ、"あくのはどう"!」
「そるそる続いて!"サイコカッター"!」
エックスも説明不足を感じたのかアタシに伝えようとしてくれた。けど襲われてたらそんな悠長に会話もできない。
指示をした2匹が技を放つと、1拍遅れて"かみなり"が止む。技が命中したのだろう。その間に目を開けて、そるそるをメガシンカさせる。
そこにいたのは、あのスーツ。そして3匹のエレザード。
このタイミングで襲ってきたからには、間違いなくアタシたちが目的だ。
「何のためにアタシたちを襲うの!?」
「"きあいだま"、"あくのはどう"、"なみのり"」
「"りゅうのはどう"!」
「ラスマ、そるそるを守れ!」
オンバーンとラスマがそれぞれ動く。
どうやら以前のエスプリとは違って会話はしてくれないらしい。アタシたちがそれぞれ押し寄せた津波を避け、相対する。
「さっき"かみなり"を集めてくれたおかげで、応援は呼ぶ時間は稼げたわ。後30分もあればカルネたちが来る。
後はそれまで凌ぐだけ!
オンバーン、"いやなおと"!」
「わかりました。エレクを出している限りは、相手はでんき技を使えない。
ラスマ、"あやしいひかり"!
スーツ本体を見失わないように立ち回りつつ、エレザードを1匹ずつ集中的に攻撃する………でいいですか?」
「それがいいかしらね。あの3匹は見たところ、連携を前提にした技を覚えているみたい。分断したほうが良いわ。」
「じゃあ真ん中の奴から。
そるそる、"つじぎり"!」
そう言って、最大威力で攻撃を仕掛ける。"つじぎり"は真ん中のエレザードにヒットしたけど、それでも倒れはしなかった。でも、ダメージを与え続ければ!
その時は、そう思っていた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「―――はあっ、はあっ!っ危ない!"みきり"!」
「"あまごい"、"じならし"、"きあいだま"」
戦い始めてどれくらい経ったのか。どうやら、あのスーツも
今はそるそる………メガアブソルを主戦力にしているけれど、アタシは3人の中で最もエレザードと相性が悪い。エレクの"ひらいしん"があっても、ヤコちゃんやけろけろは相性が悪く、さいさいは家の庭。そしてアタシは、
何より、強い。エスプリよりも、フレア団の科学者よりも、フラダリのメガギャラドスよりも、体感だけならあの時のジガルデよりも。
ティエルノが1匹倒せたって言ってたから、そるそるたちで押し切れると思ったけど、全然そんなことはない。
「"ばくおんぱ"!」
「ラスマ、"さいみんじゅつ"!エレク、"エレキフィールド"!ガル、"げきりん"!」
ドラセナさんもエックスも攻めあぐねている。ホントは分断させる作戦だったのに、実際はそれも全然うまくいっていない。
長時間戦って分かったこと。スーツはどうやら"かんそうはだ"を持つエレザードでドラセナさんとエックスの相手をしつつ、どちらか1匹でエレクの攻略と相手全体のサポート役、最後の1匹でアタシの相手をしているらしい。
アタシたちが倒そうとしているエレザードは真ん中のサポート役。大分前にラスマの"ヘドロばくだん"で毒を負わせたはずだけど、まだ倒れない。かといって追撃を与えようとすると"かんそうはだ"のエレザードがそれを庇ってダメージを受け、"あまごい"で回復する。そんな持久戦の繰り返し。
そして、格上相手にその均衡がいつまでも続くわけじゃなかった。
「"""きあいだま"""」
「どこに向かって撃って―――ワイちゃん危ない!」
「え………しまった、避けてそるそる!"みきり"!
………戻って!ぶいぶいお願い!
エックス、これを!」
連続で使用した"みきり"が失敗し、3発の"きあいだま"を避けきることが出来ずにそるそるが倒れる。間髪入れずにぶいぶいを繰り出し、エックスに向かって"これ"を………この場ではアタシにもう使えないメガリングを投げる。継承者として失格かもしれないけど、今はエックスのチカラを信じるのが優先だ。
「っと、これは………借りるよワイちゃん!
行くぞガル、ラスマ!」
ガルとラスマが、それぞれメガガルーラとメガゲンガーにメガシンカする。これで少なくともラスマが倒れるまで、相手が逃げることは出来なくなった。
「ドラセナさん、ワイちゃん!一点集中で1匹だけでも倒し切ります!合わせてください!
ガル、"げきりん"!ラスマ、"ヘドロばくだん"!エレク、"かみなり"!」
「ぶいぶい、"ムーンフォース"!」
「"ぼうふう"!」
「"""かいでんぱ"""」
メガシンカで威力が上がったポケモンたちを含め、5匹による一斉攻撃。
3匹分の"かいでんぱ"が同時に放たれる。でも"げきりん"は威力が下がらないし、他の技も素の威力が高い上、"あまごい"と"エレキフィールド"が技をさらに強くする。大技の連続で間違いなく1匹は倒れた―――と思ったのに、
「"""じならし"""」
「くっ!?みんな避けろ!」
「嘘でしょ!?って、きゃあああっ!?」
「エックス君、ワイちゃん!
オンバーン、"ふきとばし"!」
相手は平然と立っていた。
エレクとラスマは今の"じならし"で倒れ、ガルは"げきりん"の反動で混乱。エレザードが"ふきとばし"されて揺れは収まったけど………
「""かみなり""、"きあいだま"」
「"はねやすめ"!」
「ぶいぶい、"ひかりのかべ"!」
エレクが倒れてしまったことで"ひらいしん"もなくなり、"ひかりのかべ"越しにも関わらずぶいぶいとガルが戦闘不能。
「くそっ!マリソ、ルット!」「けろけろ、頑張って!」
「"ほのおのパンチ"、"いわなだれ"、"かみなり"」
「させないわ!オンバーン、"ばくおんぱ"!」
「マリソ、"ニードルガード"!ルット、"じしん"!」
「けろけろ、"たたみがえし"!」
「"""でんじふゆう"""」
―――それが、アタシから余裕を奪った。
「けろけろ、"みずしゅりけん"!」「ダメだワイちゃん!」
「"フラッシュ"、""パラボラチャージ""」
ミスった、と思ったのは、ぶいぶいが遺した"ひかりのかべ"越しに電撃の余波を喰らった後だった。
「―――ああああああっ!?」
5連続で放った"みずしゅりけん"は、"フラッシュ"で狙いを逸らされて全て"かんそうはだ"に吸収され、"たたみがえし"から飛び出したけろけろは電気を浴びてしまう。
一瞬、目の前が真っ白になったアタシは、その場にへたり込んでしまって。
「ワイちゃん危ない!」
「"10まんボルト"」
目の前に閃光が迫る。アタシはのろのろとヤコちゃんのボールを取り出し―――
Side Y @???
「ワイP!無事だった!?」
「………………サナ?」
目の前に、眠っているはずの親友が現れた。勢いよく抱きつかれて、床―――床?さっきまでの舗装された道じゃない―――に押し倒される。
辺りを見回す。ドラセナさんとエックス、けろけろがいなくなって、代わりにいるのはサナにトロバ、ティエルノ、博士、グリーンさん。
………ここは、さっきまでいた研究所。ならこの光景は………?
「ワイ。到着したばかりで悪いが、状況を聞かせてもらえるか。」
グリーンさんの声。サナの温かさも相まって、これが錯覚じゃない現実だと突きつけられる。いきなり色んなことが起きて、自分の身に何かが起こったことを理解するまでそこそこの時間がかかった。
体に残る電撃の感触。
手に持って開こうとしていたヤコちゃんのモンスターボール。
モンスターボールの中でぐったりしている傷ついたそるそるとぶいぶい、そして空になったけろけろのボール。
つまるところアタシは、完敗した。
Side X @3番道路
"10まんボルト"がワイちゃんに迫る。いくら"ひかりのかべ"が目の前にあるとはいえ、オレが張らせた"エレキフィールド"が発動中だ。ティエルノたちの時より大きなダメージは避けられない。
「ルット、ワイちゃんを助けに―――!」「"いわなだれ"。」「くそっ!」
ルットが大ダメージを受けて怯む。このままじゃ間に合わない。
何としても―――
そう思った瞬間、ワイちゃんの姿がかき消えた。
けろけろの"みがわり"かと思ったけど、けろけろも電撃を受けていて動いた様子はない。
置き換わるように、ワイちゃんが立っていた場所に1人の女性が現れ、イクスパンションスーツに正面から向き合った。
その姿を見て感じたのは、もう30分経ったのかという気の緩みと、ワイちゃんを助けてくれた安堵。
「待たせてしまってごめんなさい。彼女なら"テレポート"させたわ。もう大丈夫。」
「…ふぅ。間に合ったわね。良かったわ、通信を入れっぱなしで。」
「カ、ルネ………さん。」
「お疲れ様、エックスくん。ドラセナも。
………さて、イクスパンションスーツのAI。聞こえているかしら?
ここからは、私達が相手をします。
いざ、メガシンカ!」