進撃の巨人 〜反撃の狼煙〜   作:雨宮雨水

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進撃の巨人の二次創作です。ヒロインはクリスタで、サブ的な位置にサシャの予定です。ぜひ読んでいってください。




第一話『死別/遭逢』

 

 

「それじゃあ、行ってくる」

 

 俺は、そう言って出て行く父さんの背中を見るのが大好きだった。当時まだ子供だった俺には父さんの仕事がどれほど過酷なものかはよく分からなかったが、出て行く時の母さんの辛そうな顔を見て、気楽な仕事ではないということは理解できた。

 

「父さん! 俺、いつか絶対父さんと同じ『調査兵団』に入る!」

 

 だが、それでもやはり憧れは変わらなかった。俺は父さんの、その恐れを見せない勇敢な背中が好きだったから、いつもいつも、『壁』の外へと出向く父さんに語りかけた。

 父さんは何も言わなかった。だけど、いつも必ず笑顔で俺の頭を撫でてくれた。その大きく、暖かな掌の感触も大好きだった。

 そして、多くの人々に見送られながら『自由の翼』を身に纏った兵士達が壁の外へと馬を走らせる。その中にいる父さんを、俺はいつも母さんと共に見送った。

 

 

 その背中が、俺が見た最期の父さんの姿になったと知ったのは、それから数日後の事だった。

 一人の兵士が家に来た。父と同じ緑色のマントを羽織った『調査兵団』の兵士だった。彼の顔と言葉を聞いた母さんは、声をあげて泣きながら膝から崩れ落ちた。

 

 ──父は壁外での調査中、襲いかかってきた巨人の群れから部下を助けるために身代わりとなった。遺体は回収できなかった──と。

 

 兵士は、それだけ告げて去って行った。

 兵士の姿が無くなった後、母さんは俺を力強く抱き締めた。そして涙で俺の肩を濡らしながら、何度も何度も、「あなたは私が守るから」と呟いた。

 

 そして、『あの日』──。

 

 巨人に支配されていた恐怖を人類が思い出した、運命の日。

 

 

 俺は、全てを失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様ッ!! 貴様は何者だッ!?」

 

 847年、ウォール・ローゼ南方面駐屯地──。

 この地には現在、総勢300名ほどの人間が隊列を組んで並んでいた。俺もその中の一人で、この300人と共に今日からの三年間を共に過ごす事となる。いずれ脱落する者もいるだろうから、その数は正確ではないのだろうが。

 まあ、今はそんなことを考えてる場合ではないか。今は入隊式の真っ最中で、目の前には鬼のような形相をした訓練教官の顔がある。まずはこれをなんとかしなくてはならない。

 

「ウォール・マリア、シガンシナ区出身、ユリウス・ハウザーです!」

 

 俺は右拳を左胸に持っていき、高らかに名乗った。この敬礼は『人類のために心臓を捧げる』という意味を持っている。

 

「……ハウザーだと?」

 

 俺の名──特にハウザーと聞いたところで、教官の表情がわずかに変わった。驚いていたようにも見えたが、すぐにその表情を元に戻して「フンッ!」と鼻を鳴らした。

 

「脆弱そうな名だな! お前などすぐに脱落してしまうのではないか!?」

 

 そう言って標的を隣の訓練生に切り替えた教官に、そりゃあどうも、と皮肉を込めた言葉を心中で述べる。脱落などするつもりなど毛頭ない。

 

 二年前、ウォール・マリア、シガンシナ区に突然現れた全長50メートルを超す超大型巨人がシガンシナ区の鉄門を破壊、そこから入ってきた何十体もの巨人により、シガンシナ区は瞬く間に地獄と化した。逃げ惑う住人達と、人間を貪り喰らう巨人。俺の母も、逃げる途中で俺を庇い、巨人の餌食となってしまった。

 

『生きてユリウス! 強く、逞しく生きるのよ! それが私の──私とお父さんの願いよ!』

 

 最後に聞いた母の言葉を、俺は片時も忘れたことはない。父に続いて母を──懸けがえのない『宝物』を二つも失った俺は、開拓地で奴隷のように働きながら今日という日を待ち望んだ。目的は、ただ一つ。

 

 この世に蔓延る巨人という名の害虫共を、一匹残らず殺すことだけ。

 

 奴らが俺から全てを奪ったように、俺が奴らから全てを奪い尽くす。

 

「三列目、後ろを向け!」

 

 俺が思考を切り替えた時、既に俺の列での“通過儀礼”は終わっていた。教官の指示通り素早く後ろを振り向き、その時、俺は初めて後ろにいた人物の顔を見ることができた。

 

 それは、肩まで届く金糸の髪と、空の景色を映したような碧い瞳を持った少女だった。まだ幼さの残る顔立ちで肌は雪のように白く、それが彼女の金と碧を一層際立たせていた。

 

「──ぁ」

 

 すると、彼女の碧い瞳が俺を捉え、俺と彼女の目が合った。彼女はしばらく俺を見続けると、やがてニコリと、教官に気づかれないように控えめに笑顔を作った。

 

 それが俺──ユリウス・ハウザーと、クリスタ・レンズとの出会いだった。

 

 





えー、今回は一人称視点ですが、次回からは三人称視点でやって行こうかなと思います。

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