ナナー1 ぐらんぷりっ!! 作:neo venetiatti
ー トリオ漫才 その5 ー
「あっ、あかねっち?こんな駅前のカフェで会うなんて、意外~!」
「そうですか?おかしいですか?」
「別におかしくはないんやけどね。あかねっちもこういうとこ来るんやと思って」
「たまに来ることがありますよ」
「そうやったんや」
「お客様、ご注文は決まりはったでしょうか?」
「なんか、コテコテの関西弁をこんなオシャレなカフェで聞くなんて」
「決めれたで、すか?」
「えっ、あれ?もしかして、みかりん?」
「お客様、決まったんですか?どうなんですか?」
「ちょっと、半ギレやんか!」
「もう!どうすんの?」
「もしかして、バイト?マジで?」
「うちがバイトしてて、おかしい?」
「そんなことないけど。あかねっち、知ってた?」
「今日初めて知りました」
「だって、今日からやもん!」
「お似合いです。その制服」
「そうやろー!かわいい?」
「ええ、かわいいですよ」
「エヘヘヘ」
「あの、店員さん?」
「はい、なんでしょうか?」
「向こうで、なんか、すっごい怖い顔で睨んでる人がおるんですけど、もしかして店長?」
「紅茶とショートケーキのセットでいいですね!」
「いきなりかい!」
「いいやんね?」
「どんな聞き方やねん!」
「それですね!」
「はいはい、それで結構でございますぅ~。でもなんでセット?」
「お得やから」
「そうなん?でも私、モンブラン好きやねんけど。あかねっちは?」
「私も同じでいいですよ」
「じゃあ、モンブランと紅茶とショートケーキのセットでいいですか?」
「一個多いで!」
「ほんと言うと、抹茶アイスがお手頃価格で食べれますよ」
「それ、いくらなん?」
「350円」
「へぇ~それも悪くないなぁ」
「じゃあ復唱します。モンブランと紅茶とショートケーキと抹茶アイスのセットでいいですね?」
「どんなセットやの!それで350円やったら頼むわ!」
「一万飛んで50円です」
「飛んだなぁ!飛んだ飛んだ!」
「ちょっと、お客さん?おふざけは、やめてください」
「どっちが!あかねっち、どう思う、これ!どうやの!」
「そ、そんなこと、私にジャッジを求められましても」
「ちょっと、さっきからあそこの席、うるさいんだけど!」
「河野さん!神木さん!」
「ほら、だから言わんこっちゃない。みかりんが変な接客するから」
「ええー!うちのせいやの~?どう考えてもみやこちゃんのせいやんか!」
「なんで?あんたのおバカな店員コントが原因やないの!」
「お二人ともいい加減にしないとマズイですよ」
「ここの店はどうなってんの?店員の教育もできてないってわけ?」
「ちょっと、お姉様?向こうに聞こえますわ」
「いいのよ。だって聞こえるように言ってるんだから」
「そんなはしたないこと、お止め下さい」
「何いってんの?向こうが悪いんじゃないの!」
「ああ、もう!声が大きすぎます!」
「じゃあ、どうしろって言うの、黒子?」
「もうしょうがないですわねぇ。それじゃあ私が言って参りますわ。お姉様は黙っていてくださいな」
「あっ、なんかこっちに来るみたいな雰囲気やで。どうすんのよ!」
「ゴホン。あの、ちょっとよろしいかしら?」
「はい、なんでございましょうか?」
「先程から、ちょっと声が大きいように思うのですけど。あちらの席まで丸聞こえですの」
「ああ、それはそれは、どうも失礼しました」
「あそこの席に座ってらっしゃる方が、うるさくて仕方がないと、不快感をあらわにされてますの」
「ちょ、ちょっと!黒子!そんな言い方したら、私だけ悪もんになるでしょー!」
「今さら何を言っておいでになるのやら」
「えっと、内輪揉めみたいですね」
「そんなことありませんの。わたくしとお姉様の関係に、今さら内輪揉めなんてあるわけないですわ!」
「そうなんですか」
「そんなことより、また騒がしい状況が続くようでしたら、私もそれなりに対処しなくてはなりませんの」
「対処?」
「ええ。でも、まさか~、こんなぁ~、カフェの店内でぇ~、そんな野暮なこと、やりたくはありませんの」
「なんかすごい」
「どうなさいます?」
「どうって言われても」
「あら、あなた方!これが目に入ってなかったのですか?」
「これと言いますと」
「この右腕に巻かれているものです!」
「その腕章は・・・・通学路の見守り隊の方!」
「ぷっ」
「お姉様!笑うところではありません!」
「だって」
「あなたたち、ほんとにご存知ないのですか?」
「あかねっち、知ってる?」
「確かそれは、街の治安維持の目的で結成された生徒のみによる組織の」
「あっ、それ、うち知ってる!」
「みかりん知ってんの?」
「緑のおばさん!」
「プハッー!」
「お姉様!笑い過ぎです!」
「だって、おもしろすぎるって!」
「ジャッジメントですの!」
「ジャッジメントって、この街にもあったのですね」
「当たり前ですわ。そちらの方はご存知のようですわね」
「緑の・・・」
「ぷっ」
「また、お姉様!」
「おば」
「そうですわ!い、いったい、誰がおばさんですって!聞き捨てなりませんわ!」
「おかしいなぁ。うちの子供の頃、近所のおばちゃんが信号のとことか踏切のとことか、立ってはったよ」
「立ってはったって・・・いったいどちらの方ですの?すご~く訛ってらっしゃいますわね」
「あっ、そこは突っ込まない方がいいかと思われ・・・」
「訛ってるんやないです!」
「どう聞いても訛ってらっしゃいますわ」
「違います!これは“京ことば“って言うんです!」
「ああ、そうでしたか。京都の訛りが出たということなんですね」
「だから違います!みやこびとなんです!」
「言ってることがよくわからないのですが。別にわたくしは地方出身者の方々をバカにするつもりなど、毛頭ございません。わたくしが言いたいのは、このようなお店の中で騒がれると、他のお客やお店の方に迷惑がかかると申し上げているのです」
「それはそちらの言うとおりだと思います」
「こちらの方は聞き分けがよろしいようですわね。わたくしの尊いお役目も理解していただいているようですし」
「お役目ごめん!」
「ぷっ」
「お姉様!」
「みかりん!ここでいつもの調子出してどうすんの?」
「もういいじゃない、黒子?」
「いいもなにも、もとはといえばお姉様がキレかかったことが原因ですから」
「悪かった。確かに大人げなかったわね」
「わかっていただけたのなら、黒子は何も申し上げることはございませんの」
「あの方、もしかして」
「あかねっち、知ってる人やの?」
「確か御坂・・・」
「あら、あなた、あの方をご存知ですの?さすが他の方と違って、お勉強ができそうなお顔をされてますわね」
「うちだって、勉強くらいしてますぅー」
「それは失礼しました」
「いっぱい線を引っ張らしてもらってます!」
「線を引っ張る?」
「ああ、それは気にしないで結構なんで」
「まあ、なんにせよ、あの方を知っている方が、三人中ひとりとは。情けない話ですわ」
「それで、誰なん?」
「わかりました!言って差し上げましょう。あの方は、我が常盤台のエース!学園都市第3位のレベル5!泣く子も黙る常盤台のレールガンといえば御坂美琴に決まってます!」
「なんかわからんけど、すごそー!」
「ただ、わたくしからすると、正直申し上げて、ゲコ太が好きとか、少女趣味といったらいいでしょうか?共感しずらいところもあるにはありますが」
「くっ、黒子!余計なこと言わなくていいの!」
「まあ、そこはそこで可愛いと申しましょうか?お姉様の魅力の一面を垣間見たと言えますでしょうか」
「御坂はん?そのゲコ太というのはなんです?」
「そ、それは・・・」
「かわいいの?」
「出た!」
「まあ、かわいいといえばかわいいと思うけど」
「うちもかわいいのん、好き!」
「えっ、そうなの?そうよね。かわいいって、いいよね!」
「みかりんの真骨頂!」
「はぁ~。お姉様?お仲間ができてよかったですわね。それじゃあ、そろそろおいとまいたしましょうか、お姉様?」
「ゲコ太っていうのはね、カエルなの!なんかね、きゅーってくるのよ!」
「ほんま?どんなん?」
「あ、あの、お姉様?もうそろそろ」
「見る?」
「うん、見る!見して!」
「ちょっと、お姉様!」
「見て、これ!これよ!」
「うわー!かわいいー!」
「でしょー?やっぱり、わかる人にはわかるのよ!」
「ちょっと、お姉様!」
「何よ、黒子?今盛り上がってるところなんだから邪魔しないで」
「じゃ、邪魔?」
「あら、この人、急に落ち込みはったよ」
「そうですわね。ゲコ太を理解しあえるお仲間がいれば、私なんて結局お祓い箱ということなんですね」
「ちょっと、黒子?用がないなら先に帰ってもいいわよ」
「先に?」
「またガクッときましたよ、この人」
「皆さん、お気をつけください。わたくしは、これまでお姉様に、尽くして尽くして尽くし抜いてきました。けど、結局はこの有り様です。ゲコ太なる、あんなカエルのマスコットキャラに負けてしまいうのですわ~~」
「泣いてはる」
「わかったわよ。帰えればいいんでしょ?そんな、泣かなくてもいいじゃない」
「お姉様!わかっていただけたのですね?」
「カエルが帰る」
「ぷっ」
「な、なんです!この方!」
「神木さんだっけ?連絡先教えてくれる?」
「ちょっと!お姉様~~」
「みかりん!この人、持ってるぅー!」