両面宿儺成り代わり   作:五月雨@ノン

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乱入者/バケモノ

「任務?」

 

「うん、悠仁達にはとある場所の調査をしてほしいんだ」

 

任務という言葉に伏黒と釘崎は顔を顰める。何しろ交流会が終わった二日後ということで、傷は癒えてもまだ疲れは体に少し残っている状態だからだ

 

「そんなの、私たちじゃなくてもいいじゃない」

 

 

伏黒もそうだと言わんばかりに頷く。悠仁はどこに行けるのかと目を光らせていた

 

「いや〜、そうとはいかないんだよね.....これは君たち、いや正確には()に関係する場所だったんだよねぇ」

 

 

その言葉に伏黒は意味が分からないと首を傾げる

 

「鯉ノ口峡谷八十八橋と言えば、分かるかな?」

 

五条がそれを口にした瞬間、伏黒の目は大きく見開かれ、呪力がゆらゆらと揺れた。

まるで、それは呪力が伏黒の内なる心情を表しているかのようだった

 

その様子に釘崎と虎杖は只事ではないと察した

 

「行ってくれる気になった?」

「.....虎杖、釘崎、今すぐ準備しろ」

 

伏黒はそう言うと、教室を出て自らの部屋へと足早に戻っていった

 

「ちょっと!もう、私達も準備するわよ!」

 

「オッケー」

 

ドタバタと釘崎と虎杖は廊下を走り去っていく。虎杖達が居なくなったことを確認すると五条悟は先程までの胡散臭い笑みを消した

 

 

「今回の調査、()()()から悠仁達への直々の指名....裏があるね、調査なら態々悠仁達を指名する必要がない、ということは悠仁達を脅かすナニかがある筈」

 

けどと五条悟は言葉を続ける

 

「僕の生徒が君たちの策に屈するなんて有り得ないんだよ。悠仁、恵、野薔薇、君達の進化した姿を存分に見せつけてくるといいよ」

 

ニヤリと五条は再度口角を上げた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伏黒が元不良?という過去の発覚なと一悶着あったが、呪霊などは確認出来ずにやがて陽は落ち、調査は終了となった

 

そんな中、伏黒は一人で八十八橋の下を歩いていた

 

(もしかしたら、津美紀が目覚めない原因が分かるかもしれない.....なら諦める訳にはいかねぇだろ)

 

伏黒が彼岸側へと足を踏み入れようとした時、肩を叩かれる

 

バッと振り返った先にはニヤリとしたり顔をしている虎杖と釘崎がそこにいた

 

「一人だけで行くなんて水臭いじゃないの」

 

「そうだぜ!俺達も誘えよ」

伏黒は目を伏せる

 

「これは、俺の問題だ....お前達を巻き込む訳にはいかない」

 

「んなこと関係ないわよ、だって私達は仲間じゃないの。仲間ってのは困ってる時に助けてくれる人のことよ、どんと私達に頼りなさい」

 

「おうよ!それとも俺達じゃ頼りないか?」

 

そんな言葉に伏黒は呆けた顔をした後に、フッと笑みを浮かべた

 

「この事件に、俺の姉の津美紀が関係してるかもしれない、だから俺は一刻も早くここにいるであろう呪霊を倒したい。力を、貸してくれる?」

 

「勿論!」

 

「当然よ!」

 

そう言い、三人は同時に彼岸側へと足を踏み入れた

 

 

ズズズっと辺りの風景が変わり、おどろおどろしい呪力が辺りに立ち込め、呪霊が姿を現す

 

穴から穴へとニュッニュッと高速で移動し、此方の出方を伺っている

 

「モグラ叩きね、私得意よ。モグラ叩きの野薔薇ちゃんとは私のことよ!」

 

「真剣にやってくれ.....」

 

「攻撃してきそうな気配はないし、もしかして逃げ特化の呪霊かなんかかな?」

 

三人の間に緊張などない。そこにあるのは短い間だが、様々な苦難を乗り越えて築かれた絆があった

「さて、夜更かしは美容の敵、ちゃっちゃっと祓って、スイパラよ!伏黒の奢りで」

 

「おい!」

 

「やるかぁ!」

 

三人が同時に構え、呪霊へと攻撃しようとした瞬間に、背後から目の前の呪霊のものでは呪力が現れた

 

「う〜ん?呪術師がいるなぁ、なんでだぁ?」

 

目の前の呪霊がポリポリと頭を搔く。その動作は人間そのものであるが、その姿は正に異様であった

 

 

「クソッ、別の呪霊かよ....!」

 

「どうすんのこれ?」

 

二人がどう対応するべきか迷っているとスっと虎杖が目の前の呪霊へと足を踏み出した

 

 

「伏黒、釘崎、アイツは俺がやる。お前らはあの呪霊を祓ってくれ」

 

「いけるのか?」

 

伏黒は虎杖へと問いかける

 

「勿論!」

 

ニッコリと虎杖は笑みを浮かべた

 

「分かった、倒してこい虎杖」

 

「応!」

 

虎杖が呪霊へと殴りかかっていった

 

 

「さて、俺たちはアイツを祓うぞ」

 

「了解」

 

伏黒達が呪霊へと攻撃をするが、呪霊はその素早さで穴から穴へとへの移動を繰り返し、その攻撃を躱していく

 

そのあまりの素早さに段々とイライラし始める釘崎

 

「面倒臭いわね!出てきなさいオタンコナス!とっと私に祓われてスイパラに行くための資金になりなさい!」

 

「お前のそのスイパラへの異常な執念はなんだ!」

 

 

口を動かしながら次々へと攻撃を放つ。その攻撃の速度は凄まじく、一般人から見ればブレて見える程の速さだった。

しかし、呪霊がその速度を上回っているため、難なく攻撃は躱される

 

「チッ、体の一部でもあれば共鳴りを使って動きを止めれるのに。いや、一か八かでこの場で共鳴り打ってみようかしら」

 

釘崎が釘を構え、共鳴りをしようと腕を振り上げる

 

 

ガッ!

腕が誰かに掴まれた

 

「あ?」

 

その腕は壁から出てきており、壁にはまるで泥のように濁った色をしている波紋が広がっていた

 

「釘崎!」

 

「伏黒!そっちは任せた!こっちは私が殺る」

 

トプンと釘崎は波紋へと呑み込まれた

 

「釘崎!」

 

「お、兄者かぁ?俺も俺も〜」

 

虎杖が相手をしていた呪霊がその波紋へと飛び込んだ

 

「虎杖!釘崎を追え!」

 

「でも伏黒は」

 

「俺一人で充分だ、お前は釘崎を追え。相手は少なくとも一級以上だ」

 

そう言うと、虎杖はチラチラと伏黒見ながら波紋の中へと潜っていく

 

 

「ヤバくなったら、呼べよ」

 

虎杖が波紋をくぐり抜けた先には誰かの背中があった。その背中にはまるで人の顔のようなものが描かれて?いた

 

「私の背中を見たなぁ!!」

 

「え?ご、ごめん!ごめん!ワザとじゃないんだ!」

 

「お、俺もワザとじゃないぞ!兄ちゃん!!」

 

ジジジと歪な音が背中から発せられる

 

「バチ殺し!」

 

背中から羽が生えた。いや、羽と言うにはあまりにも歪であまりにも異様だった

 

「さぁ、背中を向けて逃げるといい。でなければ死にますよ?

 

呪霊の背中から羽のようなものが伸びてくる

 

それを釘崎は呪力を纏わせた釘で攻撃するがジュという音とともに釘が溶かされる

 

「は」

 

 

釘が溶かされると思っていなかった釘崎へと羽のようなものが近づき、やがて顔に触れようとした瞬間に虎杖は釘崎を米俵を運ぶかのように抱え、全速力で森を駆けていく

 

それに追従するように羽のようなものも更に速度を上げ、虎杖達を殺さんと伸びる。

今の速度ではやられると察した虎杖は足に呪力と力を更に篭める

 

 

「舌、噛むなよ!」

 

空気を切り裂く音とともに凄まじい速度で加速していく。そのスピードは敵の攻撃の速度を上回り、遂に攻撃範囲内から抜け出すことに成功した

 

 

スっと虎杖が手を離すと釘崎は着地する

 

「お姫様抱っことか出来なかったの!?」

 

「ごめんごめん、逃げるのに精一杯だったわ」

 

冗談よと釘崎は小さくそう呟いた

 

ズズと虎杖は自身の後ろからもう一体の呪霊の呪力を感じ取った。

急いで後ろを向けば呪霊はもう攻撃する直前だった、その攻撃範囲には釘崎も入っている

 

ブシュウ!と虎杖と釘崎に向け毒の液体が吐かれる

 

「ッ!」

 

咄嗟の判断で虎杖は自らの服を無理矢理脱ぎ、その攻撃を一瞬だけ防ぎ、バックステップをし距離を取る

 

(クソ、少しかかっちまった)

 

虎杖の顔と腕には先程吐かれた少量の毒が付着していた

 

「虎杖!」

 

釘崎が虎杖の心配をして近付くが、それはもう一体の敵の攻撃を腕と顔に喰らってしまうことにより、中断された

 

「――ッツ!」

 

(ま、ずい!これも毒か!?)

 

「心配しなくても私の攻撃は全身に浴びでもしない限り死にはしません、まぁ死ぬ程痛いですけどね」

 

「そして、私達の術式の真骨頂はここからです」

 

 

蝕爛腐術「朽」

 

 

ズズズと血を浴びた箇所から薔薇の模様のようなものが浮かび上がる

 

 

「あ゙?」

 

「粘膜、傷口、私達兄弟どちらかの血を取り込み、私達兄弟のどちらかが術式を発動すれば侵入箇所から腐蝕が始まっていきます」

 

「そちらの少年はもって十五分、お嬢さんの方は十分が限界といったところでしょう」

 

釘崎があまりの痛みに息を荒らげる

 

「辛いようでしたら、今すぐでも殺して差し上げましょうかお嬢さん?」

 

余裕の笑みを浮かべ、あたかももう勝ったと錯覚している呪霊達に対し、釘崎は笑い声を上げた

「当たれば勝ち確の術式、強いなお前ら」

 

 

 

「だけど―――

 

 

 

 

 

 

       私との相性、最悪だよ!!」

 

 

 

        共鳴り!

 

 

釘崎が、自らの手首へと釘を刺した瞬間に呪霊達に尋常じゃない痛みが走る

 

「ガッ!」

 

「我慢比べしよっか♡」

 

 

呪霊達が膝を着きそうになるが何とか持ち堪え、その様子に釘崎は更にニンマリと笑みを深めた

 

「痛いのは嫌だろ?なら、さっさと術式を解けよ」

 

呪霊達は痛みでタラりと顔に冷や汗をかいているが、術式を解く気配は微塵も感じられなかった

 

(呪詛返し.....中々に強烈、だが何度やっても私達の命には届かない。我慢さえしていれば、いずれ死ぬのはアナタ方!しかも「朽」の発動中は痛みと毒でまともに動け

 

一つ、彼らは重要なことに気付いていない。それは虎杖悠仁が宿儺の器であること

 

宿儺という正に猛毒を取り込んで、無事でいられる悠仁には毒での痛みはあれど命には届くことはない

 

そして、痛みだけでは虎杖悠仁は止まらない!!

 

ラッシュ、ラッシュ、ラッシュ、ラッシュ!!

 

虎杖の芯の入った素早いラッシュが呪霊へと叩き込まれていく

 

 

「血塗ゥゥゥゥ!!」

 

「うるせぇな」

 

 

         共鳴り!!

 

強烈な痛みが走るが呪霊は止まらず、もう一方の呪霊を助けようと向かう。

だが、一瞬足が崩れた瞬間に虎杖と釘崎はスイッチをし、

互いの場所を入れ替える

 

(「朽」の発動中は「翅王」は出せない!だが、今のあの女に弟を殺すだけの余力があるか!?女に妨害されようと女が死ぬより先に私がこの男に殺されることはないだろう!!)

 

絶対に術式は解かない!!

 

 

 

  

 

        

 

                「兄者...」

 

 

フッと虎杖と釘崎に浮かんでいた模様が消えた

 

虎杖が接近し、攻撃を行うが全ていなされ、先程の羽のようなもので反撃をされるが体を捻ることでそれを回避する

 

だが、呪霊の真の目的は己が弟を害さんとする女を始末すること、女は弟との戦闘に集中しており、背後からの攻撃には気付いていない

 

(死ね!)

 

呪霊は気付いていなかった、激しい痛みから解放された二人の集中力は極限まで研ぎ澄まされ、一種のゾーン状態に入っていたことを、そして黒い閃光のことを

 

 

バチバチと呪力が黒く光った

 

 

         黒閃!!

 

 

パァンと呪霊の腕と脇腹が弾け飛んだ

 

「は」

 

(なんだ、なんだ今の攻撃は!?私は呪力を纏った腕で確かに防御した筈!なのに何故、何故だ!!)

 

バタリと釘崎が相手をした呪霊が地面に倒れ込んだ

 

 

「辛そうだな、今から楽にしてやるよ」

 

「血塗ゥゥ!!!」

 

 

釘崎がトンカチを振り上げ、呪霊にトドメを刺そうとした次の瞬間

 

 

ドゴォン!という大きな音ともに近くにあったトンネルの一部が崩れ落ちた

 

その突然の出来事にこの場にいる全員が動きを止めた

 

(この、呪力は)

 

虎杖は崩落したトンネルの中から覚えのある呪力を感じ取った、それは夢の中で現れたバケモノと全く一緒の呪力だった

 

「来るぞ、釘崎!」

 

「何なのよこれ!?」

 

 

トンネルが全てを壊され、それは姿を現した

 

 

「オォォオ゙オ゙オ゙!」

 

そのバケモノが遂に姿を現した、虎杖が夢で見たその姿で

 

 

崩壊したトンネルの名前は()()()()()()、犬鳴村へと続く唯一の残された道だ






閲覧ありがとうございました!少しでもこの作品気に入って頂けたならお気に入り登録、評価等して頂けると幸いです!
ところで閑話として宿儺のホノボノ話を書きたいんですけど、書いても大丈夫ですかね??

活動報告でアイデア等募集するのでそちらによろしければアイデア、書いてほしい話などを送って頂けると嬉しいです(話のネタ的に)

では、次のお話でお会いしましょう、さようなら〜

BADENDルートは

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