「そうか、虎杖悠仁。お前に一つ聞きたいことがある」
「?」
悠仁はハテナマークを頭に浮かべるが、それを気にすることはなく、東堂は言葉を続ける
「お前、どんな女が
「は?」
ニヤリと笑みを浮かべ、パイナップルゴリラこと東堂は悠仁にそう言い放つ。予想の斜め上の質問に悠仁はポカンと口を開けている
「はぁ?女の
最もな言い分だ。先程まで自分をバカスカと殴り、蹴っていた男にいきなりそんなことを聞かれたのだ。その反応は至って当たり前なものだった
「気にするな、ただの品定めだ」
「えぇ.....言った方が良いかな。お前はどう思う宿儺?」
悠仁にそんなことを聞かれた宿儺はハァと溜め息を吐く
「答えた方が良い。その方がお前の為になる」
「分かった」
宿儺の答えに悠仁は納得した
「よく分かんねぇけど、強いて言うなら....」
「......」
世界が止まったかの様に辺りは静まり返った
「
ジュニファ・ローレンスとかという悠仁の呟きは今の東堂の耳には入ってこなかった
『嫌な予感がするな...』
宿儺は生得領域で目頭を押さえた
東堂の脳内に溢れ出した
「俺、高田ちゃんに告る」
所々に黒ずんだ汚れが見える廊下で東堂は覚悟を決めた様に口を開いた
「え!?止めとけよ!俺、お前のこと慰めんのめんどくさいから嫌だぞ!?」
「なんでフラれる前提なんだ」
えぇ...と悠仁は困惑した様な声を洩らす
「逆になんでOKもらえると思ったんだよー」
チラリと東堂が悠仁を見る
「かのアン・サリバンはヘレン・ケラーにこう説いた。
“やる前に負けることを考える馬鹿がいるか”と」
「それ言ったの猪木だろ」
食い気味に悠仁がツッコミを入れる
場面が変わる
「ごめんなさい。私、好きな人がいるの」
ビッとラブレターが破かれスタスタと高田ちゃんはその場から立ち去った。残されたのは目に虚空を映している孤独なゴリラのみ
場面が変わる
「好きな人が俺ってパターンは....」
「ある訳ねーだろ」
「何をしている」
悠仁の後ろから声が聞こえた。その瞬間、バッ!と悠仁は後ろを勢いよく振り返った
「宿儺!」
「騒ぐな、喧しい」
そこには制服を着崩した
「あ、ごめん!実はさ、東堂が高田ちゃんに「もう良い...分かった」
え、もう分かったの!?スゲーな!!そんな悠仁の声を無視し、ズカズカと東堂へと近付く
「ハァ、おい東堂」
「
宿儺がパシンと東堂の丸められた背中を叩く
「俺の奢りだ、飯食いに行くぞ」
「
宿儺は東堂の手を引っ張り、立ち上がらせる
「行くぞ」
「あぁ」
「俺も奢って!!」
悠仁が宿儺と肩を組む
「貴様は自分で払え」
「えー!?俺も奢ってくれよ!」
「
それじゃ、意味無くね?と悠仁は言葉を溢した
「ハァ、しょうがない。貴様の分も俺が払ってやる」
「!ゴチになります!!」
ワイワイと三人は商店街を歩いていく
一人はニコニコと朗らかに笑いながら
一人は少しだけ目を赤くしながら
一人はめんどくさそうにしながら二人の後に付いていきながら
三人の影は長く伸び、やがて一つの塊となった
「地元じゃ、負け知らず.......か」
「?」
東堂の口から溢れた言葉に悠仁は目を丸くする
「どうやら、俺達は“親友”のようだな」
「今、名前聞いたのに!?」
悠仁は思わず大声を出す。当たり前だ、自分をバカスカと殴り、そして蹴った相手がいきなり自分の女の
「あぁ、そうだ俺達
東堂は涙と鼻水を拭き、悠仁へと顔を向けた
『嘘だと言ってくれ.....』
宿儺は生得領域で頭を抱えた
その時、悠仁は自分の周りに東堂以外の人の気配を感じ、バッと周りを見るとそこには京都校の生徒達が悠仁の周りを囲んでいた
(囲まれた!?)
バンバンと禪院真衣が発砲する
悠仁はそれを躱すが躱した先には刀を構えている三輪霞の姿があった
シン陰流・簡易領域を三輪霞は展開するが、そんなことは悠仁は気付かずにどんどんと近付き、やがて領域の範囲内へと踏み込んだ
“抜刀”
その瞬間、三輪霞の刀が振り抜かれた
が、悠仁はバク転でそれを回避し、着地をする
そんな悠仁へと近付くのはメカ丸だった。ギュイィィィン!と大きな音を立て、手に呪力が集まっていく
「なんだぁ!?」
後ろから気配を感じた
そこにはギリギリと弓を引いている加茂憲紀とリボルバーを構える禪院真衣の姿があった
(アレ?コイツら....俺のこと殺す気じゃねぇ?)
悠仁の心臓へと狙いが定まれた三つの凶弾が放たれる寸前
パァン!と音が響いた
その瞬間、加茂憲紀が悠仁のいた位置に、悠仁が加茂憲紀のいた位置へと入れ替わった
(一体何が.....!)
全員が混乱している中
「おい」
ドスの聞いた声が響いた
東堂が加茂憲紀に拳を振るう。加茂憲紀はそれを横へとステップすることでそれを避ける。ドゴッ!と鈍い音を立て、地面が抉れた
「言ったよな、邪魔をすれば殺すと言った」
「違うな、オマエは指図をすれば殺すと言った」
東堂が目を大きく開く。額には大きな青筋が浮かべていた
「同じことだ、帰れ」
東堂がそう言うと、加茂憲紀はその場からスッと立ち去る
「ちゃんと殺せよ」
「それは、虎杖次第だ」
指図すんなやと東堂は呟いた後に、ニヤリと笑った
「なんせ、俺は親友に手加減するような」
スッと東堂が構えを取る
「野暮な漢じゃないからな」
東堂が悠仁へと接近し、拳を振るう
それを悠仁は手でその拳を逸らし、懐へと入るが東堂はそれを膝蹴りをすることで防ぐ
「ッ!」
悠仁は腕をクロスすることで防御する
東堂の膝蹴りの威力で少し体が浮いた虎杖はその勢いを利用することで東堂の顔面へと蹴りを繰り出すが、それも片手で防がれる
バッ!と悠仁はバックステップをし、東堂から距離を取る
(威力は東堂の方が上!いつまでも防御ばっかりじゃ、俺の方が最初に限界が来る!なら.....)
「攻める!」
凄まじい速さで東堂へと接近するそれに東堂は応戦する
凄まじい速さで行われる戦い、その戦いの激しさは一種の嵐の様だった
ドッ!と悠仁の腹へと東堂は一発を入れるが、それを悠仁は腹に力と呪力を籠めることで防御する
ダンッと殴られた勢いを利用して後退し、近くにあった木の幹を掴み、ギチッと力を籠めてから東堂顔へと勢いよく足を振るう。それを東堂は上体を反らすことで避け、バッと後ろを向くが
(いねぇ!!)
悠仁が先程までいた位置にはいなくなっていた
一瞬固まった東堂の上から悠仁が拳に呪力を纏わせ、ゴンッ!と東堂の頭に一撃を入れる
(成る程!!俺が振り向くと同時に上へと飛び上がり、俺の死角へと入ったのか!!次手までの組み立ても恐ろしく速い!!極めつけはーー)
東堂の攻撃をいなし、東堂の顔へと一撃を入れる
バキィ!と鈍い音を立て、東堂はズザザザザと下がる
(この凄まじいパワー!!小さい体で素の力は俺より強い、だから少ない呪力で、打撃が成立する。だから呪力の流れから動きが読みづらい!!だが....)
ピキリと東堂の額に青筋が浮かぶ
(この時間差でぶつかってくる呪力.....これだけは.....これだけは....)
「ちっっっがーう!!」
東堂の渾身の叫び声が木霊した
「
「逕庭拳のことか?」
なんだこの人急に....そう悠仁は溢すが、東堂にはどうやら聞こえていないようだ
「それはオマエの悪癖だな?」
「?」
(そうなのか....?)
『まぁ、そうだな』
宿儺の声が脳内に響いた
「
「!!」
フゥと東堂は溜め息をついた
「そのレベルで満足していると、オマエは俺と
「いいのか?」
(いや、宿儺は別として、別にいいんだけど....)
「弱いままでいいのか?」
「よくねぇよ!!!」
(俺は強くなるんだ!!もう何も失わないように!宿儺を守る為に!!)
「そうだろう!!
互いに拳を構える
「行くぞ!東堂!!」
「来い!虎杖!!!」
戦いのコングが再度鳴った
「ッラァ!!」
悠仁が拳を東堂の顔めがけて振るう。それを東堂は片手で受け止める
「どうした!!その程度か!?」
(止められるのは分かってる!本命はこっちだ!)
悠仁は東堂の膝の裏を蹴る
「ヌッ!」
少し、東堂の体勢が前のめりに崩れる
「ふっ!」
バコッ!と東堂の顔を膝で叩きつける
(考えたな!)
即座に東堂は体勢を持ち直し、悠仁の足を掴み、木へと叩きつけようとするが空中でクルクルと回ることで勢いを殺し、スタリと着地をする
「良い判断だ」
そう言い、東堂は悠仁へと接近し、少なくない呪力を拳籠め振るう
(回避ーー)
「させない!」
「なっ!?」
東堂は悠仁の足を踏むことで回避という手段を潰した
(不味い!防御!!)
「フンッ!」
東堂が腕を振り抜くと悠仁はそのあまりの一撃の重さに木へと叩きつけられる
「ッ!」
(やっぱすげぇ威力だ....腕がビリビリする)
その証拠にプルプルと悠仁の腕は震えていた
「寝てる暇はない、ぞ!」
東堂が勢いよく悠仁を踏みつけようとするが、それをゴロゴロと地面を転がり回ることで回避する
「反応もやはり良い」
悠仁が東堂に向かって走り出す。それに対し、東堂は右横拳を繰り出すが、それを躱し、左構えの縦拳を繰り出し、東堂の顔に一撃を入れる
(この戦いで成長している!
首と腰を掴まれ、東堂の体勢は崩される
(なんて美しく崩してくれるんだ!!)
そのあまりの成長速度に東堂の口元は思わず上がる
(顔面ガラ空き!!とれる!!逕庭拳でも!!)
がその瞬間、東堂はその強靭な体幹により悠仁の拳が加速しきる前に額でその一撃を受け止める
「オマエに食ってほしいのはそこじゃない」
スッと東堂は悠仁の左手をどける
「オマエの逕庭拳は人間離れした身体能力に通常遅れることのない速度に呪力が遅れることで生まれるものだな」
悠仁は言い当てられ目を大きく見開く
「トリッキーだ。並みの術師では何が起こったか分からず混乱するだろう。威力も充分、その程度の奴が相手ならばならな!だが....」
「特級には通じないぞ」
悠仁は真人のことを思い出し、無意識にギリギリと手を強く握り締める
「どうする、親友」
東堂の真剣な眼差しが悠仁を貫いた
「......俺の全力にドンピシャで呪力を乗せる」
「good」
東堂は口角を上げた
「では、何故呪力が遅れるのか、それは呪力を無意識に“流している”からだ」
「!?」
(どういうことだ....?)
「いや.....流す速度を上げようって話だろう?」
悠仁の頭に大量のハテナマークが浮かぶ
「呪力を“流す”。多くの呪術師がこれを意識的に行っている。“腹が立つ”“腸が煮えくり返る”負の呪力から捻出される呪力は臍を起点に全身に流すのがセオリーだ」
ピタリと東堂が自分の臍の前へと手を持ってくる
「臍から胸を通り、肩・腕、そして拳へと呪力を“流す”この体の部位を分けている意識が呪力の遅れを生む」
「!」
「“呪力を流す”これ自体は間違いではない。しかし、それは“初歩”その意識に囚われ過ぎてはいけない。一流の呪術師ほど呪力の流れが読みづらいものだ。オマエとは違う理由でな」
「俺達は腹でモノを考えるか?頭で怒りを発露できるか?いいか虎杖」
「俺達は全身全霊で世界に存在している」
ザァ!と世界が広がり、虎杖悠仁という存在が広がった様な気がした
「当たり前過ぎて、皆忘れてしまったことだ」
「ありがとう、東堂」
スッと構えを取る
(気配が変わった....!!)
東堂は口角を上げた
「なんとなく分かった」
「....もう言葉はいらないな」
(手加減はしない)
コツリと互いに拳を合わせた
(全力で導く!!)
互いに構える
(死ぬなよ虎杖!!登ってこい!!高みへ!!!)
再度、戦いのコングは鳴った
「見つけたぞ両面宿儺....!」
一体の呪霊が醜悪な笑みを浮かべた
閲覧ありがとうございました!最近、ずっともるでおさんの最強二人が歌う“青春アミーゴ”を聴いているんですけど、最初聴いた時は泣いてしまいました。あの二人と歌詞が凄いくらいマッチしててとても素敵でした。皆さん、暇があれば是非見てみてください!後、感想、評価、お気に入り登録もして頂けると嬉しいです!
では、次の話でお会いしましょう。さようなら~
呪術廻戦のRTA小説書いても良いですか?
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OK!
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(書いちゃ)ダメです
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どっちでもイイゾ