Re:SAO ~return recollection~ 作:寄す処の空
だからなんだって話なんですけど、特に何も無いですすみません。
これから前書きにたまに何か書こうと思うんですけど、基本は投稿後の話に修正を入れた際の修正内容を記載していこうと思います。
知らんもん追加されてたら嫌ですもんね、やりがちなので。
最近だと二十一,二は前書き関係で二十四話はタイトルのVSをvsに直しただけです、すみません。
その前のはちょっと覚えてないんで申し訳ないです、多分だいぶ前のはずだから大丈夫なはず?
長くなりましたが以上になります、この話が少しでも誰かの娯楽になれたら幸いです。
本編どうぞっ
新たな準々決勝が始まるなか、見届け人であるシオンはデュエルそっちのけで別のことを考えていた。
最後のあれはいったい何だったのか。
シオンがそれを聞こうとしたときにはもう既にアスナは結晶を使い別の街へと行ってしまっていた。
街の名前は聞こえていたので追うことも可能ではあったが、まだシオンは試合が残っているし見届け人という立場もある。
それにいくらなんでもそこまで無粋ではなかった。
だからこそこうして一人で悩むことしか出来ないのだ。
あの言葉に深い意味があるのかはわからない。
前のように買い物にパシられるだとか、そんな理由なのかもしれない。
だが言うなれば、前回アスナの口からパーティを組もうなんて言われたことは一度としてなかった。
前回との相違。
これが大きな歪みに繋がらなければいいのだが。
「試合終了!」
「え?」
ぼーっとしている間に終わってしまった試合に目を向ける。
そこには膝をつくエギルと澄まし顔の男がいた。
まだ始まって一分も経っていないはずだ。
初撃で決着がついたのだろうか。
それにしてもここまで勝ち上がってきたエギルがあっさりと負け尚且つ膝をつく姿は異様そのものだった。
与ダメ量など試合が終わってしまえば一切分からない状況だが、あの涼しい顔を見るあたりあまり苦戦はしなかったのだろう。
戦闘を見ていなかったせいで振るっている武器も戦い方も分からない。
そもそも何戦かしてきたはずなのにあんなに早く、特徴的な戦い方をしているプレイヤーはいなかったはずだ。
今まで手を抜いていたというのだろうか。
一度は否と決めつけたものが、自然ともう一度蘇ってきていた。
「……ははっ」
無意識に声が出る。
顔を隠している様子が無ければ名前もしっかり確認できているし見覚えだって無い。
このプレイヤーはラフコフのメンバーではない。
そうではないと分かっているのに。
「シオン君、次はちゃんと見ておくんだよ」
隣にいるディアベルの声ではっとなる。
アイテムストレージから剣と盾を取り出す姿を見て、次の試合が彼のものであることに気づいた。
となると相手はシリカというわけだ。
「手は抜くのか?」
「その方がいいかい?」
「……きっと怒るだろうな」
「だろうね。あんな顔されたら手を抜くのもありかなって考えちゃうけど、俺も君の案には全力で乗らないと。それに、これに勝てば次はシオン君とだろ?燃えるじゃないか」
「俺は全然燃えないよ」
「釣れないなぁ」
「別に戦闘馬鹿じゃないから」
「まあ、ほかにも理由はあるんだけどさ」
「え?」
シオンの疑問に対し返答することなくディアベルは中央へと歩いていく。
その奥、シリカも定位置につくと武器を構えた。
ノンシールドにリズに作ってもらった短剣。
使ってくれているようで嬉しいのだが、彼女の真剣な眼差しが喜びを半減させる。
二人が対峙すると間に60の数字が表れた。
ディアベルはショートソードにバックラー、いつも通りだ。
二人のポジションで考えるとディアベルの方がどことなく不利な気もするが、彼のセンスを加味すると一概にもそうは言えない。
互角、または長期戦になるのではと考えた。
「ディアベルさん、手を抜くのは無しですよ」
「女の子に剣を向けるのは不本意だけど、怒られるのはもっと嫌だからね。それに、君とも一度真剣に戦ってみたかったんだ」
ブザーが鳴り、始めの合図でシリカが前に出る。
だがディアベルはそれを気にする素振りも見せずにソードスキルを発動していた。
「……どういうことですか」
「これで初撃は消えるのかなってね。ほら、一発で終わったら面白くないでしょう?」
「っ……!」
バカにされていると思ったのかシリカは激高し一気に距離を詰める。
それを見てディアベルは小さく笑い、手にした盾を彼女に向って放り投げていた。
前から飛んできた盾をかわし、さらに飛んできた剣を外に弾く。
彼が主要武器二つを捨て何を手にしているのかと顔を上げると、その手には短剣が握られていた。
「ちょっとは驚いてくれたかな?」
「手加減のつもりですか」
「せっかく練った策をそう言われるのは少し残念だね。そりゃあシリカちゃんの得意武器で戦うなんて馬鹿なことしてるとは思うけど、それを言うならいろんな人の得意武器を貪ってるシオン君なんてもっと馬鹿じゃないか」
シオンを馬鹿にする言葉に一瞬顔色を変え、そんなことはお構いなしでディアベルが攻撃を加える。
その光景にシオンは苦笑いするしかなかった。
どれだけ時間がかかるかはわからないが、最後はシリカが勝つと思っていたのだ。
それは贔屓とかそういうわけではなく、悪魔で公平に見た結果として。
ポジションもそうだが今の彼女はアスナに並ぶほどの速さを持っており、それに対抗できるのはそれほどの技量を持った者かもっと違うものを手にしている人物だけだと考えていた。
そしてディアベルにはその技量は今のところ無く、当然その別の何かなんて知りもしないだろうというのがシオンの予想だったのだ。
だが彼はその別の何かをしっかりと持ち合わせていた。
持ち合わせており、尚且つそれを自分なりに活用する術を会得しているのだ。
彼はこの戦いの意味を他の誰よりもちゃんと理解していた。
人間はモンスターのようにそこら辺を跋扈する低知能生物とは違う。
人間には決められた動きが無ければ言葉だって話す。
行動の予測が出来ないというのが人間とモンスターの大きな相違点だ。
人間の方がモンスターよりもHPは少ないし脆い。
本気を出せばそれこそ一分もかからないで片付けることが可能だろう。
モンスターは数が多いし倒しても倒しても際限なく湧き続ける。
一撃で仕留められないものがほとんどで、ゴリ押しなんて通じないのがほとんどだろう。
だがそれでも人間の方が厄介なわけがあった。
最前線を駆けるプレイヤー達が、前線になんて一度も来たことが無いであろうそんな奴らに負ける理由。
PKというものがほかの何よりも恐ろしい理由がそこにはあった。
人間にはそれを凌駕する知能があるのだ。
「それを磨き上げたやつらに、モンスター相手でぬくぬくと育った連中が敵うわけがない」
「はあ!」
ディアベルが短剣を手に斬りかかり、シリカの苦し紛れの反撃を先ほど投げつけた盾を拾い防ぐ。
よろけた体にさらに拾った剣を投げるモーションで威嚇し、構えた体にポッケから出したピックで追撃する。
いつものディアベルとはかけ離れた戦闘スタイルにシリカだけでなく、攻略組の者全員が驚いていた。
今までの戦闘はこの時のために敢えて普通に戦っていたのだ。
彼のこの対応力にシオンも苦笑せざる終えなかった。
前回ディアベルは悔しくも一層でリタイアしてしまった。
第一層でプレイヤーをまとめたという功績はあるものの、私欲のためにボスの一撃であっさりと。
だがもし生き残っていたのなら、彼も立派なトップランカーだったのかもしれない。
その片鱗に戸惑いを隠せなかった。
「こんなところで苦戦してるんじゃシオン君と戦おうなんて百年早いね。彼は俺なんかよりもずっと強いんだから。……まあ、子供にこんなこと言うのも大人げないかな」
ははっとどこか馬鹿にするように笑う。
彼は当然こんなキャラではない。
彼を知る人物は全員その姿に驚愕していることだろう、シオンだってそうなのだから。
それでもこの戦いを成立させるためにディアベルは自身を犠牲にしてくれているのだ。
一人でも多くの人物を、この戦いの真意に気づかせるために。
対してシリカは肩で息をしている。
おそらく今の挑発なんてもう頭に入らないくらい動揺しているはずだ。
シリカの体力はもう4分の3を切っており、対してディアベルはほぼ無傷。
軍配は上がりかけていた。
「降参するかい?戦えない相手を虐める趣味は無くってね」
「……しませんよ。シオンさんを一番理解しているのはあたしなんです。こんなところで躓いてるわけにはいかないんです!」
短剣を握り締め走り出すシリカにディアベルは盾を構える。
彼女がやけくそなのか否かはわからない。
だが、どちらにしても全力で相手をするのが今一番やるべきことだ。
シリカの猛攻がディアベルを襲う。
それは先ほどまでとは違い一手一手繊細なものだった。
表情は先ほどと変わらないように見えるが、そこにあった無鉄砲さはすっかり無くなっている。
だがディアベルも盾と剣を駆使しその攻撃を正確にさばいていた。
ディアベルの翳す盾にシリカが転げるように這い回る。
彼女の軽い身のこなしに周りは息をのんでいた。
一般人にとって一度も目にしたことのない戦闘スタイルであれば、攻略組でさえ初めての光景だ。
だがそれを気に留めることもなくディアベルは盾に乗った彼女を盾ごと投げ飛ばす。
そこで彼は再び手に握る剣を輝かせ、叫んでいた。
自身の勝利を確信したように。
「ホリゾンタルスクエア!!」
その技名を聞いて、シリカは小さく笑った。
設定とかごちゃってる場合があるので気になった点とかあれば感想等で記載していただければ積極的に回答していきたいと思います。
気軽にどうぞですっ