ロックマンX二次創作 作:クリスチカ・マリビエ・ダンセルジオ
(2021年10月20日)
(あはは、どうしちゃったの? もう終わり?
情けないなぁ。いつもの威勢は、どこへ行っちゃったのさ?
……わかっただろう。ただのガキのくせに、いい気になるからだよ。
イレギュラーハンターの仕事って、ヒーローごっこじゃないよね? 根拠の無い自信だけでやってけると思った?
すごいハンターたちと一緒に居るだけで、自分もすごいって勘違いしちゃったのかな?
まー、その結果がコレだよ。残念だったねー。
さぁ、どうする? 助けは来ない。まさに絶体絶命。独りで対処できる?
自分の身さえ守れないガキが、ヒーローを自称したって、誰も救えないよ。
……だいたいキミ、自分が何者なのかも、まだ知らないんだよねぇ。
本当にヒーローを名乗っていいのかどうかさえ、わからないんじゃないの?
あー、怖い怖い。こんな危ないヤツ、さっさと処分しとかなきゃね。
さて、どこから撃たれたい? 最後くらい、選ばせてあげるよ。)
アクセル:
はは、耳が痛いなぁ。ご意見は、いちいちごもっともだよ。
正しいだけでちっとも面白くないことばっか言うヤツ、サイテーだけどね。
……確かに、ボクなんかまだまだガキだ。エックスやゼロの仲間になれたって、あの二人には、全然遠く及ばない。
……自分が何者なのか、誰が何のために造ったのかわからなくて、時々不安になるよ。
でも、それでもボクは、目指してる。いつか必ず、本物のヒーローになるんだ。
エックスやゼロがそうだから――それに、ボクの大切なあの人が、そうだったから。
ならず者って呼ばれても、あの人は自分の信念を貫いて、イレギュラーと戦った。
その姿は、まさにボクにとってのヒーローだったんだ。
だから、今度はボクが、彼のハートを受け継いで戦うんだ。彼も仲間たちも、きっと遠くから見ててくれるから。
前に進むためなら、根拠の無い自信だって、無いよりましさ。元気と勢いが、このボクの最大の武器だからね。
さて、どこから撃たれたい?
……いや、やっぱ選ばせてやらない!
*
( 全く中途半端なヤツだな、おまえは。
何もかもを破壊するイレギュラーとして生まれ、そのことを自分でもよく知っているはずだ。それこそ、痛いほどにな。
それなのに、まだ正義の味方を気取るつもりか?
血にまみれたその手で、平和を守る? 笑わせるな。
愛した者すら犠牲にしたおまえに、何ができる?
……本当は、全てを破壊しつくしたいと願っているんじゃないのか?
否定しても無駄だ。おまえの中には、"破壊プログラム"が存在する。ソイツに、いわば本能に、従うのは当然のことだろう?
……結局おまえは、イレギュラーにも、ハンターにもなりきれない、ただの出来損ないだ。
だが、もしもおまえが本当に平和を望むなら、ひとつだけできることがある。
この世界から消えることだ。さぁ、おまえ自身を破壊しろ。そうすれば、おまえに破壊された者たちも、ようやく救われる。
……できないのか。出来損ないでも、自分の生命は惜しいようだな。
ならば、その首をはねてやろう。)
ゼロ:
よく喋るヤツだ。だがあいにく、オレは持ち合わせていない。
無駄話に傾ける耳も、どうにもならないことを考える暇もな。
……確かにオレの後ろには、屍の山が築かれている。
イレギュラーも、そうでなかった者も、記憶にのぼらない者たちも……オレは、この手で破壊してきた。
おまえの言うように、オレ自身が消えれば、話は早いだろう――だが、ソイツは逃げだ。
オレは逃げるつもりなどない。戦いからも、後悔からも、終わりの無い償いからも。
内なる闇――"破壊プログラム"の存在などに負けてたまるか。
斃れていった者たちのために今のオレができるのは、平和を目指して前に進み続けることだけだ。
それに、多くの仲間が居る。もう、オレの生命はオレだけのものじゃない。
例え中途半端でも、これからもオレはハンターとして生きていく。
わかったか? わかったなら、消えろ。
消えないなら叩き斬る。
*
(……大丈夫かい?
ああ、なんて痛々しい姿だろう。とても見ていられない。
どんなに傷ついても、何度倒れても、キミはそのたびに、よろめきながら立ち上がる。
どれほど強大な敵が相手でも、絶対にあきらめない――愚かしいまでにね。
でも、もうそろそろ、いいんじゃないかな?
ここまで、キミは本当によくやってきた。そのことは、充分、称賛に値するよ。
だけど、もう、疲れ果てたんじゃないのかい……? いつまでも続く戦いに……
これ以上、無理する必要なんてないんだ。さぁ、ゆっくり休むことにしようよ――永遠に。
だって、本当は気づいてるんだろう?
どんなにキミが傷つき苦しんでも、同じようなあやまちは、また繰り返されるって――キミの望む理想郷が実現することは、きっとないんだって。
だから、もうよそう。もう、何もかも忘れて楽になるんだ。
さぁ、その息の根を止めてあげるよ。どうか、安らかに。)
エックス:
ああ、お気遣いありがとう。
確かにそうだ。オレは、戦いに疲れていたかも知れない。
逃げたい、もう何もかも投げ出したい、そんなふうに思ったことだってある――何度も何度も、数えきれないくらいに。
でも……おまえのおかげで、今、またはっきりしたよ。
平和のために、オレは、これからも自分の意志で戦いつづけるって。
確かに、同じあやまちは繰り返されるかも知れない。人も、レプリロイドも、不完全な存在だから。
でも、だからこそ、共に成長し進化していくんだ。オレはそう信じてる。
理想郷への道のりがどれほど遠くても、進むのをやめるわけにはいかない。
あきらめてしまったら、いつかそこにたどり着ける可能性すら無くなってしまうんだ。
それに、オレは独りじゃない。仲間たちが居る。遠くから助けてくれる人も、オレを信じてくれる人たちも。
だから、もうよそう。おまえとのこんなくだらないお喋りは。
消えるのは、おまえの方だ!
(完)