ロックマンX二次創作   作:クリスチカ・マリビエ・ダンセルジオ

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いつもありがとうございます。( ̄▽ ̄;)"
エックスの悩みを知った仲間たちの心も、それぞれに揺れ動きます。
(2022年4月17日~12月12日)


戦塵の終りに / X-Buster・2

※この物語のオリジナル設定

 

・エックス・ゼロ・アクセルそれぞれに、マーク(犬)・ルーカス(鷹)・ジェフリー(猫)という、単独行動支援用の動物型ロボがついています。ロックマンシリーズにおけるラッシュ・ビート・タンゴに相当します。

マークは姿を隠した敵や負傷者を見つけること、ルーカスは飛び道具による攻撃を防ぐシールド、ジェフリーは壁や天井を自由に移動することが得意技です。

 

 

 

※他の物語にもある設定

 

・エナジーリキッド、リフレッシュリキッド:

レプリロイドの飲み物で、『E缶』の中身に相当する液体。文字通り、前者はエネルギー補給を目的とするもの。後者は嗜好品で、『ジャスミン茶タイプ』『黒蜜抹茶ラテタイプ』など種類が豊富です。

 

・アーティフィシャル・プロテイン:

レプリロイドの食物として造られたたんぱく質。魚タイプや肉タイプがあり、さまざまに料理されます。摂取されると、レプリロイドの体内の有機組織に吸収されてエネルギーとなります。

本来、太陽光をエネルギー源とするレプリロイドには必要無いものですが、『時々は人間と一緒に、咀嚼・嚥下といった身体の機能を使い、食べる楽しみも味わうべき』という(作者の)思想のもと、ハンターベースには職員食堂が存在します。

ちなみに、人間もアーティフィシャル・プロテインを食べることができますが、味や食感はあまり良くありません。それでも栄養は摂れるので、一部ではヴィーガン食としての需要があります。

 

 

 

 

メディカルルームを後にするダグラスとゲイト。

 

 

 

ダグラス:

(頭をかきながら)はー……まいったな。ライフセーバーのヤツ、本当に本当のこと言ってんのか?

 

ゲイト:

そうなんだろうね。『エックスがバスターを撃てなくなったのは、腕の故障ではなく、精神的なものが原因』……だから、直しようがない、と。

 

ダグラス:

けどな……マジかよ、エックス……ハンター辞めたいだなんて……

 

ゲイト:

(ため息をついて)ボクも驚いたよ。まあ……表面化したのが今だっていうだけで、彼の中には、ずっと以前から、その気持ちがあったのかも知れないけどね……

 

ダグラス:

(通路の壁を拳でガンと打って)ちくしょう……! エックス、辞めるなんて言うなよ! バスターが使えなきゃ、代わりにハサミでもドリルでも、オレがくっつけてやるよ! アイツが居なくなったら、いったいどうなっちまうんだよ……これからの戦いも、世界も、オレたちも……!

 

ゲイト:

……覚悟を、決めなくちゃならないね。

 

ダグラス:

あぁ?

 

ゲイト:

エックスが居ない、これからの戦いに、世界に、ハンター組織に……ボクたち一人一人が、覚悟を決めなくちゃならないんだ。

 

ダグラス:

(慌てて)お……おいおい、待てよ。まだ、本当に辞めるって決まったわけじゃないだろ? アイツ、これから休暇だっていうし、その間に気が変わるかも知れねーし……

 

 

 

 

ゲイト:

(うなずく)そうだね、その通りだよ。ボクもそう願ってる。だけど……彼の悩みは、彼にしかわからないんだ。もし彼の気が変わらなかったとしたら、誰も彼を引き留めることはできないんだよ。

 

ダグラス:

(肩を落とす)覚悟、ね……デカい覚悟が要りそうだぜ……

 

 

 

オペレーションルームのレイヤーとパレット。二人の表情は暗い。エイリアの席は空いている。

 

 

 

パレット:

あーあ……知らなかったね、エックスさんがそんな悩みを抱えてたなんて。

 

レイヤー:

ええ。エイリア先輩も、何も聞いてなかったみたいよ。

 

パレット:

(落ちつかなげに)ねぇ、どうなるのかな……エックスさん、本当に辞めちゃうのかな……?

 

レイヤー:

どうかしらね……

 

パレット:

うー……レイヤー、アタシ、なんか怖いよ……だって、今のチームが最高だと思ってたから……それが変わっちゃうなんて、考えたことも無かったもん……

 

レイヤー:

パレット……エックスさんがどんな決断をしたとしても、私たちはそれを受け入れなくちゃならないわ。たとえ、本当にお別れすることになっても。

 

パレット:

うん……そうだけど……

 

レイヤー:

(エイリアの席に目をやって)……いちばんつらいのは、先輩なのよ。

 

 

 

 

通路。ルーカスを連れ、ガシャガシャと騒々しい足音をたてながら再びトレーニングルームへ向かうゼロ。アクセルとジェフリーが慌ててその後を追う。

 

 

アクセル:

(後ろから)ねぇ、ゼロ……

 

ゼロ:

(苛立たしげに)いくじなしめ。見損なったぜ、エックス。

 

アクセル:

(驚く)そ、そんな……やめてよ。エックスだって、きっと、つらい思いをしてたんだよ。そりゃ、ボクだって辞めてほしくなんかないけど、悩んで決めたことなら……

 

ゼロ:

(立ち止まり、振り返って)……なんで、もっと早く言ってくれなかったんだ!

 

アクセル:

え……

 

ゼロ:

何年、一緒にやってると思ってる? 大きな戦いを、何度も一緒に乗り越えて……互いに生命を預け合ってきたのに……そのオレを、信じられないってのか……受け止めてやれないとでも、支えになれないとでも、思ったのか! ……アイツは、いくじなしだ。(再び前に向き直り、歩き去る)

 

アクセル:

(取り残される)ゼロ……

 

 

 

同じく、通路。エックスが、エイリアをあちこち探して歩いている。やがて、彼はリキッド自販機が置かれた待機スペースにその姿を見つける。彼女は、うつむいてベンチに座っている。

 

 

 

エックス:

(ほっとして)エイリア! よかった、ここに居たんだね。心配しちゃったよ、オペレーションルームに戻ってないって聞いて……

 

 

 

 

静かに顔を上げるエイリア。大粒の涙が、その頬を伝って流れ落ちている。

 

 

 

エイリア:

エックス……

 

エックス:

(驚く)エ、エイリア……泣いてるのかい……?

 

エイリア:

(急いで、手で涙を拭いながら)ごめんなさい。ずっと笑顔でいたかったけど……大丈夫だと思ったんだけど……やっぱり、ダメだったわ……

 

エックス:

エイリア、オレのことで……

 

エイリア:

エックス、私ね……仕事でも、それ以外の時でも、自分はあなたの最高のパートナーだって、勝手に思ってたのよ……

 

エックス:

そんな、『勝手に』だなんて!(慌ててエイリアの横に座り、彼女の肩を抱く)それは、本当のことじゃないか。エイリアは、オレの最高のパートナーだよ。間違いない。

 

エイリア:

でも……私は、あなたのことを、どれくらい理解しているの? あなたが本当に私を必要としている時に、ちゃんと助けてあげられた……?

 

エックス:

エイリア……

 

エイリア:

(また新しい涙をこぼしながら)……監視するみたいに、あなたの何もかもを知りたいわけじゃないの。でも、自分にできることがあるのに、あなたを独りぼっちにさせてしまうようなことは、したくない。

 

 

 

想い人であるエイリアの、自分への深い気持ちを改めて感じるエックス。

 

 

 

エックス:

……ありがとう、エイリア。つらい思いさせてごめんよ。(自販機を示して)何か、飲む?

 

エイリア:

え、ええ……

 

 

 

 

エックスは、エイリアにロイヤルミルクティータイプのリフレッシュ・リキッドを渡し、自分は緑茶タイプを選んで、再び彼女と並んで座る。

 

 

 

エイリア:

(ようやく泣き止み、笑顔を取り戻して)ありがとう。

 

エックス:

うん。(リキッドの缶を開けながら)……黙ってたこと、本当にごめん。大事なことって、どうしても、大事な人には言いにくいんだよな。(苦笑して)今頃、ゼロとアクセルも、そのことで怒ってるかも。

 

エイリア:

え……

 

エックス:

(優しく)でも、キミがいつもオレのことをちゃんと見ててくれたのは知ってるよ。小さな変化にもすぐに気づいてくれて、声をかけてくれて……戦闘の時だけじゃなくて、本当にいつもキミが見守っててくれたから、オレは今までここでやってこられたんだと思う。

 

エイリア:

(思わず、顔を赤くする)エ、エックス……!

 

エックス:

(自分も赤くなりながら)だから、エイリア……できれば、ハンターじゃなくなったとしても……その……これまで通り、オレの大事な人でいてくれるかな……?

 

エイリア:

ああ……!

 

 

 

この時、ゲイトが通路を通りかかり、ふと何気なく待機スペースに目をやる。その目に、ベンチに座って固く抱きしめ合うエックスとエイリアの姿が映る。

 

 

 

ゲイト:

……!(思わず立ちすくみ、慌てて後ずさる)

 

 

 

 

ダグラス:

(ゲイトの後ろから現れる)お、ゲイト、どうした?

 

ゲイト:

(声をひそめて)シーッ、シーッ! 静かに! ダメだよ、今そっちに行っちゃダメだ……!

 

ダグラス:

(あっけにとられて)何でだ? エナジー・リキッド買いに行くだけだぜ?

 

ゲイト:

(必死でダグラスを押し戻そうとする)ダメだ! 頼む、お願いだ、ここではやめてくれ! エイリアの幸せのためなんだ……!

 

ダグラス:

(納得がいかず)は……?

 

 

 

やがて、エックスとエイリアは抱擁を解き、再び見つめ合う。

 

 

 

エイリア:

……ありがとう、エックス。私、もう大丈夫よ。

 

エックス:

(うなずいて)よかった。……オレはこれから、しばらく独りきりになるけど、毎日キミのことを思い出すよ。

 

エイリア:

私も。(両手でエックスの手をしっかりと握って)こっちのことは、心配しないでね。戦いのことだって忘れて、とにかく、ゆっくりしてきて。……どんな決断をしても、あなたが笑顔で私のもとに戻ってきてくれるのを、待ってるわ。

 

エックス:

うん。ありがとう、エイリア。

 

 

 

ダグラスを追い払って、こっそりと二人の様子をうかがっていたゲイト。

 

 

 

ゲイト:

(満足そうに、独りでしきりにうなずきながら)よし、よし……こりゃ、こうしちゃいられないぞ……!(足音を忍ばせて立ち去る)

 

 

 

 

再び、オペレーションルーム。レイヤーとパレット、そして、所在無さげなアクセルとジェフリーが、休憩スペースのソファに無言で座っている。

自動ドアの開閉する音とともに、その場の重苦しい空気を追い散らすような明るい声が聞こえる。

 

 

エイリアの声:

ただいま! ごめんなさい、思ったより長く空けちゃったみたいね。……って、あら? 誰も居ないの?

 

アクセル:

エイリアだ!

 

ジェフリー:

ニャー!(床に飛び降りる)

 

レイヤー、パレット:

先輩!

 

 

三人は急いで立ち上がり、エイリアを迎える。

 

 

エイリア:

(すっかり普段通りの様子で)やーね、みんなして隠れてたの? さては、アクセル。またイタズラを企んだわね。

 

アクセル:

(慌てて)ち、違うよ! それより……

 

レイヤー:

(心配そうに)せ、先輩……

 

パレット:

(おずおずと)あ、あの、大丈夫ですか……?

 

エイリア:

あら、何が?

 

アクセル:

何がって、エックスのことに決まってるじゃないか!

 

エイリア:

(改めて)……ごめんなさいね、みんなにも心配かけちゃって。でも、そのことは本当に大丈夫。この先、彼がどんな道を選んでも、私はその新しい門出を心から祝福するつもりよ。たとえ彼の立場が変わっても、ここで一緒に戦うことがなくなっても、私たちはきっと変わらない。そう信じてるから。

 

 

 

 

エイリアの瞳に宿る明るい輝き、言葉に込もる強い力。それらは、三人の心をも不安から解き放つ。

 

 

アクセル:

……うん。(笑って)そうだよね、ボクも信じるよ。

 

レイヤー:

(うなずく)そうですね。先輩とエックスさんですもの。

 

パレット:

あはは……(ジェフリーを抱き上げる)なんかアタシたち、すっかり取り越し苦労しちゃったみたい!

 

ジェフリー:

ニャン!

 

エイリア:

うふふ。ありがとう、みんな。

 

 

ようやくその場の雰囲気が明るさを取り戻し、会話も弾みはじめる。

 

 

アクセル:

ね、エックスはこれから休暇なんだよね? どうするのかとか、聞いてる?

 

エイリア:

ええ。しばらく、シルバーサンド島の保養施設へ行くって言ってたわ。

 

アクセル:

え、どこ?

 

パレット:

え、知らないの?

 

ジェフリー:

ニャ?

 

ゲイト:

(タブレット端末を手にして入ってくる)なるほど。独りで静かに過ごすには、ぴったりかもね。

 

エイリア:

まぁ、ゲイト。

 

 

 

 

アクセル:

そのシルバーサンド島って、どんなところなの?

 

エイリア:

アクセルは、ハンターになってからまだあまり長くないから、知らないのかもね。レプリシーフォースの、ある退役軍人が晩年を過ごした無人島よ。

 

レイヤー:

彼の住んでいた屋敷は、今は保養施設になっていて、ハンターや軍の関係者なら自由に使うことができます。

 

アクセル:

へぇー、じゃあ、ボクも行っていいの?

 

パレット:

無理無理、アクセルは絶対退屈しちゃうよ。周りを海に囲まれた小さい島で、なんにも無いところだもん。

 

アクセル:

なんだ、そっか。……っていうか、パレットもレイヤーもなんで知ってるの? 二人とも、ボクより後から来たじゃん!

 

パレット:

(ジェフリーを床に降ろす)それは、勉強不足っていうんじゃないのー?(レイヤーを見て)ねぇ。

 

レイヤー:

(うなずく)ですね。

 

ジェフリー:

(アクセルを見上げて)フー!

 

ゲイト:

ははは、猫にまで呆れられちゃってるね。

 

アクセル:

(頬を膨らませる)ちぇー!

 

ゲイト:

その島には、いろいろな謎があってね。私有化にあたって調査をしたところ、それは、実は遠い昔に造られた人工島であることがわかったんだ。それこそ、レプリロイドが存在するよりも遥かに前の時代さ。ところが、今とほとんど変わらないような、いや、もしかするとそれを凌ぐほどの、超高度な技術で造られているんだよ。

 

アクセル:

(驚く)そうなの?

 

 

 

 

ゲイト:

(うなずいて)それに、そこには何かの研究施設の跡地とみられるものもあったらしいんだ。島を造った人物のものだろうと思われたが、その人物についての有力な手がかりは得られなかった。ただ、その名前の頭文字は"R"だといわれている。

 

アクセル:

へぇー……なんか、すごいね。

 

ゲイト:

(興奮ぎみに)どうだい、わくわくするだろう? ボクたち科学者にとっては、永遠のロマンだよ!

 

エイリア:

ふふ、ゲイトったら、自分が行きたいみたいね。……ところで、何かご用?

 

ゲイト:

ああ、そうそう! エイリア、ちょっとキミに見てほしいものがあるんだ。(タブレットを差し出す)

 

エイリア:

何かしら?

 

ゲイト:

今回こういうことになって、キミも、エックスとのこれからを本当に真剣に考えるべき時なんじゃないかと思ってさ。

 

エイリア:

え……?

 

 

いぶかしみながらタブレットを受け取るエイリア。その画面を見た途端、彼女の顔が、文字通り火を噴きそうなほど真っ赤になる。

 

 

 

 

エイリア:

(思わず、タブレットを床に叩き落とす)イヤ! 何のつもりよ! お、お、大きなお世話だわ!

 

ジェフリー:

(慌てて飛びのく)フギャ!

 

アクセル:

(驚く)えっ、何?

 

レイヤー、パレット:

(驚く)せ、先輩?

 

ゲイト:

(驚く)ど、どうしたんだい……気に入らなかった?

 

エイリア:

(激しく狼狽して)ち、違うわよ! だ、だって、私、まだ、そんなこと……もう、知らない!(両手を頬に当てながら、走って部屋を出ていく)

 

ゲイト:

エ、エイリア! ねぇ! ちょっと! 待ってくれよぅ!(慌ててエイリアを追う)

 

アクセル、ジェフリー、レイヤー、パレット:

(呆然と二人を見送る)……?

 

 

床に落ちているタブレット。その画面をおそるおそるのぞきこむ、三人と一匹。

 

 

アクセル:

えっ、コレって……?

 

レイヤー:

まぁ!

 

パレット:

ははーん、なるほどね……!

 

ジェフリー:

ニャーン!

 

 

そこには、ウェディングドレスのカタログが表示されている。

 

 

アクセル:

(苦笑して)ゲイトってば、相変わらずだね~! ほんっと、大きなお世話だよ!

 

パレット:

(呆れて)昔からあんな感じなのかな? 先輩、きっと苦労が絶えなかったよね。

 

レイヤー:

(タブレットを拾い上げ、凝視しながら)……コレ、ちょっとだけ、私が借りてもいいかしら……

 

アクセル、パレット:

え?

 

ジェフリー:

フニャ?

 

 

(続く)

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