ロックマンX二次創作 作:クリスチカ・マリビエ・ダンセルジオ
ハロウィンの日、『世界の記憶(ディープログ)』のデータ内に突如現れた奇妙なバグ。管理人・リコたちはそれに対処できず、イレギュラーハンターの力を借りようとしますが?
(2022年11月11日~28日)
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リコ:
(魔女の衣装を着けてオペレーションルームに入ってくる)うふふ……ヴィアさん、トリック・オア・トリート!
ヴィア:
(モニターから向き直る)お? どうしたの、その格好。なんか、はしゃいでるじゃん。
リコ:
だって、今日はハロウィンですよ? 魔女に、オバケに、お菓子のお祭り……わくわくしちゃうじゃないですか~!
ヴィア:
(笑って)は、わかるけどな。夜まで待った方がいいんじゃないか? まだ、真っ昼間もいいとこだぜ。
リコ:
いいんです! 気分を盛り上げたいんですよ~!
アイコ:
(モニターに向かったまま、冷ややかに)……浮かれてる場合じゃなさそうよ。
リコ:
へっ?
ヴィア:
何かあったのか?
アイコ:
コレを見て。(拡大した映像を映す)コレは、最初の"シグマの反乱"の記録よ。
ヴィア:
ああ……スティング・カメリーオが潜んでいた森だな。
リコ:
(二人の後ろからモニターをのぞきこんで)……あれっ? コ、コレは!
ヴィア:
(異変に気づく)何だ、コイツは?
アイコ:
わかったかしら。この"
三人の視線の先には、ありえない光景が広がっている。機械仕掛けの森の中に、いわゆるジャック・オ・ランタンと呼ばれるカボチャの提灯に見えるものが、多数、所狭しと置かれた一角がある。
リコ:
……ハロウィンのお飾り、ですよね……
ヴィア:
そ、そりゃそうだが、なんでこんなものが突然現れたんだ?
アイコ:
コレだけじゃないわ。(別の映像を映す)見て。ここは、スクラップ処理場。
リコ:
メタモル・モスミーノスの巣になってたところですね! ……えっ? ひゃぁぁ!(飛びすさり、ガシャーンとひっくり返る)
ヴィア:
(驚く)おいおい、大丈夫か!
アイコ:
(呆れた様子で)何してるの?
リコ:
ひ、ひ……(二人の椅子にすがって身を起こす)だって、アレ……あの白いの、オバケじゃないですか……!
うず高く積まれたスクラップの塊の上を、白い"ゴースト"のようなものがゆらゆらと飛び回っている。
ヴィア:
(猫のような目を何度も瞬かせて)……だな。信じたくないが、確かに……
リコ:
(ガクガク震えながら)こ、怖い……! き、きっと、スクラップの祟りです……! なぜ捨てたって、恨んでるんですよぉ……!
アイコ:
次行くわよ。(更に映像を変える)
ヴィア:
何だって……エクスプローズ・ホーネックの兵器工場に"ホウキに乗った魔女"、バーン・ディノレックスの火山に"カボチャ頭の小鬼"、レイニー・タートロイドの寺院が"墓場"……?(呆れ果てる)どうなっちまってんだ……!
リコ:
(ようやく気を取り直し、自分の椅子に座る)バ、"バグ"ですかね?
アイコ:
そうみたいね。でも、データの経年劣化とは無関係だわ。明らかに、人為的に仕込まれたものよ。
ヴィア:
は、だろうな。どいつもこいつも、見事に"ハロウィン"というテーマに沿ってやがる……悪趣味なヤツが居たもんだぜ。心当たりが無いでもないが……コイツらは、データを破壊するのか?
アイコ:
(キーボードを叩きながら)……ええ、恐らく。その結果、現実世界までが改変される可能性も充分にあると思われるわ。
リコ:
キィ~!(猛然とキーボードを叩きはじめる)ゆ、ゆ、許せません! せっかくのお祭り気分を台無しにしてくれちゃって……! 直ちに"デバッグ"開始! "ハンタープログラム"を送ります!
ディープログ内部、バグ発生箇所それぞれに、複数の"ハンタープログラム"が送り込まれる。"ハンタープログラム"は、その名の通り、人型戦闘レプリロイドのシルエットのような姿をしている。
リコ:
(拳を振り上げて)いけいけ~、やっちゃえ~!
アイコ:
……いえ、ダメだわ。
ヴィア:
なに?
モニターには、バグに近づいたハンタープログラムがたちまち消滅するさまが映し出されている。
リコ:
(愕然と)えぇ? ウソでしょ? なんで~?
ヴィア:
コイツら、攻撃プログラムに対して耐性があるのか……厄介だな。
アイコ:
(さすがに、焦りを滲ませはじめる)マズいわね。ハンタープログラムが通用しないとしたら……
ヴィア:
ってことは……?
リコ:
え~い……残る選択肢は、ただ一つ!(立ち上がる)本物のイレギュラーハンターに出動願いましょう!
ヴィア:
は、ソレっきゃねーな!
所変わって、こちらはハンターベース。
アクセル:
(黒猫の耳と尻尾とヒゲを着けてオペレーションルームに入ってくる)ひゃっほぅ! みんなー、トリック・オア・トリート! えへへへ!
その場の全員があっけにとられる。
エックス:
(驚く)アクセル、もうそんな格好してるのか?
アクセル:
だってさー、今夜のパーティー、すっごく楽しみなんだもん! 待ちきれなくって!
エイリア:
(呆れて)気が早すぎるわよ、これから出撃でしょ?
アクセル:
平気平気、ちょっと見せたかっただけだよ! すぐ外すからさ!
パレット:
(同じく呆れて)はー、ってか浮かれ過ぎ! 第一部は、子供たちが主役なんだよ。わかってる? アタシたちは、お菓子を配る側だからね?
シグナス:
おお、そうか。市長官邸でのチャリティーパーティーは、今夜だったな。
レイヤー(※シグナスの秘書兼ボディガード兼恋人):
ええ。子供たちと、彼らの憧れということで、組織を代表する特A級ハンター三名が招待されています。パートナーも同伴で。
アクセル:
(悪びれず)わかってるけどさー、ボクらだって楽しまなきゃ! ね、パレットはちゃんと仮装の準備してきた?
パレット:
(顔を赤くして)……う、うん。
エイリア:
どんな格好するの?
パレット:
(恥ずかしそうに)え……、あの……
アクセル:
(あっけらかんと)えー、ボクとお揃いの猫耳着けるって言ったじゃん? ラブラブイタズラ黒猫コンビです~、って。
エックス:
あはは、なるほど。似合いそうだね。
パレット:
(真っ赤になって立ち上がる)もーっ、余計なこと言わないの!
アクセル:
(慌てて逃げ出す)ひえー、ごめん! ごめんってば~!
パレット:
(アクセルを追う)待ちなさーい、こら~!
シグナス:
(肩をすくめる)全く、元気だな。
レイヤー:
うふふ。先輩とエックスさんは、どんな仮装を?
エイリア:
(こちらも顔を赤くして、エックスを見る)私たちは……ね?
エックス:
(照れながら)……第二部の舞踏会に合わせて、オペラ座の怪人とクリスティーヌにしたんだ。タキシードとドレスだし、ね。
アクセル:
(パレットに首根っこを掴まれながら)へー、なんかすごそう!
パレット:
(アクセルを掴まえながら、目を輝かせて)楽しみ! 早く見たいです~!
シグナス:
(うなずく)なるほど、それはいいな。
レイヤー:
(感動的に)妖しくもエレガント……ハロウィンにぴったりのテーマですね! 戻ったら、ぜひ私たちにも見せてください!
更に照れるエックスとエイリア。
アクセル:
(ようやくパレットの手から逃れて)……あ、そういえば、ゼロとアイリス(※ゼロのオペレーター)はどうしてるかな? 二人とも非番だけど、パーティーのこと忘れてないよね?
ダグラスとゲイトが入ってくる。
ダグラス:
よっ、お疲れ! ゼロとアイリスなら、トレーニングルームに居るぜ。
ゲイト:
ゼロの自主トレに、アイリスがつきあってるんだ。記録係をしてあげてるみたいだよ。
アクセル:
(苦笑)あー、相変わらずだね。せっかくの休みなんだから、もうちょっと楽しいことすればいいのに。
ダグラス:
(アクセルの仮装を見て)……何だぁ? おまえは、もうちょっと緊張感を持てよ。パーティーは夜なんだろうが。
パレット:
(さかんにうなずく)ほんとよ。
ゲイト:
ははは、早くも準備万端だね。似合う、似合う。
エックス:
ふふ。……でも、あの二人は、あれでけっこう楽しく過ごしてるんじゃないかな。
エイリア:
そうね。結局、ゼロは戦っている時がいちばん自分らしくいられるでしょうし、アイリスも、そんな彼を支えることは苦にならないのかも。
パレット:
(ふと)……アイリスはともかく、ゼロさんも仮装するのかしら?
思わず不安になり、顔を見合わせる一同。
エックス:
あ……そ、そうだね。
シグナス:
ふむ……想像もつかんな。
レイヤー:
ゼロさんの、ハンターとしての真摯な姿勢は確かにすばらしいですが、彼には少し遊び心が足りないと思います。
パレット:
うんうん、そうよ。大丈夫かなぁ……もし、アイリスだけが仮装してくことになっちゃったら……
エイリア:
それは気の毒よね。せっかくペアで招ばれてるのに。
アクセル:
た、確かめてきた方がいいかな?
ゲイト:
(ニヤリと笑って)もし、ゼロが仮装の準備をしてなかったら、ボクがとっておきのオシャレ装備をさせてあげるよ。
ダグラス:
(顔をしかめて)……どうせ、秋祭りとか言って、法被でも着せる気だろ? やめとけ、後が怖いから!
この時、モニターに偵察班からの通信が入る。
(続く)