ロックマンX二次創作   作:クリスチカ・マリビエ・ダンセルジオ

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(2025年1月5日)


秘密の花園

その日。アイリスは、朝からちょっぴりそわそわしていました。

今日はここ、レプリフォース指令本部で、イレギュラーハンターとの合同訓練が行われるのです。

 

その参加者の中には、ゼロもいました。当然、彼は仕事として来るわけですが、もしかしたら、少しだけでも会うチャンスがあるかも知れません。

とはいえ、もちろんアイリス自身も仕事なのです。まさか、私服姿で待つわけにもいかず。

 

そこで、アイリスは"香りのおしゃれ"をすることにしたのです。

今、彼女はほんの少しだけ、香水をつけています。甘く爽やかな、みずみずしい花の香り。

 

それが、身体の動きにつれて、さりげなくふわりと漂います。

その香りを感じるたび、彼女の胸はひそかに高鳴っていました。

 

今日、ゼロに会えるかしら? 会ったら、彼はこの香りに――ちょっとだけ特別な私に、気づいてくれるかしら?

ときめく胸を押さえて、アイリスは一生懸命、通常の業務を果たしました。

 

 

 

 

夕方。訓練も、その後の話し合いなども無事に終わったようです。

アイリスは、訓練場の外でゼロに会うことができました。

 

「ゼロ、お疲れ様。調子はどうかしら?」

「ああ、まずまずってとこかな。それより……」

 

ゼロは、不思議そうにアイリスを見ています。

 

「……今日のキミは、なんだかいつもと違うな。」

「そ、そう……わかる?」

 

ドキドキしながらアイリスが言うと、ゼロは彼女の顔を更にのぞきこんできました。

 

(キャー、近い……!)

 

アイリスは、もう真っ赤です。

すると、ゼロが目を輝かせて言いました。

 

「……そうか、この香りだ。香水か。」

「そ、そうよ。どうかしら? ……ちょっと、きつ過ぎる?」

 

アイリスは、急に不安になりました。もしかしたら、ゼロはこの香りを好まないかも知れないし、そもそも香水自体、好きではないかも知れないのです。

でも、ゼロは首を横に振りました。

 

「いいや、いい香りだ。キミによく似合う。……もしかして、オレのために、か……?」

 

『もしかして』から先を、ゼロは声をひそめて言いました。

アイリスはもう、うなずくだけで精一杯です。

 

「アイリス……」

 

いとおしそうに呟くと、ゼロは――全くもって大胆に――アイリスの胸に顔をうずめました。

舞い上がり、二人の上に散りかかる花びらのように広がる、甘い香り。

 

「え、あ、ゼロ……!」

 

あまりのことに、アイリスは一瞬ぽかんとなり、それから大いに慌てだしました。

 

「あ、あ……ゼロ……大変……あ、あなたにまで、香りがついちゃうわ……!」

「なに、構わんさ。キミの香りだからな。」

「で、で、でも、あなたに、お、お花の香りなんて……!」

「いいんだ。この香水、少し分けてくれないか? 会えない時でも、この香りがあれば、キミを感じていられる。」

「ゼロ……」

 

どぎまぎ、おろおろしながらも、アイリスは両腕で優しくゼロを抱きしめていました。

そうね。会えない時でも、この香りが、私の代わりにあなたを守ってくれるなら。

 

訓練場には、もう、軍関係者の姿もハンターの姿もありません。

誰に見咎められることもなく、二人は束の間、花の香りに包まれながら抱きしめ合っていました――秘密の花園で寄り添うように。

 

 

 

(完)

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