プリキュア戦記 正義のプリキュアvs終界   作:MIXEVOL

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愛香は目撃する。プリキュアが受けた地獄を。そして愛香はプリキュアの終わりの地で哀しみの墓守に出会う


月影愛香は奇妙な夢を見る(後編)

愛香はおかしな夢を見た。プリキュアが周りを見ずに暴れた光景やプリキュアが邪悪な存在になり、殺戮や破壊行為をする光景を見た。そして愛香は、レジスタンスのアジトへ襲撃したプレシャスをレジスタンス達と共に戦った。その最中にプレシャスは突如変身が解除された。そして変身を解除されたゆいは何故かプレシャスに変身した事を忘れていた

 

────

 

愛香「ねえ、何かあったの」

 

愛香はゆいになぜあんな事をしたのかも問いただす為にも話しかけるのだが……

 

ゆい「わからない……それにあたしは、洋食屋に行った筈なのに、どうして山の中にいるの?」

 

愛香「えっ?」

 

返された事に愛香は呆気に取られているとゆいは戸惑う様に周りを見る。

 

まるで自分に何が起きたのかわからないと言うゆいに愛香はどういう事と思っていると

 

レジスタンス「何を言ってるんだ!お前はキュアプレシャスになって、俺達のアジトを襲ったじゃないか!!」

 

激昂したレジスタンスの1人がゆいはキュアプレシャスとしてレジスタンスのアジトを襲撃した事を指摘する。

 

ゆい「あたしが誰かを襲った?それにキュアプレシャス?そんなの知らないよ!」

 

だが、ゆいは先ほどまで自身がやっていた事を覚えてないのか凄く驚いた様子で反論する。

 

レジスタンス「知らない訳ないだろ!お前はさっきまでキュアプレシャスとなって俺達を襲撃したんだ!それを知らないなんておかしいだろ!!」

 

レジスタンス「お前がついさっきキュアプレシャスから戻る所もみたんだ!しらばっくれるのも大概にしろ!!」

 

そんなゆいの態度に苛立ってレジスタンス達はゆいにキュアプレシャスとしてアジトを襲ったと言いながら詰め寄る。

 

ゆい「嘘じゃないもん!あたし、そんなの覚えてないもん!」

 

ゆいはレジスタンス達に対して知らないと叫ぶ。

 

愛香(このままでは埒があかないわ……)

 

このままでは押し問答だと愛香はちょっとごめんなさいねとレジスタンス達とゆいの間に割って入り、ゆいに近づき、優しく話しかける。

 

愛香「ゆい、少しは落ち着いて、このまま混乱していても話が進まないわ」

 

ゆい「は、はい……」

 

愛香に優しく声をかけられてゆいは頷いた後に深呼吸してひとまず落ち着く。

 

愛香「これから色々質問するけどいい?」

 

ゆい「はい」

 

落ち着いたのを見計らって愛香はゆいに様々な質問して良いかと聞いて、ゆいは頷く。それを見てレジスタンス達も無言で見ている。

 

愛香「最初の質問よ。貴女の名前は?」

 

ゆい「あたしは和実ゆい。しんせん中学校に通う中学二年生よ」

 

愛香「貴女の実家は?」

 

ゆい「なごみ亭と言う定食屋よ」

 

愛香「貴女のクラスメイトは?」

 

ゆい「二年になって同じクラスになった芙羽さん(・・・・)と1年生の時に同じクラスに居た華満さん(・・・・)。後はクラスメイトじゃないけどしんせん中学校の生徒会長さん(・・・・)くらいよ」

 

愛香「貴女の知っているのはこれくらいなの?」

 

ゆい「うん」

 

愛香「それで貴女が最後に覚えている記憶は?」

 

ゆい「お母さんに言われて洋食屋に行く所まで。後は覚えてない」

 

愛香「そう……」

 

ゆいの返答を聞きながら愛香は情報を整理する。

 

愛香(今の様子からしてゆいはキュアプレシャスに変身して以降の記憶を無くしてる……今のゆいは例えるならアニメ版ONE PIECEでゾロ、ナミ、ウソップ、サンジ、チョッパーがノコと言う少年のせいでルフィと出会って以降の記憶を無くした状態の様になっている感じなのかしら……)

 

今のゆいはキュアプレシャスに変身している以降の記憶を失っていると言うより、キュアプレシャスに初めて変身した以降の記憶を失っている感じの様だ。

 

愛香「レジスタンスのみんな、今のゆいはキュアプレシャスに変身して以降の記憶を失ってるわ。責めるのは止めた方が良い」

 

レジスタンス「記憶喪失だから許せと言うのか?」

 

愛香はレジスタンス達にゆいは一部の記憶を失った事を伝える。

 

そう言う訳じゃない、刺激するのは良くないと愛香が言おうとする前にゆいが自身の掌にかすり傷がある事に気づく

 

ゆい「あれ?あたしの肌に傷がある」

 

愛香「あ、それは……」

 

レジスタンス「それは人々に危害を加えようとしたお前に俺達が抵抗してる時に放った攻撃で付いたのだ」

 

そんなゆいに愛香はどう言おうか悩んでいるとレジスタンスは言ってしまう。

 

ゆい「え…………?」

 

レジスタンスの指摘した事にゆいは目を見開いた後に恐る恐る掌を覗いてみるとその手に赤い液体が付いていた。

 

ゆい「え、まさかこれ……血?ホントにあたし、罪の無い人を……」

 

レジスタンス「そうだ!お前は人を殺したんだ!」

 

止めなさい!と愛香は叫ぶが、手遅れで、ゆいは告げられた事で顔が真っ青になり……

 

ゆい「いやあああああああああ!」

 

悲鳴を挙げた

 

ゆい「違う、これは夢、夢だよね……」

 

レジスタンス「いや、これは現実だ!出なければ都合よく傷などつかないし、手に血がつくこともない!!」

 

これは悪夢だと思い込もうとするゆいにレジスタンスたちは叫ぶ。

 

レジスタンス「事実、お前の身体には細かな傷がついているんだ!」

 

『記憶を無くしても、身体には覚えている!人を殺し、世界を破壊した痕跡がな!』

 

レジスタンスはこれは現実だとゆいに叩きつける。

 

ゆい「嘘だ!あたし信じないよ!嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

残酷な事を告げられたゆいは、辛い事実に耐えきれなくなり、愛香やレジスタンス達から背を向けて逃げだす

 

愛香「ちょっとゆい!?待ちさない!!」

 

慌てて愛香は何も覚えていないと言う少女に心もとない言葉をかけたレジスタンス達を睨んでからゆいを追い駆ける。

 

レジスタンス「それにしてもホントにさっきの子の言う通りに元に戻ったら急に記憶を失ったんでしょうか?」

 

レジスタンス「だからなんだって言うんだ。操られていたからと言ってどうであろうと奴が人々を殺したのには変わらない」

 

ゆいがプリキュアの記憶を無くしたのかレジスタンスの1人が疑問を抱く中、それに対し、先輩でろうレジスタンスは気分悪そうに返す。

 

レジスタンス「みんな、スマホのニュース動画をみるんだ」

 

するとレジスタンスの一人が他のレジスタンス達にスマホに映っているニュース動画を見るよう言った

 

レジスタンス「一体、何が起きたんだ?」

 

言われた通りにレジスタンス達はニュース動画を見て、そこに流されているニュースの内容に喜びの声をあげる。

 

レジスタンス「勇者達、やってくれたな」

 

レジスタンス「人々を殺し、全ての世界を破滅させた『世界の殺戮者』(プリキュア)の創造主が倒されたんだな」

 

レジスタンス「その創造主が倒された影響で『世界の殺戮者』(プリキュア)に殺された人々は生き返り、『世界の殺戮者』(プリキュア)によって滅ぼされた世界は全て再生した」

 

それは『世界の殺戮者』(プリキュア)の創造主が勇者一行に倒されたと言うニュースが流れており、その画面には創造主が倒された事に喜ぶ人々や、『世界の殺戮者』(プリキュア)に殺された人々が生き返り、生き残った人達が再会を喜ぶ場面があり、レジスタンスたちも急いで知人の元へと向かう。

 

みゆき「七色が丘中学校に行ってる筈なのに、なんで大都会に居るの!?あたしはどうなってるの!?」

 

だが人々は知らなかった……『世界の殺戮者』(プリキュア)の創造主を倒した事で、プリキュアは力や記憶を失い、普通の女の子に戻されてしまった事を……

 

────

 

愛香「ゆい。何処に居るの!!」

 

愛香は姿を消したゆいを追って山中に居た

 

愛香「ゆい、返事をして!!こんな所に居たら危険だわ!!」

 

ホントにどこに……と愛香は周りを見渡しながらゆいを探していると……奇妙な光を見つける。

 

愛香「あの光は?」

 

山中の近くで光っているのになんだろうかと訝しむ。

 

愛香「……もしかすると焚火かしら?ゆいが付けたのかしら……」

 

愛香は光を放っている場所へ向かって走り……辿り着くとそこには場違いな光の扉が置かれていた。

 

愛香「なんでこんな所に扉が!?」

 

戸惑いながら愛香は近づいて調べ、何もないのを感じて扉を開けると扉の先は何も見えない。

 

愛香「もしもゆいがこの扉でおいしーなタウンに帰ったなら良いけど……」

 

とりあえずゆいを追い駆けようと愛香は光の扉の中へと飛び込み、暫くして見える様になった光景に驚きの声をあげる。

 

愛香「ここは……若葉台?私は帰ってきたの?」

 

そう、そこは若葉台で、おいしーなタウンじゃない事からもしかしたらゆいは迷子になっているかもしれないと愛香は若葉台の街中を散策する。

 

愛香「ブラックやホワイトによって破壊された街が元に戻るなんて、何があったのかしら?」

 

歩いて行く中で自分がプレシャスもといゆいと出会う前に見たブラックとホワイトの戦いの場所となった所が修復されているのに戸惑いながら街頭のテレビがある場所に行くと、ある画面が映っていた

 

キャスター(TV)「次のニュースです。勇者達の活躍により『世界の殺戮者』(プリキュア)の創造主は倒され、『世界の殺戮者』(プリキュア)によって破壊された世界は再生し、『世界の殺戮者』(プリキュア)によって殺された人々は生き返りました」

 

それは勇者達によって『世界の殺戮者』(プリキュア)の創造主が倒されたと言うニュースである

 

愛香「勇者達が元凶を倒したのね」

 

(そして、プリキュアが変身を解除されたのは元凶が死んだせいね)

 

ニュースの内容を見て愛香はプリキュアが力を失ったのは勇者達によって元凶が倒されたと推測する。

 

???「見つけたぞ化け物!」

 

突如怒鳴り声が聞こえた

 

愛香「この怒鳴り声。何かありそうね」

 

まさかゆいがと先ほどまでのを思い出して愛香は怒鳴り声が聞こえた場所に向かう。

 

なぎさ「…………」

 

そこではゆいはおらず、代わりにキュアブラックの変身者である美墨なぎさが周りを人々に囲まれて睨まれていた。

 

愛香(あれは、キュアブラック?いえ、元凶が倒された事で、キュアブラックの力を失って、元の女の子に戻ったのね……ボロボロになっているのって、まさか迫害されている!?)

 

怯えているなぎさの顔を見てキュアブラックに変身していた子だと気づいた後に身体中に痣が出来ているのを見て愛香は先ほどのレジスタンスたちのを思い出していると人々が次々と罵詈雑言の言葉をなぎさへとぶつける。

 

市民A「俺の親父を殺した屑が図々しく街に居座りやがって!お前が暴れたせいで、親父はビルの崩落に巻き込まれて帰らぬ人になり、俺の家族は一家離散されたんだ!お前には罪悪感は無いのか!」

 

市民B「お前が周りを見ずに暴れたせいで大量の車が巻き込まれる事故を引き起こしたんだ!あんた、あの車には、子供を迎えに行った両親が乗って居たんだぞ!それを見境なく暴れたせいで両親は事故に巻き込まれて死んだんだぞ!残された子供達が突然親を亡くして悲しんでいる事に罪悪感を感じないのか!」

 

市民C「貴女の必殺技の爆発による引火で工場が爆発する惨事を起こした。あの工場には働いている労働者が居たのよ。それに気づかずに工場地帯で爆発事故を起こす真似をして恥ずかしくないの!」

 

市民D「あんた、社会見学に来ていた生徒達に危害を与えたようだな!警察が避難指示をしている最中に避難ルートの進路上の近くの建物に向けて怪物をぶっ飛ばしたようだな!その建物の崩落の余波で避難している生徒が大怪我したぞ!しかも打ち所がわるい生徒は現在植物状態で入院している!あんたは人の命を何だと考えている!」

 

なぎさへと非難を言って怒りをぶつける人々のになぎさは怯えたまま言葉を絞りだす。

 

なぎさ「何の事?あたし、そんな事した覚え無いよ!」

 

なぜ自分が非難されているのか分からないなぎさへと人々は叫ぶ。

 

市民E「とぼけるな!あんた、美墨なぎさは俺達市民に対し非道な行為をした!()()()、あんたが雪城ほのかと九条ひかりと一緒に非道な行動を見てたぞ」

 

なぎさ「そんなの知らないよ!そもそも()()()()()()()()の名前が出るの!?あたし、その二人とはせいぜい同じ学校に通う生徒くらいしか全く知らないよ!」

 

市民はなぎさ達の非道は見てると言うが、そのなぎさは知らないと繰り返す。

 

市民A「証拠があるのに知らないだと?馬鹿な事を言うな!」

 

市民B「お前らが好き勝手暴れている様子はカメラで撮影済だ!」

 

市民C「あんたらの戦いで被害が出る以上、俺達は安心して暮らせないんだ!毎日見回りに行く俺達の気持ちを考えろ!」

 

市民D「何なら証拠を見せてやる!」

 

何も知らないと繰り返すなぎさに対し、人々は嘘は言わせないと次々となぎさ達が好き勝手暴れて街に被害を出した光景が映し出された映像や写真をを見せつける。

 

なぎさ「これがあたし達なの?そんなの信じられないよ!」

 

だがなぎさは映像を見ても、信じられないと答えた

 

市民E「これだけ証拠を見せたのにまだ信じないのか!ふざけやがって!」

 

苛立った市民はなぎさに向けて金属バットを振り降ろそうとする。

 

愛香「止めなさい!」

 

すんでの所を愛香が割り込んで、暴力を振るおうとした市民を止める。

 

市民E「何だよあんた!いきなり俺達の前に現れやがって!」

 

愛香に止められ苛立つ人々を愛香は睨んで叫ぶ。

 

愛香「寄ってたかって、暴言だの暴行だの人格否定に繋がりかねない事をして恥ずかしくないの!」

 

市民A「恥ずかしいだと?何を言ってるんだ。俺達は『世界の殺戮者』(プリキュア)のせいで全てを失ったんだぞ!」

 

市民B「あの怪物に対抗出来るのはあの連中しか居ないとは言え、市民を巻き込む戦いをする連中に対し、警察や軍は何もしてくれないんだぞ!」

 

愛香の指摘に対し、人々は俺達は悪くないとばかりに叫ぶ。

 

愛香「確かに『世界の殺戮者』(プリキュア)のせいで全てを失った者は居た。けど『世界の殺戮者』(プリキュア)は勇者によって創造主は倒され、創造主が倒された事で『世界の殺戮者』(プリキュア)は力を喪い、普通の女の子に戻ったわ」

 

愛香は市民に『世界の殺戮者』(プリキュア)の創造主は勇者によって倒された事、創造主が倒された事で『世界の殺戮者』(プリキュア)は元の女の子に戻ったのならばここまでする必要はないと反論する。

 

市民C「確かにあの少女が創造主に操られたか洗脳されたか、騙された可能性はある。少女達は被害者だから許して欲しいと言うだろうな」

 

市民D「それに『世界の殺戮者』(プリキュア)によって破壊された世界が元に戻り『世界の殺戮者』(プリキュア)によって殺された人間が生き返った事はテレビで見たな」

 

愛香「その事は知ってるんだったらこの子に対する暴行は止めなさい!」

 

愛香は理解出来たならなぎさに暴行するのは止めて欲しいと人々に訴える。

 

市民A「普通ならそうするだろうな!だが、俺達はその少女達に被害を受けた!その元凶が倒されたからと言って少女達が犯した罪を帳消し出来ると思っているのか!」

 

市民B「前科を持った人間がまた悪事を働く可能性だってあるし、何より創造主が現れる前の関係に戻れると思うのか!?寧ろ信用出来ないと距離を取るぜ!」

 

市民C「その少女達が元に戻ったからと言って化け物になる前の頃と同じように平穏に暮らせるのか?寧ろ白眼視したり、恐怖に恐れた人に攻撃するぜ」

 

市民D「もし少女達が化け物に戻ったらどうなる!?そうなれば人々は恐怖する。少女達が化け物に戻る前にここで叩き潰さなければならない!」

 

所が、人々はなぎさ達が街に被害を齎した行為と人々を巻き込んで傷付けた事でなぎさを許せないと叫ぶ。

 

市民A「やっちまえ!此処で化け物を殺さなければ平穏はやってこない!」

 

うおぉぉぉぉ!!と叫びながら人々は一斉になぎさへ暴行を働こうとする。

 

愛香「そんな事させない!」

 

それに対し、なぎさへと愛香は覆い被さって彼女庇い、人々からの攻撃を自ら受ける。

 

なぎさ「何でなの?どうしてあたしを護るの?」

 

愛香「誰かを助けるのに理由は要るの?困ったり苦しんでいる人が居るなら迷わず手を差し伸べる。人として当たり前じゃない!」

 

関係ない筈なのに自分を庇う愛香になぎさは戸惑う中で愛香は助けるのに理由なんて無いと返す中、人々はこれで終わりだと市民の一人が愛香の頭に向けてバッドを振り下ろそうとし……

 

???「あんたら何をしている!」

 

市民A「まずい、警察が現れたか!」

 

市民B「逮捕されたらまずい。一旦逃げるぞ」

 

間一髪の所で警官が現れ、警官を見た市民達は一目散に退散する。

 

警官「大丈夫か!」

 

逃げていく人々を一瞥した後に傷ついている愛香が優先だと警官は愛香に近づく。

 

愛香「なんとか……っ!?」

 

警官「無茶をして……ん?君は、もしや自衛隊に助けられた女の子かい?」

 

愛香「私の事を知ってるのですか?」

 

呻いた愛香に警官は自分の上着を着せながら愛香の顔を見て思いだした様に言い、愛香は戸惑いながら聞く。

 

警官「私の大学の同期で今は自衛隊の隊員をしてるのが居てな、彼からあの『世界の殺戮者』(プリキュア)から人々を護ってくれた女性が居たと言う話を聞いたんだ」

 

あの時の軍人さんの事かと愛香は警官の言った隊員に思い当って安堵する。

 

愛香「あの時の軍人さん。無事で居られたのね」

 

警官「まぁ、勇者の仲間が駆け付けなかったら死んでいたと言ってたからギリギリだったそうだよ。それより君は何をしてるんだ?」

 

愛香「実は……」

 

愛香は警官にレジスタンスたちの心もない事で傷ついて逃げ出したゆいを探している事を説明している中、なぎさがもういない事に気づく。

 

警官「和実ゆいか……確か数分前にパトロール中に同期が見たと聞いたが、何やら身体中に痣があるほどの暴行を受けていたようだ」

 

愛香「そう、ゆいが……(なぎさの様に暴行されたのね……どうしてそんな酷い事を出来るの……)」

 

告げられた事に愛香はゆいが人々に迫害された事に心を痛める。

 

警官「無理も無いさ。人々は『世界の殺戮者』(プリキュア)のせいで被害を受けたんだ。プリキュアから普通の女の子に戻ったくらいでは怒りは収まらないからな」

 

愛香「……けれど、敵に操られたかもしれないのに有無も言わさず迫害するなんて良くないわ」

 

慰めた警官は愛香の言葉に居心地悪そうに顔を反らす。

 

愛香「(何も知らない人からすればプリキュアは自分の意思で破壊行為をしてるように見えていたけども、だからって迫害して良い訳ないじゃない……)それでそのゆいは何処に行ったの?」

 

とりあえず当初の目的であるゆいがどこに向かったかを愛香は聞く。

 

聞かれた事に警官はんーと顎を摩ってから思いだした様に言う。

 

警官「別の警官が和実ゆいを見つける前にパトロール中に堤防から妙な光が放たれているのを見かけたそうだ。その後に和実ゆいを見つけて、彼女が堤防の方へ逃げていると言ってたな」

 

愛香「堤防……ありがとうございます。私はそこに行って見ようと思います」

 

警官からゆいが行ったと思われる場所を聞いて愛香は直ぐさま行動に移ろうとして止められる。

 

警官「君、さっきの市民から攻撃を受けて怪我をしてるだろ。無茶をするな!」

 

愛香「無茶は承知です。けど、急がないとゆいがなぎさの様に迫害されてそれで死んでしまう可能性があると考えたら時間が惜しいんです!」

 

怪我を心配して言う警官へと愛香はそう返してから痛む体を動かして急いで堤防へと向かう

 

暫くして件の堤防へと辿り着き、ゆいを探しながら歩いていると山の中で見た光の扉を発見する。

 

愛香「此処にも光の扉が……誰かが開けた感じもあると言う事はゆいが使った可能性があるわね……待ってなさいゆい」

 

光の扉が少し開いているのを見て、愛香はゆいを探しに光の扉を足を踏み入れる。

 

────

 

 

若葉台の堤防に現れた光の扉に入った愛香。

 

扉を潜り抜けた彼女の目に沢山の木々が目に入る。

 

愛香「……特撮ワープみたく変な所に飛ばされたようね。しかも雰囲気的に森っぽいけど、何故森の中?」

 

愛香は何故森なのか疑問を抱いた後にゆいの状況を思い出し、最悪の展開を想像する。

 

愛香「私の思い違いであって欲しいが……もしそうなら、この先に彼女がいるかもしれない……想像通りの事をしそうなら、何とか見つけて辞めさせないと」

 

そう考えた後に愛香は先程なぎさを市民から護る際に負った傷があるにも関わらず、もしかするといるかもしれないゆいを探しに森の中を歩き始める。

 

暫く歩くがゆいは愚か、人の姿を見かけないので困った顔をした後に開けた場所に辿り着いたのでここで一度休もうと手頃な座れる岩を見つけて岩に座り、自分が今どこにいるかを確認する為にスマホのGPS機能で現在位置と方角を確認する為にスマホを取り……機能を開いて表示された事に顔を顰める。

 

愛香「方向が定まらない上に現在場所が分からない?スマホのGPS機能が故障しているのか?」

 

なぜと思った後に愛香は自分が今いる場所と状況を照らし合わせて考える。

 

愛香「まさか、私はかの自殺の名所である青木ヶ原樹海に迷ってしまったのか!?確か青木ヶ原樹海の地層は溶岩で出来ていて、その地層の影響で方向を狂わせるのではないかと言われているが…………」

 

そう考えて顔を青ざめた後に顔を激しく振って振り払う。

 

愛香「いや、磁場が狂うのは一部の場所だ。それに青木ヶ原樹海は自衛隊の訓練場所として使われ、訓練を受けた自衛隊員は無事生還した話もある。光の扉で着いた先だ。何かある筈……むっ?」

 

考えようとした 愛香はかなり小さい音だが足音を聞いた。

 

誰か他にもいると愛香は足音がしたと思われる場所に向けて歩く。

 

変な奴でない事を祈りながら歩いて数分後、愛香はある開けた場所が目に入り、そこに数人の少女が集まっているのにも気づく。

 

なぜこんな所にと少女達を見ていた愛香は観察していて気づく。

 

どの少女も腕や足、顔に傷や痣を持っているのだ。

 

なぜあんな傷を……と考えた愛香は虐待されていたなぎさを思い出す。

 

愛香「(まさか、あの少女達もなぎさと同じく虐待されて迫害されたのか……)」

 

自分が近づけば少女達は怯えて逃げる可能性もあると考え、愛香は少女達に気づかないよう木に隠れて様子を伺う。

 

近づいたおかげで愛香の耳に少女達の会話が聞こえ始め、早速愛香は耳を傾ける。

 

その内容に愛香は胸糞悪くなった。

 

みゆき「私、学校から一日で退学させられた。日野さん達……も同じ理由で退学させられた」

 

はるか「あたしはノーベル学園の入学を一方的に取り消された。学園でトラブル起こした覚えが無いにも関わらずだよ……」

 

咲「外に出かけて帰ってきたら何故かお父さんとお母さんから一方的にお前とは絶縁だ!って言われて家から追い出された。外に出かけただけなのに何で追い出されなければならないの!?」

 

ラブ「学校で授業を受けていたら何故か先生や皆から冷たい目で見られたよ。わたし、学校に迷惑した覚えが無いのに!」

 

マナ「登校したら何故か生徒会長を解任された。街を破壊したり殺傷行為をしたせいで学校に対するイメージを悪くしたからと言ったけど、私そんなことした覚えが無いのに!」

 

いちか「学校に行こうとしたら何故か色んな人から殴られたり蹴られた。街を壊したり、人々を怪我させたと言ったけど、私そんなの知らないのに…………」

 

誰もが身に覚えの無いことで学校から退学させれたり、家族から勘当されたり、色んな人から冷たくされたなど話しており、愛香はなぎさやゆいを思い出し、彼女達も元々はプリキュアだったのだと理解する。

 

少女達も記憶を失ったなぎさと同じく人々から自分が見た光景により迫害させられたのだと察する中で少女達は涙を流しながら口々に呟く。

 

みらい「そんな人達に迫害されるのが嫌になって私達の事を知らない場所でひっそり暮らそうとしたのに……」

 

のどか「どうして私達は指名手配にされるの……どうして……!」

 

まなつ「自分の生まれた世界だけでなくあらゆる世界で酷い事をしたで指名手配だなんて……」

 

のぞみ「見つかったらすぐに通報されて賞金稼ぎと言った人達が追いかけて来る……こんな生活、いやだよ……!」

 

ひかる「罪人だと、皆が言ってる……どうして……」

 

つぼみ「私は変わりたいと思っていた。なのに、なんで……」

 

みゆき「私達はプリキュアになってはいけなかった!その力は最初から私達を不幸にする呪われた力である事を……妖精に会わなければ私達は今も平穏に暮らしていた……」

 

響「一緒に迫害されるのを恐れ、あたし達は、美墨さん(・・・・)野乃さん(・・・・)と別れてバラバラになって逃げた。でも、逃げても逃げても人々はあたし達を抹殺すべく追跡してきた(その時あたしは一つの後悔を抱いた……南野さん(・・・・)と仲直りすることも無く永遠に離れ離れになってしまった事を……)」

 

めぐみ「何処へ逃げて迫害される誰もが私達を怨むのなら。私達が死ねば、人々は幸せに暮らせるから……」

 

聞いていた愛香は出てきた言葉に驚く。 

 

愛香(自ら死んで罪を償う?何を考えているの!早まった真似なんてさせない!)

 

少女達の会話を聞いた愛香は少女達に自害を止めるべく森の中から飛び出した。

 

パキン!

 

愛香が飛び出す際に足元にあった木の枝が折れた音を立てたことを知らなかった。

 

そして木の枝が折れた音を聞いた少女達はひっと悲鳴を上げる。

 

咲「まさか、追っ手が来てるの!?」

 

のぞみ「此処なら人が居ないと思ったのに」 

 

ラブ「どうしよう、軍人さんがいたら!」

 

つぼみ「話を聞いてくれなければ私達は……」

 

響「鍛えた相手にあたし達じゃ勝てない。逃げるしか無い……!」

 

マナ「今の私達は逃げる以外の方法が無い」

 

みゆき「別れて逃げよう。纏まっては敵に捕まるよ」

 

自身達を抹殺しようと目論む敵が現れたと恐怖して各々に別れて逃げて行く。

 

そんな逃げた一部の前に愛香は自殺させない為に現れる。

 

愛香「早まっちゃダメだ!お前達が死ねば解決するのか!?お前達が死んだら悲しむ人がまだいる筈だ!自殺なんてするな!」

 

必死に少女達に自害を辞めるよう言葉をかける愛香であったが、それは逆効果であった。

 

めぐみ「いや、来ないでよ!」

 

みらい「私達に関わらないで!」

 

はるか「あたし達は静かに暮らしたいの」

 

いちか「私達の事はほっといてください!」

 

ひかる「私達、もう迫害されるのは嫌!」

 

のどか「もうやだぁぁ!!」

 

数々の虐待や迫害を受けていた事もあり、疑心暗鬼に陥っていた少女達には愛香もまた自分達を害する存在だと恐怖して怯え、方向を変えて愛香から逃げようと走る。

 

愛香「待ちなさい!逃げた所で貴女達の状況が改善するなんて確証はないのよ!」

 

逃げようとする少女達に愛香は慌てて止めようと走る。

 

少女たちは逃げ続けていたのもあるからか、疲れにより速く走れておらず、このペースなら追い付けると愛香が確信した時、走っていた先の地面に穴が出現する。

 

愛香「嘘でしょ!?」

 

突然出現した穴に慌てて止まろうとする愛香だが、少女たちを止めようと勢いをつけていたのもあって急に止まれずに、突如出現した穴に落ちてしまう

 

愛香「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

落ちて行く愛香の絶叫を背に少女達は逃げ去って行き、少女達が逃げ去った後には静寂だけが残った

 

 

────

 

青木ヶ原樹海のような森に来た愛香はゆいを探しに森の中に歩いている中、なぎさと同じく迫害された少女達を目撃する。

 

少女達に見つからないよう、森の中に隠れていたが耐え切れずに自害しようとする話を聞いて、愛香は少女達に自害を辞めさせようと思わず少女達の前に出てしまった。

 

それにより疑心暗鬼に陥っていた少女達は愛香から逃げ出してしまい、説得しようと追いかけようとした愛香だったが、現れた穴に転落してしまう。

 

 

 

 

愛香「うっ…………」

 

呻き声をあげて愛香は目を覚ます。

 

その後に頭を振りながら意識を失う前に思い出して呻く。

 

愛香「なんでいきなり落とし穴が出来るのよ……此処は一体何処なの?」

 

ぼやいた後に愛香はまず自分が居る場所を確認しようと見回した。

 

そこは所謂廃屋であり、愛香は奇跡的に布団の上に落ちた事で軽傷に済んだ様だ。

 

愛香「……落とし穴に落ちたら、何故か廃屋の布団に落下って……不可思議過ぎでしょ……」

 

呆れながら、愛香はここがどこなのかを知る為に廃屋から外に出た。

 

出て見えた外の光景に愛香は絶句する。

 

そしてやっと言葉を搾り出す。

 

愛香「……あらゆる建物が破壊されている……」

 

彼女の目の前に広がるのは何かによって破壊された都市部であった廃墟の群であった。

 

愛香「これ……もしかして戦争の跡?これじゃあどこの国か分からないわね……」

 

呻いた後に愛香は上空に視線を向けた。

 

其処に広がるのは空を覆う雲であった。

 

愛香「この廃墟の街がどこか、散策すれば何か分かるかしら……」

 

出来れば食料が見つかれば良いんだけどと呟いた後に愛香は廃墟の街を捜索する。

 

暫くして食糧を見つけた物の、それ以外に街にはもう何もないと分かり、ならばと街の外にも出たが廃墟になった街と同じく荒廃している光景しかなかった。

 

暫く歩いた後、愛香は公園らしき場所を見つけ、まだ使える状態のベンチに座ってため息を吐く。

 

愛香「暫く歩いたけど、あったのは廃墟になった建物だけで人の住んでる感じもなし。食堂らしき建物には何故か食べ物が無く、あるのは錠剤やカプセル、ジュースのようなものしか売っていなくて、花屋らしき店の中には枯れた花がたくさんあるだけ。分かったのはこの近くに人はいない」

 

これでは自分が死ぬ可能性しかないと不安を抱いていた愛香はふと、光る何かを見つける。

 

もしかしたら何かあるかもしれないと愛香はその光を放つ元へと向かう。

 

近づいてみて、愛香は絶句する。

 

光を放っていた場所が墓地なのだ。

 

愛香「……とりあえず、あの光がなんなのか行動しないと」

 

少し怖さがあるが意を決して愛香は墓場へと足を踏み入れる。

 

墓地の敷地内を探索しながらお化けじゃありませんようにと祈りながら光る物を探していると愛香は奇妙な光景を目にする。

 

なんと、鏡の様に輝く墓標が立ち並んでいるのだ。

 

愛香「何この墓標!?どうしてこんなものがここに……」

 

場違いな様に見える墓標に愛香は戸惑いながら気になって鏡の部分を覗いてみる。

 

???「…………」

 

そこには、愛香がプレシャスが変身を解除された際に目撃した、ゆいの近くに居た白い狐の妖精、コメコメがいた。

 

まるで眠っている様に目を瞑っている。

 

愛香「あれは、プレシャスが変身を解除された際に近くに居た白い狐!?何でこの墓標の中に居るの!?」

 

戸惑いながら愛香はまさかと思い、コメコメが封印された墓標の周りを見回した。

 

 

 

メップル「………」

 

 

 

 

ミップル「………」

 

 

 

 

ポルン「………」

 

 

 

ルルン「………」

 

 

 

 

フラッピ「………」

 

 

 

 

チョッピ「………」

 

 

 

 

ムープ「………」

 

 

 

 

フープ「………」

 

 

 

 

ココ「………」

 

 

 

 

ナッツ「………」

 

 

 

 

ミルク「………」

 

 

 

 

シロップ「………」

 

 

 

 

タルト「………」

 

 

 

 

 

シフォン「………」

 

 

 

 

 

アズキーナ「………」

 

 

 

 

 

シフレ「………」

 

 

 

 

 

コフレ「………」

 

 

 

 

 

ポプリ「………」

 

 

 

 

 

ハミィ「………」

 

 

 

 

 

フェアリートーン「「「「「「「「………」」」」」」」」

 

 

 

 

 

セイレーン「………」

 

 

 

 

 

キャンディ「………」

 

 

 

 

 

ポップ「………」

 

 

 

 

 

シャルル「………」

 

 

 

 

 

ラケル「………」

 

 

 

 

 

ランス「………」

 

 

 

 

 

ダビィ「………」

 

 

 

 

 

アイちゃん「………」

 

 

 

 

リボン「………」

 

 

 

 

グラさん「………」

 

 

 

 

パフ「………」

 

 

 

 

アロマ「………」

 

 

 

 

ミス・シャムール「………」

 

 

 

 

モフルン「………」

 

 

 

はーちゃん「………」

 

 

ペコリン「………」

 

 

 

キラリン「………」

 

 

 

長老「………」

 

 

 

フワ「………」

 

 

 

プルンス「………」

 

 

 

ラビリン「………」

 

 

 

ペギタン「………」

 

 

 

ニャトラン「………」

 

 

 

ラテ「………」

 

 

 

くるるん「………」

 

 

 

パムパム「…………」

 

 

 

メンメン「…………」

 

 

 

グレル「………」

 

 

 

エンエン「………」

 

 

 

周りの墓標の中にはコメコメと同じ妖精達がおり、彼らもまた同じ様に眠っている様に見えた。

 

 

周りの墓標の中にはコメコメと同じ妖精達がおり、彼らもまた同じ様に眠っている様に見えた。

 

愛香「なんなのこれ……どうしてこんな……」

 

不気味な光景に愛香が困惑する中で気づいた、否、気づいてしまった。

 

妖精たち以外にも人と同じ高さの墓標が沢山並んでいる事に……

 

愛香「あの墓標、人と同じ高さを持ってる…………まさか…………」

 

当たって欲しくない、自分の考え過ぎであって欲しいと願いながら愛香は意を決して1つの墓標を覗き込む。

 

そして、自分の最悪な予感が当たってしまった事に愛香は絶望した

 

ゆい「…………」

 

愛香「そんな……ゆい、どうして?」

 

さっきのコメコメ達と同じように鏡の墓標の中にいるゆいに口を押さえる。

 

見たくもないが愛香は震えながら墓標を見て行く。

 

 

なぎさ「………」

 

 

ほのか「………」

 

 

ひかり「………」

 

 

咲「………」

 

 

舞「………」

 

 

のぞみ「………」

 

 

りん「………」

 

 

うらら「………」

 

 

こまち「………」

 

 

かれん「………」

 

 

ラブ「………」

 

 

美希「………」

 

 

祈里「………」

 

 

せつな「………」

 

 

つぼみ「………」

 

 

えりか「………」

 

 

いつき「………」

 

 

ゆり「………」

 

 

響「………」

 

 

奏「………」

 

 

アコ「………」

 

 

みゆき「………」

 

 

あかね「………」

 

 

やよい「………」

 

 

なお「………」

 

 

れいか「………」

 

 

マナ「………」

 

 

六花「………」

 

 

ありす「………」

 

 

真琴「………」

 

 

亜久里「………」

 

 

めぐみ「………」

 

 

ひめ「………」

 

 

ゆうこ「………」

 

 

いおな「………」

 

 

はるか「………」

 

 

みなみ「………」

 

 

きらら「………」

 

 

トワ「………」

 

 

みらい「………」

 

 

リコ「……」

 

 

いちか「………」

 

 

ひまり「………」

 

 

あおい「………」

 

 

ゆかり「………」

 

 

あきら「…………」

 

 

はな「………」

 

 

さあや「………」

 

 

ほまれ「………」

 

 

ルールー「………」

 

 

えみる「………」

 

 

ひかる「………」

 

 

ララ「………」

 

 

えれな「………」

 

 

まどか「………」

 

 

ユニ「………」

 

 

のどか「………」

 

 

ちゆ「………」

 

 

ひなた「………」

 

 

アスミ「………」

 

 

まなつ「………」

 

 

さんご「………」

 

 

みのり「………」

 

 

あすか「………」

 

 

ローラ「…………」

 

 

ここね「…………」

 

 

らん「…………」

 

 

あまね「…………」

 

 

どの墓標にもゆいと同じく、目を瞑った少女達がおり、しかも、一部はつい先ほど、自分が見かけた少女たちである事に愛香は力を無くして座り込む。

 

愛香「そんな…………どうして、どうしてこうなってしまったの……」

 

もう何がなんだか分からないと頭を押さえて愛香は涙を流す。

 

暫く愛香のすすり泣く音が響いていた時だった。

 

???(助けて…………)

 

愛香「えっ?」

 

脳内に声が響いた声に愛香は戸惑う。

 

誰がと辺りを見渡し、愛香はなぎさを見る。

 

先程の声は確か彼女だったとなぎさが封印されてる墓標に近づき、墓標に触れながら愛香はなぎさに恐る恐る問う。

 

愛香「ねえ、どうして私に助けを求めるの?」

 

なぎさ(貴女が私達を救う救世主だから……)

 

突然救世主と言われて愛香は戸惑う。

 

愛香「私が貴女達を救う救世主?何言ってるの?私にはそんな力は無いわ」

 

なぎさ(ううん、貴女は私達を救う力を持っている。今は無いけど、近い内に必ず目覚めるよ)

 

否定する愛香だが、なぎさは確信した様に言う。

 

愛香「どうして私に言うの?私でなければならない理由があるの?」

 

信じられないと鏡の墓標に封印されてるなぎさに愛香は声をかけるが言い終えたのかなぎさからの返事は返ってこなかった。

 

教えてよ!!と愛香は叫ぶがやはり返って来ない事と自分がどうして救世主と言われたのかに困惑していると……

 

???「貴女、何をしてるの?」

 

愛香「えっ?誰か居るの?」

 

背後からの自分以外の声に愛香は振り返るとピンクの衣装を着た金髪の少女が居た。

 

 

愛香「(誰このこ?なんでこんな墓場に?)貴女は誰?もしこの墓場に関して知っているなら教えて欲しい。この辺りの墓標が鏡になっていて、その墓標の中に妖精達や少女達が封印されているの?」

 

愛香は自分の前に現れた少女に戸惑いながら話しかけた。

 

今までの事もあって愛香はここがどこなのかを早く知りたかったのもあるし、今まで1人でいたのもあって不安だったこともあり、少女へと矢継ぎ早に問う。

 

普通なら質問に対し返答が来る筈だが、少女の返事は何か違っていた

 

???「何故、こんな所に人が居るの?」

 

愛香「えっ?」

 

先程と同じ問いを返して来た少女に愛香は戸惑っていると少女は愛香へ近づく。

 

???「此処はプリキュアにとっては最後の安息の地であるプリキュア墓場。こんな所に人が居るなんて有り得ないわ!?」

 

先程まで坦々だったのが最後は驚いた様に問う。

 

プリキュア墓場とは何以外に色々と聞きたい事があった愛香はひとまず深呼吸して口を開く。

 

愛香「それはこっちが聞きたいわ。街に居たはずが色んな所に飛ばされ、森の中に移動していたら穴に落ちて、気付いたら廃墟の街の中で目覚めた。そして街の中に散策していたら光る何かを見つけて、近づいたらこの墓標だったの。私も何故こんな所に来たのか分かってないわ」

 

???「そう、貴女はたまたま此処に来ただけなのね」

 

そうよと頷いてから愛香は改めて少女に問う。

 

愛香「それより何故鏡のような墓標の中に妖精達や少女達が封印されてるの?」 

 

???「答えは決まっている。彼女達にとってこの地は最も安全な地だからよ。そしてあらゆる世界で迫害された少女達は自ら自害した後、魂はプリキュア墓場に自ら封印した。自害された後の肉体についてはどうなったかは知らない」

 

告げられた事に愛香は一瞬理解できなかった。

 

自ら自害して鏡の墓標に封印した。

 

自害した本人の肉体がどうなったかは知らない。

 

それをなんとか頭に叩き込んだ後に愛香は続いて気になった事を問う。

 

愛香「なら封印された魂はどうなってるの?」

 

???「忌まわしき記憶を捨て、平穏な世界の人間に生まれ変わり、普通の女の子として平穏に暮らしている」

 

淡々として返された言葉に愛香は納得できなかった。

 

愛香「記憶を捨てて、別人として生きる……それが幸せなのか……私だったらそう思わない…………自分を偽り、普通の女の子として生きる。そんなつまらない生き方で幸せになるのは了承できない」

 

???「どうして?普通の女の子として生きる事に何か間違いがあるの?」

 

否定的な言葉で反論した愛香に少女は不思議そうに返す。

 

愛香「……普通の女の子として生きたいと言うのは間違いじゃないわ」

 

けど……と愛香はなぎさを見てから少女へ向き直る。

 

愛香「私はこの子から助けを求められた。もしかするとここにいる皆は偽りの世界に閉じ籠るんじゃなくてちゃんとした世界で生きたいから助けて欲しいんじゃないかなと私は思う。推論になっちゃうけども、それを踏まえて私はあなたの言う封印を正しいとは思えない」

 

なぎさ達を閉ざされた世界に封印する事は正しいとは思えないと否定した愛香に……

 

???「私のしてる事に何か間違いがあるの?」

 

愛香「えっ?」

 

少女は怒気を向ける。

 

先程と違い感情を見せた少女に愛香は驚いていると少女はなぎさ達を見渡しながら呟く

 

???「貴女には分からないようね。何故少女達を封印してるかを」

 

愛香「どういう事?」

 

そんな少女に愛香は理解出来なかった。

 

何故彼女達を封印してるのが正しいと思っている少女に……

 

そんな愛香へと少女はみつめる。

 

???「彼女達は取りかえしのつかない大罪を犯した」

 

愛香「取りかえしのつかない過ち?(私が見たなぎさの迫害や私を見て怯えて逃げた皆が犯した大罪って……)何か知っているの?」

 

出てきた言葉に愛香は気になって問う。

 

???「貴女が知る事は無い」

 

が、少女は答えずに愛香に対し敵意を抱くような目をみせて睨む。

 

愛香「な、なんでそんな目で見るの?私はただ……」

 

???「貴女の存在は何れ、プリキュア墓場に封印された少女達に影響を与える。けど私はそれを許さない!」

 

なぜ敵意を持たれたのか戸惑う愛香へ少女は手を愛香に向けるとその掌へと光が集束し……

 

 

???「帰れ!そして少女達に関わるな!」

 

 

 

愛香に向けて光球にして放った。

 

思わず自分を守ろうと愛香は顔の前で腕を組んで防御態勢を取るがあっけなく吹き飛ぶ、 

 

愛香「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

悲鳴を上げながら愛香はどこかへと飛ばされて消える。

 

愛香を追放した少女はグッと手を握り締めて憎々しげに愛香が消えた方を見る。

 

???「プリキュアは二度と復活してはいけない。プリキュアは二度と生まれてはいけない。もしプリキュアが現れたら世界は必ず破滅する。だからこそ私は二度とプリキュアを存在させてはいけない。それが……

 

最後のプリキュア、キュアトゥモローの使命だから!」

 

 

 

トゥモローと名乗る少女は二度とプリキュアを生みださないと強く宣言する

 

しかしトゥモローは知らなかった。その愛香がトゥモローを立ちはだかる存在になる事を……

 

余談だが、愛香が目覚めた地は滅ぼされたある王国である。

 

そう、プレシャス達を生み出した国……

 

 

 

クッキングダムであると

 

 




次回、目覚めた愛香に運命の刻が来たる

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