「ええー……へんなの! おかしな形だなあ。ねぇハリー、コレって本当に
「あははっ、そんなに気に入ったならあげるよ」
「本当!?」
思わぬ贈り物を得たロンは、物珍しげな眼差しで
柔らかな輪郭線の横顔の女性が描かれたそれは、ロンにとっては全く馴染みのないもので、世の中にはまだ知らないものがあるのだなぁと柄でもないことを考えてしまう。
同時に、魔法界ではなんの価値もなさそうなこんなちっぽけなものを、ハリーの保護者たちはわざわざクリスマスプレゼントに
そう思うと先程までの興奮がスンっと萎えてしまった。手の中の小さな塊はじんわりとロンの熱を帯びている。つまらないけれどハリーが心良く譲ってくれたのだ。そこに関しては価値があるのではないだろうか。
(ハリーが僕に贈ってくれたんだからそれでいっかな)
友人の気前の良さを知ることが出来ただけ良いことなのである。硬貨をポケットに突っ込んだロンは、ひとまずハリーと一緒にプレゼントの山を開拓することにした。
▼▽▼
「こういうマントを手に入れる為なら僕、なんだってあげちゃうよ。ホントにもう
ハリーのよりも少しばかり高くつまれた山に抱いた気まずさのようなものはハリー宛のとある贈り物によって一瞬で消し飛んでしまった。
透き通った銀鼠色の輝く織物……正真正銘、本物の透明マントがハリーの手の中に収まっていた。とんでもない。本当にとんでもない。
よく母親にねだっていた寝物語の一つである「三人兄弟の物語」という話の中にも死の秘宝として透明マントが登場する。ロンは死神からも完璧に姿を隠しおおせるマントと、絶対的な勝利の杖のどちらかが欲しかったのを覚えている。
いや、今でも欲しい。叔父のビリウスが亡くなってしまうまでは蘇りの石にそれほど興味がなかったのだが叶うなら全て手中に収めたい。
そんな憧れの魔法道具をクリスマスプレゼントに貰うだなんて! やはりハリー・ポッターは伊達ではない。謙虚で控えめな性格であるから忘れていたが紛れもなく彼は英雄なのだ。
ハァと感心のため息を思わずロンは溢していた。しかし思案に耽るハリーは気づいていないようである。
そろそろ下に降りようと声をかけようとしたその途端、寝室のドアを勢いよく開いて現れた双子の兄達によりロンの呼びかけは遮られてしまった。
「ハリー、ロン、メリークリスマス!」
「おい、見ろよフレッド! ハリーもウィーズリー家のセーターを持ってるぜ」
「ワォ! そいつは驚い……ウン……すっげぇ気合の入り用だぜこりゃ」
「ロン、なんでセーターを着てないんだ? 着ろよ、あったかいじゃないか」
クリスマスの鈴の音も驚く騒がしさで、フレッドはハリーのセーターを手に苦笑を溢し、ジョージはセーターを着ていないロンに目敏く気づきせかしたててきた。
「僕、栗色は嫌いなんだよ……」
あまり気乗りはしないがここでごねると面倒なことになる。うめき声を漏らしながらロンはセーターを頭から被った。文句をいいつつも分厚い毛糸の生地はほかほかと暖かく心地よい。
「あれ? おいおい、ロンのイニシャルが入ってないじゃないか」
「コイツなら名前を間違えないと思ったんだろうよ。でも僕たちだって馬鹿じゃない。自分の名前くらい覚えてるよ、グレッドとフォージさ」
青地に黄色の大文字でイニシャルが入ったセーターで胸をはり、真面目な顔をするフレッドとジョージにロンはたまらず吹き出した。ハリーも顔を綻ばせている。
「この騒ぎは何だい? 一体どうしたっていうんだ」
「説教はよしなパーシー! クリスマスくらい好きにやらせろよ」
ドアから顔を覗かせたパーシーは嗜めるようなことを言ってくるが、その腕には開きかけのプレゼントが抱えられている。見覚えのあるもっこりとした質感のセーターもあった。
真面目ぶっていてしっかり自分も楽しんでいるじゃないかとロンは呆れた。フレッドの言う通り今日くらい肩の力を抜けば良いのに。チョコレートファッジを摘んでいると、無理やりセーターを着せられたらしいパーシーがジタバタと暴れる声が聞こえた。
「監督生のPじゃないことくらいわかるだろ? 着ろよパーシー。ロンも僕たちも着てるし、ハリーとリランの分もあるんだぜ?」
———なんだって?
ロンは口元に運びかけていたファッジを危うく取りこぼしそうになった。今、聞き間違えていなければジョージはリランといった筈だ。
「ママから手紙が来たんだよ、今年はハリーとリランの分も作ったからちゃんと感想を聞いとけって」
パーシーの腕をセーターで抑えつけるようにして寝室を去っていく双子を目で追いながら、ロンはなんとも言えない気分で目を逸らした。
前代未聞のマグル出身スリザリン生、リラン・エアクイル。彼女の名前は帰省した双子の兄達が語りまくる故に散々聞き馴染みがあったし、実際今年に入ってロン自身も二人の紹介で何度か話をしたことがあったので、その人となりも少しは知っている。
絵本でみた妖精のような容姿に、スリザリンらしからぬ誠実な性格。そして勇気に溢れた行動の数々に憧れは確かに抱いていたが、その隙のなさが実のところロンは少し苦手であった。
リランが嫌いということではない。むしろ好きな方だ。……いや、嫌いだったというのが正しいだろうか。
ロンはホグワーツに入学するまでは確かに彼女のことが嫌いだった。兄を取られたような気分になって面白くなかったこともあるし、何よりスリザリン生ということも大きかった。
会ったこともないのに勝手に性格を想像しては高慢ちきなヤツだと決めつけていたくらいに捻くれていた自覚はある。
まぁ、その甚だしい勘違いはリランと出会った途端に消え去ったのだが。
ただ、やはり苦手という気持ちは完全には払拭されていないというのが正直なところではある。
ハロウィーンの騒動や休暇前の図書館での会合でなんとなく「苦手」と思ってしまう所以がわかったのだが……なんというか彼女と接する度に、自分がいかに凡人であるかということを自覚せざるを得ないような気分になるのが嫌なのである。
(僕がちんちくりんなのはそうだけどさ……なんだかなぁ)
彼女にはそのつもりが全くないというのもロンの良心が痛む要因だった。誰も悪くないのに申し訳ない気分になるあの感じも苦手の一つかもしれない。
そっとヘッドボードに目を向けるとリランからのプレゼントである宝石のような石鹸が目に入る。キラキラと輝く贈り物は一目見れば、沢山の気遣いと魔法が詰まっているということがよくわかった。
「……『お前はもっと視野を広く持て!』」
いつかフレッドとジョージに言われた言葉の意味を理解できたのは最近だ。多分、全部を全部一括りに見てしまうのが自分の欠点なのだろうと思う。
ロンはセーターの濃い栗色は確かに苦手だ。でもハーマイオニーのボサボサとした栗色は嫌いではない。そりゃあ、最初は嫌いだったかもしれないけれどあの感じは別に「苦手」ではないのだ。
それと同じようにリランの「苦手」もいつかは好きになれるかもしれない。もっと色んなリランを知って、もっと色んな自分を知っていけば「苦手」を克服出来るかもしれない。
今日はクリスマスなのだ。頑張ればリランに話しかけることが出来るだろう。お礼をいって、一緒に遊んで、素晴らしく楽しい時間を過ごせば良い方向に迎える筈だ。
———絶対に仲良くなれないわけではないんだ
「……よし!」
「うわ! 頬なんか叩いてどうしたのロン」
「なんでもない! ……それよりご馳走を食べに行こうよ! きっとクリスマスツリーもすんごいって」
「あははっ、そうだね」
▼▽▼
その夜、ロンは最高に幸せな気持ちでいっぱいの胸と、七面鳥とケーキで膨れた腹をさすりながら天蓋付きのベッドに横たわった。
目を閉じれば楽しい時間の数々が浮かび上がってくる。長机いっぱいのご馳走に全力の雪合戦———あんなにはしゃいだパーシーは監督生に選ばれたときぶりに見かけた———、得意のチェスに白熱したトランプ遊び。そして恥ずかしそうにはにかんだリランの笑顔。
———『……もう、十分すぎるくらいラッキーですよ』
「……ふふふっ」
思い出す度に胸の奥がじんわりと暖かくなる。リランはロンが思うよりもずっとずっと普通の女の子だった。
特に雪合戦の時なんて「高慢ちきなヤツ」であればまず見せないであろう気迫っぷりで双子を追い詰めていた。まさかアレほどにアグレッシブだとは思っていなかったロンは、良い意味で度肝を抜かれた。
そりゃあフレッドとジョージがこぞって誉めそやすわけである。
談話室で遊んでいたときに見せていた憂いた表情も、初めての友達と過ごすクリスマスに戸惑い、感動していたからこその顔だと思うとなんだかくすぐったい気持ちになる。美しい生き物の無防備な様を見たようなそんな特別な感覚をそっとロンは噛み締めた。
だが、一等にロンが嬉しかったことは自分を気にかけてくれていたことだった。雪遊びの後、疲れた様子を見せながらもリランは、ビッショリと濡れたロンを魔法で乾かしてくれた。
その優しさとどこまでも誠実な態度、そして僅かに見えたいじらしい様はロンの「苦手」をすっかりと洗い流してしまった。代わりに芽生えたのは、尊敬する一番上の兄と話した時のような純粋に慕う気持ち。
今までのようなふわふわとした憧れによる好意ではなく、気安くも暖かな親しみ。それこそ、あんな人を嫌いになる方が不思議であると思うくらいにはリランのことを好きになっていたのである。
トロトロと微睡みながらロンはハリーから貰った五〇ペンスを取りだした。絞ったランプの光は刻印された「D.G. REG. F.D」の文字を柔らかく照らしている。
この言葉はラテン語で書かれているらしい。菓子を食べながらコインを弄んでいた時、なんとなく言葉の意味を尋ねたらリランが教えてくれたのだ。
『ねぇ、リラン。これはハリーに貰ったマグルのお金なんだけど、このD.G.なんとかってどういう意味なの?』
『あぁ、これは「Dei Gratia Regina Fidei Defensor」の略ですね。ラテン語で……ええと、たしか「神の恩籠による女王、信仰の守護者」という意味、だったと思います』
『へぇー! ってことはこの真ん中にいる人は女王様ってこと?』
『そうですね。この人はマグルの世界で、いえ、イギリスで一番、偉大な女性です。持っているときっといいことがあるかもしれないですよ』
『……本当に僕が貰っちゃって良かったのかな』
『……ハリーくんから幸せのお裾分けを貰ったことにしちゃいましょう』
「……ふふっ」
ロンにとっては七角形のヘンテコな硬貨でしかなかったそれは、リランとハリーのお陰で特別に素敵なものに変わった。
三頭犬が守っている物の正体や、ニコラス・フラメルなどまだわからないことばかりだけれど、きっと上手くいくに違いない。
ロンはもう一度コインを眺めると今度は眠気に抗わず柔らかな枕に身を任せたのだった。
▼▽▼
———全然上手くいかない
「ハァ……」
本当にどうすればいよいのだろうか。年末のパーティを催している談話室の一角にて、椅子に腰掛けたロンは喧騒を聞きながら深いため息を溢した。
彼の深い悩みの種は、同じように目の前で腰掛けている親友、ハリーだった。
ことの発端は遡ること数日前。最高の気分で眠りについたクリスマスの翌朝だった。
呆然としたままシリアルを突くばかりで何も口にしようとしないハリーに胸焼けでもしたのかと尋ねてみれば、なんと透明マントを使って真夜中の学校を忍び歩き図書館の禁書の棚をあさった挙句、その先で自分の家族が映った鏡を見つけたというのである。
朝からとんでもない情報量にロンは混乱した。たった一晩でとてつもないことをしたハリーはやはり見た目にそぐわずかなりの冒険者である。きっとそれは家族譲りの逞しさなのだろう。自分も君の両親に会ってみたいと伝えてみれば、今度の夏休みにウィーズリー家に来る約束をした。
この時からハリーの様子は少しばかりおかしかった。あんなに夢中になって探していたニコラス・フラメルのことなど忘れてしまったかのような振る舞いに思わず声をかけたが、ハリーは心あらずのまま頷くだけでやはり食べようとはしなかった。
そして、ロンの嫌な予感はものの見事に当たってしまった。
その晩、常にない程に神経質なハリーに連れられ、漸くたどり着いた「鏡」は確かに最高に素晴らしいものを見せてくれた。
残念ながらハリーの家族を見ることは出来なかったが、変わりにビルがつけたようなバッジをつけ、最優秀寮杯とクィディッチの優勝カップを掲げたロンを見ることが出来た。
しかし重要なのはそこではない。ミセス・ノリスに出くわすという随分と危機一髪な目にあったというのに、全く焦りの色を見せないハリーが問題だったのだ。
チェスやハグリッドの元へ遊びに行こうかと誘っても全くの上の空、ハーマイオニーと同じくらいのしつこさでいくら注意しようとも聞く耳を持ってくれない。
アーモンド形の緑色の目は取り憑かれたように曇っていて、ハリーの意志があまりにも感じられなかった。
———『僕の家族はもうみんな死んじゃったんだよ』
———『僕は両親に会いたいんだ』
ロンはなんと声をかければ良いかわからなかった。
亡くなった最愛の両親に焦がれる気持ちをどうしたら止められるというのだろうか。いや、止めて良いのかすらもわからなかった。
結局、ロンはハリーを寮の中に留めることが出来なかった。が、どうやら驚くべきことにダンブルドアに説得されたようだった。
ハリーが夜な夜な鏡の元は向かうことは辞めさせることが出来たのだが、そう簡単にことは運ばない。
ハリーは毎晩魘されていた。響き渡る高笑いと緑の閃光と共に消え去る両親の姿を見るというのだ。家族の姿をきちんと認識してしまったが故の苦しみは、ロンの手には負えるものではない。
そうして今に至るという訳なのである。
うんと疲れてしまえば悪夢を見る暇もないだろうとパーティーに無理やり連れたのだが、ハリーははしゃぐどころか萎れたキャベツのような始末で、花火が上がった事にも気づいていない。
(ウワ———!! ど、ど、どうしよう……!!!)
もう本当にお手上げである。
飲めや歌えのドンチャン騒ぎの中でロンはとうとう頭を抱えた。誰でもいいから僕とハリーを救ってはくれないだろうかと唸っていると、誰かが横に佇んでいることに気づいた。
「ロン君、飲み物はいかがですか?」
「リ、リラン……!!」
レモネードを持ったリランが心配そうにロンを覗き込んでいた。
思ったよりも近い距離に慌てて顔を上げると、やはり心底心配という顔のままハリーとロンを順繰りに見ていた。
「折角の花火ですけれど……あまり具合が良くなさそうですね」
「っぇ!? え、えっと大丈夫! その、僕たち昼間はずっと図書館にこもってたから……ちょっと騒がしいのに驚いちゃってて、も、もう平気だよ!!」
「……そうですか」
常日頃からフレッドとジョージの爆弾に慣れているグリフィンドール生には通じない苦しい言い訳は、どうやらリランには通用したようだ。いや、特に追求してこないのは彼女の優しさだろう。
咄嗟に嘘をついてしまったことに後ろめたさを覚えるが、これはハリーの問題だ。ロンが簡単に言っていいことではないと思った故の判断は間違ってはいないと思う。
ソワついた気持ちを払うべく、紙コップに注がれたレモネードをロンはグイッと飲み干した。暖炉の近くにずっと居たせいか甘味と酸味が染み入るように美味しかった。
「……セドリック達の所へ行かなくていいの?」
空っぽのコップにおかわりを注いでくれたリランに礼を言ったロンは、一番騒がしい辺り———フレッド、ジョージ、リー、がセドリックの周りで何やらはしゃいでいる———に目をやりながら尋ねた。
リランの纒う静謐な空気感に、ロンの焦りは鳴りを潜めていた。
もう少し側に居て欲しいくらいには心地よいが彼女もきっと同級生達と話したいだろう。
「今、あそこはセドリックの赤裸々暴露大会になっているので避難してきました。むしろここに居させてください」
「一体全体何があったって言うのさ!?」
神妙な顔つきでとんでもないことを言い放ったリランにロンは堪らず叫んだ。
赤裸々暴露大会ってなんだ。バッと見ると今度はどこかの部族の儀式のようにセドリックを囲む兄達が居た。意味がわからない。
「……セドリックがですね、えっと、クリスマス前に恋人と、つまり破局したことが彼らにバレてしまってですね……」
これ言って良かったんですかねと首を傾げながら、リランは笑いを堪えているような、見たこともない顔つきで詳細を教えてくれたが、ロンはそれどころではなかった。
(えぇ……リランとセドリックが付き合ってるんだと思ってた……)
衝撃の事実にロンは頭痛が酷くなった気がした。だが、言われてみれば今までのリランの態度からして二人の間には友情しかなかった気もする……いや、本当にそうなのか?
ロンは真偽を確かめる為に、とうとう控えめに肩を振るわせたリランをじっと見つめた。
茶水晶の理知的な瞳は暖炉の燃え盛る炎の揺らぎを写し、深く煮出した紅茶のように艶やかしい。だが、魅力的な眼差しとは反対に、薄く笑みを湛えた顔はあまりにも幼く見えた。
「……あ!」
途端、ロンの中にストンと分厚い本が落ちた時のような、響きのよい閃きが起こった。
認識を改めたとはいえ、どうしてあそこまでリランに親近感を抱いていたのか、漸くわかったのだ。
ロンは、ビルと似たような雰囲気だけに惹かれたのではなく、その中身、小さかった頃の妹と同じような無邪気さを無意識に感じ取っていたのだ。
(と、とんでもない……)
まさかまさかの予想外。ダブルショックどころかトリプルショックの展開にロンはとてつも無い脱力感に襲われた。
もしもセドリックがリランに恋愛感情を抱いていたらと思うと不憫でならない程に清々しく無垢な真実だった。
「……さてロン君、ハリー君。じっくりと悩むこともまた一つの学びですが、力を抜くというのも賢い方法ですよ」
「!!」
半ば自爆しハリーと同じようにキャベツと化していたロンは、淡々としたリランの声に再び顔を上げた。
レモネードのピッチャーを抱えた彼女はニッコリと笑うと、何か言う前に窓の方へ向かってしまった。
「……やっぱりとんでもないよ」
「……うん」
暫しの沈黙後、ポロリと溢れた声に、同意の返答があった。
ハリーが復活していた。顔色は良くないが、瞳には輝きが戻っており会話を交わせるくらいには元気そうである。
「ロン、心配かけちゃってごめんね」
「いいよこのくらい」
眉を下げる親友の肩をそっと叩いたロンはリランに習い、ハリーを連れて窓の方へ向かった。
結局、リランのことはわかったようでわからなかった。けれど、彼女を知ると言うことはロンにとって決して無駄ではなかった。
同じようにハリーの心もわかることは出来なかったけれど、ハリーの為に考えた時間もまた無駄なものではない。
人の望みや心の全てを知ったとしてもそれを知る為に費やした時間の方がきっと大切なのだ。
それはきっと、意味を知らなければ、ただ珍しいだけで終わってしまった五〇ペンスの硬貨と同じようなことなのだろう。
(それを知れただけ今は充分!!)
花火と共に打ち上がる新しい一年の訪れを、ロンはひとまず楽しむ事にした。
ロン:とんでもないよ———!!!
ハリー:しんどい
セドリック:まさかの破局!!!!