神ゲーでVRデビュー!   作:ずーZ

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一般プレイヤーな魔法使いでシャンフロを私的に一般的に攻略するお話を作っていきたい。よろしくお願いします。
シャンフロwikiを作ってくれる有志の方々、Twitterの神絵師の方々に敬意を表して。


ファステイア
新世界で魔法使いになります


「…………? え、マジこれすご」

 

 

 ログインした、のか。キャラクタークリエイトを無難に終えて、視界すべてが数秒光に包まれてってパッと出たここがきっと『始まりの街:ファステイア』とやらなんだろう、か。

 

 え、これがゲーム世界だって? 

 

「すみません失礼ですが……」

「え、あ! すみませんすみませんっ」

 

 立ち尽くしていたら邪魔になったので横に避けて道の端に寄る。ってかめちゃくちゃゴリッゴリマッチョだったけどあれもプレイヤーなんだな、頭の上にサイガ-……O(オー)? いや(ゼロ)? って名前出てるし。

 

 あれが。作り物か、あの迫力で。俺も黒髪黒目中肉中背なんて雑にやらないで、もっと凝ればよかったか? 

 

 改めて。

 見渡すと、何やら食べ物なんかを小さな屋根の下で売ってるのは、NPC? え? めっちゃ自然に動いて笑ってんじゃんなにあれ。

 

 平に均されてはいるがまったく舗装されてない地面。歩くのは子供連れの親子や老夫婦やらだがあれ全部がNPCとかええ信じられない……。NPCの他、頭上に見やすいフォントで名前らしきものが出てる人達。あれみんなさっきの人と、俺と同じプレイヤーなんだよな。

 

 辺りを森に囲まれた牧歌的な田舎町といったこの光景、これらがまんま作り物だと? 鎧とか剣とか杖とか服装はともかく、信じられない。いやほんと。

 

「これがシャングリラ・フロンティア──神ゲーのクオリティってやつか」

 

 ぶっちゃけ引いてる。俺のVRデビューは数ヶ月前、VRゴーグルを購入した日に少し触った、VRへの適正を測るチュートリアル『VR公園』だけ。あの公園とこの光景とではまさしく次元の差を感じる。ポリゴンを感じさせないってなんなの、っつーかさっき少し歩いたけど違和感なしに動作自然だったな、同じVRゴーグルでやってんのにソフトだけでこの差はいったい。

 

 シャンフロは結局今日この時まで「いつでもできるし」と触っていなかったが、やっぱりやっときゃよかったか? 

 

 

「えーと」

 

 

 とりあえず、街のマップを開いてギルドを探す。

 チュートリアルすまそ。

 

 

 

 

 □

 

 

 

 

「おおー」

 

 

 森だ。踏みしめる土の感触、そよぐ木や草の香り。晴れ晴れとした空こそ見えないが木漏れ日に満ちた視界の穏やかな事。もうこれ森林浴じゃないかなあ。

 ファステイアと第2の町を繋ぐエリア、『跳梁跋扈の森』に入ってしばらく。

 振り返ってもファステイアはもう見えない。けどモンスターの影なんてまるでない。長閑すぎてボーッとしてくる。

 

 手慰みにちょっとした強化を施されたばかりの武器をクルリと回した……現実だとこれ無理だな。なんとなくステータス的な補助を感じるが、めちゃくちゃ自然にできるあたりつくづく神がかってるなあシャンフロ。

 

 公園で測ったVR適正数値的にも感覚的にも、素早く動き回るのは苦手、というかドラゴンどころか刃物持ったゴブリンとだって接近戦は怖くてできる気がしない。

 手に持った長杖『魔法使いの杖』はチュートリアル終了と同時、名前の後ろに+1の表示がつくよう強化してもらえた。

 

 ちょっとした事だが、武器の強化をサラッとされたのは嬉しい。嬉しいが、メインジョブ魔法使いの講習で30分は長いと思うけど。始めたら中断できると思ったら出来ないあたりせめてスキップの仕様が欲しかったけど。サブジョブも欲しかったけど──RPGならまず戦闘してみたい! 

 

 怖いけど現実で死ぬ訳でもなし。皆が夢中になるクオリティを体感したいしやってみたい! 

 

 

「!?」

 

 

 ガサリと揺れた茂みは左後方、10歩ほどの距離がある。咄嗟に杖を向けながら振り返った、が。何者の姿もない。

 少しホッとした。1も2もなく突撃されたらたぶん腰を抜かす、怖いもんは怖い。さて、飛び出てこないこの隙に確認しないと。

 呪文は無詠唱で撃てる、名前は『ファイアボール』、杖の先端から出る、唯一の回避スキルとあと…………よし。

 

 心の準備は整った。

 

 茂みが一際揺れる。

 現れたのは緑がかった長耳と濁った黄色の目玉、口端から剥き出してるのは噛まれるとすっっっごく痛そうな牙。土ホコリが森の中だと言うのによく見えるボロ切れを纏い、泥だらけの汚い手斧を向けてジリジリ迫ってくる姿は、まさしく『ゴブリン』。

 画面越しになら散々見たがこう対面するとやっぱり超怖い! ってなるかと思いきや我ながら意外や意外、思う所は1つだった。

 ただただ、小柄だな、と。

 

 

「ギッ」

 

 

 先手は一つ吠えたゴブリン。俊敏はLv1魔法使いの俺より早いらしいのがよく分かる、あと2秒もすれば目の前に来そうな勢い。

 このままじゃ巻き込まれる。

 

 

「バックステップ」

 

 

 スキルを宣言。1~5歩を任意で素早く飛び退る、今回は3歩。タイミング計測のコツを掴めたのはギルドの傭兵NPCさまさまだ、マジ神ゲーだわシャンフロ。

 俺が1秒前までいた場所をゴブリンが通過しようとする姿にしっかりと杖の先端を、狙いを定めた。

 今っ

 

「ファイアボールッ」

 

 

 赤い光とほんの少しの熱が杖越しに伝わった直後に、バスケットボールサイズのそれは素早く飛んでゴブリンの胸元に直撃、重い音を伴って破裂した。

 リアルよりもVR体験版の時よりもスムーズに動けんの感動! これ以上ない完璧、会心のタイミングだったって確信がある! 

 いいな、これ! 

 

 

「グゥエエッレ!」

「っと、あれ? いやそうか、そりゃそうか?」

 

 

 しかしゴブリンはまだ元気そうだ。いや俺がまだLv1だからかな? 分かってはいたが悲しい、魔法だから会心なんてないのか? いや部位によるはず。はず……

 ファイアボールが直撃し、その場でもんどりうって暴れている。よく燃えそうな衣服だったし、そうなるわな。

 

 

「ファイアボール」

 

 

 やたらと生々しく悶え苦しんでいる様へ、トドメをさすための追撃はしかし、思っていたより躊躇うことなく軽やかにできた。

 

 

「お、Lvアップ!」

 

 

 よりいっそう燃えたことで今度こそ沈黙して数秒、パッとポリゴンを散らせた所で経験値が入ってLvアップ。ドロップはないらしい、燃えてたところをさらに燃やして消し炭になった判定とか? 序盤のモンスターのだし別に要らないが、寂しいもんだな。

 

 それよりLvアップだ。Lv1でソロ。ゴブリン1匹だけども、Lv2になるには妥当なんだろう。

 さて、ステータス! 

 

 

「入ったポイントは5」

 

 

 これでより強くなるために、どう振るかな。








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