神ゲーでVRデビュー!   作:ずーZ

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2000〜3000文字の進行ならこんな、もの??


セカンディル 8

 や、やっちまった!? 

 どど、どうする──っっ!? 

 

 

「っっ、ば、スズおまっ、ぶふぷーっっ!!」

「ひゅ、ひゅぎゅぴーっ!?」

「やめ、にくきっ、そんな声で叫ばれたらんんこれいじょわらわんんくぐっっ

 ってうぉわしまったこのっっ!? す、すずきー! どうにかしろー! せきにおぉ!?」

「にくきうさん今かいふ──ああ爆笑したパスタさんが群れに呑まれてーっ」

 

 

 まずい瓦解する。こんな出鼻で。

 おれのせいで。

 

 

「っ、……すゅぎゅき゛ーっっ!!」

「──っ」

 

 

 怯んでる暇あるかっ。

 信頼に応えろっ。失敗を取り返せっ。

 止まるなっ! 

 

 さっきの魔法で味方を撃ったとはいえ俺がヘイトをとったか。

 群れの一部の3頭が俺へと、その合間のにくきうさんへと走り出してる。

 

 やらせないっ! 

 

 灰色の円盾を取り出し走り出した直後、

 

 

「『快癒』っ『治癒』っ! 回復任せて!」

 

 

 俺を瞬時に抜き去り、にくきうさんに当たる2つの光球。さっきより、ユビフさんが近づいていた。

 今のは状態異常と体力回復魔法か。

 よしっ。

 これですぐにとは行かないが、にくきうさんの回復の目処が立った。

 

 ならせめて、狼3頭、相手取るっ! 

 

 

連鎖詠唱(チェインスペル)

 

 

 だが走ったところでやはり、俺のAGIでは足りない。

 狼達の方が2秒は早く、にくきうさんに辿り着く。

 数メートルの距離。ここから撃ってもまた、にくきうさんに当てかねない。加えて、俺の魔力と短杖じゃあ威力は不安だ。

 

 にくきうさんへと飛びかかっていく狼達をこの瞬間に処理するには──連鎖詠唱で、設置する事もできる()()ならっ。

 

 

「『火炎放散(フレイムスロワー)』ッ!」

 

 

 数メートル以内なら設置できる火炎放散を2つ同時発動。これなら、ギリギリ処理できるっ! 

 にくきうさんを守るかのように2つの炎色の魔法陣が現れ煌めき、瞬く間に火炎が立ち昇り狼達を呑み込んだ。

 

 

「よし。にくきうさんっ」

 

 

 たち消える炎と共に、弱々しく鳴きながら3頭の狼がポリゴンとなって散っていく。それを横目に、シビレで倒れ伏すにくきうさんに駆け寄った。

 でも、なんて、謝るべきなんだ……

 

 

「ご、ごめんなさ」

「ま゛だっ」

「へ」

 

 

 ばだ? あだ? いや、……”まだ“かっ。

 

 

「スズキさん後ろっ!」

 

 

 ユビフさんの注意と、痺れてるにくきうさんの言葉を遅ればせ理解し、振り返った先。

 炎が晴れたそこから今まさに飛びかかろうとする狼──っ

 さっきのとは別枠っ。

 

 

「でも、()()ならっ」

 

 

 さっきみたいには外れないっ! 

 

 

「ボルトッ」

「ヴャ」

「ギャォッ」

 

 

 杖先から迸った雷光が、迫る4頭のうち前の2頭をポリゴンへと散らす。その様を見て追随していた2頭が立ち止まり距離を取った。

 危なかった。短杖にしておいて良かった。長杖だったら咄嗟に向けられなかったかもしれない。

 

 警戒なのか、唸り声を上げて狼達が睨んでくる。

 だがあの大蛇と比べりゃ、それがどうしたっ。

 やかましいっ。杖を左右に振りつつ睨み返す。

 

 今の距離だとボルトは俺が外す可能性が高く、撃つならファイアボール。でも、速度に優れるボルトでもなきゃ、ファイアボール程度の速度じゃ、あの機敏な狼に俺では当てられない。

 避けられる確信がある。

 

 初手のボルトと今のボルト、連鎖詠唱と火炎放散を使ったことですでにMPは「30」。咄嗟のエア・クッション使用もあると考えればかなりギリギリ。

 まだ目の前で警戒する狼が2頭、持ち直したパスタさんが引きつけてる4頭が残ってる以上、消耗は避けないと。

 

 ふと、横で立ち上がる物音に気がついた。

 

 

「っ──。ふう……ありがとユビフさん、スズキさん。シビレ治った」

「! にくきうさんっ」

「でもスズキさん」

「はい」

「お・ぼ・え・と・け?」

「ハイ」

 

 

 ギロッて目から、まるで目から音が、目っ。

 ヤッベマジなんて謝ろ……

 

 

「ッス──。決めた」

「え」

 

 

 何を、と続けようとした時には、にくきうさんは1歩で狼1頭に近づき、殴り掛かっていた。

 はやっ。

 決めた、と言って狼が殴られるまで、1秒有ったか否か。

 にくきうさんの肘から指先までを覆った手甲に備えられた鈎爪が、不意に距離を詰められ反応できずにいた狼のちょうど頬に深々と突き刺さり、

 

 

「お──りゃぁあっ!」

 

 

 そのまま拳を上へと振り抜き、狼を吹き飛ばした。

 大型犬サイズが軽々と宙を舞う。

 現実では中々ないその光景に目を奪われていると、すでににくきうさんは殴った姿勢そのまま次へと、もう1頭の側面へとスライドするように回り込んでいた。

 

 バックステップかサイドステップのようなスキルによる動きだろうけど、俺より遥かに滑らかすぎて、まるで別物にしか見えない。

 

 にくきうさんのその動きに、しかし獣ならではの反応を示した狼が振り返って飛びかかる──よりも早く。

 向き直った丁度その顎に、にくきうさんの右ストレートが捩じ込まれ、根本まで突き刺さった鈎爪でブラリと宙に釣り上げられた。

 そして。

 数秒かけて少しずつ弱りながら藻掻いて、やがてビクッと1つ痙攣して、先に殴られた狼共々ポリゴンになり散っていった。

 

 って、いやこわっ。毒か今の痙攣……

 

 

「パスタさんいまいくよーっ!」

 

 

 アッサリ2頭を蹴散らし、にくきうさんは呼気1つついて。すぐさまパスタさんへと声を掛けながら走り出した。

 パスタさんは1頭を倒したのか、しかし残り3頭に群がられて返答できない。そこへ、あっという間に辿り着いたにくきうさんが、狼達に殴りかかって2頭をほぼ同時に吹き飛ばしている。

 

 あの分ならもう俺の出番はないだろうし、そもそも、魔法を撃ったらまた2人のどちらかに当たりそうだし……

 

 

「なんて謝ろ。あー。

 なんで曲がったかなあ当てちゃったかなあ……」

 

 

 狼達が一掃されるまでの30秒ばかり、頭を抱えていた。

 

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 

 




マッドディグ終わる頃にはセカンディル15とかになってそうでヤバい
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