神ゲーでVRデビュー!   作:ずーZ

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2話分の1


セカンディル 9

 

 

「ほんっとうにっっ、ごめんなさいっっ!」

「おおー。見事な土下座」

「むー……」

「スズキさん……」

 

 

 4人集まった所で誠意を込めて土下座敢行。

 だってこれしか思い浮かばなかったんです! 

 

 

「スーズーキーさーん?」

「ごめんなさい。アイテムも素材もマーニもある物渡しますから、ほんと」

 

 

 せっかくの初パーティプレイが、これか。やっぱりソロでやってれば、あー考えるだけいやもう、辛い。せっかく最高に楽しくやれそうなお誘いを、あれじゃまるで裏切ったようなもんだ。

 パーティは抜けよう。せめて、大したものはないけどある物は全て渡そう。許されるならなんだってしたい。

 

 

「って待て待て。ガチ過ぎんぞ。ちょっと落ち着けまず顔上げろ」

「ホントだよっ! そりゃムカーッてきたけど、今の方が私ムカムカしてきたっ。

 さっきのはね、そこまでして謝ることじゃないからっ!」

「……でも、俺あんな」

 

 

 後ろから、撃つようなマネを。

 

 

「いいから! もういいから! ああダメダメ落ち着けわたしー落ち着け……いいんだよあんなんさっ。

 よくあるって訳じゃないけど、パーティの初戦闘だよ今の? だから……だからっ。チグッハグで当っ前っ! 

 味方同士の攻撃でこかしすかし、フレンドリーファイアなんて『ああお互い運が悪かった』位なもんなのっ! 

 これシャンフロ、VRゲームッ。攻撃は勝手に味方を避けてくれないのっ、だからもし当たっちゃっても、わざとじゃないなら仕方ないんだよ! つまりね、えーとね!」

「まあまあまあまあ。

 スズキさんや、にくきうさんが言いたいことは要は仕方なかったってことなんだよ」

「VRゲームだから、あんなことがあるのも仕方ないって、ことで……?」

 

 

 それで、いいのか。それだけで、仕方なかったってだけで。

 二人の顔を、後ろにいるユビフさんの顔も、頭を上げて見ることすら申し訳なくている。

 ひたすら俯く俺の傍に、パスタさんはしゃがみ込んだ。

 

 

「そうだ。コマンド1つ入れれば結果が出るってわけじゃねえ。実際にアバターの手足を使って、攻撃も防御も作戦も逃走も、自分で考えてやらにゃあ結果を出せないんだよ、このVRMMORPGってのは。

 スキルかなんかでもなきゃ、後ろに目が付くわけでも、攻撃が勝手に味方をすり抜ける訳でもねえ。だから味方同士、お互いの邪魔をしないよう努めて、何かしら貢献して、皆で楽しんで戦うのがVRのパーティプレイさ。

 俺もユビフさんもスズキさんが、にくきうさんに当てないよう魔法を使ったのは見ていた。それでも邪魔しちまった。でも全力で挽回しようと頑張ってたのも皆見てた。

 それでもどーしても謝りたいってんなら、それこそ今さっきの『ごめんなさい』で」

 

 

 硬い鎧に包まれた掌が肩に乗せられ、その腕を伝うように自然と視線が上向く。

 フルフェイスの隙間から見えるパスタさんの目と、その隣で立って腕を組む呆れたような表情のにくきうさんの目は、

 

 

「ちゃーんとチャラになってんよ、もう安心しな」

 

 

 優しげに笑んでいた。

 

 

「……っ」

 

 

 やらかしたなりに頑張ったお前を、俺達は許してるよ、と。

 そう言われたようで、胸のつかえがすぅ……と取れたかのような感覚。

 あ、やばっ。

 シャンフロシステムは感情表現豊かだからこの込み上げる目と鼻の感覚はだめダメダメだめ涙は恥ずかし過ぎ──

 

 

「まぁあっ! 当たった瞬間のにくきうさんクッッソ面白かったけどなっっ! 

 ひゅっひゅきーっておま、んくくくくく……っ。お、おぉ思い出したら、また、ぶぷっ」

「え」

 

 

 なんだいきなり。まさか、俺への気遣い? 

 いや違うな、ガチの爆笑だぞこれ。

 

 

「うぉいパスターっ! しょうっっがないじゃんっっ! だってすっっごいシビレたんだよ!? しかもいきなり後ろからやられたら驚くしっ、怒鳴るでしょそりゃっ! 怒鳴るでしょってっっ!!」

「ぶふほっ。そそ、そうだなうん、わかる、わかるぞう! でも、でもな? おれ、あんなあっからさまにグイイィッて曲がった魔法が当たるなんて、初めて見て、も、不運でか、可哀そで、っ、たまたまにしても、……っぶ。む゛りツボっブゥファッハ⤴はハ⤵は⤴ーーッ!」

「そっっれ以上笑うなコラもーっ!?」

 

 

 おれは、どうしたら、いいんだ、これ。

 

 

「え、と。スズキさん、今回はドンマイです」

 

 

 後ろからユビフさん。気にかけてくれていたのだろう、安心したような顔付きにまた目が潤みそうだ。というかユビフさんが居て治療とバフをしてくれてなかったら、にくきうさんは無事じゃすまなかったはず。

 回復もできなかったし、そもそも俺の魔法でデスしてたかもだ。感謝しかない。

 

 

「……ユビフさん。うん、──ありがとう。

 で、これどうしようか」

 

 

 ヒーヒーギャーギャー言ってるパスタさんとにくきうさん。だんだんとその喧騒を見てると、なにをあんなに悩んでたのやらという、とそんな気持ちになった。

 同時に、この人達と組めてよかった、とそう思う。

 

 

「んー……。まあ、待ちましょ。

 それよりスズキさん。魔法のことで、少しお話というか確認したいんです。一部のステについて聞くことになるかもですけど、構いませんか?」

「? はい」

 

 

 なんだろう。魔法のなんだ。

 ユビフさんからなら、もういくらでも耳傾ける。なんにしても構わないのでどうぞどうぞ。

 

 

「まず、そうですね。先ほどの雷魔法ボルトを上空に向けて撃ってもらう所から確認したいんです。MPに余裕なければポーションお渡ししますけど」 

「いや足りなかったら自前のがあるんで。じゃあ、いきます」

 

 

 理由はわからないけど、ユビフさんが言うならそのくらい良いや。

 誰も何もいない空へと杖を掲げる。これならまさか誰にも当たるわけないし、気軽に気軽に。

 

 

「ボルト」

 

 

 電撃が杖から空へと放たれ、

 

 

「へ」

 

 

 直後、下手くそなフリスビーみたいな軌道でガクンと曲がって、

 

 

「ぇ゛あ゛────っっ!?」

 

 

 にくきうさんの直ぐ後ろへと落雷──ってええっ?! 

 

 

「に、にくきうさーーんっ!?」

 

 

 直立不動でスゴイ声あげてたけど大丈夫ですかーっ!? 

 

 

「っっ! 何すんだ何すんだっなにすんだもーっ!?

 もーやだーっ!」

「ごめんなさいごめんなさいワタシが検証したくてお願いしたら、でもまさかあーごーめんーっ!!」

「……いやもうそらビビるわ俺だって。ワザとじゃないにしてもなんでそうなるスズキさん」

 

 

 俺が知りたいですよっ! 

 

 

「えと、じゃあ、話を続けましょうか……。

 スズキさんには、ワタシから付与魔法『閃導』を受けた上で先程と同じようにボルトを使って欲しいんです。よろしくお願いします」

「えと、俺はいい、けど」

 

 

 にくきうさんはイヤだろう。離れた所で岩と、無理やり引きずっていったパスタさんの間に隠れてこちらを伺っている。

 パスタさんもさすがにもう笑えないのか、引きずられても抵抗したのは最初だけで、仕方ないとばかり盾になる気でいる様だ……あ、親指立てて視線に返事くれた。

 

 気が引けるけど、ユビフさんがこうも押し通そうとしているからには理由はあるはず。にくきうさんもパスタさんも、なんとなくそれが分かったからああしているんだろうし。

 とにかく、やってしまおう。

 

 

「わかりました。やってみましょ、お願いします」

「はい。では、『閃導』」

 

 

 堅身と同じような光がユビフさんの長杖から俺へと届く。

 変化は見当たらないしまた感じないが、はてさて。

 いってみよう。

 

 

「いきます。……ボルト」

 

 

 杖先からさっきと同じように雷が放たれて、曲がった。

 

 

「……おお」

 

 

 だがそれはほんの少し揺らぎだった。枝別れしながらではあるが、エゲツなく曲がるようなことは無く。空の彼方へとボルトの雷が消えていったのだ。

 明らかな違い。たまたま、なんてものではない、まるで別物の軌道を描いていた。

 これが閃導? 命中率にバフが入るのか?? 

 

 

「これでハッキリしました。原因は──TECです」

 

 

 ──────初期値ですみませんっ。

 

 

 

 

 

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