「ファイアボール2回で消費MPは8……」
MP最大値が装備1式と杖でそれぞれ+20されて現在50。MPの備考欄に、発動回数だけじゃなく威力に直結する、ってあったし火力上げるならMP一択か。かといって他のステータス蔑ろにするのもどうなんだ。
やっぱり多少動けるようにAGI(敏捷)も、いやこの杖中々重いしこれ軽く持てるならSTR(筋力)上げれば結果的には素早く、そういえばLAC(幸運)ってどうなんだ効果あるのかってなるやつ実は凄いみたいな話もある?
「ま、いいや。今んとこ」
とりあえずMPに5ポイントのうち2ポイントを振ってMPを52。威力に補正つくことを祈ろう。足んなかったらまた振ろ。
地図を開いて現在地を確認。
ファステイアと、次の街の【セカンディル】の名前は出てる。だがここからだとまだファステイアのが近いんだなあ。もうちょい進もう。戦いたい!
そうして。
「お! 来たかゴブリ、ン」
1分経つか経たないかでエンカウントとはこの辺からがバトルフィールド的なのかなーと。ガサリとした茂みの音に振り向いた矢先、もう一度ガサリと鳴ったのは最初の茂みとは反対側。
ってなんでそうなる。
「ギギ!」
「ガギギィ」
「……バックステップっ」
2匹、挟まれた。
たまらずバックステップで最大数の5歩下がる。ってついてくんなこら!
「ファイアボールッ」
牽制だが当たれ! んで散れ!
下がった直後には追いかけてきた2匹、だが所詮ゴブリン、そのまま纏まって追っかけてくるなら仲良く焼ける。
心持ちLv1の頃より大きい気がするファイアボールが2匹の足元で爆ぜ、1匹には掠って足止めになった。が、もう1匹には掠りもせず、速度はそのまま迫ってくる。
「ファイアボール、と、ファイアボールっ」
だがそのままにする訳がない! バックステップはあと数秒使えるようになるまでの『リキャストタイム』があるが、呪文はMPの続く限り無制限だゴラァ!
2連続のファイアボール、それぞれ迫ってくるゴブリンの顔と足元に撃つ。緩急つけた目隠しと足止めだが、当たりゃそれまでっ。
「グベベッ」
「おしっ」
頭掠めて下腹部へは直撃!
ゴブリンだもんな! そりゃほいほい避けられるほど機敏じゃねえわな1匹調理完了!
「ってうおの!?」
左足っ!
左足大腿部に被弾したっ。爆散したゴブリンの後ろから飛んできたのは足止めされたヤツの手斧。モロにくらった。ゴブリンのとはいえこちとら貧弱な魔法使い。ダメージでかい3割持ってかれてる痛すぎぃ。これクリティカルか? いや素のダメージか? つーかめっちゃ足がしびれるっ。
ギリ動けないこともないけど、なんにしても野郎め!
「ガー!」
「バックステッ、あ!?」
スキル名を言い切る直前には来る「動くぞー」って感覚がない、リキャストタイムまだ終わってな、いや足のシビレのせいか!?
まずい、ゴブリン、目の前、回避! 回避!
「え、エア・クッション!」
「ギグニュ」
咄嗟の魔法『エアクッション』。衝撃を数秒受け止める空気の膜がゴブリンの突進を目の前で抑えた。あっぶね!
エアクッションの効果時間はMP20につき2秒。だが3秒以上分のMPは注ぎ込めない、この間に離れるのは無理だ。
ならこの距離じゃ巻き込まれるが仕方ない!
「ファイアボール、ぐぅ!」
正面で爆ぜたファイアボールの余波はまさしく熱風、サウナで店員さんに浴びせてもらうアレくらいのふつーに暑くてイキナリはキツいなこれ……
一応2度目の着弾、それもこれは顔面。小さい爆風が晴れると、2匹目は当然耐えられず散っていた。
「経験値は、ん? あ」
ドロップ品に『ゴブリンの手斧』。なんだ、ああいま俺にぶち当たったやつか。もしかして燃えなかったからか手に入ったのは。しかし弱いし耐久も…………まあ売れば二束三文にはなるだろたぶん。
初ドロップなんだがなんかなあ。いやこんなもんか。
「……ゴブリンで言うと、あともう1匹ってとこか」
Lvアップに必要な経験値バーは7割ちょっと。どういう配分かは分からんけど、あと1匹だろう。なら大丈夫、あと1匹ならすぐだろ。
「また2匹、3匹とか来る、か?」
最悪もっと来るよなあ。プレイヤーがパーティー組めるんだからモンスターだってそりゃ徒党組むよねえ。
けどそれこんな初心者エリアでやるのか。2匹が出た以上あるんだろうけど。ソロが基本スタイルじゃないもんな、普通そうなるか。どうにか捌けたしなんとかなるかなまだ。
ひとまず、体力減ってるしインベントリインベントリ……あった。
「…………んー。青臭……」
足のシビレがスっと引き、半分を割った体力がゆっくり回復していく。
薬草、これ端的に言うと不味いな。美味い薬草とかないかな、ないか。めっちゃ口ん中でもしゃもしゃする歯応えリアルだけどサラダ、っていうよりこのモッサリ感と味気なさはもはや葉っぱに近いような。
試しに肉食ってみたいなあ、ステーキ、でけえの。ニンニク的なのたっぷりにして。そういうのは美味いといいなあ。米あんのかな。
「MPと、やっぱり耐久振っとくかあ」
魔法の範囲自体広くなるし。より足止めしやすく当てやすくなるしMPに1つ。耐久(VIT)上げは魔法職として糠に釘では、
「うーん」
そう思わなくもないが、AGI上げてもスタミナ上げても器用に逃げ回った所で倒せないといけない。そもそも魔法使い、スタミナもAGIもそんな高くないし。
だったらVITに振ってスキルと合わせて威力抑えて被ダメを減らして、敵の攻撃直後を狙えばよし。直近からの巻き込まれダメージも減るだろ。
「いやこれ、これ。んー。うーんー。まあいいや」
いったれ。絶対変な構成になるしなんで魔法使いなの? って言われたら凹むけど、いいんだ。
俺は受けて、至近から魔法でぶっ飛ばしてやる。
「ひとまず一旦戻るか」
MPが足りないんだなあ。MP回復ポーション買うかあ。
□
夕陽の森の中とか、風情ってやつを感じるこの景色。
デカいけど気配に鈍感な『オーク』はさすがに怖いからやり過ごし、ゴブリンの他にやっぱり小柄な『アルミラージ』やら狩って狩ってで、13時から始めて16時すぎか。リアルで飯にするには買い物行かないといけないし、そろそろログアウトしたい。
でもそれに加えてゲーム内でも飯を食わないといけないんだったなあ。リアリティがあって結構。めんどくさいけど。
あー区切りたくねえなあ。Lv7になってポイント振ったわけだし、新魔法での必中コンボも思いついたし、色々試してえなあ。
セカンディルまでにはもう半分だったか、戻るとなるとなんか長く感じる。ファスティアがもう見えてくるくらいまで戻ってきた。
MP回復ポーション3つ買って使いきって、MPも底が見えてる。セカンディルでもサブジョブ取れんのかわからんし、やっぱりここは戻って正解だろう。
「お、見えた」
戻りがてら、もう少しやりたいという誘惑が足を重くする。が、節度は大事。
セーブしよ、ログアウトしよ。魔法職ギルド横の宿屋ーと。
「なるほど」
店員NPCありがとう。名前言って魔法職ギルドタグ確認からの顔パス、楽で助かる。
初心者に優しい設計だ。これなら金銭をロストしててもMP回復できるしベッドをセーブポイントにできる。その辺で体を残したままログアウトする初心者出るかもだしな。
「さて」