今まで買ってなかったけど、アクセサリー、お高いんですね……いい買い物になってしまった。
このアクセサリー『
引き止めるため、効果を教えたいがためとはいえ、客に物を投げつけるほうが悪い。
だけど安くしてもアクセサリーは高かった。これのせいで素材諸々売っ払って作ったマーニが、悲しい事になってしまった。
「? あー」
「着てるやついるんだ」
「マジまんまじゃん笑うわ……っ」
「あれはあれで……」
「性能はそこそこ良いんだよな。性能は」
っく。周りの視線が気になるっ! だが耐えないと。わかってたはずだ、耐えないと……!
間に合わせとして購入したこの防具の見た目はネタだが性能と安さで買ったんだ。
だからセーフ、セーフ、のはずだ。……今は脱いでるけど、一式ボーナスを得るために帽子も戦闘する時は被らないと。
今以上にネタ感が増す事実から目を逸らそう。
だいぶ恥ずかしいけど。ユーさんに教えてもらったあの『おまじない』スキルも絶対買うんだ。
これから少しでも節約しないと……。
「おっ待たせーっ! 今日もよろしくー!」
そうして宿屋にて待ち合せの時間。入り口の扉を開け放ってこっちを見つけたきゅーさんが小走りで寄ってきた。
今日は桃色にしてるらしいツインテールが、動きに合わせてピョンピョン跳ねてる。
今日もやっぱり、頭っからニコニコと元気だ。
「はいっ! こちらこそよろしく、えと、……きゅーさん」
日を改めて面と向かうと、愛称を直接言うのって中々、こう、恥ずかしいなっ!
「うんうん。スズくんちゃんと愛称で呼べてる! 偉い!
そして、装備も変えたかーうんうん、うん?
その綺麗なブローチはイイなあ……けど学生服買ったんだね。確かにそれMPボーナスあったもんねえ」
「あはは、は。……これのせいでお金がですね」
「なるほどなるほど」
防具は仕方なく『魔法学校の制服』。ネタ装備ではあるが耐久も一式装備ボーナスのMP補正も初期装備より実はある。
でも問題は見た目。黒じゃなくて白基調の色彩だがどう見ても、
『なんちゃって学ラン〜ファンタジー仕立て〜』……通称学生服あるいは学ランである。
この羞恥に俺は耐えるさ。なんたってこのブローチ結構便利だからね! ……傍で巻き込むきゅーさんには悪いけど。
「ほほーん? それ、何やら良いもののようだネー。顔、だらしないゾ」
「え? ……えへへー」
「うっわよりだらしなく……まあ詳しくは向こうで聞こうかな。いこいこっ、とと忘れるとこだった」
周りをチラッと見たきゅーさんが目的地【千紫万紅の樹海窟】で、と移動しようとして踏み止まる。忘れ物?
「んーと。メール鳥の返信にも書いたけど、まず昨日さ、私と『二人きりだぜー』なんて言ったけど事情が変わって。あと2人との4人パーティになります。いきなりでごめん……」
「いやいやいやいやきゅーさん、そんなことで謝らなくても大丈夫ですよホントに。けど、ホントにいきなりでしたね」
しゅんっ、てし過ぎでは。別にいいのに。けど、知らない人といきなりのパーティか。
すこし緊張してきた。
「2人でも大丈夫と思ってたんだけど、向こうからせっかく誘ってもらえたってのもあるんだけど……だけどもうねー。世情? がやむ無しって感じでねー。
でも、大丈夫っ。門で待ってる2人とも、メッチャクチャ良い人達だから!
そこは安心していいよ!」
「わかりました。きゅーさんが良い人達っていうならもちろん信じますよ俺は」
もう本心から信じてますんで。
「おおう。んー。んんっ、なんだいもう。嬉しい事言うなあもう」
「うおうちょきゅさ、その小突き強い強いっ」
「あ、ごめーん」
照れ隠しでHP削りにこないで下さい。ちょっとだから街を出るまでに自然回復するからいいけど、本職の前衛から小突かれたらダメージになるんですよ耐久振りでも。
「あとは確認ね。これも返信に書いたけど」
ああ、念を押すように書いてあったやつかな。
「ええまあ。街で着歩く服と装備とマーニを、はい、書いてあった通り一応、さっきここの“倉庫”に預けましたけど……なんなんです?」
「よーしよし偉い偉い。うん。あー、まあ。うん。
念のためにネー……。とりあえず行こか」
「はあ」
? ため息までついてハッキリ言わないなんて、きゅーさんらしくない。
なんだ? 何があった?
気にはなるけど、まず動こうと言うなら付いていこう。黙ったままではないだろうし。
そして。
特にそれに触れられず、門まで着いたわけだけど、っと?
こっちを見て手を降ってくる2人組。手を振り返すきゅーさんについて近寄った。
「おっ待たせですっ。私のフレンド、スズくんことスズキ・SGくんお連れしました!
スズくんこっち、右の青髪かわいい系イケメンキャラが【ジン】さんで、左は銀髪ネカマのエルフスキー【エフィネス】さんだよ!」
「ありがときゅーさん。スズキです、今日はよろしくお願いします!」
「……言い方よ。言う通りだけどもさ。どーも。俺はジンだ、よろしくスズキさん。しかし学ランなのはネタなのか?」
「金欠でして……」
「なるほど。けど初期装備よりかは安心か。ま、早々モンスターを通しはしないから、安心して動いてくれ」
「うっわ頼もしい。お世話になりますっ」
「おう」
ジンさんはかわいい系と言われても肩をすくめて、やれやれとしていた。その雰囲気は狙ったって感じではなさそうだ。ちょっと会話した感じ、頼れる空気が自然に漂ってるなあ。兄貴がいたらこんなだったのかも。
にしても、一房に纏められた長髪も、マントみたいなロングコートも同じく青色、瞳も青っぽい。コートの中の革装備は黒カラーだけど、中々目立つなこの人。
「はいはーい、あたしがエフィネスでーす。気軽にエフィ、で大丈夫っ!
それはそれとして。ちょっとにくきうさーん、あたしのネカマはあたしが言うまで秘密って言ったじゃーんっ!
初見の反応が楽しみなのにそりゃないよー!」
エフィネスさん、本人が言うなら呼ぶには呼びやすいしエフィさん。こちらはエルフスキーもといエルフ好きらしく、尖った耳とまさに人間離れした美貌が際立っている。
セミロングの銀髪に日差しでキラキラする銀色の瞳、銀縁の白い腰マント、全身装備も白銀カラーのレンジャーっぽいもの。武器は白カラーの弓ね、なるほど……こだわってる、な?
「ごっめん、ついついー」
「んもー! まっ、きゅーちゃんだから許すけどねー!」
「ありがとエフィちゃんだいすきー!」
「あたしもきゅーちゃんだいすきー!」
めちゃくちゃ仲良いな? 今日初対面の人達って話だったのに……あれ? そう言えばエフィさんネカマって言う割には声が、高い? というか女性じゃないの? 男の声とは思えない……
「ネカマ、なんです……?」
「そー。ネカマやってまーす。んふふー、やっぱー声が気になる? やけに高い声で女性的だなーって? ──だからネカマやってるんだな、これが。
わかるかな……?」
スタスタと近づいてきたエフィさんの、キラキラとした銀色の瞳が下から覗き込んでくる。
いや、そんな意味深にすごまれても……
「は、はあ……ええと?」
声が高いから? だからネカマ? どういう?
「おーやピュアな反応ぅぅう、っへ、はひふんのヒン」
「わかんねえか? 頬引っ張って、今にも食いつきそうな
「ええーほんは、は、はからか。ひきゅきゅーはんへぇ……」
「なんのことかわかんないなあー?」
俺はもっとわかんないですね。
ジンさんに抓る、というか捻られた頬を抑えたエフィさん。
そのジト目を気にする素振りもなく、ジンさんが街の出口を指差す。
「にくきうさん、自己紹介は済んだんだ。とりあえずもう行こう。あとは街を出てからでも大丈夫だろ」
「わかりましたジンさん。んじゃ……ほいスズくん」
「あ、ども」
【プレイヤー 肉?球?否!我にくきうナリ
より。パーティ申請が来ています】
『いきなりですまんかった! これも自衛のためなんやー』
【受理しますか? はい いいえ 】
きゅーさんからパーティ申請が送られる。語調はともかく自衛? まあ今はいいか。リーダーはジンさんね……受理してと。
「じゃ、行こうぜ」
「よーろしくースズさん? スズくん?」
「あー、まー、どちらでも?」
「そいじゃあたしはスズっちにするか!」
「おおスズっち、私もそう呼ぼうかナ!」
「かーぶーるーかーらーだーめー」
「ちぇー」
「俺の意思は? いやいいですけどね?」
「賑やかだなお前ら……」
いよいよ新エリア、──【千紫万紅の樹海窟】か。
……大型昆虫モンスターの巣。色々虫っぽさ控えめだといいけど、ま、シャンフロだしそんな期待するだけ無駄か?
少し気が重いなあ。
ジン
修行僧
サブに今回は魔法使い
エフィネス
弓使い(初期ジョブとしてあるのかわからないジョブ。当作品で存在するもオリジナル扱いです。ルストのジョブはwikiでも詳細不明なので)
千紫万紅攻略中はレンジャー