・インベントリ内にあるアイテムと装備は、モンスターにキルされても落とさない。ただし武器や盾、アクセサリーなどの装備品を手放した、あるいは一部が外れた状態でキルされた場合のそれは除く。
・装備品やアイテムを所属ギルド受付に預けることができる。なお装備品を受付で預けた結果で防具なし、つまり半裸になった状態でおよそ1分以上受付NPCの前にいると、出身による好感度変動あり。出身を彷徨う者、尊き血にしているなら変動なし。獣の子、楽天家にしているなら上昇、それ以外は低下する。なお最も低下するのは凡民の模様。この好感度変動は預けたギルドがある街におそらく限られる(検証中)
「…………」
PCN:『スズキ・SG』 出身:凡民
「……………………」
□
「ギギッ」
「キャッギャギャギャ!」
「ギギィ」
「ギャッギャッギャ」
「っっっったばれええやぁあああっ──!! んのっっっクッッッソゴブリンどもぉおおおおがああぁああ──っっ!!」
□
「騎士に、ですか。剣士としてモンスター5体の討伐も、はい、剣士ギルドでの届け出、それですね、確認致しました。ではこちら、騎士の紀章を差し上げます。ただお渡しの前に、条件というよりは我々からの苦言をひとつ。今後はエインブルス王国の騎士となる貴方に、厳粛かつ慎んだ行動を取るように、と。ええ、覚えておいてくださいね。以上です。今後定期的に
「あ、はい」
「……正直なところ、その
「ア、ハイ」
□
早朝は魔法職ギルドで夜勤明けっぽい人に引かれた目で見られ、
昼前に剣士ギルドでは昨夜の憎まれ口を言われ、
昼過ぎのたった今騎士職ギルドでは一方的に話を聞かされ。
この街に俺の居場所はもうない……
そも魔法主体の俺には急ぎじゃない。
別にセカンディルにだってある!
……はあ。
軽率な行動は後悔を招く。俺、覚えた。
ともかく。
Lvは10となった。サブジョブは騎士にできた。
エリアボスへの推奨Lv到達。そして俺のスタイル、受け止めてぶっ飛ばす、がやりやすくなった以上憂いはない。ないはず、だ。
PCN:スズキ・SG
出身:凡民
Lv:10
メイン:魔法使い(初期魔力器用高め。初期筋力低め)
サブ:騎士(体力・筋力・耐久補正)
体力25(騎士により+5され30)
魔力56(杖のボーナスと魔法使い1式装備ボーナスで76)
スタミナ20
筋力12(騎士により13)
敏捷10
器用20
耐久力18(騎士と装備により30)
技量12
幸運15
右手:魔法使いの杖+1
左手:堅木の丸盾
頭:魔法使いのフード(vit2)
胴:魔法使いのマント(vit2)
腰:魔法使いの腰紐(vit1)
脚:魔法使いの長靴(vit2)
薬草×5
解毒薬×2
MPポーション×4
怯ませ爆竹×2
所持:16マーニ
使い切った。薬草の補充、解毒薬も『堅木の丸盾』も買えた。ストップブラスト代わりになる爆竹も衝動買い。とアイテムも補充できた。金はなくなったが必要経費。
いざボスに挑む、にあたってソロじゃなあ。でもなあパーティプレイは……今朝チラッとみた魔法職の募集パーティを見た限り、
『魔法職Lv15以上から1人。前衛とりあえず1人募集』
『後衛に弓使いか回復魔法持ち募集』
『魔力90超えのつよつよ魔法使い集え!!』
『誰か手伝って:強い人募集』
俺じゃあ、ほぼほぼお払い箱になるのが目に見えたもんなあ。募集かけても集まるかどうか。
いや、いいんだ、大丈夫だ。やってやる。セカンディルにはソロで到達してやんよおらあっ!
…………
時刻は3時すぎ。森の木々の隙間から見える空は、幸運なことに今日もいい天気だ。
跳梁跋扈の森。道中、昨日はやり過ごしたオークを真正面から倒せた。その他、この森のモンスターと戦い、Lv11にもなれてより自信が持てたことにより、俺の戦闘スタイルの確認ができた。よーしこれなら! と意気揚々と橋が遠目に見えてきた。
あー今日もいい天気だなあ。調子もいいなあ。さすがにソロでいきなり倒せると思えないけど、もしかしてイけるかな? あはは。
さて、誰だあれ。
エリアボス、貪食の大蛇は森をぬけた先、崖のようになったエリアに鎮座してるという。セカンディルへと行くために掛けられた橋を塞ぐようにしているわけだ。
森の出口に差し掛かったらその大蛇が見えてくる訳なのだが……。
ずっっっと仁王立ちしてる誰かが見えている。
『ΩブレイカーΩ』
最初見えた時はNPCかと思ったけど、ここまで来てプレイヤーネームが見えた。遠目から分かるくらい、ずっと微動だにせず、ずっと見えてたけど。なんでプレイヤーが何もせずそこにいるんだか。
なんでだろうな。嫌な予感がする。
「よう。お前、1人か? ここから先にはエリアボス、貪食の大蛇がいる訳だが?」
「はあ。そうですけど」
なんだこの人。いきなり『お前』呼ばわり? しかもジロジロと、やたら値踏みされてるような。
「ふふんー? っは! お前みたいなやつがソロでエリアボスにい? ムリムリ! ムリ、だが! ここはLv22の! このオレが手伝ってやるよ、安心しな!」
「ええ?」
え? なんで? 正直めっちゃくちゃにイヤなんだが。
あーでも、あーけど。
Lv22か。
大蛇推奨Lv10だが推奨人数は3人以上、俺ソロ。
ファステイア色んな意味で戻るのこわい。
でもこの、んーあー…………
「……いいんです、か。タスカリ、マース、はい」
「ふふふ!! 素直で結構だ! 任せておけ魔法使い!」
「あハハー、ヨロデスー」
なんか仁王立ちしていたこの、……『Ω』ってなに。『
確かに推奨3人以上のボスにソロで挑むのは、冷静に考えて無謀。こちとらVRビギナーだから尚のこと。
だから今回は様子見に、戦闘開始直後で半裸になってモーション見て対策練って、次回に倒そうとしたんだが。
本音としてはファステイアでまたウロウロするのは針のむしろ、ぶっちゃけ初見突破したいなーっては考えていたから。まあ? Lv22の人に手伝ってもらえるなら、そりゃかなーり助かるが。
なんで?
頭頂部から左が金髪と右が銀髪のオールバック。右が金、左が銀の瞳の鋭い目付き。ギリシャ彫刻のような大柄な肉体を蛇柄を基調とした革鎧で覆っている。ゴツゴツとした岩のような大剣を背負った様は、やかましい顔はともかく、そりゃあそりゃ頼もしいが。
なんでだ?
「おい。なにやってんだよ早く受諾しろよ」
「え? あ、すみません。しかしなんで手伝ってくれるんですか? ……えっと、……ブレイカーさん?」
「は? なんでお前が気にすんだよ。手伝ってやるって言ってんだからそれでいいだろ。早くパーティ加入しろよ」
「……」
ええ、なにこいつ。こんな横暴なのおれしらんよ……
今更だけどヤダって言いたい。けど、ファステイア戻んのも、ヤダ……
え、ええ。なんなんだよ……こんなやつが、俺の初めてのVRゲームの、初めてのパーティメンバーが、そうか、こいつか。
ふふ──ふふ…………──はあ。
「よろしくお願いします……」
「もたもたしやがってよ。おらとっとと行くぞ!」
「え。あの! 打ち合わせとかはっ!?」
「はあ? 言わなくてもわかんだろ普通! オレがぶった斬るから隙を見てお前は魔法で掩護だよ! ッチ! 当たり前だろこんなの一々言わせんなよな!」
「──あ、はーい」
怒鳴って、俺の返事が聞こえてるのかわからんが、森の出口へと振り返ってサッサと歩き出す何某ブレイカー何某。
言い様にまずイラッとしたが、怒鳴られた時はもはやアッサリ怒りを通り越して、なんなら少し感動した。
背に腹は変えられない、ってまさに今のこの状況だが。マジかシャンフロ、こんなのいんのか。むしろ今時こんなのいるんか。
何度かSNSで見た事がある。ずいぶん過去のゲーム内画像とか今はなくなった当時のSNSの投稿画像。懐古厨らしき人達が笑いながら貼り付けてた。VRだけど、生では初めて見た。
──はじめましてなんて関係ない、挨拶を知ってるのか知らないのか、いつだって偉そうで命令口調、上手く戦えれば全部自分のおかげ、ちょっとでも嫌な展開は全て他人のせい、迷惑プレイはお手の物、アイテムが必要になったらすぐ誰かに寄越せ早くクレと執拗に言い、負けがこむとひたすらに愚痴愚痴誰彼構わず貶す。
そうか。まだわからないが、もしかしてあれがあの、
あれが『フンター』…………?
□
次回:正直胸糞展開注意されたし