本編は大変なんて言葉で表しきれる難しさじゃなかったからノーカン。
Fate絡むだけで設定ややこしすぎるんだよなぁ…。
見渡す限りの大海原。
その中に浮かぶ小さな島。
「うーん、なんとも…」
その島の浜にて、ポツンと佇む一つの人影。
「ぐだぐだしてきたなぁ…」
何度か経験した突飛な現象を思い出しつつぽつりと呟くのは、汎人類史最後のマスター、藤丸立香。
「先輩」
彼から少し離れた場所から駆け寄ってくるのは、少々特殊な彼のサーヴァントである少女、マシュ・キリエライトだ。
デミ・サーヴァントといい、その身にある英霊の力を宿していた。それもある時をきっかけにほぼ失ってしまったが、現在は霊基外骨格(オルテナウス)にて補っている。
しかし、不測の事態故に、異聞帯攻略に向けて調整中のそれは今手元にない。
「こっちには何もなかったよ。そっちはどうだった?」
「私の方も何もありませんでした。
それどころか生き物の気配すら…」
「うーん…どうしようか」
どうして彼らがこのような事態に陥っているのか。
それはほんの少し前に遡る。
——————
ノウム・カルデア。
彷徨海の中に構えられたこの機関には、マシュを筆頭として、彼と契約したサーヴァントが多数いた。
ギリシャ異聞帯の攻略を控えた彼らは、一時の休暇として、ラスベガスを満喫した後であった。
さて、そんなカルデアであるが、それはもう様々なサーヴァントがいる。
外国の歴史に基づく者、日本の歴史に基づく者、オルタ化した者など、例をあげればキリがないほどである。
それほど多様なサーヴァントがいれば、当然トラブルメーカー的な存在もいる。
特に問題を起こしがちなのが———
「ノッブー、沖田さーん、ちょっと話が……って何してんの?」
「お、マスターではないか。
いや、さっき少し席を外してる間にこんなものが置かれていてのう」
「なんらかの機材のように見えますけれど…。マシュさん、なにか分かります?」
「タブレットのようにも見えますが…なんでしょう」
———織田信長、沖田総司を筆頭とする、いわゆるぐだぐだメンバーである。
言うまでもなく、今回のきっかけも彼女らであった。
信長が見つけたという物体は、マシュの言う通りタブレットのようであったが、分厚さが明らかにそれのものではない。
言うなれば、小型化したブラウン管テレビのようであった。
しかし、今の信長にはチラチラと目に入ってくるある物の方が気になっていた。
「…のう、沖田」
「なんです?」
「ずっと気になっとったんじゃが……お主いつまでその格好なんじゃ!」
毎年の恒例として、夏になると何人かのサーヴァントの霊基に変化がおこり、水着を纏うということがある。
今年のラスベガスにおいては、彼女、沖田総司もその対象であった。
とはいえ、それももう2週間弱前の話であり、もうほとんどのサーヴァントが通常の霊基に戻っている。
しかし、彼女は今も尚白を基調としたビキニタイプの水着を身に纏っている。現在は迷彩機能で見えなくなっているが、その背にはジェットパックなんて大層なものまで取り付けられている。当然ながら、後者に関しては本人の意志によるものではない。
「いやぁ、この姿だと体の調子良いんですよ。それに念願の水着ですし」
「未練がましいにも程があるじゃろうが!
それともあれか?マスターに見せびらかしたいとかいう口か?」
「……そ、そんなことよりこの機械ですよ!」
顔を赤くして誤魔化す沖田。
けらけらと笑いながら追撃を続ける信長に、沖田はそろそろ刀を抜きそうになっている。
この二人が絡むとなにかと話題が逸れがちだ。まあ、それも含めてぐだぐだなわけだが。
そして、そんなぐだぐだ空間に近づく珍しい人物が一人。
「マスター、こんなところにいたのね」
「ラムダさん?」
そこに現れたのは、謎のアルターエゴ・Λ、通称ラムダこと、水着を纏ったメルトリリスだ。
「どうしたの?めずらしいね」
「別に。ちょっと用があっただけよ」
カツカツとヒールを鳴らして歩み寄ってくるラムダは、水着の上にペンギンのような大きなパーカーを着ている。
本人曰くペンギンではなくリヴァイアサンなのだそうだが、まあ、どう見てもペンギンである。
「それで、こんなところで何をしていたのかしら?」
「ああ、なんかノッブがあの機械を見つけたらしくて、どうにかして動かせないかなと」
「ふーん。魔力流せばいいんじゃないの?」
『……』
シーンと静まり返る茶室。
先程までぎゃあぎゃあと騒いでいた沖田と信長すら黙っている。
彼らは完全に失念していた。
カルデアにあるものなのだから、魔力を必要としていてもおかしな話では無いのだ。
静かに火縄銃を取り出した信長に、刀を構える沖田。
藤丸はとてつもなく嫌な予感に襲われたが、もう遅い。
「これが魔王の、
「無明…三段突きッ!」
同時に放たれる宝具。
例の機械を壊しにいっているようなものである。
藤丸の隣のラムダは「それでなんで宝具になるのよ…」と呆れているが、見慣れている藤丸とマシュは既に諦めたかのような目で眺めていた。
機械からジジジ…と電気のような音がし、そのディスプレイが青く光る。
「マスター!動きましたよ!」
「うん…まぁ、うん。そうだね…」
「で、これ結局なんなのよ」
「まあじきに分かるゆえ見ておれ、そこなペンギンよ」
「は?溶かされたいのかしら?」
「お、やるか?やれるものなら…」
「先輩!なにやら動きが!」
今まで音を立てながらディスプレイを光らせていただけの機械にようやく変化が訪れた。
睨み合っていた信長とメルトも動きを止める。
『艦これ!提督が鎮守府に着任しました!これより艦隊の指揮に入ります!』
その声が響いた直後、茶室を強い光が包み込んだ。
「本能寺の時にこんな感じの見た気がするんじゃが」
「奇遇ですねノッブ。私もです」
「嫌な予感しかしないわ…」
「先輩、いつものアレ…ですね」
「そうだね、ぐだぐだだね」
茶室から溢れんばかりに光がカッと強まり、その光が収まった時には、茶室には一人も残っていなかった。
「なんてこった…姉上が!」
その瞬間を偶然見かけた人物が一人。
ここに新たなぐだぐだストーリーが幕を開けた。
——————
そして場面は冒頭に戻る。
提督が鎮守府に着任とはなんだったのか。
鎮守府のような建造物などどこにも見当たらない。
それどころか、現地の人間も見当たらず、信長たちですらいないときた。
少し前の本能寺の時にだって現地の住民はいたし、新たなサーヴァントとの出会いもあった。
しかし、今回はそのどれもが存在しないようだ。今のところの話ではあるが。
「先輩。あちらに倒れているのは人…でしょうか」
隣を歩いていたマシュの声に藤丸は思考を中断する。
マシュの指が示す先、そこには所々破れた黒い服を纏い、砂浜に倒れている金髪の少女がいた。
前言を撤回しよう。
その少女がサーヴァントであろうが現地の人間であろうが、この特異点でも出会いはあるらしい。
「助けに行こう!」
「はい!」
少女に駆け寄り、波打ち際に倒れ込む体を運ぶ。
体の濡れ具合から見るに、打ち上げられてまだほとんど時間は経っていないようだ。
「あの、先輩。こちらはいったいなんなのでしょうか」
マシュが指さすのは、その少女が持つ砲のようなもの。
似たような材質の物が足にも装着されている。
そして、それらはひしゃげていたり煙を吐き出していたりと、かなり損傷を受けている。
波打ち際に打ち上げられていた少女というだけでも不思議なものだが、身につけているその正体不明な物体がそれに拍車をかけている。
「礼装で回復できるかどうか試してみよう」
「はい。ですが先輩、これから何が起こるか分かりませんので…」
「分かってるよ。一回試してみるだけだよ」
藤丸は身に着けている魔術礼装・極地用カルデア制服での回復を試みる。
しかし、その効果は全く見られない。
「ダメ、みたいだね」
「はい。ではこの方は…」
そこから考えられるのは、この少女はサーヴァントでなければ、ただの人間でもないということ。そして、謎の物体は魔術とは異なる超常なる何かを動力としているということ。
かの名探偵シャーロック・ホームズがこの場にいるのであれば、一度だけの試行で仮定することは避けるであろう。
しかし、今はカルデアへの連絡もつかない上に戦闘可能なサーヴァントもいない。
そのため、この状況において魔力を礼装によって補っている藤丸が魔術を乱用することを避けるために、ある程度の妥協というものは必要になってくる。
令呪は残っていることを考えると、カルデアとのパス自体は無事なようだが、連絡が通じるまでは安定した繋がりがあるとは思わない方が得策であるからだ。
「んん…」
と、その時、少女が意識を取り戻す予兆を見せた。
「ん…ここは…?生きてるっぽい?」
そして少女は完全に目を覚ました。
藤丸達のぐだぐだが少し進んだ瞬間であった。
「あなた達…もしかして人間…っぽい?」
FGOというかFateは設定複雑な上に、艦これは艦これでキャラ以外の設定が人の解釈によって変わるから、とてつもなく難しい二次創作に手を出してしまったんじゃないかと思ってしまう。
なんとか完結まで頑張ります。