1998年11月1日「消された天皇賞覇者」   作:防人の唄

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非情で自己中なウマ娘(4)

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報道で天皇賞の回顧がされ始めた頃、同時にあるウマ娘の言動が大きなニュースとなり、やがて世間を騒然とさせた。

 

それは天皇賞のレース直後、スズカの故障で沈痛とした雰囲気に包まれた場内で、ただ一人歓喜を爆発させていたレース勝者、オフサイドトラップの言動だった。

同じウマ娘が大怪我を負ったというのに、そのことを全く気にしない喜び方が、多くの人間に不信感を与えた。

 

そして、それより遥かに世間を激昂させたのが、優勝インタビューで彼女が発した“笑いが止まらない”発言だった。

その発言はスズカが怪我したことを喜び、なおかつ小馬鹿にしたと、世間では受けとられたのだ。

 

報道も、あのオフサイドへの騒然とした取材の後で、それを徹底的に糾弾した。

『“笑いが止まらない”!オフサイドトラップ、同じウマ娘の怪我を嘲笑う!』

『天皇賞ウマ娘にあるまじき言動!』

『非情かつ自己中、『フォアマン』チームのリーダー』

『低レベルな天皇賞の覇者は、ウマ娘性は史上最低レベル』

『トレセン学園はこの自己中かつ冷血なウマ娘を追放すべき』

『ファンに夢を与えるウマ娘、その中に巣食うエゴ連中チーム』

 

次々と放たれるオフサイドトラップへの非難の報道、それを受け、世間も一気に沸騰した。

『フォアマン』へは連日、チームとオフサイドへの非難と中傷の投書が殺到。

同内容の落書きまでされるようになった。

学園にも、『オフサイドトラップから天皇賞を剥奪し退学させ、『フォアマン』を解散させるべき』との投書&電話が殺到、門前ではビラまで撒かれるようになった。

 

学園側も、トレセン学園史上かつてなかったこの騒動に混乱していた。

解決手段としてオフサイドに釈明(謝罪)会見をするよう要請したが、過熱した報道陣に恐怖を感じたオフサイドはそれを断り、それが更に彼女への攻撃に拍車をかけた。

おまけに学園のウマ娘達の中にも、スズカの人気が高かった為かオフサイドへの非難に全てではないが同調している者が多く、オフサイド及びチームは追い詰められていった。

オフサイドへの物理的攻撃の危険もあった為、登下校の際はチーム仲間が護衛するように行動を共にしていたが、それすら非難の的となった。

結果、チームからの離脱者が続出。

遂にはトレーナーが責任をとって退職し学園を去るという事態にまでなった。

 

騒動がようやく落ち着いたのは、11月末に行われたJC(ジャパンカップ)が行われた後。

同レースで1・2・3着となったエルコンドルパサー・エアグルーヴ・スペシャルウイークといった新世代ウマ娘及び第一人者ウマ娘の大活躍が、世間の注目を再びレース上のウマ娘達に戻したのだ。

それを境に、天皇賞騒動は収束へと向かい、報道及び世間のオフサイドへの攻撃も収まりはじめた。

 

そのまま、現在に至る。

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