シン・エヴァ見てきたよ。
良かったよ。
映画見てきな。
□月○日
専属契約を結んでから3ヶ月経った。特に変化もなくってのもおかしいけれど、こっちの世界で確立した生活は比較的安定している。刀の値段は一本最低でも50万くらいする。魔剣だと最低1500万するらしい。ちょっと何言ってるかわかんないや。
毎日としては刀打ったり、詠春の希望に沿った武器。槍やら弓やらなんやら作ったりしていたな。それと自分の娘の護衛役として雇った娘さんを紹介された。
人間と烏族のハーフらしい。かなり綺麗な翼を持っていた。翼に装飾という名の武具を着けれないかなってちょっと画策してたりする。その話をしたら怪訝な顔をされた。しかしちょっと俺の持つ刀を見せたら引き寄せられるように懐いてきたな。
しかしありゃ下手すると魔剣やら妖刀の類に魅入られてしまうんじゃねぇか?どうやら刀との相性が高すぎるのが原因っぽいな、詠春に気をつけるよう言っておこう。
□月□日
この前話した妖刀云々の話で詠春の野郎が一本の刀を持ってきやがった。
銘は、『
で、そんなものを俺にみせて何がしたいのかと言うと、何とか出来ないかってことらしい。何とかできるとでも?と言いたいがぶっちゃけできる。てかできた。
抜き放った刀身はボロボロで、何年も研がれていなかったのが分かったので、こいつを素材に新しい刀に打ち直してやったら妖刀じゃなくなったのだ。
新しい銘は『
なんで打ち直したら妖刀じゃなくなるかと言うと、要は呪われているという思い込みによる力と年代が重なったから実際に災害に見舞われるのだ。それを再誕させることにより転生し、転成したのだ。唐突に思い浮かんだ方法だったがよかったよかった。詠春も家の宝にすると言っているから喜んでいるだろう。
△月△日
さらに数ヶ月ほど経った。しばらくの間忙しすぎてペンを取る事すら出来なかった。
なんでかというと百鬼夜行が発生したからだな。しかも俺の家周辺で。お陰様で俺一人で対処することとなって、異界化した家で数週間ほど耐久戦闘していた。あ、いや、別に俺一人ではなかったが……実質一人だけであっただろうな。
有名どころの妖怪ばかりで色々と疲れたが、まぁいい修練って感じになったかな。刀の扱いも今までの体に振り回されるのとは違い、文字通り自分で操れるようになったからむしろメリットが多かったな……いやデメリット多いわ。サーヴァントとしての特性もあったから食事とか睡眠要らなかったが、精神的にはかなりきつかった。
もう二度と遭遇したくない。
△月Δ日
お試しで西洋剣を作ってみたがなんかコレジャナイ感溢れるパチモンみたいな剣になった。だが意外と強度とか持ち心地は良いので、これはこれでアリなのかもしれない。名剣とまでは言わないが普通に良作となった。
今後は他の武器も作ってみたいものだ。手裏剣とか、金剛杵とか戦斧とかな。
不味い。不味い不味い。
「至急戦闘可能な人員を集めてください!村正さんの自宅が異界化した!百鬼夜行の発生だ!早く!」
百鬼夜行が発生するなんて既に周知の事実であっただろうに、いつもの事だといつもの様にしていたらこの有様だ。
村正さん宅とその周辺が百鬼夜行が発生する異界に連れていかれた。しかし、それだけだと私たちでも対処できるが、百鬼夜行による異界化はもっと違う。
「百鬼夜行による異界化された空間には手出しができない」
そして中に存在する人が全滅するか、妖怪たちが諦めて帰る、もしくは殲滅されるかされる。それか1ヶ月間変化がなければ異界は開かれない。
「くっ……あの時、直ぐに帰らなければ良かったですね」
今日、刀の手入れをお願いしに向い、仕事がある為後日受け取るために帰ったのが仇となってしまった。
「無事で居てくださいよ……ッ!」
眼前に迫る数多の狼の爪。思わず目をぎゅっと閉じてしまった。
何故こんなことになったのか、発端は最近関西呪術協会と専属契約を結んだという鍛冶師の元にこっそりと忍び込んだことだろう。一度会ったことは会ったが、それでもその技量はわからなかった私はその家に忍び込んでしまったのだ。しかし、それがいけなかった。
親に今夜は出歩くなと言われたのに、百鬼夜行が起こると言われていたのに私は外に出てしまったのだ。その報いがこれだと言うのなら……私は……わたしは……
「おう、嬢ちゃん」
一向に痛みが来ないので不思議に思っていたら、恐らく私の目の前に立っているであろう人物から声をかけられた。
「無事だったかい……ん、意識もちゃんとある。全身は擦り傷だらけだが問題は無さそうだ」
目を開けるとそこには専属契約を結んだという鍛冶師、千子村正という男が私の容態を確認するために膝立ちになっていた。
しかしそれを隙と捉えたのか男の後ろに居た大量の狼──後に知ったが
だがその群れは一瞬のうちにバラバラになり、男は既に立ち上がっており、右手に持っていた短刀には大量の血が着いていた。それはつまり今の一瞬で千子村正という鍛冶師が、戦闘すら出来ないと思っていた存在が私でも敵わなかった妖怪を相手を圧倒したのだ。
「ちっ、油断も隙もありゃしねぇ。ちったァ休ませてくれや」
しかし、それだけで終わらないのが百鬼夜行。数多の妖怪によるお祭り騒ぎ、行列になって並ぶ大災害でもある。数ヶ月に1度ほど、十数体の百鬼夜行は発生していたが、この規模のものは数十年に一度だ。
「おっと、こいつァ俺でも知ってる。確か塗り壁とか言ったか?デケェだけでとろいな。斬り捨て御免ッ!」
そういった途端男は目にも止まらぬ速さで抜刀。縦に両断された塗り壁。それを踏み台にさらにこちらになだれ込んでくる数々の妖怪たち。有名どころもいればマイナーな妖怪たちがたった一人の男めがけ襲いかかってきている。
「土蜘蛛に鵺、山姥に1つ目小僧。ろくろ首、一反木綿、河童までいるのかい。有名どころが多いが、
全てが知名度で言うと最高クラスの妖怪たち。しかし目の前に立つ男はそれらを全て鎧袖一触。一太刀で飛び出してくる妖怪たちは斬られていく。そしていつの間にかそれに見蕩れている私がいた。なぜなら男のその動きはまるで舞の如く、火のごとく流れるように動いているのだ。尋常じゃない刀の使い手、しかも周辺に落ちている大太刀、太刀、短刀、
身惚れなければそれは剣士とは言えない。そう言えるほど、美しく、猛々しかったのだ。
「しっかし、いつになったらこっから出れるのかねぇ」
見蕩れている間に男はこの居間に居た妖怪たち全てを斬り捨てたのか、こちらに歩きながら使っていた武器の血と脂を拭き取っている。
「刹那とか言ったか、この現象何か知ってるかい?」
「あ、えっと……百鬼夜行と言って大量の妖怪が異界の中で練り歩く現象で、す。それで、本来なら十数体しか出ないはず……なんで、すが。恐らく今回発生したのは数十年に一度規模のやつ……です」
「……ったァく。今日の占いが悪かったのはそういう事か。どうやったら終わるかは」
「異界の中の人が死滅するか、妖怪が飽きて帰るもしくは殲滅されるか。1ヶ月間異界が発生していたら自然と消滅、します」
「なるほど……」
そう呟いたあと、男は驚きのことを行ってきました。
「殲滅するか。肩慣らしにちょうどいいだろうからな」
「……え?」
それから男は数日かけて家中の妖怪達を殲滅し尽くし、今回の百鬼夜行の発生原因。大妖怪、ぬらりひょんと一週間に及ぶ戦闘が終わり、ついに百鬼夜行が終わったのでした。
そして無事なことが確認された村正さんは詠春さんに沢山謝られ、私はひとりで勝手に行動しないようにと、一時間ほどきつく説教されました。
……かっこよかったなぁ。村正さん。あの技、教えてくれないかなぁ。