四季島皇国戦記   作:阿鬼羅

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第31話

1943年8月3日ブリテン島ロンドン首相官邸

 

チャーチル「ではブレスト及びラ・ロシュルそれにカーン、パ・ド・カレー爆撃に反対されると」

 

スパーツ「はい首相この作戦に参加する戦闘機部隊だけでは枢軸の防空網を突破できません、再考を」

 

チャーチル「仕方ない、ならブレストとラ・ロシュル、カーンのみなら、それもラ・ロシュルには小規模爆撃と限定すれば可能かね」

 

スパーツ「それならば貴国の空軍と協力すれば可能でしょう」

 

チャーチル「では頼む」

 

 

翌4日連合軍欧州方面軍司令部は敵上陸作戦遅延のために物資集積地とされているカーン、四季島以外の三国連合艦隊が集結しているブレスト軍港空襲陽動として角田機動艦隊が展開するラ・ロシュル軍港空襲が決定

 

そして10日午前2時攻撃隊全機発進開始予定では前日午後19時出撃予定であったが同時刻に豪雨と濃霧により出撃が7時間後ろ倒しとなっていた、本来なら中止が妥当であるがルフトヴァッフェの空襲や角田機動艦隊によるポーツマス空襲以降の機動艦隊による一撃離脱戦法による軍港襲撃による各軍港の稼働率低下や警備艇や監視艇の喪失によって哨戒網に穴を開けられかけたことにより枢軸軍の上陸察知効率の低下を早急に対処するべく空襲実施を急いでいた

 

 

午前2時プリマス沖上空

 

ブリテン爆撃隊指揮官「ふう」(この作戦成功するのか、いや成功したとして生きて帰れるのか)

 

機長「指揮官、緊張してますか?」

 

指揮官「まあな、陽動とはいえこれほどの爆撃隊を指揮するとな」

 

機長「確かに空軍に入って25年、前大戦にも参加した私としても陽動と本隊合わせてこれだけの大部隊が参加する作戦は初めてですよ」

 

指揮官「そうか君は前大戦にも参加していたのだったな」

 

機長「はい、と言っても出撃は終戦前に1回だけそれも負傷した偵察員の代わりに後部座席で震えてただけですがね」

 

指揮官「だがすごい経験さ」

 

爆撃機クルー「指揮官、機長、もうすぐ対岸の海岸線が見えます」

 

指揮官「そうか」『全機敵の迎撃機が来るはずだ警戒を厳重にしろ』

 

『『『了解』』』

 

 

その頃ルフトヴァッフェ司令部ではこの部隊を確認すると迎撃機隊を出撃させた

 

ルフトヴァッフェ司令部

 

ゲーリング「ヴィシーガレアの夜戦隊は発進したのだな」

 

空軍士官「はい夜間戦闘機38機が発進したと」

 

ゲーリング「敵の数は」

 

空軍士官「約120との事」

 

ゲーリング「そうか、敵の狙いはブレストで間違いないな」

 

空軍士官「はい、それで間違いないかと」

 

通信士「閣下」

 

ゲーリング「どうした」

 

通信士「四季島欧州派遣軍司令部から敵の狙いはブレストのみでなくカーン及びラ・ロシュルの可能性ありとの事」

 

ゲーリング「カーンにラ・ロシュルだと」

 

参謀「確かにカーンの物資集積所を破壊されるとブリテン島上陸作戦に支障があるな」

 

空軍士官「ラ・ロシュルにはカクタ機動艦隊の根拠地とUボート基地があるな破壊されるとブリテン艦隊撃滅や通商破壊作戦に影響がある」

 

ゲーリング「うむ、カクタ艦隊にラ・ロシュル防空を要請しろ」

 

空軍士官「了解」

 

参謀「カーン防空はどうしますか」

 

ゲーリング「本土防空団から夜間戦闘型のシュヴァルメとコメートそれにメッサーを出して対処させろ、ブリテンとリバティリアの爆撃隊を叩き落とせ」

 

参謀「了解」

 

ゲーリングの命令を受けた本土防空団はbf110夜間戦闘機72機シュヴァルメ夜間戦闘型144機コメート夜間戦闘型36機を出撃させた、そしてラ・ロシュル防空を要請された角田率いる第3機動艦隊は疾風48機零戦53型72機を出撃させ残りの機を敵第2波に備え準出撃待機とした

 

 

そして待ち構えていることも知らず連合軍爆撃隊はプリマス飛行場を発進しそのまま西から回り込む形で途中でブレスト爆撃隊とラ・ロシュル爆撃隊に別れたそしてプリマスからの出撃から1時間後にロンドン近郊飛行場からカーン爆撃隊が発進低高度を飛行することでレーダー監視網を潜り抜けようとしていた

 

 

ラ・ロシュル沖上空

 

管制官『こちら空中指揮管制機大鷲、第3装甲航空戦隊戦闘機隊聞こえるか』

 

白鳳指揮官機『こちら戦闘機隊指揮官白鳳1、大鷲聞こえている』

 

管制官『敵は高度2500から3000速度450数約80北北西より接近距離450、500上方迎撃せよ』

 

指揮官機『こちら白鳳1了解、白鳳隊黒鳳隊全機我に続け』

 

管制官『第4から第6装甲航空戦隊戦闘機隊聞こえるか』

 

蒼鳳指揮官機『こちら戦闘機隊指揮官蒼鳳1聞こえている』

 

管制官『白鳳隊に続き両翼に展開編隊の崩れた爆撃隊を包囲殲滅せよ』

 

蒼鳳指揮官『了解、全機つづけ』

 

 

爆撃隊指揮官「そろそろラ・ロシュルか」

 

クルー「指揮官上方から敵機来襲」

 

爆撃隊指揮官「なに」『く、護衛機全機迎撃、爆撃隊全機コンバットボックスをくみ迎撃』

 

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ

 

白鳳指揮官機『全機噴進弾発射』

 

パスパスパスパスパスパスパス

 

ヒューウー、ドカーーン

 

ブリテンパイロット1「くそ何機か喰われたか」

 

ブリテンパイロット2「喰らえ」

 

ダダダダダダダダダダダダダダ

 

四季島パイロット1「はん、当たるかよそんなへなちょこ弾が喰らいな」

 

ダダダダダダダダダダダダダダ

 

ドカーーン

 

四季島パイロット1「1丁上がり」

 

爆撃隊指揮官「ばかな、我が爆撃隊のコンバットボックスがあっさりと崩されるなど」

 

クルー2『3時方向から敵機』

 

ダダダダダダダ

 

クルー3『4番機2機そっちに行ったぞ』

 

クルー4『エンジン被弾落ちる落ちる』

 

ドカーーン

 

機長「指揮官、指揮官気を確かに」

 

爆撃隊指揮官「す、すまん」

 

機長「指揮官作戦は失敗です、撤退を」

 

爆撃隊指揮官「だが」

 

機長「このままでは全滅です、今爆撃隊を全て失えば後の上陸阻止に支障が出ますぞ」

 

爆撃隊指揮官「仕方ない」『作戦中止、作戦中止全機なんとしても生きてプリマスまで帰るぞ』

 

『『『了解』』』

 

通信士1「8番機撃墜されました」

 

クルー1「戦闘機隊半数を切る」

 

爆撃隊指揮官「本隊はどうなっている」

 

通信士1「不明です」

 

爆撃隊指揮官「そうか」

 

クルー1「指揮官左右に新たな敵編隊来襲」

 

爆撃隊指揮官「これまでか、すまんな諸君、死ぬ覚悟をしよう」

 

機長「指揮官もとより出来ております」

 

クルー1「あんたの部下として死ねて満足さ」

 

爆撃隊指揮官「通信士本隊に伝えろ[我敵ノ迎撃ヲ受ケ壊滅セリ、本隊ノ作戦成功ヲ祈ル]とな」

 

通信士1「了解」

 

爆撃隊指揮官「我がブリテンに栄光と祝福あれ」

 

ダダダダダダダダダダダダダダ

 

ドカーーン

 

そう言い切ったとき指揮官機は疾風の25㎜弾を多数喰らいそのまま爆散した、ラ・ロシュル爆撃隊は陽動としての働きを果たせなかった、本来なら角田機動艦隊居なければ四季島欧州方面軍司令部に中津配下で航空爆撃に精通した高嶋中将が居なければ作戦は成功しただろう、だが現実はそう甘くないが、この時四季島軍から通報を受けたゲーリングも詰めが甘かったと言えたゲーリングは敵の狙いはカーン爆撃としラ・ロシュルには迎撃機を送らず四季島軍に一任しブレストめ陽動の囮て小規模だと思い込んでいた、敵の狙いがカーン、ブレスト爆撃でラ・ロシュルのみが陽動とは思いつかなかったのだ、ドイツ本土防空隊はカーンを守ることには成功したかブレストはヴィシーガレア、ドイツガレア方面防空隊合わせ72機のみで防空する羽目となっていたその結果はブレスト軍港の大被害となった

 

ブレスト空襲部隊はカーンより少なくラ・ロシュルより多い戦爆合わせ227機が参加していた指揮官のロンド大佐は予想より少ない迎撃機の数に疑いを持ちながらも追い散らしブレスト空襲を敢行した、無論高高度からの水平爆撃で対艦攻撃は本来不可能であったが、停泊中の艦には有効であった

 

ブレスト上空

 

ロンド『全機爆撃開始』

 

『『『了解』』』

 

ヒューーーーーーウ

 

ドカドカドカドカーン

 

ロンド「成功か、おい他の部隊はどうなってる」

 

通信士2「カーン爆撃隊は敵の迎撃を受けたようですが爆撃を敢行、その、ラ・ロシュルは迎撃され壊滅したようです」

 

ロンド「そうか」

 

通信士2「それとラ・ロシュル爆撃隊から電文です」

 

ロンド「読め」

 

通信士2「はい[我敵ノ迎撃ヲ受ケ壊滅セリ、本隊ノ作戦成功ヲ祈ル]との事です」

 

ロンド「そうか」

 

クルー5「敵機後方から来ます」

 

機長「叩き落とせ」

 

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ

 

クルー5「敵機撃墜」

 

ロンド「爆弾倉は空になったかな」

 

機長「はい」

 

ロンド「そうか、敵の新手が来る前に逃げるぞ、全機進路をプリマスへ」

 

機長「了解」

 

 

爆撃隊は被撃墜27機帰還後放棄41機撃墜7機艦艇多数に被害を与え帰還した

 

被害報告はヒトラーやゲーリング、レーダー、カイテルといったドイツ首脳部や四季島皇国欧州方面軍司令部にもたらされた

 

ドイツ領オルレアン四季島皇国欧州方面軍司令部

 

大山「で被害は」

 

参謀長「ドイツ海軍戦艦ティルピッツ中破空母マッケンゼン小破巡洋艦ザクセン小破ヴィシー海軍空母フランドル中破戦艦リヨン小破巡洋艦ラ・ガリソニエール小破駆逐艦4隻大破2隻小破哨戒艇9隻中破港湾施設の4割が破壊されたとの事です」

 

大山「なかなかに手痛い被害だな」

 

須賀「海軍としては同盟艦隊が居らずとも角田提督の第3機動艦隊と鮫島提督の第8艦隊で敵リバティリア、ブリテン両艦隊は対処可能です、それにフィラルド駐留艦隊の3個潜水戦隊と本国から来ている伊号潜水艦1個潜水戦隊を使えばスキのない索敵網を張れましょう」

 

大山「たしかにそうだろうな、だが同盟国のメンツもあるのだよ」

 

須賀「そうでありました、とはいえこの被害はブリテン上陸作戦の延期があり得るのでしょうか」

 

大山「可能性はある」

 

パタン

 

伝令「伝令、ドイツ軍総司令部からです」

 

大山「これはなんと!」

 

参謀長「いかがなさいましたか司令」

 

大山を驚かした内容は上陸作戦を延期ではなく繰り上げ8月15日日の日付変更とともに行うとの事であった、四季島皇国軍もその1翼としてブリテン島南東部プリマス制圧を要請する、電文にはそう書かれていた。また海軍戦力は全力でスカパ・フローに展開するブリテン本国艦隊残党とリバティリア大西洋艦隊を引き止め依頼がされていた

 

大山「ラ・ロシュルに停泊中の角田機動艦隊を直ちに出撃させろ、目標はスカパ・フロー泊地の連合軍艦隊第8艦隊も急ぎ急行、本国から来た援護の艦隊は上陸支援だ急げ、作戦決行は8月15日午前零時丁度」

 

援護艦隊それはマーシャル沖海戦で鹵獲したノースカロライナ、アラバマ、ミズーリを中心に戦艦3軽空母2重巡洋艦1軽巡洋艦2駆逐艦8海防艦8で編成された鹵獲艦を中心とした艦隊であった、艦隊の中で四季島製艦は軽空母と軽巡洋艦それに海防艦のみで残りはマーシャル沖やそれ以前の海戦で鹵獲したリバティリア海軍の艦艇であった

 

参謀長「なんですと、繰り上げ、そんな馬鹿な」

 

須賀「おい、ラ・ロシュル泊地に暗号電急げ」

 

海軍士官「は、はい」

 

大山「柴田中将の海兵上陸団の乗船用意急げ」

 

参謀長「はい、直ちに」

 

 

ラ・ロシュル泊地第3機動艦隊旗艦空母白鳳艦橋

 

伝令「伝令、欧州方面軍司令部からです」

 

角田「なに、これは」

 

幕僚「閣下いかがなさいました」

 

角田「半舷上陸中の連中を呼び戻せ、艦隊出港、目標はスカパ・フローに居る敵艦隊主力、作戦が早まった」

 

幕僚「た、直ちに」

 

 

サン=マロ海兵上陸戦闘団本部

 

柴田「これは参謀急ぎ乗船用意、上陸が早まったぞ日付は8月15日午前零時丁度ブリテンの連中の土手っ腹に蹴りを御見舞するぞ」

 

参謀「はい」

 

 

上陸作戦の遅延を狙った連合空軍の爆撃は結果としてヒトラーの逆鱗に触れ逆に早まる事となった


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