間違いなく自分以外も思いついてる。
異世界転生。
前世ではフィクションの中で大流行し、一ジャンルにまでなったそれを、まさか自分が体験するとは思わなかった。
幸いにも、両親に連れられて歩いた街中はビル立ち並ぶ現代の都市。街の外にモンスターが出るということも無く、前世に近い日本の日常があった。
まぁ馬という生物が存在せず、代わりを務めるかのように「ウマ娘」なる人種?がいたことにはえらくビックリしたものだったが。
ウマ娘。正式なメディアミックスタイトルとしては、ウマ娘 プリティーダービー。
前世において、ヒットメーカーCygamesによって製作されたメディアミックスプロジェクトで、そのアニメやゲームに登場していたキャラクター達の総称でもある。
ウマ娘とは、単に前世で居た馬に互換する存在にあらず。彼女達は、別世界を生きた競争馬達の魂を継ぐ者。
故に生まれた時点から既に名前を持ち、またその名は前世を持つ自分にはどこかで聞いた覚えのある名前であった。
彼女らの存在が前世になかったから惹かれたのか、あるいは前世知識にあるその名前が前世を忍ばせてくれるからか。自分でも驚くほどウマ娘という存在にのめり込み、気づけば大学の専攻はウマ娘学。
在学中はトレーナー資格の課程を受講し、現役や引退したウマ娘のお姉さん達に指導を受ける充実した日々を過ごし。
そのまま資格を取得し、晴れてウマ娘のトレーナーに就職したのだった。
そうして日本ウマ娘トレーニングセンター学園、略してトレセン学園に着任し、やたらと若く見える理事長の訓示を受けてからしばし。
自分は理事長秘書の駿川たづな氏に連れられて、学園内の体育館まで歩いていた。今日はそこで、自分が担当するウマ娘との顔合わせをするのだという。
未だ名前も教えてもらってないが、自分が育成する事になる初めてのウマ娘だ。緊張からか、汗が滲むし喉も乾く。
「さ、着きましたよ」
早々に到着してしまい、駿川さんに声を掛けられる。頭が真っ白になっていた自分は思わずビクリと震えた。
ダメだ、こんなことではいけない。
確かに自分はトレーナー成り立て。大学を出たばかりで実践経験ゼロの頭でっかちだ。
だがそんな事は受け持たれるウマ娘には何の関係も無い事だ。
彼女達は自分が指導を受けてきた成熟したウマ娘達とは違う。これからトレーナーの指導を受けて夢に向かって走り出そうという子供達だ。
ただでさえ新人に担当されると聞いている彼女達の前に、ガチガチに固まったガキが出て行ったらどう思われるか。
夢を叶えられるか不安を覚えるだろう。あるいは反感を覚えて、自分の存在が彼女達の足枷になってしまうかもしれない。
ダメだ。そんな事はあってはならない。
指導してくれたウマ娘のお姉さん達からも言われていたじゃないか。
色々なトレーナーと仕事をして来た中で、一番嫌だったのは自信が無い事をウマ娘に見せてしまうトレーナーだった。自分すら信じられない相手の指示に従う不安はとても大きく、恐怖ですらあった、と。
学園の後輩にそんな思いはさせないでくれと話してくれた時の彼女らの顔を思い出す。
震える自分に喝を入れ、扉に手を掛けたまま待ってくれていた駿川さんに笑いかける。
「すみません、お待たせしました。…もう大丈夫です」
強がりだろうと、笑顔になった自分を見て、駿川さんも笑ってくれた。
そうして扉をノックし、部屋の中に声をかける。
「トレーナーさんがいらっしゃいましたよ」
そう言って、ついに扉が開けられていく。
室内には、トレセン学園の制服を着た三人のウマ娘達が待っていた。
一人は綺麗な栗毛で、前髪から後ろまで中心付近が白いラインのように白髪になっているウマ娘。なぜか背中に西洋剣と盾を背負っている。
大きく目を見開いて、腕を組んでこちらを正面から見すえる姿からは自信と警戒が同時に伺える。
次の一人は長い赤毛のウマ娘。燃える血を思わせるような真っ赤な髪で、切長の細い目をしている。
身長も高く、横を向いたまま視線だけをこちらによこす姿からは、怜悧な印象を受ける。
最後の一人は青い髪で、前髪だけが黒色。さらにそのなかの一房だけに銀色のメッシュが入ったウマ娘。
緑の瞳をこちらに向けて微笑む姿からは、優しさを感じられる。
…彼女達が、自分が担当するウマ娘か。
「それでは、ご紹介しますね。こちらが、あなた達を担当してくれるトレーナーさんです。新人さんですが、優秀な成績でライセンスを取得し、学園OBのウマ娘さん達からも評価されてる有望株ですよ!」
扉を閉めた駿川さんが声をかける。
これから、彼女達との生活が幕を開けるのだ。
「そして、彼女達があなたが担当するウマ娘達です。順番に…」
さぁ不敵に笑え、自信を無理にでも捻り出せ!
自分は、いやさ俺は新人なれど優秀なトレーナーだと自分を鼓舞しろ!
彼女達を夢に向かって不安なく走らせる為に、その為にこそ俺の全存在はあるのだからーーー!
「栗毛の子がエポナちゃん」
「ふん、せいぜい頑張んなさいよ!」
「なんて?」
「赤毛の子がセキトバちゃん」
「どうも、呂布です」
「なんて??」
「青い髪の子がユニコーンドリルちゃん」
「よ、宜しくです…」
「なんて???」
「以上三名が、あなたに初めに担当してもらうウマ娘達になります!」
目をまん丸に見開いて、背後に宇宙を背負って思考する。
ウマ娘とは、単に前世で居た馬に互換する存在にあらず。彼女達は、別世界を生きた競争馬達の魂を継ぐ者。
故に生まれた時点から既に名前を持ち、またその名は前世を持つ自分にはどこかで聞いた覚えのある名前であった。
確かに聞いた覚えのある名前だ。むしろ競走馬の名前以上に聞き覚えがある。
確かに馬の名前だ。若干二名純粋な馬かというと首をかしげるが、まぁ馬の形というか馬属性ではある。
だが、だがしかし。
「えぇー…?」
これって、ウマ娘なん?と。
当初とは全く別の困惑を抱いたまま、自分のトレセン学園での日々が幕を開けたのであった。
続かない。
前書きの通り一発ネタ。
だから他の人も書いても大丈夫よ?
実はさらなる候補としてフウウンサイキちゃんというネタもあったのだが、pixivに素晴らし過ぎる先人がいた上、何回書いてもビジュアルイメージが上回れなかったから泣く泣く没にした。
以下、設定
○エポナちゃん
元ネタ:ゼルダの伝説シリーズ
ゼルダの伝説シリーズに登場する駿馬。
主人公である勇者、リンクの愛馬。
初出が特に有名な時のオカリナのため、割と知名度がある子。
背負っているのはマスターソード(レプリカ)とハイリアの盾(レプリカ)。
性格がツン気味なのは、時オカ版のエポナの歌を吹けないやつには暴れ馬だった所から。
前世で64版やってたトレーナーは吹けるけど、騙すみたいだからやりたがらないと思われる。
○セキトバちゃん
元ネタ:赤兎馬(FGO)
Fate/GrandOrderに登場する英霊。
三国志由来故に数多くの赤兎馬がいる中で、多分トップクラスにぶっ飛んでるUMA。
少なくとも作者は人馬一体して呂布を名乗るケンタウロスなんてもんは他に知らん。
ウマ娘の髪色法則に則れば茶髪になるはずだが、赤髪なのは汗血馬の伝承を優先させたため。
台詞は「問おう!あなたが私のマスターか!?」と迷ったが、一発であのUMAだとわかる方にした。
CVはグリリバかもしれない。
○ユニコーンドリルちゃん
元ネタ:GEAR戦士電童
GEAR戦士電童に登場するデータウェポン。
見た目は青いメカ一角獣。
敵のウィルスで死にかけたり、復活時に仲間のライオン型データウェポンのレオサークルと合体して超パワーアップしたり、データウェポンの中でもメイン格の子。
スーパーミニプラ電童、ユニコーンドリルとレオサークル付きのデータウェポンセット、絶賛発売中!
気弱そうなのは作者が元ネタを見たのが放送当時で記憶が怪しい所に、別のユニコーンのイメージが流入したため。
真面目に続きを書いたら多分一番性格が変わる。