ボールで行く宇宙世紀 ~MSがなんぼのもんじゃい~   作:ゴールド龍

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どうも、ゴールド龍です。性懲りも無く新しい作品を投稿しました。まだ続けてる作品が2つもあるってのに·····まあ、そっちも完結まで行けるようちょこちょこ更新していくつもりなので、応援よろしくです。尚更新が早いとは言ってない(白目)
不定期更新にはなりますが、こちらの作品も良ければどうぞ。


始まり、そして急襲

 

 皆さんは、RG-79 ボールと言う機体をご存知だろうか。そう、RGM-79 ジムの支援用兵器として作業用MP(モビルポット)として使用されていた物に軍用装備を付け、即席で数を揃えられる兵器として開発された機体だ。

 ·····しかし、現場の兵士からの評判は「無いよりマシ」「棺桶」「これでどうするの?」等散々である。

 

 しかし、俺はこの事に意義を申し立てたい! よく考えてみてくれ、武装として取り付けられているのは低反動180mmキャノン砲一門1つ·····他の奴らはたったこれだけかよと思うだろうが、正直これだけでも充分やれる。

 

 何せ60mmですら従来の兵器より倍近い口径で、普通にMSを撃破した事例だってある。そこから180mmの砲弾·····昔とかだったら戦艦などの主砲や副砲として使用されていた口径だぞ? これでMSが撃破できないわけがない。

 現在敵となっているジオン公国が使用している主力MSは、MS-05B ザクⅠ、又はMS-06 ザクIIだ。そして奴らの装甲の素材は超硬スチール合金·····分かりやすく言えば硬くて厚い合金で出来た鉄板だ。

 

 通常戦車などで使用されている弾薬の種類は、基本的にHE弾(榴弾)AP弾(徹甲弾)が標準的に使用されている弾薬の種類だ。

 さて、昔の戦車で標準的だった口径の100mm程ののAP弾の貫徹力は、大体50~60mmの鉄板を貫通させる事が出来る威力だ。

 

 そこでこれらの事を踏まえ、皆さんに質問です。宇宙世紀0079の技術力で180mmのAP弾を作った場合、撃ち抜けない装甲は有るでしょうか? 

 答えはルナチタニウム合金であっても、ダメージを防ぐ事は出来ないんです。

 

 だって180mmのAP弾だよ? 普通考えたら余裕でザクの装甲なんて撃ち抜けるもんだろう。それなのにボールに乗ったことがある奴らは、こんな棺桶で戦えるかよなんて抜かしやがる。

 

 だから俺は決めたんだ。このクソッタレの戦争を、ボール一機で戦い抜けるって事を証明してやるってね。

 

 

 

 

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 ───スロットルペダルを踏み、一気に速度を最高速まで上げていく。周りの景色を置いていく様に、全速力で。加速によって発生するGを体全体に感じながら、ただ眼前を見据える。

 

 操縦桿を握る手が汗ばむ。やれると分かっていても、やはり敵の攻撃時はいつも緊張する。·····大丈夫だ、いつも通りやれば勝てる。

 

『───敵艦隊迄の距離、凡そ4000を切りました』

 

「·····ああ、了解だ。準備はとっくに終わってるぜ」

 

『·····ご武運を、先輩』

 

 その言葉を聞きながら、俺はコクピットの上部に取り付けられているスコープを下ろし敵艦に照準を定める。

 

「おう、戦果は期待してくれていい。───レイピア1、エンゲージ!」

 

 

 

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「───なにぃ、ハルバートが沈んだだとぉ!?」

 

「一体何処からだ!? 敵の反応なんて無かった筈だぞ!!」

 

 敵艦隊の旗艦に所属しているクルー達は、今現在混乱の状況下に置かれていた。何しろ、レーダーには何も反応がないにも関わらず艦隊の1隻であるムサイ級ハルバートが沈められたからだ。

 

「くそっ、一体何にやられたってんだよ!?」

 

「ビームの曳光が見えなかったから、多分実弾だが·····どこの方角から?」

 

 クルーの1人がそう呟くと、レーダーから警告音が鳴り響く。警告音が鳴るという事は、敵機が近づいている証拠だ。一体反応は何処からかと大急ぎで確認するクルー。

 レーダーを確認すると、反応は自艦のアイコンと重なっている。

 

「おいおい、マジかよそういう事かよ·····ッ!?」

 

「おい、どうしたんだってんだ?」

 

「敵機接近、()()()()()()()()!!!」

 

「なんだと!? たっ、対空砲火急げ!! 奴をこれ以上近づけるなぁ!?」

 

「いや、駄目だ間に合わ·····っ!?」

 

 その瞬間、艦橋は爆炎に包まれ爆発した。

 

 

 

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「──よし、上手くいったな」

 

 アクセルペダルを踏みながら俺はそう呟く。俺が敵艦隊に対して取った戦法はたった一つの簡単な事だ。

 敵艦隊の直上からの急襲し一旦離脱·····要するに一撃離脱戦法をそのまんま行ったって訳だ。

 

 流石にボールで真正面から攻めるってなると色々と厳しい物がある。いくら腕が良くても、弾幕を張られてしまうと落ちる可能性が増大するからだ。

 その為、敵の意識外からの奇襲が1番この機体に合っている。当たれば落とす事が出来るし、落とせなくても機動性で翻弄すればチャンスは必ず訪れる。しかも一撃を加えている場合だったら幾らでも付け入る隙が多くなるしね。

 

「──HQ(ヘッドクォーター)、こちらレイピア1。初動でムサイ級1、チベ級1の撃沈に成功した。恐らくチベ級は指揮艦だと思われる。指揮系統の混乱が見受けられるので、このまま敵艦隊への攻撃を続ける。どうぞ(オーバー)

 

『──HQ了解、恐らくMS隊もそろそろ出撃する頃合なのでそこに注意して下さい』

 

「レイピア1了解。帰ってきたら祝杯の用意を頼む·····終わり(アウト)

 

 通信を終えると、ある程度加速する為の距離が取れたので機体側面にある姿勢制御用のブースターを点火。駒回しのように機体を動かし、敵艦隊の方向へ砲身を向けアクセルペダルを踏み再加速する。

 

 次の攻撃で出来れば2隻持っていきたい。しかし艦底部からの攻撃となるので攻撃する位置には細心の注意を払い、一撃で轟沈まで持って行ける箇所への射撃を出来る様にする。

 

 現在敵艦隊で残っている艦艇はムサイ級が2隻のみなので、主砲等が固められている艦首と艦橋の中心となる部分への攻撃となる。

 何故そこに攻撃するかと言うと、丁度中央部分には主砲のメガ粒子砲だけではなく艦艇用に用意されて言う対艦ミサイルが積まれているので、その対艦ミサイルの誘爆を狙う為だ。中心部分だから、エンジンを狙うよりかは誘爆によって撃沈しやすかったからという経験から来ている。

 

「お、敵さんもやっとMSを出てきやがったか。·····まあ、今更遅いがな」

 

 敵もMSを出してきたが、もう俺の射程範囲内だ。このまま奴らの帰る場所を無くしてやるってね。

 

「照準·····よしっ。くたばれやジオン野郎ぉ!!」

 

 照準が合ったので、そのまま引鉄を引く。発射された2発の180mmAP弾(徹甲弾)は、勢いよく2隻のムサイ級の中央部分に着弾。綺麗に対艦ミサイルの貯蔵庫に着弾したのか、激しい閃光と爆発と共に真っ二つになって爆散した。

 そのまますれ違いざまに出撃していたザクに砲弾を撃ち込めるが、一旦はスルーして通信を取りその後の判断を仰ぐか。

 

 一応作戦では小規模の敵艦隊の侵攻の阻止、もしくは可能ならば敵艦隊の撃滅だしな。敵だから撃っても良いんだろうが、弾だって無料(ロハ)って訳じゃねえしジオンだったらなんでも落とすって訳でもないからな。無駄に血を流すより、必要な分だけ血を流した方がいいからな·····まあ、軍人にしちゃ甘すぎる考えだって理解してるけど。

 

「──HQ、こちらレイピア1。2度目の接近で敵艦隊の全滅に成功したのでこれから帰還する。尚、まだ護衛に出てきたMSが残っているがこれの対処はどうするか判断を仰ぎたい。どうぞ(オーバー)

 

『──HQ了解。こちらとしては、作戦は成功しているので無用の戦闘は必要ありません。このまま帰還して下さい·····お疲れ様でした、先輩』

 

「(まあ無駄に血を流す必要は無いし、これでいいか。んじゃ帰るかね)レイピア1了解、このまま帰還する。終わり(アウト)

 

 通信を切り、自分の母艦(ホームグラウンド)の方角へと回頭しペダルを踏み込み帰還する。取り残された奴は運が良ければ拾ってもらえるだろうが·····まあ、そればっかりは運だから気にする事も無いか。第一戦争してる相手を心配するなんて普通はしないか。

 

 ·····まあ、望んで戦争なんかしようと思う馬鹿ばかりじゃねえしな。そこはしょうがねえかな? 俺だって守りたいもんが有るからから軍に志願したしな。

 

 さーてと、早く帰りますか。戦闘後のビールが俺を待ってるってね。

 

 

 

 

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 ───戦闘から凡そ2時間程。偵察に出ていた艦隊からの通信が途絶えた宙域から救難信号が届く。その為救援艦隊が戦闘をしていた宙域へと派遣された。

 

 救援艦隊が辿り着くと、そこには撃沈されたチベ級とムサイ級の残骸と、取り残されていた護衛のMS隊を発見した。何とか生き残っているMS隊を回収し、まだ生存者がいるかの捜索が行われたが、最終的に生存者は残されていたMS隊のパイロット達のみである事が確認され、救援艦隊は帰還する事となった。

 

 当然、何故艦隊が全滅したかの状況確認が行われ、MS隊のパイロット達に確認を取る。そして、生き残ったパイロット達は全員が口を揃えてこう言った。

 

 

 

 ────漆黒のボール1機に艦隊は全滅させられた、と。

 

 

 

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