ボールで行く宇宙世紀 ~MSがなんぼのもんじゃい~ 作:ゴールド龍
あれから5、6分位した所だろうか、俺は何とか母艦へと無事に辿り着いた。いやー、特になんもアクシテンドも無かったし、戦果も上々だしまじで良かったわ。
何気に戦艦4隻撃沈ってかなり凄い成果じゃないか? これは何かボーナスとか期待出来るかもな。·····まあ、金が欲しいから軍に入った訳じゃないけど。もし生きて戦争を戦い抜けたら、先立つものだって必要だしいくら金があっても困らんがな!
『HQからレイピア1へ通達。受け入れ準備が整いましたので、ガイドビーコンの指示に従い着艦して下さい。今回は大戦果でしたね、先輩!』
母艦が近くなり、後輩からの通信が届く。よし、んじゃあさっさと着艦するか。
ボールの着艦方法は空母の艦載機の様にワイヤーを使用してフックに引っ掛ける着艦だ。何せボールにはMSみたいに足が無いし第一マニピュレーターだってそこまで精巧には動かす事は出来ないので、着艦方法は依託するしかない。操作を誤って母艦にぶつける訳にゃいけないからな。
「レイピア1了解。アレスティング・ワイヤーを確認した、このまま着艦する。今日の祝杯が楽しみだ、ビールは冷えてるか?」
『了解、着艦どうぞ。·····ええ、先輩の為に多めに冷やしてますよ!』
そりゃ有り難い。そう思いながら俺はアレスティング・ワイヤーにフックを引っ掛け着艦する。·····輸送艦のコロンブスだったらネットでの着艦だろうけど、サラミスだしね。
着艦すると、整備士達が俺の機体に近付き整備を開始する。今回は特に損傷はないが結構動かしたし推進剤の補充が必要だな。多分そこら辺を中心に見てくれるだろうから、まあ安心だな。
『お疲れ様です中尉。今回は損傷は見られないので、可動域の整備と推進剤の補充です。これが整備表です、確認お願いしますね』
「ああ、毎回助かる。·····OK、確認した。んじゃあ頼んだぜ」
宇宙空間なので、ヘルメットに内蔵されている通信機で整備長に返答し、整備表を確認する。いやー、マジで俺の活躍はこうやって腕のいい整備士が居るお陰だから頭が上がらん。今度の休暇には整備班の人らになんか奢らないとな。
さて、そろそろ艦内に戻らないとな。整備長に挨拶してから、俺は艦内に入る前にあるエアロックへと入る。そこでしっかりと閉じてからようやくヘルメットが取れる。
いやー疲れた疲れた。やっぱりヘルメット付けてると蒸れるもんでやっと開放されるって感じだな。
ノーマルスーツの首元も緩め、通路の手摺の近くにあるグリップを掴み艦橋へと向かう。一応作戦を終えたので報告と次の作戦等の確認に行かないといけないからな。これが終わったらビール飲んでゆっくりと英気を養うとしますかね。
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「·····やっぱり、改めて見ると凄い戦果。1人でチベ級とムサイ級を相手するなんて普通だったら難しい所じゃないのに、先輩はやっぱり凄い人だなあ」
こんにちは、私はルイス・ハルコンネンと言います! 私は地球連邦宇宙軍に所属しているオペレーターです。私の所属している艦には凄い人がいます。
その人の名前はアレックス・ベイカーと言う人で、私より5歳年上の先任中尉です。·····えっ、私? 私は今年で19になりますね。士官学校を卒業して、すぐにこの艦に所属になりました。
それで、その先輩なんですけど何処が凄いのかと言うと、なんとボール1機で既にMSは17機、艦船は今回のを含めると7隻落としているエースなんですよ!
なんてったってあのボールでMS所か艦船も撃破しているってのが凄い所なんですよ。ボールはRGM-79ジムよりコストが安いので、かなり配備が進んでいるんですけど現場の評判はあんまり良くないんですよね。『棺桶』なんて言われてる位には評判が良くないのに、先輩は違ったんです。
『あぁ、ボールはあまり強くないって? 馬鹿言うんじゃねえよルイス。ありゃ十分ポテンシャルを持ってる機体だ。全然戦える機体だ、使えないって言ってる奴はただ単に腕が無いってだけさ』
そう言った後の戦闘では、先輩はザク相手に怯むこと無く戦い3機のザクを落としました。あの時は驚きましたねえ、ボールにはあんな戦い方が出来るなんて思いませんでしたもん。
確か基本は奇襲がメインの戦術って先輩は言ってたんですけど、全然近接戦闘出来てたんですよね。私初めて見ましたよ、アンカーを使って敵を拘束してから零距離射撃する光景なんて。
あの時からでしょうか、ボールの見方が変わりましたね。先輩と別の部隊のボール乗りと演習する時があったんですけど、相手のボールのパイロットは先輩より強くないなあって正直思いました。·····まあ、先輩の腕がおかしい位上手だけなんですけどね。
話を現在に戻して、今私は何をしているかと言うと先輩のビールのおツマミ作りに厨房に来ています。先輩曰く、「ルイスが作ってくれたツマミが1番酒に合う」との事。私が来る前は先輩でおツマミを作ってたらしいんですけど、ここまで上手くは出来なかったから凄い嬉しいとも言ってました。
事の発端は、確か私がここに他のクルーと一緒に着任した時、先任のクルーの方々が歓迎会を開いてくれたんです。
んで、その時に全部作ってもらうってのも何か申し訳ないなあと思い、幾つか料理を作らせてもらったんです。元々趣味でよく色々な料理を作っていたので、かなり良い出来のものが作れた自信がありました。
そこでさて食べるぞーとなった時に、先輩が「この料理を作ったのって君かい?」と尋ねてきたんです。
そこで私がはいと答えたら、「君が良ければなんだけど、これから酒を飲む時に偶に作ってもらうのってのは出来るかな?」と頼まれて、そこから作るようになっていったんですよね。
そして作戦終わりにはこうやって私がおツマミを作って先輩へ持っていくのが最近の習慣になっています。
私としても軍属となるとあまりキッチンに立つ機会も少なくなるし、作っても自分だけしか食べないと思うから先輩が食べてくれるんだったら第三者の意見とかも聞けそうなので渡りに船って感じだったので丁度良かったと言うのも有るんですけどね。つまり互いにとってwin-winの関係ってやつです。
「先輩、おツマミが出来ましたよー?」
「おっ、待ってたよ。いやー活躍した時はやっぱりこれに限るなぁ。·····ぷはぁー!! 生き返るねえ!! おツマミも凄い美味いし、生きてて良かったわ!」
出来上がったおツマミを先輩に渡すと、先輩は顔を緩ませながらおツマミとお酒を飲んでいく。·····うん、やっぱりこうやって喜んで貰えると作った甲斐が有るし、とても心が温まって心地がいい。
「良かったです、お口にあって。それで先輩、今回の戦闘はどうでしたか?」
「·····まあ、一言で表すってんだったら“予定通り”ってとこかな? しっかりと初動で敵旗艦も落とせたし、必要以上の弾薬消費もしなかった。更に言えば無傷でってのも付くからな」
「そうですか·····確かに凄い戦果ですし、1番効率がいい結果でしたしねえ。そう言えば先輩、あの後残された敵MS隊、どうなったんでしょうね」
「·····俺達は連邦軍だ。敵の心配なんてする事じゃ無いぜ?」
「それでも、ふとそう思ったんです。敵だって言うのになんででしょうね·····」
私がそう言うと、先輩は手に持っていたビール缶を置き視線を私に向ける。そして、真剣な表情でこう言った。
「ひとつ言っとくが、お前は優し過ぎるよ。本来だったら殺し合う同士、気にかけるなんてもってのほかだ。·····まあ、人としては間違ってないと思うからお前はそのままで良い、と思う。その心を忘れるなよ、いいな?」
「──はい、分かりました先輩!」
「──ふっ、そうかそうか·····さて、気を取り直してもう一杯飲むかな?」
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「·····なるほど、了解です。では次の作戦は新型の護衛、と」
あれから少しして、俺は艦長室に呼び出されて次の任務について艦長から知らされた。にしても護衛任務ねえ。まあどんな任務でもやり切るってのは当たり前だし、上官の指示には絶対だしな。
「にしても俺を指名ですか。俺が誇れる所って言ってもボールの操縦位ですよ?」
「まあそこに関しては、今までの任務成功率も鑑みて君が適任だと上は判断したらしい。さて·····他に質問は?」
「それじゃあ·····その新型兵器ってのは何なんです? 戦艦、それともMSですか?」
粗方予想はついてるが、一応確認を取る。
「その両方ともさ。新造艦のホワイトベースと言うのと、新型MSの護衛と伝えられている。流石にそのMSの詳細は伝えられていないがね」
「そうですか、MSは機密事項って事で情報統制されてるって事ですか。後は質問と言っても特にありません」
やはり
「そうか、では予定では09.15に彼らは出航との事だ。その為我々は先んじて途中で寄港する事となっているルナツーへ向かう。アレックス中尉は、作戦に備え用意をしておくように·····以上だ、席を立って貰って構わない」
「了解しました、任務を遂行出来る様全力を尽くします。──それでは、失礼しました」
「うむ、よろしく頼んだぞ」
そう言うと、俺は艦長室を後にする。さーてと、此奴は結構大仕事になりそうかな? まあ、兵士として全力を尽くすのみだ。·····無事に遂行出来りゃいいけど。
「さてと、鬼が出るか蛇が出るか。どうなるもんかな·····?」