ナーヴギア(SAO同梱版)約13万円は中学生には金額的にキツいです…… 作:山田ヘイタロウ
茅場晶彦の電話があった翌日。
和人が寿家にやってきた。
先日、招待したからだ。惣弥としては和人を家に上げることにとても緊張していた。まるで芸能人に初めて会うかの様な気分というべきか。
「ほら、上がってくれ」
キョロキョロと周囲を見回す和人に家の扉を開けて促す。
「あ、ああ。お邪魔します」
惣弥は和人を居間に通すと「今、お茶とか持ってくるから」と言って一時退室する。
「(そう言えばあの日は勢いで誘ったけど、特に何かする事も無いんだよな……)刀見せてハイおしまいってアレじゃないか?」
確かに先日、ナーヴギアを見て色々と考えを巡らせた結果、直ぐに帰ってしまった惣弥ではあるがそれはそれだ。
「お待たせ。苺大福食べれるか?」
「問題ないよ」
「良かった。はいよ、と」
湯呑みに注いだお茶と苺大福を乗せた皿を木製のテーブルの上に置く。
「これって……」
結構良い値段するんじゃないのか。
と、和人の顔が惣弥には若干曇った様に見えた。
「寿家御用達の和菓子屋……個人的に気に入ってる場所なんだよ」
祖父がよく菓子を買ってくれていた場所だからというのも大きい。
「遠慮すんなって(てか、食べてもらわないと、俺のおもてなし計画が……)」
「……それじゃ、いただきます」
惣弥の言葉に従って和人は苺大福を口に運び、一口噛み切った。
「ん、美味い」
「だろ!」
惣弥は得意げに笑う。
「……桐ヶ谷さん」
「なんだよ改まって」
突然に敬称をつけて名前を呼べば和人は困惑した様な顔をする。
「この居間を見て分かったと思うけど、この家には遊べる様な道具が何もない」
「……はは」
居間にゲーム機材などと言うものはない。
あるのは型の古いテレビだけだ。何よりもゲームは最近購入したが数人で遊ぶものでもないとしており自室にしまい込んでいる。
「そう言えば家に入る前に台が何個か外に並んでるのが見えた気がしたんだけど」
和人は気になっていた事を惣弥に聞いてみることにした。
普通の家であればまず見ることのない様な物だ。
「ああ。あれか……あれは巻藁台。ほら、居合とかで巻藁切るやつあるだろ? その巻藁を乗せるやつ」
試し切り用として設置されているものであり祖父の死後も度々、試し切りとして巻藁を切ると言う事はしている。
「流石に居合とかは出来ないけど……刀とか見せれるものはあるから」
見てくか。
惣弥は和人に提案する。
「見ても大丈夫なのか?」
「危険はない様にする」
例えば刀身に触れたりだとか。
刀を片付け仕舞い込んだのは外にある小屋だ。
「その苺大福食べ終わったら案内する」
和人の食べかけの苺大福を見て言った。
「こっちだぞー」
小屋の中にはズラリと鞘に収まっている刀剣の類いが並んでいる。それは祖父の物も有れば惣弥自身が鍛えた物もある。
「ま、何がなんだか分からないよな」
どの刀が凄いだとか、綺麗だとかというのは本来、当たり前に分かるわけがない。惣弥の目は少しばかり優れているだけだ。
「俺が造ったのはこっち」
和人に初めに見せたのは現代最高の刀鍛冶と謳われていた寿創建の刀だ。
「凄い」
和人の口からポロリと感嘆の言葉が漏れた。
「あんまり刀には詳しくないけど、俺と同じ年でこれだけの事をできてるんだ。凄いと思う」
「(これからキリトは六千人もの人間を救うんだから、それに比べたら)全然だよ」
苦笑いを浮かべ惣弥が言えば話はそこまで。SAO世界でのキリトの姿を思い浮かべた瞬間に、ヒースクリフの存在が強く主張してくる。
惣弥は茅場晶彦の見学の件も考えなければならないのだ。