軟禁して随分時が過ぎたってのに、ナミはそれに不満も言わねェ。仕方無く、用事を済ませるついでに少し連れ出してみたが1度は船を降りてニコ・ロビンと買い物に行ったが、他は船内で大人しくしている。
そんなナミがヒラヒラとした姿で顔を覗かせるから、珍しいとその姿を見る。助けられた恩とやらを感じているのは分かってるが、出会い頭の生意気な態度を思えば何とも言い難い気分になる。
「クロコ、あのね……七夕祭りしたいんだけど、船の上だから駄目かな?」
「……聞いた事ねェな。何だそれは」
不安そうに聞いてくるが、基本的にナミのやりたい事は、やらせてやるつもりでいる。願い事を書いた笹を夜燃やすと願いが叶うというお伽噺にのっとったイベントだと言うナミに、船が燃えないようにする方法はあるから構わねェと言えば嬉しそうに笑われた。
ニコ・ロビンは燃やす直前に取り付けるからと言っていたらしいから、参加するつもりらしい。警戒心の塊であるアレと打ち解けるとは中々に貴重な人材だなと笑いながら、手を出せばナミは短冊と呼んでる紙を見て困ったような顔をする。
「何色がいい?」
「拘りはねェよ。1番上にあるやつ寄越せ」
言えばナミは嬉しそうに俺に紙を差し出す。それに何と書くべきかと少し考えて、ふとナミに視線を向ける。
「……その服はどうした?」
「作ったの。おかしかった?久しぶりに作ったから自信ないのよ」
見慣れない装いだから何とも言い難いが……剥きたくなる衣服だ。素肌が見え無さすぎるのがいけないのだろう。
不安そうに見上げてくるナミに俺は溜息を落ときてから、軽く頭を撫でる。それだけでナミはホッとしたように笑うから、賢い奴だと思う。
「良かった……。ありがとう」
そう言って去ろうとするナミの腕を掴み、引き寄せれば、不思議そうに見上げてくる。そのナミに俺はニヤリと笑う。
「俺の織姫も、今夜は眠れないと理解しておけ」
それだけ言って腕を離せばナミは真っ赤にその顔を染めて、小さく頷くと船内に掛け戻って行った。その後ろ姿を見送り願いを書く。
〝小鳥が常に傍で囀り続ける未来を〟
何処に行く事になったとしても、ナミを手放すつもりは既に無い。いつか来る死という別れも、可能ならナミも共に連れて行く。
そう決めている。葉巻から立ち上る煙と笹の燃える煙の何が違うというのかと、願いを書いた紙切れを見ながら思うが、ナミが喜んでいるのだからそれで構いやしねェと思った時点で、俺も大分おかしくなっているのだろう。
今夜が楽しみだと、ナミの赤く染まった顔を思い出しながら、甲板で夜になるのを待つ事にした。そんな俺が夜になって目にしたのはナミの愚かな願い。
〝皆の願い事が叶いますように〟
なら、お前も……俺と同じ願いだと思わせてもらおうかと笑えば、ナミは小さく頷いて抱き着いてきた。今夜は、手加減できそうに無いなと、その髪を指に絡めながら考えた俺はおかしくねェ筈だ。