季節イベント(波間IF)   作:夢枕 七変化

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ルフィ、ロビンの話と内容がリンクしております。


イースター(参謀総長サボ)

 偶然近くにルフィ……いや、麦藁の1味が居ると聞いて船を動かすと、絶対偶然じゃ無い!!と騒ぐコアラがいる。でも、コアラもルフィには会ってみたい筈だ。

 分かってる。俺の可愛い弟に会うからと緊張して、照れて、それを隠す為に怒ってるんだよな。

 

 「コアラ、照れなくていい。ルフィに会いたいんだよな」

 「ねェ、なんでそんな意味のわからない言葉が私に向けられてるの?」

 「あ、ルフィは想い人がいるから狙うなよ?」

 「サボ君人の話聞く気ある!?」

 

 そんな事を言って笑ってると、突然視界が遮られるような濃厚な霧に包まれる。魔の三角地帯でもないと言うのに、なんだ?

 そう思っていたらコアラがフラリとその体を揺らした。そんな事は滅多にあるものじゃない。

 慌てて抱き止めたが、つらそうなその様子に霧に当てておくのも良くないかと考えて、だが船内と言っても舵がある操舵室しかない小さなこの船ではどうにも避難させられない。そんな時、霧の向こうにライオンの飾りがついた船が見えて来た。

 ……助かった!ルフィの船ならナミがいる。

 霧が晴れるのを待って船を近付ける事に決めると、見失わない程度の距離を保ち追いかけて行く。そんな時コアラが何やらモジモジと動くので、どうしたのかと声をかけようとした所で、コアラの頭上から生えてきたものを見て思考が止まる。

 ……可愛いけど、なんだこれ。いや、うさ耳なのはわかってるんだが……。

 そんな事を考え、直後に気付く。あの霧のせいかと。

 

 「コアラ、耳があるぞ」

 「サボ君、耳が無かったら人として生活するのが困難になると思わない?」

 「コアラなのに、兎の耳が生えてるぞ」

 「妙な事言ってな……ある。なに、これ」

 「だから、うさ耳だって言ってんだろ」

 

 それの言葉に混乱してなのか、その場で服を脱いで色々チェックを始めたコアラ。それに対して、これは何のご褒美なのかと考えて……ご褒美なら貰ってもいいよなと尻尾と耳の存在に慌てているコアラの唇を心ゆくまで貪った。

 そんな事をしていたら霧が晴れたので、身支度を整えてからルフィの船に乗り込む為に近づいて行く。流石にベッドすらない所でコアラを食えないと、キスで辞めた俺を誰かに褒めて欲しい。

 だと言うのにコアラはプリプリと怒っている。耳が感情を素直に伝えて来るから、間違いないだろう。

 コアラを片腕に抱いて船に飛び乗ると、掠れた声で俺を呼ぶ愛しい弟がいた。泣きながら飛び付いてきたルフィを抱きとめようとして、窒息死させられそうになったのはご愛嬌だろう。

 見た目は大きくなったのに、中身は変わらず……か。まァ、それはナミにも言える事みたいだが。

 何を言ってるのか謎に近いが、ルフィが話すそれを俺も可能な限り理解しようと耳を傾ける。その間にナミがコアラと仲良くなって、俺達がいくら探しても見つけられずにいたニコ・ロビンまで巻き込んで笑っていた。

 

 「兎が3匹、楽しそうだな……」

 「ルフィ、兎は匹じゃなくて羽で数えるから3羽な。……にしても、美味そうな兎だよな」

 

 注意した口で何言ってんだと言われそうだが、付き合い始めたもののまだキスしかしてない俺にはあの姿は猛毒にしかならない。俺はいま、明らかに飢えている。

 愛しい弟と、優しい姉がいて、どちらも打算なんてなく俺を愛してくれてるのが分かるんだ。だが……打算だらけな俺は、ただ1人の相手を見付けてしまった。

 彼女が……コアラが欲しいと心と身体が餓えている。だがそれと同時に、1度でも触れたらコアラがボロボロになるまで傷付けそうで怖いんだ。

 

 「ナミはやんねェし、ロビンは許可取れよ」

 「俺は姉を襲う趣味を持たねェし、弟の仲間に手を出す程節操無しじゃねェつもりだよ。そもそも……俺の兎はコアラだけだ」

 

 ルフィの言葉に無意識で返したが、これ、コアラが聞いてたらどんな反応しただろうか。そんな事を考えていたら、ルフィの仲間達が帰って来た。

 流石というか、ルフィらしいなと思わされる個性的な仲間達に笑えばナミが俺を紹介しつつ、そのメンバーの説明をしてくれる。それがまァ本当に簡略化された説明なのに、恐ろしくわかりやすい。

 分かりきってるけど1応と前置きして、大食らいの船長ルフィを紹介される。それに笑って頷けば、即座に他のメンバーを紹介してくれる。

 酒と寝る事にしか興味の無い剣士ゾロ、常識人である狙撃手のウソップ、女好きな料理人サンジ、皆のアイドル船医のチョッパー、1味の知恵袋考古学者のロビン、変態な船大工フランキー、人生経験豊富な音楽家ブルック。だが自分の事は、わかってると思うけどと前置きして妙な事を言った。

 

 「武器を手にしてない時は、平凡な村娘Aに毛が生えた航海士ナミよ!」

 

 それには揃って否定したが、本人は本気で言ってるらしく首を傾げていた。宝玉先生が何言ってやがると思いながら、そもそもルフィの手綱だろと思えばそれだけで相当だと思う。

 その内に仲良くなったらしい三羽が楽しげに料理をしに行けば、ルフィがソワソワしだす。本当に落ち着きのない弟を眺めつつ、この1味は全員曲者だなと思う。

 楽しそうなコアラの声が聞こえて、その中に俺の話題があればなんとも言えないむず痒さに襲われる。と言うか、俺の為にチョコ作ってくれてるのか。

 そんな会話の中でナミが呆れたような、でも優しい声でルフィの事を話していて……こんだけ分かりやすく愛されてりゃ、離れられねェよなと思う。俺はナミを女に見た事ねェけど、昔から2人は女としてしか求めてなかったもんな。

 そしてふと気づいた時にはルフィが俺のチョコを食っていて、コアラが作った物を食うとはとその首を絞めつつ叱るがゴムであるルフィに物理攻撃は無意味だった。だがこの可愛い弟に覇気など使えるだろうか?

 その答えは否だろう。それでも、コアラのチョコだぞ!?

 そんな葛藤をしつつ叱っていたらナミが飛んで来て2人がかりで叱る事になった。ソワソワしながら周りに気を取られるルフィを更にしっかりと叱ってから、俺も含めてコアラの耳が消えるまで世話になる事になる。

 その第一段として、俺達もエッグハントとやらに参加する。するといつの間にかルフィとナミ、ニコ・ロビンとフランキーの姿が消えていた。

 クルーに行方を尋ねると野暮言うなと返されて、暗黙の了解なのかと笑っちまうがそうなるとコアラが寂しがるなと足を向けた。そんな俺を倉庫っぽいところに連れ込んだコアラが、俺の為に作り直したと言うチョコを手渡してくれる。

 その気持ちが嬉しい。そう思って笑い、そっとコアラを抱き締める。

 Happy Easter……。愛しい兎を大切にしたいと男は本気で願ってる。

 不器用な青年と、鈍い兎がそのまま暫く姿を消していた為に残った男達がただひたすらに、何も分かってなさそうなチョッパーを気遣いつつイベントの食事を楽しんでいたのは当然だろう。誰もが大切な人の幸せを願う、これはそんな日常のひとコマだ。

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