季節イベント(波間IF)   作:夢枕 七変化

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2021年お正月イベント
正月21(麦わらのルフィ)


 深夜にナミが1人で、もそもそとベッドから出た。1年の始まりの日は絶対させないと言うナミに、ちぇー……と言って、その直前迄ならと手を出そうとして覇気を纏った拳を腹に入れられたのはご愛嬌だろう。

 でも、抱き枕にはなってくれたからそれで我慢しとく。元日はヒノカミサマを休ませる為に、料理もお風呂も駄目なんだから、付き合えないわよって言われた時の俺の気持ちを理解して欲しい。

 多分だけど……風呂に入れるなら、付き合ってくれたんだな。本当に、ナミは俺に甘い。

 そんなナミが、俺から離れて行くからそれを視線で追う。そんな俺にナミは気付かないで部屋を出たから、俺もロビン達にアクアリウムから戻れる事を伝える為に後に続いた。

 真っ暗な海を眺めるナミは、また何か異変でも感じたのかな。それとも、俺には話してくれない悲しい記憶と戦ってるんだろうか。

 1人で抱える癖をそろそろ治して欲しいけど、ナミが自分から言わない事を聞いても俺はムヅカシイ事は分からねェから、聞かないようにしてる。俺から聞いたのに何も出来ないとか、ムセキニンにも程があんだろ。

 そんな事を考えながらアクアリウムに顔を出せば、のんびりグラスを傾けたりして過ごしてる二人がいて、ロビンへと女部屋戻れるぞと声を掛けたらフランキーから憐れむような視線を向けられちまう。なんなんだ。

 

 「ルフィ……お前ェ……よく普通に寝るだけで耐えたな」

 「ん?ほら、ナミが駄目って言う時は、本当にダメな時だからよ。それに、俺はナミの傍に居られるならそれだけで良かったりするし」

 「……ま、眩しい。目がァ!!」

 

 突然目を抑えてのたうち回るフランキーに、朝日がもう昇ったのかと思って周りを見てみるけど、特に眩しいところは無い。ってかよ、アクアリウムって光も届かないよなと首を傾げたら、ロビンが気にしないで良いわよと言いながら視線を外に向ける。

 それにより俺はナミの事が気になって、伝える事は伝えたからと表へ飛び出した。1人にしとくとろくな事ねェんだもんよ、ナミって。

 甲板では、髪を風に靡かせて朝日を見詰めてるナミがいる。その姿が光に溶けちまいそうで……少し焦っちまう。

 

 「あけましておめでとう。今年も1年、平和でありますように」

 「ナミ」

 

 消えないでくれと願うように呼び掛けた俺に、少し驚いた様子で振り向くナミ。それから少しだけその表情を歪ませて、俺に向かって足を動かす。

 じっとしていれば寒かった……と言いながら抱き着くから、そっとその細い身体を抱き締める。その時にあまりにもナミが冷たいからギョッとして大きな声が出ちまう。

 そんな声に反応してか、男部屋からコソッと顔を出したのはチョッパーで、でも、それを気にかける余裕なんて無い。それとも、チョッパーにみせるべきなのかな?

 

 「ナミ、冷えすぎだろ!?大丈夫か?」

 「ありがとう、大丈夫よ。ルフィがいれば、大丈夫」

 

 そう言って顔を上げたナミは、笑っている。けれど、その身体は確かに震えていて……昇る朝日を見て、エースでも思い出したのかなと思う。

 喪う事に臆病過ぎるナミは、きっと今もエースを助けた功績とかは少しも自分の中に抱かずに居るんだろう。そんな事を考えてる俺に、ナミは作り笑顔を向けて来るから眉が勝手に寄っちまった。

 

 「ナミ、部屋に帰るぞ」

 

 俺の言葉に微かな戸惑いを見せたけど、ナミは逆らうこと無く着いてきたのでふと視線を向けてみる。すると優しく微笑んだナミの、その理由が分からなくて首を傾げた。

 そんな俺に気付いていながら、ナミは悪戯に笑いながら唇だけで俺にナイショと言うから、俺もお仕置だと無言で伝えてやる。それに驚きはしても抵抗せずに受け入れようとするから、俺はナミにお仕置として、逃がしてやらねェと言いながら抱き締めれば身体から力を抜いちまう。

 その内にナミが甘えるように擦り寄り、身体の震えを止めるから……俺も漸く普通に呼吸ができるようになった。俺が強くなるのは、大切なものを何も失わない為だから。

 

 「もう、寒くないか」

 「うん、ありがとう」

 

 幸せそうに笑うナミを見て、無意識で腕に力を込めちまう。それが痛くない筈も、苦しくない筈も無いのに、ナミは愛しそうに俺を見詰めるから……そっとその唇を奪おうと……。

 

 「ナミ、あけましておめでとう!って、ルフィまだ居たの?」

 「ロビン……」

 「部屋に戻っていいと言ったのは、ルフィでしょ」

 

 そう言って笑った後で、ロビンは当然の事としてナミを奪い去るから俺は小さくなっていじけるしかできなかった。そんな気持ちのままサンジの所へ行けば、朝日は登りきってもいないのに美味しそうな料理が並んでいる。

 美味そー!!と叫びながら手を出せば、サンジからまだダメだと手を払われちまう。ちゃんと全員が揃って挨拶してからだと言われれば、ゾロやブルックを呼びに行ったのは当然だ。

 ゾロは見張りって名目で修行してるし、ブルックは楽しそうになんか演奏してる。そんな自由で変わりのない彼等を飯だぞと呼びながら、俺は集まった所で声をかけた。

 

 「あけましておめでとう!今年もよろしくな!さァ!!宴だァ!!」

 

 1年の終わりが宴ならば、1年の始まりも宴だ。それにより俺達はどんちゃん騒ぎの元日を楽しみ出す。

 ただ、ナミの傍にはロビンが常に居てなかなか傍に行く事もできないのが苦しい。だから様子を見ていて、ロビンが飲み物を取りに立った瞬間にナミの元へ行こうとしたら、その隙にチョッパーが本を抱えてナミに近付く。

 

 「ナミ!この本なんだけど……」

 「んー?あぁ……明後日には続編書き上がるから、早ければ来週には続刊が書籍になる予定よ」

 「続刊あるのか!?」

 「推敲が終わって問題が無ければ、すぐに出版される予定だから……多分大丈夫よ」

 

 何がどう大丈夫なのか俺には分からない。とりあえず発売される時にナミの所に1冊は届くらしいから、チョッパーはそれが手に入れば暫くナミから離れてくれるよな。

 ロビンもチョッパーとそれ、読んでてくれねェかな。俺からナミを奪わないで欲しい。

 

 「でもよ、この本達はどこから発行されてんだ?」

 「必要に応じて引っ越しながらやってるから……偉大なる航路のどこかの島ってしか言えないわね。どうして?」

 「書けてから出版までが凄く早いし、発売される地域の順番が時々変わるから気になったんだ」

 

 そんな事を話して楽しそうにしていて、邪魔できないかなと諦めようとした時、ナミがチョッパーを胸に抱き締める。……その、胸に押し付けるような抱き方の癖、直してくれねェかな!?

 言葉に出せない苛立ちが俺を包んだ直後、そのままの状態でナミはロビンとも仲良く会話を初める。その上で、チョッパーを抱いたままで手が使えないからとロビンがナミにお節とか食わせ始めるから、なんか……狡ィ……。

 

 「二人とも狡ィ!!」

 「ルフィも食べさせて欲しいの?」

 「ルフィも抱かれたいのか?」

 

 ロビンとチョッパーが同時に首を傾げ、ナミはモグモグと口を動かしている。……可愛いな、ナミ。

 つい、ナミを凝視しちまったけど、その間もロビンとチョッパーがナミから離れない。ナミは俺のなのに!!

 

 「ナミは俺のだぞ!!」

 

 俺の言葉に皆の視線が突き刺さる。その時、ナミが当然のように笑った。

 

 「今更何言ってんの。ここにいる皆が、ルフィの仲間でしょ」

 

 穏やかで優しい声を出すナミに、そうだけどよぉ……と言えば、フランキーが笑い出して、サンジが慰めるように肉を用意してくれた。ウソップは呆れたような眼差しで俺を見て、ナミに通じる訳ねェだろなんて呟いて、それにゾロが頷く。

 それを受けて、俺はナミを二人から奪い返そうと手を伸ばす。それにナミは不思議そうにしながらも抵抗しないから、俺は漸く大切な存在を奪い返した。

 ブルックはそれを見て楽しそうに演奏を開始して、ナミはそれを受けて俺の腕の中で歌い出す。そんな平和で幸せな時間が、俺の年明けだ。

 そうして俺は、大切な人達に囲まれながら、Happy new year!!と言葉を紡ぐ。愛しい女を他の誰にも触れさせない為に強く抱き締めている。

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