聞き慣れない音に反応して振り向けば、ワノ国の装いをしたナミが妙な植物を抱えて姿を見せた。そして、俺に笑いかけるからどうしたのかと視線で問い掛ける。
「七夕祭りしたくて……ダメ?」
「それは、なんだ?」
聞いた覚えのない祭りの名に対して問えばナミは少し顔を赤らめて、恋人のイベントなんだけどと言い出す。その様子が可愛く思えた俺に、拒否権等ある筈も無かった。
詳細を聞けば、成り立ちの昔話も聞くかと問われたので1応聞くだけは聞くと答えれば、クスクスと笑いながら怠けた故に引き裂かれた2人の話を聞かされる。共に真面目に生きるか、邪魔する者は切り伏せて共に生きれば良かろうと言えば、ナミは困ったような顔でそんな血なまぐさい七夕嫌だとほざく。
それから願いを書けと色とりどりの紙を差し出すから、白の紙を手にして少し考える。願いなどあるだろうか。
ロロノアが育ち俺の前に再び現れるのは楽しみではあるが、願う程ではない。勝手に育てと言う他ない。
ではナミに対してと思うが、料理を含めた家事全般を行い、海図や地図を描いて、天候を読み俺に報せてくれると言うのに他に何を望めばいいのか。夜は名器となり歌声も響かせてくれるのだから、他に望む事など……。
最近は素直に頼ったり甘えたりしてくれるようにもなって来た。それを考えれば、望みとしてあげられるのは……。
俺は思い付いた事を短冊とナミが呼んでいた紙に記載して、笹に取り付ける。それを見たのかナミはその頬を赤く染めて俺を凝視する。
「ナミは、何を願う?」
「わ、たしは……」
手にしていた短冊に書かれていたのはナミらしいと言えばらしい願い。〝皆の願い事が叶いますように〟と言うのならば、燃やす予定の夜まではまだ時間もあるのだから、俺の願いが叶うよう協力して貰おうか。
「意見の1致と取って良いな。ここか中か……場所は選ばせてやろう」
顔どころか全身を紅く染めたナミが口をパクパクと動かすのを見ながら、こういったイベントも時には良いものだと思う。俺の願いはナミの他に叶えられる者がいない。
恥ずかしそうに小さな声で、外は嫌だと言うナミを抱き上げれば笹が甲板に落ちたが、どうせ後に燃やされるのだ。構わぬだろう。
いつもとは違う装いのナミに、どのように鳴かせてやろうかと思いながら口付けを落とす。それを素直に受け止めながら、問い掛けるような視線を向けて来るナミに笑いかける。
〝新たなる住民……叶うならばナミに似た娘が好ましい〟
俺に似た男子では、取り合いになりそうな気がしてならぬ。そう耳元で囁けばもうナミは視線で問い掛けてくる事さえしなくなった。