季節イベント(波間IF)   作:夢枕 七変化

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ハロウィン(大将青キジ)

 妙な男を惹き付ける天才としか思えない彼女が、俺が1眠りして起きた時には海図に盗られていた。……いや、海図を描く事に夢中になって、俺の存在を忘れてると言うのが正しいだろうか。

 それでも手紙を残してくれているから、今回はマシだとは分かっている。赤髪に会った後、暫く仲良く過ごしていた関係で孤独感が強く思えるだけだろう事も。

 ふぅ……と溜息を落とした時、このイベントは1般的なのだろうかと考えて、ボルサリーノに電話をかけると問い掛けてみた。それが元でこれがマリンフォードにて、大々的に根付く事になるとは思わなかったのだが。

 興味津々で色々聞かれるので、素直に答えている間に船はマリンフォードに到着していた。いつもは書類をほぼ全てやってくれるナミがこの調子では、嫌でも書類を自分で書くしかないだろう。

 ボルサリーノも知らないらしいイベントの事は、1先ず置いておいて書類を書き進めて行く。書類の書き方を大分忘れているなと、俺は小さく呟いた。

 書類を書き揃えた頃には、深夜になっていて、後片付けを進めている筈の部下に解散するようにと声をかける。続きは明日にでもやればいいからと言えば、納得したように解散する彼等を見送った。

 書類を本部に置くだけ置きながら、早目に帰宅しようと船を降りる。普段やらない事をやると疲れるもんだな。

 書類を置いて帰宅して即座に眠りに落ちた俺は、翌朝になって思い出す。ナミの帰る姿を見ていなかったと。

 不味いと思い駆け出すが、船内ではやはりナミが同じ姿勢で海図を描き続けていた。思わず背後から抱き締めれば、驚いたような顔で俺を見て来る。

 

 「何、してんのよ」

 「……海図を、描いてます」

 

 素直に答えたナミにそういう意味じゃねェよと、抱き締める腕に力を込めれば本当は分かっていたようで、ごめんなさいと小さく謝罪してくる。それからその瞳を微かに細めると、何かイベントでやりたい事はありましたか?なんて問い掛けてくる。

 

 「……このタイミングで聞くのがそれ?」

 「ふふ、なんかつらそうなクザンさんを見てたら、何か変わった事言った方がいいかなって」

 

 優しく笑ったナミに、南瓜グラタン作って貰おうかなと言えば、了解なんて言ってくる。それから、ナミが俺に囁くように言葉を向けて来る。

 

 「仮装はしなくていいんですか?」

 「……仮装?」

 

 そんな事書いてあったかなと記憶を呼び起こしていたら、ナミに伝わったようでクスクスと笑われちまう。それを見ていて、何でも着てくれるのかと聞けば、不思議そうな顔で頷くからならばと思って頷く。

 それから迷わずにナミを連れて外に出れば、自宅に連れ込んで1枚のシャツを差し出す。それを受け取り暫く放心していたナミは、それからシャツと俺を見比べて小さく体を震わせ始める。

 

 「……まだ、年齢的な事があるから襲ってねェけど、我慢はしてる訳だ。……着てくれるんだろ?」

 「これ、着たら……クザンさんがつらくならない?」

 「んー……。気分だけ味わっとくよ。まァ、イタズラだけは、させて貰うから、それだけ着ろよ?」

 

 からかうように笑みを深めれば、俺のシャツを手にした状態で手の甲まで真っ赤に染めた。その状態で蚊の鳴くような声でナミが、それならお風呂に入ってからにしますなんて言って来る。

 その必死な様子が可愛くて、つい唇を重ねつつソファに押し倒せばビクリと体を震わせる。だと言うのに、抵抗の1つもしねェから理性でこれに待ったをかけるしかなくなっちまう……。

 

 「ナミ、やっぱさ……このまま、抱いてもいいか?」

 「年齢とか、って……言ってたのは、クザンさんじゃない」

 「んー……まァ、そうなんだが……」

 

 言葉を止めるとナミは呆れたような視線を向けてから、お風呂先に入らせてなんて言う。それにより手を離せば、首筋を赤く染めたナミが、微かに声を震わせつつ言う。

 

 「ちゃんと、渡されたシャツ、だけで……出て来るから……」

 

 そんな言葉を残されては、見送るしかなく……。年齢を理由に逃げる事はそろそろ出来ねェなと苦い笑みが浮かぶのを感じる。

 暫しの時間の後、出て来たナミは本当に俺のシャツ1枚で出て来てくれたので、手招いて髪を拭いてやりながら……卑怯な言葉を向ける。ここまで来て、怯えてるのは俺の方か。

 

 「……逃げるなら、今が最後のチャンスなんだけど分かってるか?」

 「……クザンさん、Trick or Treat」

 「は?なんも持ってねェのは、見りゃ分かるでしょーよ」

 

 思わず返すとナミが俺に抱き着いて来て、俺の耳を甘噛みしつつ言葉を吐息に乗せて来る。それだけで俺は、自身の中で目覚める凶悪な獣を自覚させられちまう。

 

 「なら、私がイタズラしてあげるわ。……思わせぶりな事ばかりして、少し苦しめばいいのよ」

 

 驚いて視線を向ければ、その表情は微笑みを形作っているのに何故か瞳は怒りを讃えていて……ヤバいと本能が告げる。彼シャツなんて呼ばれる姿をしている、16歳の彼女が俺の体に指を這わせてくる。

 官能的なそれに、誰に仕込まれたと問い掛けたくなるが、同時に巧みなその動きに驚いている他に、下手に動けば傷付けそうで抵抗出来ねェ。そんな俺の戸惑いを恐らくは分かっていながら、ナミは唇や舌を耳から少しずつ下げつつ刺激してくる。

 

 「何も無いなら、イタズラ……させなさい」

 

 何処で何を経験したんだと問い詰めたくなるような妖艶な笑みで持って、器用に俺の服を肌蹴させながら翻弄して来る。動揺と、混乱と、悦びとで身動きは出来そうにねェ。

 

 「ちょっと、ナミ待っ……落ち着きなさいな!」

 「落ち着いてるわよ。いつも、濃厚過ぎる口付けして来たりして、私を翻弄して来るばっかりで……臆病で手を出せないみたいだから……私が、食べてあげる」

 

 それからほんの数分で色々なものが限界を超えた俺が、形勢逆転したのは言うまでもない。Trick or Treat……イタズラなんかじゃ、終われる筈が無いのだとこの後2人は嫌という程思い知る。

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