ロビンの話はフラロビとルフィ×主を主軸に書かせて頂いております。
ロビンとヒロインは百合ではなく友情です。
目を離すと掃除や片付けをしてる筈が読書タイムに入ってるナミだから、大丈夫かしらと心配になり様子を見に行く為に立ち上がる。フランキーはそんな私に過保護が過ぎると言うけれど、貴方には分からないのよナミの可愛さとこの愛しさが。
ドアを開けてみれば、その瞬間飛び出して来た子兎を無意識で抱き留めてその頭を撫でる。どうしたのかしら?
まさかルフィに虐められたの?
それなら、クラッチくらいしてあげるわ。もしくは2人になれないように邪魔する方がいいかしら?
そんな事を考えてクスクスと笑っていたら、ナミが怯えたような眼差しで私を見上げて来たので部屋の状態を見に行く。女部屋には当初本棚は1つしか無かったのに、気が付いたら壁が本棚に生まれ変わって居るのだから何だかんだと言いながらフランキーもナミには甘い事が良くわかるという物。
図書室として用意されたその空間はまだ少しばかりの余裕があるけれど、それも時間の問題であることは明白。月に何冊もの新刊を出している作家が居るのだから、ある意味では当然なのかも知れないけれど。
「ロビン、私は疲れたのよ。それなのに皆が本読んじゃだめって虐めるし……私、もう嫌!」
「ナミ、蕎麦が出来るまでは本を好きに読んでて良いわよ。ナミはナミのやるべき事を終えたのだから」
「ロビン……大好き!」
「私もよ」
そんな事を言いながらも、お正月に遊ぶ為にと言ってフランキーやウソップに色々と作るようにお願いしている事を私は知っている。いつも皆の為にと何かをしているナミが、私が同じ部屋にいるから眠れているのだと知ったのはつい最近。
でも、それがどれ程嬉しかったか……きっと貴女には分からないのでしょうね。
賑やかで楽しい1味の中で、大切に守られるだけのお姫様に見せかけて、実はこの1味において欠かす事の出来ない大切な存在。それでありながら、皆を守っているのは寧ろナミの方。
その事は、内情を深く知らなければ気付けないような守り方である為に、外部からは単なるお姫様に見えていると言うのが凄いところよね。だからこそ、気にされないか弱点として狙われるかなんだもの。
深夜になると揃って年越し蕎麦を食べて、ナミが全員にお年玉を配り、それから朝から行う予定のゲームについて説明を始める。初めてナミから、お小遣いを貰った衝撃を私は忘れられない。
そして今もまた、当然のように私にも配られたお年玉に、少し泣きそうになる。この優しい空間に、私が居る事を当然として求めてくれるナミに、どれ程私が救われているか……。
「そんな訳でね、ツイスターゲームをやって貰う予定なの。ルールは理解した?」
どうやらルール説明をしてくれていたらしい。全く聞いていなかったけれど。
「その景品は……優勝者に私の時間を1日あげましょう!」
「え?」
思わず声を出したのは私で、そんな私にナミは笑う。いつも中々皆の要望聞けないからなんて言って。
「例えば1日デートでもいいし、未発表の曲を披露するのでも、レシピを紹介するのでも良いわよ。お小遣いのアップとか、必要な物があるからと私に訴えてくれても構わないわ。1日、優勝者の傍にいて、それに可能な限り対応させて貰うつもり」
その瞬間ブルック迄含めて全員が盛り上がった。その盛大すぎる盛り上がりに、ナミは少し引き気味だったけれど、朝になったらお雑煮食べて、それからねなんて言うナミに誰も彼もが大興奮の様子を見せる。
部屋に帰った私が他に気を取られていてルールを聞いていなかったと言えば、全員和服姿で2人が同時に同じ指示に従うだけだと言う。能力の使用は禁止で、指示のカードはその次に挑戦する2人が読み上げるらしい。
先に胴体を床につけた方が負けと言う、至ってシンプルな遊び。でも、確かに盛り上がりそうなそれに私も参加するのかと思えば、何だか楽しくなる。
景品であるナミが参加しないから、ちょうど別れられるので、楽しいかも知れない。最初の対戦相手はくじ引きで決まり、その先は勝ち上がったメンバーでまたくじ引きする事で、対策を練るとか出来なくするらしい。
それは盛大な戦いとなりそうねと笑う私に、景品はしょぼいけどねと笑うナミ。この子……本気で言ってるところが怖いのよね。
お正月でもなんでも、ナミと共に過ごせるかが1番大切なところだからと、新年早々に夜更かししてしまいそうな大切な妹分を抱き寄せる。それに驚いた顔をするけど、本当に誰にもこの子を渡したくないわ。
「ロビン?」
「1緒に寝ましょう。今夜は、冷えるから……」
「そうね、雪が降りそうだものね」
そう言って無防備な笑顔を見せるのは、初めて出逢った時から変わらない。私が離れた時も、ずっと変わらずに慕っていてくれた。
世界よりも大切な1味の皆だけれど、貴女は私の救いだから……優勝したら、2人だけで遊びに行きたいわと腕の中で寝息を立てるナミに囁いて眠りに落ちる。朝になるとナミが私に抱き着いていて、ナミを振り払えない私は身動きが取れない。
起こせばいい?
こんなに安らいだ顔で寝てるのに、そんな事出来る筈無いじゃない。その時部屋をノックしてそっと入ってきたのはチョッパーで、私が静かにねと指で示せばチョッパーはナミを見て嬉しそうに笑った。
寝ているナミが珍しい様子で、小さな声でロビンの前では少しだけ幼い顔するんだよななんて言ってくれた。その直後にロビンもナミの前だと感情表現豊かだよななんて言うから、私は表情変化が分かりにくいタイプだと思っていた分衝撃を受けた。
それから目覚めたナミを伴い、私達は皆でお雑煮と言う朝食を食べる。喉に詰まらせないようにゆっくり少しずつ飲み込んでねとか、箸でこう切るのよなんて教えながら食べている姿は既に皆のお母さん以外の何者にも見えない。
優しく笑いながら対応する姿に、私が幼い頃に追い求め続けていた母の姿を見た気がした。そんな私にナミは笑って近付いて来ると、何故か頭を撫でて来る。
「ナミ?」
「大丈夫、ロビンを誰も独りにしないから……そんな泣きそうな顔しないで」
歳下の筈の彼女に、私はきっと依存している。この甘い温もりに、私は囚われている。
「ありがとう。食べたらすぐに始めるの?」
「着替えさせてからね。ルフィに着せるから、ロビンはそれを真似てフランキーに着せてあげて」
そんな風に自然と仕事を任せてくれるナミに、勿論よと笑う。些細な事かも知れないけれど、存在を否定されずに、それどころか必要なのだと言ってくれる仲間に、私は救われ続けている。
全員の着替えが終わると、それぞれの姿に皆が黙る。フランキーとブルックは置いといて、他のメンバーの似合う事似合う事。
若武者を思わせるゾロ、殿様を思わせるサンジ、普段より少し大人びて見えるルフィ、そしてナミが七五三みたいで可愛いと喜んでるチョッパー。私とナミは色違いの振袖らしく、紅白でと思ってなんて言ってるけど……。
白地に赤の華が咲いているナミと、紅の生地に白の同じ華が咲いている私の振袖。私の姿を見て、黒髪だから絶対似合うと思ったのよと大喜びするナミに、貴女の方が素敵よと素直に褒めたら何故かいじけられてしまった。
ウソップはせっかくの和服をどうしたのかと言いたくなる程に改良して、不思議な姿に変わっていた。それを促した犯人がフランキーだと分かったので、とりあえずある場所を絞めて反省を促しておく。
鶏の断末魔のような声を響かせるのを聴きながら、お正月は鳥の声も盛大ねと笑う。そうしたら何故か、ナミが辞めてあげてと泣きついて来たので辞めてあげたけれど……本当にお人好しね。
厳選なるくじ引きの結果即座に始まったのがフランキーとルフィの対戦。右手を赤に、左足を緑にと言われるままに置いていく2人に、初めは簡単そうだと思っていたのに、次第に恐ろしいと思わされ始める。
1つの指示を出して、実行されてから10秒無言の時があるのがまた、怖い。そんな中でナミが七輪を持って来て、観戦しながらお餅食べましょうと言って焼き始める。
それによりルフィが叫ぶ。足はクロスして、左手は足より後ろにあるのに、右手は頭上という奇跡の体勢で。
「ナミひでェ!俺も食いたい!」
「終わってから食べたら良いじゃない。私は磯辺焼きー」
その光景に寧ろ悪魔なのはナミなんじゃないかしらと思う位、ルフィの近くでお餅を焼くナミは、何だか楽しそう。そこへサンジが寄って行って普通にお餅について話し始め、ルフィのお腹が盛大に鳴り始める。
「ナミさんは、普通の醤油派ですか?」
「チョッパーが喜ぶかなって思ったから、砂糖醤油用意して来たの」
「それ、美味いのか?」
チョッパーが反応すると、焼けたばかりのそれをチョッパーに差し出してナミは笑う。チョッパーは砂糖醤油で味付けされたお餅を甘くて美味しいと喜んで食べていて、ルフィが半泣きの顔になる。
「ナミー……。俺も、食いたいー……」
その時フランキーに視線を向ければ、先程絞めた影響なのか少し辛そうに汗をかいていて、体制的にはルフィより軽い様子なのに腕が震えているのが見える。ルフィも可哀想だしと思って、私は皆がきな粉餅だとか言って喜んでるのを眺めながら提案する。
「2人に、その状態でお餅食べてもらうのはどう?」
「「え!?」」
フランキーは絶望的な顔で、ルフィは嬉しそうな顔で反応する。お餅が焼けるまで次の指示は無しねなんて笑う私に、ウソップが悪魔がいると呟いたけれども聞こえなかった事にしてお餅を焼き始める。
それを見てナミは優しく何味がいいのなんて聞いていて、フランキーがコーラと言ったためにサンジが謎のコーラ味の餅を用意し始めて、天才ねと思う。けれどもフランキーは餅のないコーラを希望していたようで、違ェと叫んでいて五月蝿かったわ。
ルフィに視線を向ければ、ナミから磯辺焼きときな粉餅をそれぞれ食べさせて貰っていて、なんとも嬉しそうな顔をしている。あの体勢でよく食べられるよなと呟くように言ったゾロに、本当にそうねと言ったら手元には餅では無く卵焼きとお酒があってゾロらしいと思う。
「卵焼きが甘ェ」
「蒲鉾にしたら?山葵醤油で食べたらいいと思うけど」
「そっちにするか」
そう言ってゾロが立ち上がった時、巨体故かフランキーは力尽きて、ルフィに余力を残させた状態でのギブアップとなった。崩れ落ちる直前までルフィはナミにお餅をせがみ、食べさせてもらいながらの戦いで何故勝利できたのかと考えて、ルフィだからよねで終わらせる。
ルフィは大喜びしているけれど、これは優勝賞品がナミでさえ無ければ私は早々に諦めていたであろう状態ねと思う。今回はルフィ相手でも、譲るつもりは無いけれど。
続いてはウソップとブルックで、ブルックはその軽い体を利用して、凡人よりは充分にバランス感覚の良いウソップを圧倒した。それを見ているだけの人達も自然と盛り上がる。
その間ルフィはお正月料理の海老を頭から食べていて、それって頭も食べるものだったかしらと首を傾げる私に、ナミが気にしちゃダメよ!なんて言う。チョッパーはお正月料理に甘い物が多いと気付いて喜びながら食べていて、その状態に癒される。
そうして3回戦目の対戦は奇しくもサンジとゾロで、ライバルであるからなのか汗だくになりながら頑張り続ける2人に声援が飛び交う。それをナミは穏やかな表情で見ていて、決勝戦さながらのそれはけれどもどんな姿勢になっても倒れない、サンジの奇跡のバランス感覚により、勝敗は決した。
私はチョッパーと戦い、それに勝利をするとまたくじ引きとなった。普通に次の相手が分かってはつまらないからと言う理由で、シャッフルされた結果でもあるし、昨夜説明は受けていたので文句はないけれど……サンジVSルフィの戦いが始まる。
元々バランス感覚の良い人だとは思っていけれど、サンジのそれは既に奇跡の領域。その時ルフィが叫ぶように言った。
「サンジ!譲れよ!」
「巫山戯んなクソゴム!俺は優勝して、ナミさんにあんな事やこんな事頼むんだよ!」
「ナミは俺の彼女だぞ!?」
「なら、勝てばいいだろ、クソゴムが!」
「サンジはどんな事、ナミに頼むつもりなんだ?」
チョッパーが不思議そうに首を傾げると、ウソップが適当な事を言って誤魔化すけれど、話題に上がっているナミはお餅を呑気に焼きながら笑うばかり。本気にしてない無防備なそれに、私は深く息を吐き出した。
「お汁粉食べる人ー!」
突然のナミの言葉に何人かが反応して、ルフィは無意識でその場で手を上げた事でバランスを崩してしまう。それでも何とか踏み留まろうとした所で、自らの袴の裾を踏んで見事に転倒した。
その時勝敗はサンジの勝利で終わり、お汁粉を食べる前に、私はブルックとの対戦になる。負けたルフィがナミを責めているのが、何だか微笑ましいわ。
サンジとブルックの戦いも見ていたい気がするけれど、私はナミの安全を得る為に本気になろうかしらと笑う。そんな私の気持ちを知らずに、ブルックは通常運転で話しかけて来る余裕さえある。
「ロビンさん、パンツ……見せてもらっても、宜しいですか?」
「それは難しいかも知れないわ」
「え?それは、どう言う……?」
「だって、着物だもの。パンツじゃなくて、湯文字かも知れないわよ?」
「「「んなー!?」」」
その瞬間、油断を誘う為に言ったそれに対してフランキーとサンジまで反応して、ブルックは骨である筈なのに鼻血を出しているのか不思議でならないわ。そんな騒ぎの中で、ルフィの声が聞こえてくる。
「ナミ!お汁粉おかわり!」
「私1口も食べる暇無いんだけど?」
「俺はお汁粉を食いたい!さっき俺が頑張ってる時にナミが邪魔したんだから、オワビに用意しろよー!」
「もう既に意味が分からないわ」
呆れたような様子を見せながらも、その声は柔らかくて優しい。恐らくは口ではそんな事を言いながらもお汁粉を用意し続けるのだろうと分かると、休ませる事も考慮して明日は何処かへ連れ出してあげようと思う。
「ねェブルック……。もう少し、頭を動かしたら……見えるかもしれないわよ?」
「えぇええぇ!?が、頑張ります!」
何を頑張るつもりなのよと微かに思った直後に、ブルックは自滅してくれて、そのやり取りを聞いていたナミがロビンに何言ってんのよと怒り狂いブルックに制裁を加えていた。ブルックが計算通りの反応だった為に、少しだけごめんなさいねと思ったけれど、この船ではフランキー以外に私を責める人は居ない。
「ロビンはそんなに優勝してェのか?」
「当然でしょ?ナミの安全がかかってるもの」
「まァ……否定は出来ねェか。……程々にな」
「フランキー……まともに着てたら、それなりだったのに、残念だわ」
「……ロビンが綺麗なんだから、それだけで充分だろ。それと、突然の攻撃は辞めろ。流石の俺様もスーパー焦る」
「素敵な断末魔だったわよ?」
「今夜、覚悟しろよロビン」
唸るように言うフランキーにそれは無理よと笑ってから、今日は元日だものと伝えれば、フランキーが崩れ落ちた。その上私は明日ナミとデートするから貴方を構ってる暇なんて無いのよとは、流石に言えなかったけれど。
そして、サンジと私の真剣勝負が決まったけれど、その前にとナミがちらし寿司を持ってきたから、皆で手巻き寿司にしながらちらし寿司を楽しむ。海の幸は豊富だからと、それぞれが好きな物を1緒に巻いて、好きな物を付けて食べる。
その側でお正月ソングですと言いながら演奏をしてくれるブルックに皆は盛り上がる。それを受けてナミが琴で参戦すると曲に深みが出た。
美しい音色を楽しむ者、美味しい料理を楽しむ者、ただ酒を呑み続ける者と様々だ。けれど、海賊船とは思えないほどに穏やかで楽しい時間が過ぎて行く。
けれども勝負の時は来る。負けられない戦いが、ここにはあるのよ……!
「ロビンちゃんか……やりにくいな」
「サンジ……お手柔らかに、ね?」
「勿論ですー!」
メロリンと言いながらもバランスを保ち続けるサンジに、私は汗だくになりつつ戦い続ける。そして……。
「サンジは……つらくないの?」
「ロビンちゃんも優勝したいんで……す、か……」
あえて視線を自分に向けさせ、誘惑するように微笑みを浮かべれば激しく動居ていた事で微かに肌蹴ている私の姿に、サンジは動揺して手を滑らせて倒れた。それにより周りは情けねェとサンジを笑いながらも、楽しそうにしている。
その先も楽しそうにお正月遊びを続ける皆を眺めながら、私はそっとナミに近付いて言う。
「貴女は明日1日私のものよ」
「ふふ、喜んで。何処かでかける?」
そう言いながらナミは私の乱れた着付けを直してくれて、優しく元々妖艶な美人さんなんだからこれ以上サービスは不用よなんて言う。そんなナミが喜びそうな所はと考えて……思いつくのは本とお風呂。
「そうね、温泉にでも行きましょうか」
私の言葉に瞳を輝かせて頷くナミに、今年も宜しくねと言葉を向ければ、はにかんだように笑って頷いてくれた。それを見て私は強くナミを抱き締めたけど、ナミはそれに抵抗しない。
Happy new year……私にそっちの趣味があったら今頃どうなっていたのかしらねと囁けば、違う事は分かってるから脅かさないでと笑う笑顔に癒される。でもそうね、後でお互い彼氏も少しは構ってあげないといけないかしらねと嘯きながら、明るい笑顔と優しい想いに包まれていると気付いて笑う。
この1味に居る限り、私の1年は確実に幸福であると言いきれる。こんな優しく幸福な新年を、私は初めて経験しているの。