なので、此方に掲載しております。
最近妙に楽しそうに執筆活動をしていたが、成程季節物の話が思いついて勢いに乗っていたのか。……と、完成した小説や譜面を見て思わず笑う。
ナミは明らかに金の卵で、それ故に保護したのだと言い訳をしていた。だが、そんなものは時がそれ程経たねェうちに言い訳だと自分で気付いて普通に手を出した。
そんな俺にナミは笑いながら、私の全ては救われた瞬間からドフィのものよ……なんぞとほざく。俺は別に、感謝の気持ちが欲しいんじゃねェんだよ。
そんな事を考える俺に気付かずに、ナミは俺に笑いかける。親愛のこもった眼差しで。
名目上は恋人となっているが、中々に2人の時間とやらは作れず、気付けばなし崩し的に抱いてるのも原因だろうか。だが俺には、他にどうしたら想いを伝えられるかなんてものは解らねェよ。
「ドフィ?」
2人きりの時だけは、ドフィと呼ぶ。最初の頃に若様と呼べと言ったのが不味かったのか、人前では若様としか呼ばねェんだよな。
「ナミ、俺に抱かれて過ごすのと、たまには出掛けてみるのと、どちらが良い?」
妙な事を聞いた。基本的に抱かれる事をを苦手とするナミが、出掛けたいと言うのは目に見えている。
「私、のんびり部屋で過ごしたいけど、それは……抱かれなきゃダメ?」
「は?」
「ケーキ焼いたりして、のんびり過ごしたいわ。ドフィと2人で」
「誰が焼くんだ?」
「私1人か、もしドフィが手伝ってくれるなら、2人でって事になるわね」
なんだ、この答えは。俺の出した選択肢以外を選ぶなど珍しい。
そう思って外を見れば、今日が季節物の当日だと気付く。成程な……可愛い事を言ってくれる。
「ナミの手作りか?」
「そうよ?嫌なら、レシピ渡すから誰かに「楽しみだ。必要な材料を書き出せ」」
俺の言葉にナミは幸せそうに笑い、小さく首を傾げた。なんだろうと思った時、1冊の本を手に近付いてきて、俺の手を握りソファへと誘導する。
「何が食べたい?1応私の作れる物を書いてあるんだけどね」
そう言ってナミは本を広げて楽しそうに聞いてくる。ケーキとひとくちに言っても種類があり、メインとサラダ、サブとなる物や摘める物と数えれば中々に選ぶ物が多い。
どれも見覚えの無いものばかりだ。だが、クリスマスと言ったらって思ったら色々浮かんで来て止まらなくなったのよねなんて言いながら、楽しそうに本を広げるナミは楽しそうだ。
その為か普段より随分と幼く見える。愛らしく微笑むナミに、ここでお前を喰いたいと言えば恐らく少し残念そうにしながらも頷くのだろうと思えば、それは言えねェなと笑う。
「ナミが得意な料理はどれだ?」
この本はまだ出版されて日が無い。となれば全てを作った事があるのは、今の所ナミだけだろう。
俺の問い掛けにナミはこれかな?なんて言ってメニューを見せてくるので、それを作れと言えばクスクスと笑って了承したが、隣にあったワインベースのじゃなくて良いのかなんて聞いてくるから、少しむず痒くなる。
「俺はナミの手料理ってのを、そんなに食べた記憶がねェからな。……ベビー5には何度も振舞ったそうだな?」
「ドフィは忙しいし、私が作るよりプロが作った方が美味しい物が出来るんだから、当然でしょ?」
驚いたような顔でそんな事を言うナミの肩を抱き寄せて、その髪を指先で弄びつつ不満に思っていた事を口にする。そうだ、俺は気に入らなかったんだ。
確かに幼少期は色々作ってくれたが、今のナミは俺に何も作らねェ。誰にも作らねェならばいいが、ジョーラ達には作ってんだろうが。
「ジョーラには弁当を持たせてたよな?」
「うん、だって、普通のお弁当だと足りないって言うから、お重の話になって……だから作ったけど……何かあった?ジョーラがお腹でも壊した?」
「……自慢された」
「へ?」
そうだ、ジョーラは若様も素直に話してみれば作って貰えるザマスとか言いながら、俺に弁当を見せてニンマリと笑ったのだ。ナミが作った物で無ければ、あの重箱を切り刻んでいただろうが……。
「俺にも、何か作れ」
「プロの物の方が絶対いいと思うのに」
そう言いながらもナミは少し恥ずかしそうに笑って、少し待っててと言うと立ち上がった。どうしたのかと思っていたら、毛糸で出来た帽子と手袋を差し出して来た。
「メリークリスマス。大切な人にプレゼントをするのが、このイベントの醍醐味だから……貰って?」
「俺は、何も用意してねェぞ」
「あら、貰ってるわよ」
「あ?」
何も渡してねェぞと睨めば、ナミは幸せそうに笑って唇を動かした。その笑顔がどうしてか、遠く感じる時があるのは、俺が汚れ過ぎてるのか。
「2人でゆっくり過ごすのなんて、珍しいじゃない。体は気に入ってくれてるのだと思うし、能力も役立ってるの分かってたけど、私個人はいらないのかなって思ってたから……こうして過ごせる時間をくれただけで、充分よ、ドフィ」
……待て。まさか、体と能力目当てで、名目上の恋人かセフレだと思ってるのかコイツは!?
「ナミ、俺は……」
なんて言えばいい。この鈍いナミに、なんて言えば伝わる?
クソ!カイドウ相手にするより厄介だぞこの案件は!
「ドフィ?」
「俺は、ナミそのものを愛してる。能力が高いからってだけなら、ただ育てるだけにおさめてるし、ヴァイオレットを今も犯してただろうさ」
「ドフィ……」
「他の女なんぞいらねェとまで思わされたのは、ナミが大切だからだ。……俺なら、ナミが他の奴に抱かれるなんてのは、耐えられねェから、他の女を抱かなくなったんだ。分かるか?」
見れば真っ赤になったナミがいて、どうやら伝わったらしいと分かる。それに対してナミは、体で篭絡できる技術なんて無いから、まさか、ホントに!?等とブツブツ言ってる。
……本当に何だって自分に関してのみこう、正当な評価を出来ねェんだかな。
「俺は、ナミを愛してる」
「ドフィ、私も、よ」
待て、そりゃ嘘だろ。お前は俺を上司とか恩人として……まさか、この俺が、勘違いさせられていただと?
「恩人としてじゃなくてか?」
「私はっ……!」
そう言ってナミは顔を真っ赤にして、瞳を潤ませて俺を見て……俯いた。項まで赤く染めて、ナミは言う。
「私は、恩人だからって理由だけで、ドフィに自分から抱かれたりしないわ。……ちゃんと、恋愛感情で……ドフィの事が、好きよ」
そう言ってナミは俺の傍から逃げるように立ち去り、紙にペンを走らせる。必要な材料を書き出してると分かるそれに、それにしても綺麗な手だと思う。
なんでも生み出し、そして……守り慈しむ手だ。俺とは真逆な……。
壊す事しか、奪う事しか出来ねェし、それを悔やむつもりはねェんだが……ナミには、優しくしてやりたいと思う。俺を好きだと言うならば、護ってもやる。
全ての厄災から、護りきってやるよ。俺以外の厄災なんか、お呼びじゃねェ。
「ナミ……書けたか?」
「えぇ、今渡して来るわ」
そう言ってドアの前に立ってる部下に紙を渡すと、できるだけ急いでねと笑いかける。……俺以外の男に笑いかけんな。
「ナミ!」
声をかければ不思議そうな顔で俺を見て、首を傾げる。それから不安そうな顔で俺を見る。
俺が怒ったとでも思ったのか?
「……サイズ、合わなかった?」
「その程度で怒るか。ナミが俺の為に作ったんだろ?」
「えぇ、いつも触ってるから多分、サイズに間違いはないと思うんだけど……」
変な形で鈍いナミの唇を衝動的に奪えば、赤くなるその顔。あァコイツは本当に……と言葉に出来ないような、何とも言えない愛しさに、小さく息を吐く。
「飯、楽しみにしてる」
「……うん、頑張るわ」
「最後には、デザートも勿論喰って良いんだろ?」
「えぇ、クリスマスと言えばケーキだもの!頑張るわ!真面目に作るの久しぶりなのよね……。あ!甘い方がいい?それとも甘さ控える?」
お前より甘いものなんざ、世界中の何処を探したって存在しねェよ。そう思いながらその首筋に吸い付けば、可愛らしい喘ぎ声を響かせて、駄目よなんて言う。
「……ドフィとしたら、私立っていられなくなっちゃうから、何も作れなくなるもの。だから、今は駄目」
俺が襲うのが悪いのか、襲ってくれと言ってるようにしか聞こえない事を言うナミが悪いのか。無防備で鈍いこの無垢な生き物を、仕方なく解放すれば恥ずかしそうに顔を赤らめたまま笑う。
エプロン姿で料理を作るナミを眺めて、裸エプロンに、ロマンを感じる男どもの気持ちが初めてわかった気がした。……似合うだろうな。
次々と作られるその料理は、同時進行系で用意され、完成した物が並べられて行く。作りながら口ずさむ歌は、このイベントのものか。
「あ、ワインとシャンパン、どっちにする?」
「……シャンパンも良いかもな」
他愛ない事に答えただけで、ナミは笑う。俺がいればそれだけで良いとでも言わんばかりに。
ぬるま湯のようなその温もりに、ナミを抱いて寝ると悪夢を見ないからとただ抱き締めていた頃を思い出す。年に1度の聖なる夜だと笑うナミだが、分かってねェなと思う。
Merry Christmas……お前がいれば、何時でもそれが聖夜なのだとどうしたら伝わるだろうか。食事を終えたら結局俺はお前を喰わずには居られそうもねェよと、甘い香りを纏う体に手を伸ばす。