季節イベント(波間IF)   作:夢枕 七変化

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2020年イースターイベント
イースター(麦わらのルフィ)


 サンジの作ってくれた飯を食って、それでも足りないと騒いだら嫌そうな顔しながらもくれたパンの耳じっと見ていたら、蜜柑のジャムをくれたのでそれを付けて噛じる。そっと表に出て、ナミの蜜柑畑に行くとナミと似た匂いがした。

 蜜柑の香りを纏ってるのに、本物の蜜柑とはまた少し違うんだよなと思う。蜜柑本体よりも、ナミの方が少し甘いって言うか……だとしたら、匂いにも性格って影響すんのかな。

 そんな事を思っていたら窓を開けるナミの手が見えて、その後に窓を閉めてから蜜柑畑のあるその場所へと姿を見せた。それとほぼ同時に霧が発生すれば、ナミの表情が険しくなる。

 そして、その場で崩れ落ちるように蹲るから何が起きたのかと駆け寄りその体を支える。そんな状態なのに、ナミは何故か俺から離れようとするから何となくその理由を察しちまう。

 

 「この程度、甘えには入らない。だから、力抜いてろよ」

 

 自分にだけ異様に厳しいナミを抱き上げて、図書室へととりあえず戻る。ソファにナミを寝かせて、チョッパーとロビンを呼べば即座に飛んでくる2人。

 それからナミの体調を鑑みて船を何処かに泊めて、航海士としての業務を休んで貰おうって事になった。そんな時にナミが知らない言葉を口にする。

 

 「私、イースターのイベントやりたいの」

 「イースター?」

 「兎と卵のイベント。詳しくはWebで!」

 「〝うぇぶ〟ってなんだ?」

 

 首を傾げれば、ナミは少しだけ寂しそうな顔になり、言い間違えたと言う。そんな様子にこの強がりがと思いながら頭を撫でると、変な感触がある。

 モコモコとしたそれに驚いて手を離すと、そこから髪と同じ色の毛色をした、明らかに兎だろうと思われる耳がピョコンと生えてきた。ナミも動揺してる様子だから、何が起きてるのか把握はしてないんだろう。

 

 「頭の上にあるものは……目の錯覚か?」

 

 問い掛けるとナミは慌てて梯子を駆け上がり、そして……叫んだ。当然ロビンとチョッパーは即座に調べてくれたし、ナミも半泣きで調べてたので答えは案外簡単に見付かり、海域の問題で数日で戻るらしいと分かった。

 その後遅れてロビンからも髪と同じ色の耳が生えればフランキーが挙動不審となり、サンジが鼻血大放出でウソップは物珍しそうに、ゾロは僅かに心配そうに、ブルックは楽しそうにそれを見てる。ロビン本人は楽しんでる様子だが、ナミは怯えた様子で俺に視線を向けて来るから理性と戦う事を余儀なくされていた。

 

 「ルフィ……」

 「可愛いし、似合ってるぞ?」

 「そういう問題じゃなぁい!!」

 「……なァ触られてるの分かるの……か?」

 

 そっと指先で触れると、耳に触った時と同じ反応をするからあるらしいと分かり……本当に破壊的な可愛さに俺が崩れ落ちると、近くで似たような反応をするフランキーと視線がかち合う。それから兎のイベントがあると聞いた俺達は近くの島に船を泊めると、ナミに言われた物を揃えに向かった。

 その間ロビンとナミは安全の為に船番をする事になり、俺も問題を起こさない為と、兎となってる2人を拐われたりしないように守るよう言われたんだけどよ……。暇だァ!!

 ロビンもいるからナミを貪れねェし、ナミとロビンが揃うとムズカシイ話ばっかりになるんだもんよ。つまんねェ……。

 もういっそ、海軍でも襲って来ねェかな。そうしたら、暴れても良いのによー……。

 そう思って膨れる俺にナミがクスクスと笑いながら何か飯を作ってくれて、それを食ってたら船が近付いてきた。そこには……。

 

 「さ、ぼ?」

 

 思わず声が落ちる。だってよ、聞いてはいても信じられなかったんだ。

 なのに、目の前にサボがいる。兎の耳と尻尾の生えた女の子と1緒に俺の船に乗り込んだサボは、久しぶりなんて笑うから何も考えずに抱き着き、泣いた。

 そんな俺にサボは苦しいと言って俺を少し引き剥がしてから、俺の不明瞭な言葉をゆっくりと、でも、確実に聞いてくれる。その間にナミとロビンはもう1匹の兎と仲良くなり、3匹で楽しそうに何か話をしていた。

 

 「兎が3匹、楽しそうだな……」

 「ルフィ、兎は匹じゃなくて羽で数えるから3羽な。……にしても、美味そうな兎だよな」

 「ナミはやんねェし、ロビンは許可取れよ」

 「俺は姉を襲う趣味を持たねェし、弟の仲間に手を出す程節操無しじゃねェつもりだよ。そもそも……俺の兎はコアラだけだ」

 

 そう言って俺の頭を撫でるサボは優しい顔をしていて、何か気恥ずかしくなる。でも、そっか……あの帽子の子はサボの女か。

 そんな事を考えながら居るとサンジ達が帰って来て、色々な食材が手に入ったと言ってからサボ達に気付いて騒ぐので、ナミに説明を任せた。皆は納得すると追加の食料買ってくると島に戻り、兎は楽しそうにキッチンへ消えて行く。

 それから間もなくして、中からキャッキャウフフと声が聞こえてくれば、こっそり覗きに行くのも仕方ないだろう。なんか、楽しそうだしよ。

 甘い香りの漂うその場所で、大量のチョコが置かれているのが見える。そこで3羽の兎はなんか話してた。

 

 「ロビンさんは時計兎よね!」

 「なら、コアラちゃんは帽子兎かな?」

 

 帽子の子が言えばナミが首を傾げる。その仕草に合わせて耳が揺れるのが妙に可愛い。

 ナミってどうしてこう、可愛いんだろう。変な所幼いんだよな。

 

 「「ナミは悪戯兎!!」」

 

 ロビンと帽子が声を揃えると、ナミはハイハイなんて笑ってる。確かにナミって、時々悪戯するんだよな。

 この間は俺の上着の袖縛ってあって、腕が出せなくて焦ってるの見て笑ってたし……。なんつーか、本気で困らない程度の悪戯時々やってくるのがなんとも言い難い。

 

 「それで、何個作るの?」

 「チョコのタイプは1人5個計算してるわ」

 「でも、チョッパーはもっと欲しがるでしょ?」

 

 帽子の子の質問にナミが答えれば、ロビンが首を傾げた。それにナミはクスクスと笑って、それから少し困った顔で首を傾げる。

 

 「だって、ゾロのがチョッパーに回るもの。多分、フランキーもじゃない?」

 「……フランキーは、多分、死んでも渡さないわよ。私が作った物だから」

 「なら、サボ君も、かな。……だと、いいな」

 「ルフィは理由が違うけど渡さないわね。食欲の権化だもの」

 

 ナミが作ったのだからってのもちゃんと理由にあるぞ!……ナミから俺への評価、どっかおかしくね?

 そう思っていたらなんかムカムカしてきて、チョコが固まるまで置いとこうと話して奥に向かい卵にキリで穴開け始めたのを眺めつつ、そっと侵入する。どうせ俺は食欲の権化だもんよ、皆食ってやる!!

 そうしてチョコを半分程食べた所でサボに見付かり、その声により気付いたナミと共に俺を叱り始める。その様子をクスクスと笑いながら次のチョコを作り始めるロビンと帽子を眺めていたら、反省が足りないと2人の怒号が響き渡った。

 いつもなら俺の隣にはエースもいるのに、今日は叱るのは2人なのに叱られるのは俺だけなんて理不尽だ。それを主張したらナミから冷たい視線を向けられて、説教が長引く事になった。

 それでもその後で始まったイベントでは兎達が用意した数種類の卵を、男達が血眼で飛び回る事になり、見付けたら食っていいとのそれに1人笑う。なら俺は、とりあえず怒ってばかりの蜜柑兎を捕まえちまおうと心に決めて。

 Happy Easter……卵を隠し終えてやる事を終えたと寛ぐ兎は、自らに迫る危機に気付かない。時計兎の監視を掻い潜り、男が蜜柑兎を食せたのかは……言わずもがなだろう。

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