白兎は正義に憎しみを抱く   作:暗闇水明

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こんにちは。暗闇水明です。今回から連載にすることになりました。更新ペースは活動報告通りなのでよろしくお願いします。


プロローグ
Chaptear1誓い


ある日のことだった。僕の村が焼け落ち、辺りには血が広がっていて周りには死体の山だった。そこに殺していた一部を僕は見てしまった。一人の緑髪のエルフの女は何やら詠唱を使い村の建物を壊しそれに続くように次々と虐殺が起こった。黒髪の女にピンク色の小柄な女も次々と村の皆を殺していた。お爺ちゃん、おじさん、友達も皆殺された。恐怖で足がすくんで逃げようにも逃げられなかった。その時だった。その女の集団がこちらを向いたのだ。

 

「あ・・・やめろ・・・来るな・・・」

 

逃げようと走ろうとしたがこけ地面に転ぶ、音が聞こえたのかそんな自分の目の前に容赦なく女達は近づいてこようとしてきた。

 

(怖い怖い怖い怖い怖い、動け動け動け動け動け動け!!殺される殺される殺される!!)

 

死ぬ・・・そう直感したときだった。その時だった。

 

「捕まって!!」

 

赤髪の女性が現れ僕を担ぎ森に逃げた。少しの浮遊感が僕を襲いいつの間にか着地をしていた。その時あの女達は何かを叫んでいるようだったがやがて村の出口をでた。その時安心と恐怖と共に僕は燃える村を見て深く意識を落とした。

 

 

 

 

「ウ・・・ン・・・?」

 

気づいたときには僕は洞窟にいた。辺りが暗い中目の前にはパチパチと焚き火が突いており体にはぬくもりがあった。そこにさっきの赤髪の女性がいた。

 

「あ!起きた?大丈夫?!」

 

僕が起きたのに気づくと赤髪の女性がそばに駆け寄り僕の顔を触れた。

 

「うん!大丈夫そうね、スープ飲んでいて。体もう少し温めとく必要があるから」

 

そう言ってスープを差し出す。最初は毒でもあるかもと思い警戒していたが赤髪の女性は優しく微笑み僕の頭を撫でた。

 

「大丈夫、毒が入っているならとっくに殺しているし何より私も逃げてきた身だから」

 

そう言って赤髪の女性は一緒にスープを飲んだ。それに僕も安心しスープを飲んで暫くして体が温まった気がした。

 

「あの・・・あなたは?」

 

僕はふと彼女のことが気になっていた。何故彼女があの場にいたのか気になったからだ。少し彼女はうつむいたがすぐに顔を上げ名前を告げた。

 

「ああ、私?私はローゼ・ア-リヴェル。私も彼女たちから逃げてきたの、旅人で途中からあの村に行っていたんだけど・・・」

 

「そう・・・なんだ・・・僕はベル・・・ベル・クラネル」

 

「ベル・クラネル・・・うん、いい名前ね」

 

暫くして混乱していた頭がだんだん理解できた。僕の家族と友達、おじさん達も皆死んだ。あの女達のせいで・・・次に出てきたのは怒りと悲しみだった。何故僕の家族は死ななければならなかったのか、何故僕の友達が死ななければならない、何故僕の大切な場所を奪われなければならない!そこに僕は拳を握りしめる。唇をかみしめそこからは血が垂れていた。

 

「ちょ・・・?!唇から血が流れているわよ!!」

 

それに気づいたのかローゼは唇を拭いてくれた。しかし今の僕には憎しみの感情と怒りにあふれていた。外の空気を吸いに行くと言い僕は洞窟の出口にたっていた。辺りは夜で星が輝いており僕を見下ろしているようだった。

 

「お爺ちゃん・・・おじちゃん・・・おばさん・・・皆・・・ッ!」

 

星が見守る中僕の涙腺は川の防波堤のように壊れた。

 

「ウ・・・ア・・・アアアアァァァァ!!」

 

星が見下ろしている中僕はそこで泣き崩れた。僕の泣き声が盛り中に響き渡る。その時の泣き声は何時もより遠くに響いた気がした。もっと僕に力があれば・・・もっと僕が強ければ・・・そう思って涙を流し続けた。後悔、絶望が僕に襲った。暫くして泣き止むと僕にあることが頭に浮かんだ。それはきっとお爺ちゃん達は望んでいないかも知れない。それでも耐えられなかった。

 

「あいつらさえいなければ・・・」

 

そして見下ろしている星に向かい僕は復讐を誓う。

 

「絶対・・・絶対あの女達を殺してやる!!一人残らず皆殺しに・・・ッ!!」

 

それに答えるように星はまた輝きだした。その時そばでローゼが涙を流しながら僕を見つめていたのはこの時はまだ知らなかった。

 

ベルside end

 

???side

 

私アリーゼ・ローヴェルは大きな罪を犯した。私たちのファミリア『アストレア・ファミリア』はジャガーノートを苦しみながらも討伐し闇派閥の残党があの村を集落にしていると私たちは聞きつけここで終わらせようとしていた。既にブラックリストで殺すようにギルドにも言われ襲撃したのだがここで私は取り返しのつかないことをしてしまった。この情報が誤りであり本来の襲撃するべき場所はここから北の3kmはなれた廃墟だったのであった。それで私が気づいていた時は皆襲撃が激化していた。この時からもう虐殺に入っていたのだろう。ジャガーノートの恐怖もあり皆気が動転もしていたのだ。止めようにも虐殺はひどくなってゆく。このままではと思ったそのときだった。

 

「あ・・・やめろ・・・来るな・・・」

 

白い髪の小さな男の子がいた。このままでは彼女達に殺されるかも知れないと思い彼を逃げさせた。

 

(せめて・・・せめてこの子だけでも!)

 

「捕まって!」

 

私は仲間達の声を無視して森を突っ切った。その後途中であったヘルメス・ファミリアにお願いし闇派閥の残党を全滅させてもらった。そして私はこの少年を安全な洞窟に避難させそして寝かせた。一旦ヘルメスに様子を見てくれるよう頼みオラリオに戻ったが私が洞窟に戻るまで起きなかったという。それも当然だろう、あんなことがあったのだから。オラリオでは責任について全て私の責任として団長を辞めオラリオから追放された。普通なら処刑されることだったが闇派閥の件もあり処刑は免れたという。メンバーの皆のことも考えてできる限り責任を私のほうに寄せ付けた。それで追放されるときは住民から石を投げられたりもしたが・・・あの時のアストレア様の顔は悲しそうにそして心配しているような目だった。追放される前アストレア様は

 

「どんな過ちを犯しても、私はあなたの味方よ。それだけは覚えておいて」

 

そう言って抱きしめてくれた。あの言葉と温もりは今でも忘れられない。

 

「最後までお人好しだったなぁ・・・あの神は・・・」

 

そう言いながら私は彼の頭を撫でる。

 

「にしてもこの子・・・可愛いわね」

 

今も彼が寝ている。白い髪で兎のような可愛い寝顔を見て頬を触る。自分にそんな資格はないと分かっておきながら。

 

(私はこの子の大切なものを・・・)

 

寝顔を見ていると罪悪感が重くのし掛かる。彼の幸せな日常はこの日の境に消えてしまった。それは正義の眷属にはあってはならないこと。私のミスで彼の日常を奪ってしまった。イヤそれどころではない。私は虐殺を起こしてしまった。あの村の住民を、彼の家族を、何も罪のない人間をこの手で殺してしまった。その事実だけが私に重くのし掛かる。私に抗えぬ罪だ。どうすれば彼に罪滅ぼしをしてやれるのだろう。そんな甘いものではないとはっきり分かっている。でもこの子は私のせいで孤独になってしまった。ヘルメス様が言うにはこの子のためには私がそばにいることがいいと伝えられていた。孤独はこの世で一番の毒だ、それを補うのは誰かが彼によりそうこと。それが今私にできる唯一のこと。だから私はこの子のためにも・・・そばにいよう。そう、誓ったその時だった・・・

 

「ウ・・・ン・・・?」

 

「あ!起きた?!大丈夫?」

 

あの子が起きた。私は急いで彼の元による。顔に手を当ててちゃんと脈や体温が正常かどうか確かめた後私は急いでスープを作って渡した。しかし渡しても飲まなかった。もしかしたらと思い声をかけた。

 

「大丈夫、毒が入っているならとっくに殺しているし、何より私も逃げてきた身だから」

 

すると急に飲み始める。やっぱり疑われていたのかと思い少し落ち込む。それに構わず飲み続けている彼はふとこちらに目を向けた。

 

「あの・・・あなたは・・・」

 

ここで私には少し答えるのを戸惑った。自分が本名で名乗ったらアストレアファミリアの団長だと聞いた時彼は私を殺しに掛かる。本来はそうされるべきなのかも知れない。でもその後は彼が一人になってしまうことを恐れていた。自分が死にたくないための言い訳かも知れない。それでも、私はこの子を一人にはさせたくない。だから・・・

 

「ああ、私?私はローゼ・アーリヴェル。私も彼女たちから逃げてきたの、旅人で途中からあの村に行っていたんだけど・・・君は?」

 

私は嘘をついた。多分今までの人生の過去で一番、最低な嘘だろう。名前も正体も何もかもなかったことにしてしまったのだから・・・

 

「そう・・・なんだ・・・僕はベル・・・ベル・クラネル」

 

そう言って彼はスープを飲み干す。

 

「ベル・クラネル・・・うん、いい名前ね・・・」

 

そして私が微笑みかけたがいつの間にか彼が唇から血を流していた。

 

「ちょ・・・?!唇から血が垂れているわよ!」

 

彼の唇を拭いたが彼の表情からその痛みと憎しみ、怒りが私の心に痛いほど響いた。

 

「少し外の空気を吸いに行ってくる」

 

暫くして彼がそう言ってきたので私は少し心配になり後をつけていた。そこに彼は涙を流しながら夜空を見上げていた。そこには家族、知り合い、友達のことで泣いていた。その姿に私は更に心が痛む。そして彼は何か言ったようで星を見ていた。

 

「絶対・・・絶対あの女達を殺してやる!!一人残さず皆殺しに・・・ッ!!」

 

狼のような目つきをしながら虚空の空を見上げ、涙を流しながらそう叫んでいた。

 

(私は、何という過ちを犯してしまったの・・・)

 

その姿に自分の罪の重さと彼の悲しみが胸に響いて涙を流したのだった。

 

 

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