胃袋の意味を持つ船、モウ。極東に伝わり農業の街、フェレライから食料を奪い住人の魂をくらっていた船が今終わろうとしていた。
「やあ、ベル、ローゼ、アーディ・・・」
「シックスちゃん」
代償に一人の小さな悪夢が生まれたが・・・今、小さな悪夢は自分のサイズと同じくらいの手紙を持ち太陽が後ろに照らし出してどこか神々しさを出している。シックスはどこにでもいる少女のような笑みを浮かべている。
「シックスちゃん貴方は・・・一体何者なの・・・」
アリーゼの言葉に少し悲しそうな瞳で見る。シックスは一呼吸置いて話を続けた。そうしてシックスはレインコートを脱ぐ。そこには・・・
「・・・?!尻尾?」
シックスの後ろに尻尾があったのだ。獣人ならよくあることだがシックスの頭には獣人には絶対ある耳がない。シックスはレインコートを着直し、また一呼吸置くと話を続けた。
「思い出したの・・・私の本当の名前はケルベロス。以前天界で封印された魔物だよ」
魔物、モンスターとは違い天界で生まれた知性のある生物。その力は神でさえ凌ぐモノだった。その強大さ故に封印されていたのだが、200年前、それが解放されたと神でささやかれていたが、ほとんど対処出来ていたらしい。しかし、中には人間で取り込んだものもいるというのだ。
「さっきの女も、分かれた私のもう一人の人格・・・正直怖かったよ」
その言葉に3人の身体が震えた。さっきのシックスとは違う・・・ベル達もケルベロスの話は聞いたことがある。ケルベロスは天界で多くの神をくらったと本に書かれてあった。恐ろしく、残虐なイメージを持っていたがそれは神話での話。実際に見たことはないため驚きを隠せなかった。
「怖い?そうだよね・・・私はそこまでのことをしたんだから・・・」
しかし、どうも彼女がケルベロスだとは信じられなかった。今の彼女は不気味ではあったがそれと同時に優しさに包まれている。そんな感じだった。しかし、船は揺れ始める。
「彼女の持つ力とモウは一心同体・・・この船も、もうすぐ沈む、速く逃げた方がいいよ・・・」
「でも・・・」
「安心して。私は、ローゼもアーディもベルも大好き。他の人間は別にどうでも良い、でもベル達は特別だよ・・・だから食べることもないから・・・」
「・・・・・ッ!」
そう言ってシックスはカゴメの鳴き声と共に外に出ようとする。それと同時にベルは思わずシックスの元に詰め寄る。
「待って?!シックスはこれからどうするの?!」
そう言った途端、シックスは足を止め、ベルの方を見る。すこし、悲しそうにベルのことを見ていた。
「私は・・・大丈夫、幸いこの力さえあれば何とか、生きられるから・・・」
「でも・・・」
シックスはこれから一人で生きようとしていた。目を見て恐らく、ベルを助けるためだろう。それもそうだ、シックスは普通の人間より遙かに小さく、それでいて化け物並の力を有している。もし、ギルドに目をつけられたらオラリオの冒険者を敵に回す。そしたら社会の目もベル達に向ける目は予想つく。シックスはそれを理解していた。
「私の目的も達成された、私も旅に出るよ・・・」
そう言ってシックスはいくらか肉を手にしていた。そして階段を上る。シックスは何かを思い出したようにベルの方を振り向いた。
「あのね・・・ベル、一つお礼を言いたいの・・・」
「・・・何?」
そう言ってシックスは涙を流す。その涙は夕日に当たり輝いていた。そうしてシックスはベルのそばによる。小さな身体で、ベルの足下まで来た。
「ベル・・・私に、生きる希望を与えてくれてありがとう・・・」
「・・・・・ッ!」
シックスは涙を流しながらレインコートのフードをかぶる。そうして階段を上がった。
「じゃあね・・・」
そう言ってシックスの姿は消えた。
???side end
ベルside
あれからフェレライでは新しい領主によりこの土地は豊かになった。飢えで苦しんでいる人々はいなくなり街は賑やかになった。
「ローゼ・・・」
「うん・・・」
あれから僕達はシックスがどうなったのか気になっていた。すぐに追いかけようとも思ったがそのうちに消えてしまっていた。恐らく、近くのボートを使ったのだろう。シックスはあれ以来、情報もなかった。きっと今でも懸命に生きているのだと思う。シックスに合う前の三角頭をした小人はシックスがやったのだという。しかし、外の世界でそういうニュースがないと言うことはきっとうまくやっているのだろうと思う。彼女は自由になったのだ・・・人を殺していない限り彼女の旅に口を出すのは出来なかった。ふと思う・・・もし、少しでも違えば、運命は変わったのだろうか・・・僕には分からなかった。だが、僕達は僕達の旅を続ける。それが、今の僕達だった。
「行こう・・・」
「ええ」
今日も僕達は旅を続ける・・・
ベルside end
シックスside
ベルと分かれて以来、私は森に入る。道中モンスターというモノは出たが、レディの力で余裕に対処をしていた。その後はそのまま食べたが・・・ふと、私は背中からとある手紙を取り出した。あの首つりの男だ。レディの力ですぐそこまで行きとったのだ。私は息をのみ手紙を開ける。そこには・・・
「モノ・・・」
以前、シックスと共に冒険をし、失った友人、モノの物だった。モノは以前、怪電波に捕らわれ、閉じ込められたシックスを助けてくれた少年である。しかし、最後モノは自らシックスの手を離しモノは落ちた。モノは自分自身を犠牲にして私を助けたのだ。それを忘れていた自分に怒りを覚える。
息をのんでシックスは手紙を読み始めた。
『シックスへ・・・
これを読んでいると言うことは、僕はもう死んでいるんだね・・・僕は君が大好きだった。一緒にいたかった。でも現実は何時も残酷だ。どうやってこの無限ループを終わらすのは分からなかった。でもようやく気が付いたんだ・・・僕が死ねばよかったんだ。シンマンになってどうすれば君を助けられるのかなって・・・傲慢だよね、うん自覚している。でも君を助けたかった・・・傲慢で狂っていたとしても・・・だからシックスは僕の分までしっかり生きて・・・愛していたよ・・・シックス
Ps オルゴール、壊してごめんね・・・
君の親友、モノことシンマンより・・・』
「ウ・・・・アアアアアアアアアアアアアアアア!!」
その瞬間、私の涙はダムのように崩壊した。
「なんでよ・・・・・ッ!なんでよ、バカ!!私も好きだったよ!大好きだったのに・・・・・ッ!モノと笑い合いたかったのに!!」
私は怒鳴りつけるように泣いて、地面に泣き崩れた。大切な人は傲慢だった。だとしても、一緒にいたかった。傲慢でも良い・・・あの時のように手を握って欲しかった・・・
「行かないでよ・・・モノ・・・」
そう言った瞬間、何やら紙袋が地面に落ちた。シックスはそれを拾う。
「これは・・・」
それは紙袋だった。しかも穴がついている。ちょうど私がかぶるのに最適な大きさだった。
「モノ・・・」
そう、これはモノの帽子だった。私はレインコートのフードを脱ぎ、帽子をかぶり近くの湖を見る。ちょうど月が反射している。その姿はモノのようだった。
「ふふ、おそろいだね・・・」
それを見た瞬間、私は旅の準備をする。どんなに離れていてもモノはいてくれるから・・・
「愛しているよ・・・モノ」
そう言って私は小さな身体で旅を始めるのだった・・・
はい、僕自身の考察ではモノは自分でシックスの手を離したんだと思います。そしてシンマンとなってのちに首をつる。その後は分かりませんがどうでしょうか?次回は他作品の都市の話です。それではまた次回、お楽しみに!