ここはオラリオ、世界で唯一ダンジョンがあり冒険者と神があふれる街だ。ここには金、名誉、出会い、全てが手に入るとされている。この街では実力者が多いため英雄が生まれるとされている。この街ではそれぞれ四つのファミリアが代表されている。
一つは道化の神、ロキ・ファミリア。
二つ目は美の女神の寵愛の為に動くフレイヤ・ファミリア。
三つ目は象の神でありオラリオを守る、ガネーシャ・ファミリア。
そして正義をまつわるファミリア、アストレア・ファミリア。
現在このファミリアがオラリオを代表する四大派閥だ。幹部にはレベル6が複数いる。しかもフレイヤ・ファミリアには唯一のレベル7『猛者』のオッタルがいる。都市の強さはこの世界で最強と言ったところだろう。
ファミリアとは神の眷属であり家族とされている。背中に『
ファミリアにはランクがあり、Dとなるとギルドから『遠征』の義務が課される。
『遠征』・・・ダンジョンの攻略階層を増やすためにギルドが出している強制任務だ。
ダンジョンは謎が多く、未開拓な場所は多くある。奥に進むにつれて広くもなり、モンスターも強くなるのだ。現在は58階層までである。
恩恵とは地上で神が地上に降りた時、使うことが許された少ない神の力だ。
恩恵によりその人間の身体能力は莫大に上がる。それにより人間は初めてダンジョンに潜れるのだ。
そして恩恵には、恩恵ならではの差が存在する。それがステイタスだ。
ステイタスはレベルと力、耐久、器用、魔力、俊敏等のアビリティとそれと同時に
『剣士』や『鍛冶師』、『耐異常』などの発展アビリティ、スキルだ。
特にレベルは重要だ。コレに一つでも差があれば、特別なスキルでもない限り勝てるのはほぼ不可能と言われている。大体の冒険者はレベル1から始まる。レベルを上げるには単にモンスターを倒すのではなく何か、偉業と呼ばれるほどの冒険をしなければならなくなる。
そしてランクアップした者にはそれぞれ二つ名が与えられる。『
とまぁ、そんなこともあってかオラリオは今日も冒険者がダンジョンを攻略する日々が続いている。そんな中ダンジョンから会話が聞こえた・・
「アイズ~遠征終わったね・・・」
「うん・・・正直今回はどうなることかと思っていたけど・・・」
「何がともあれ、犠牲者は出ずにすんだから大丈夫じゃない?」
ダンジョンの一階層、ここではとある集団が
彼女はアイズ・ヴァレンシュタイン、レベル5であり『剣姫』という二つ名を持っているロキ・ファミリアの幹部だ。金色の髪と瞳を持ち美しい容姿に他の男性冒険者から好かれる、アイドルのような存在だ。
そこに隣で友達のように接しているのは同じくロキファミリアの幹部のレベル5で、『
その姉でティオナとは対照的な体格を持ち同じくレベル5の『
「アイズさん、今日もまた美しい・・・」
アイズ達の後ろで少しソッチの気を出しているエルフはロキファミリア準幹部でありレベル3で『
「ベートさん、荷物持ちますよ」
「イヤ、いい。雑魚がこんなもの持てるわけないだろ」
少し気性が荒ぶっており、鋭い目つきの狼人はロキファミリアの幹部でありレベル5で『
ベートはよく弱者を罵っては雑魚と言う。そのせいで周りの冒険者から忌み嫌われており人望もない。
しかしそれは彼の優しさである事に気が付いたリーネは彼に恋心を抱くようになったのだ。彼女は今、ベートに必死に追いつけるように努力をしている。
「全く、今回は想定外だった・・・」
「精霊とはのぅ・・・」
「ともかく戻ったらギルドに報告だ・・・ロキにも説明しておこう」
そうしてそれぞれ、ドワーフ、ハイエルフ、小人族の三人が話しあっていた。この三人はロキ・ファミリアが開設された後すぐ入り、今ではレベル6の幹部である三人組である。左から順に『
ロキ・ファミリアは遠征がありここでは省くとするがダンジョンで異常事態が発生したため遠征は失敗に終わった。今は地上に帰る事になっているが正直冒険者達は疲労がたまっていた。
「そう言えば、リヴェラの噂でまたラキアが戦争しかけてくるらしいっすよ」
「懲りない連中だね・・・あそこレベル3までしかいないでしょ」
「アレスってかなり脳筋だからねぇ・・・」
ヒューマンと猫人、エルフのレベル4でロキ・ファミリア準幹部の冒険者、順に『
ラキア王国はオラリオに度々戦争を仕掛けているが犠牲者は出ていないものの(ロキ曰く、こんな戦争ごっこに子ども達の手を汚したくはないらしい)どれも負け続きでオラリオでも呆れられている。
「でもなんか最近ラキア王国、謎の取引しているようだって噂が後を絶たないッすね」
「最近は『エルディア人』って言われる種族が生まれたって聞いたし、本当なんなんでしょうね」
「いずれにしろどうせまた勝つでしょ」
そう言って3人もため息をつく。正直遠征続きで疲れているため正直面倒くさいのである。
「まぁそれについては後で話しましょう・・・今は帰ることが優先だわ」
そう言って3人は笑みを浮かべながら頷く。それは他の皆も同じであった。このファミリアは基本誰でも受け入れそして人も大体はいい。何時もロキ中心に馬鹿やって楽しく幸せな毎日を送っていた。
「アキ・・・」
「ん?どうしたのよ、ラウル」
「俺、このファミリアにはいれて良かった」
「・・・私もよ」
そうして彼らは地上に帰るのだった。
「それで、ヘルメスよ・・・本当に実現できるのか?」
暗い空間で、数人の人間とヘルメスを含む3人の、神が話し合いをしていた。1人はオラリオの治安を守るファミリアの主神、ガネーシャ。もう1人はギルドを仕切る大神ウラノスである。傍にいるのはガネーシャファミリアの団長であり、レベル6で『
もう一人は副団長でありシャクティの妹である、アーディ・ヴァルナである。それと同時に複数のガネーシャ・ファミリアの幹部、異端児の存在を知っている者達の集まりだった。
「本当に
「ああ、そのためにウラノス・・・鏡の使用を許可して欲しい」
ヘルメスは少し間を開けつつウラノスに懇願する。それにウラノスは頭を悩ませていた。
「ヘルメス・・・貴様には世話になってはいる。しかし鏡など、戦争遊戯に使われているものが何の役に立つ」
ギリギリ女性の声を出しているが声にエコーが入っているのか、性別が分からずフードを被っている魔道士、フェルズはヘルメスを睨めつけるように問いかける
「ある人の演説さ、その人の演説は魅了みたいに人々を心酔するように彼を支持するんだ、ああ大丈夫、実際反発する人もいるから決して魅了のように洗脳するわけじゃないよ。ただその人の実力ならきっと大半の人間を納得させられるさ」
そう言ってヘルメスは笑みを浮かべウラノスを見る。
「ヘルメスよ、我々は確かに
「何時までそうして問題を後回しにするつもりだい?」
「・・・・・・・ッ!」
ガネーシャの言葉にヘルメスが反論すると全員が黙り込む。ヘルメスは再び口を開いた。
「君たちはいつだってそうだ。何時も何時も、共存を目指し怪物祭をやってモンスターに少しでも執着を持たせようとした。だが、実際はどうだ?民衆はそれをただ楽しみ、娯楽でしか見てない。君たちがやっていることは無駄だよ。イケロス・ファミリアのアジトが分からない状況がその証拠さ・・・むしろいざ異端児を目にすれば何するか分かったものじゃない、結局君たちは無能の集団さ」
「貴様・・・ッ!」
「お姉ちゃん!」
シャクティはヘルメスにつっかかろうとするがアーディが止める。
「・・・だからウラノス、ここは彼に賭ける価値はあると思うよ」
そう言ってヘルメスはウラノスの目を見つめる。そうしてウラノスはヘルメスに対して少し目を見つめたが暫くしてウラノスは目をつぶる。そして・・・
「分かった・・・許可しよう」
「ありがとう・・・感謝するよ、ウラノス」
しかしウラノスは知らない。この先オラリオにどんな未来が待っているのかを・・・この時はまだ知らなかった・・・
一方ラキア王国ではベルが来てから2年・・・宮殿でパーティーが開かれていた。広く黄金の壁が立ち並び大きなシャンデリアの中、音楽と共にダンスを楽しんでいる神と貴族、そして一般市民が集まる。
「まさかアレスがこんなものを用意してくれるなんてナ」
「ああ、しかも一般市民も参加させるとは・・・今回は何を企んでいるのか」
それぞれの神が小言を口にしている
そんな中ベル達は
「モグモグ・・・コレ美味しい!」
「はは、ローゼ・・・それは良かった」
「ぬぅん!!美味しいいいいいいいいい!!コレ作った人誰ですかぁ!!」
「サシャお姉ちゃん・・・(^_^;)」
少し間があるため料理を口にしていた。ベル達はパーティーの途中でサシャにも会い一緒に食べ物を回ることにしたのだ。サシャは当然のように食べ物を見つけるとすぐに飛びつき噛みつく。そうして食事を一気にほおばった。それにベル達は苦笑いする。
「おお、ベル!また大きくなったなぁ」
「アルミノ兄ちゃん!」
「私もいるよ」
「イシスお姉ちゃんまで・・・」
そうしていた途端ベルの村の同胞のアルミノ、イシスが酒を片手に持ちながら話しかけてきた。
「ちょっと!私を忘れているんじゃないでしょうね!!」
「先輩・・・少しはお酒を自重してください」
「アクア様・・・と貴方は・・・」
そこに酒瓶を持って少し顔が赤くなっているアクアとシスター服を着ていて少し顔に傷がある女性が隣で冷や汗をかきながらアクアと同行していた。
「私はアルカンレティアで統治している神、エリスです。貴方がベルさんで?」
「え、あっはい!!貴方がエリス様?」
ベルはエリスの容姿に少し懐かしさを感じる。エリスの服装はシスター服の為どこか母親のような感じがするのだ。
「話はアクア様から聞いています・・・辛かったんですね」
そう言ってエリスはベルを抱きしめる。母のような温もりがベルを優しく包み込む。
「ありがとうございます・・・もう、大丈夫ですから」
しかし、ベルはすぐにエリスを離す。エリスは少し戸惑っていたがイシスは何やら察したらしくエリスの肩を叩きローゼの方に向かせた。それは・・・
「ガリガリガリガリガリ」
「ア・・・なるほど」
どうやらエリスも察したらしい。最もベルはそれだけが理由じゃないが・・・
「にしても、アレスったらこんなパーティー開いてくれるなんて気前がいいわね」
アクアは酒を飲みべらべらと酔っ払いながらエリス達に訪ねる。ベル達は分かっているように目をそらした。
「ベル・・・?」
「イヤ・・・何でもない」
そう言ってベルは再び料理を口にする。サシャは別のところで料理をほおばっていた。それに二人組が流石に抑え何やら止めているようであった。
「ハァ・・・」
ベルは少しため息をつく。暫く宴が続いた。
「皆さん・・・今日はお集まりいただきありがとうございます」
しかし、本当の宴が幕を開ける。大きな扉が開き中から金髪で長身的な男で、少しひげが生えていて水色の服を着たヴィリー・タイバーが姿を現した。
「アレって、ヴィリー・タイバーだよな?!」
「どうしてここに?!」
突然の大物人物に客達は戸惑いを隠せなかった。辺りがざわつき始める。
一方オラリオでも・・・
「なんや?急に鏡が出始めたで?!」
「本当だ・・・」
「彼奴は・・・誰だ?」
突如、オラリオの上空に鏡が現れ始める。紅の短髪に細目の女の神、ロキも驚嘆の表情が現れる。同行していたラウルとアキもそれを見て驚きを隠せないでいた。それはオラリオ上空だけではない・・・
「何?!」
「鏡が・・・戦争遊戯でもないのに!」
ギルドでも同じようなことが起きていた。受付嬢のエルフ、エイナ・チュールとピンク色の髪をした小柄のヒューマン、ミイシャ・フロットも驚きの声が漏れる。ギルド中にざわつき始めた。
「なんなんにゃー!鏡がぁ!!」
「どうしたんだい?!って彼奴は・・・ヴィリー・タイバー?!」
「ミア母さん・・・知っているの?!」
豊穣の女主人でも同じようなことが起きていた。アーニャ・フローメルが騒いでいるところ店員のシル・フローヴァは店主のミア・グラントの言葉に驚きと疑問の声を上げる。
「少し前、会ったことがあってね。チラッとだがな。7年前急成長した貴族だよ」
「そんな人が何で鏡に?!」
同じく店員のクロエ・ロロも戸惑いを隠せない様子だった。その点に関してはミアも分からない様子だった。
「今回の話を進める前に、少し私の昔話をさせてください」
そうして辺りがシンと静まる。オラリオでもヴィリー・タイバーの演説に少し興味があったのか聞いてみることにした。
「私は、『転生者』と呼ばれる者です。神ならこの事を分かると思います。そこで私は以前こことはまた違う世界でタイバー家に生まれ、そしてやがてとある事があって私は死に妹と共にこの世界でまた生まれました」
「転生者やて・・・?」
「ロキ・・・どういうことッスか?」
「転生者は異世界で死んでここに来たとされている人間のことや・・・普通は記憶がないんやが・・・まさかあるなんてなぁ」
そうしてロキは驚嘆の声を上げるもどこか興味がありそうだった。パーティ会場でも神達の驚きが隠せなかった。
「私は、同じく死んだ妹と共に再びタイバー家を立ち上げました。そして7年、私はこの舞台に立ちました」
そうしてヴィリーは少し間を開け再び口を開く。後ろにはヴィリー・タイバーの人生を暗示している役者がいた。
「前世の私の民族は虐げられていた民族でした。世界中から嫌われ、収容区から出れば石を投げられ、家畜のように扱われていました。しかし、私は歴代の当主の戦績のお陰でそれは免れていました。私はそれを虐げる民族になれ変わり最終的には同胞の根絶を願ったほどです。それは今でも後悔しています」
そうしてヴィリーは後悔の表情が見える。それに感化されたのかパーティ会場には涙ぐんでいる者もいた。
「そして私はずっと思い悩んでいました。本当にすべきことは何だろうと・・・正しいのは何なのか・・・それはこの世界で生まれ変わってからもです。そして、私は今日、ついに見つけました!!」
「何だ・・・?」
そうして辺りがざわつき始める。その途端、後ろの扉が開き始めた。そこには・・・
「モンスター!?」
「おいおい、嘘だろう?」
セレンがドレスを着た状態で姿を現した。歌人鳥の特徴を残しながらも彼女の美貌が全員に集中する。
「彼女は異端児と呼ばれる種族で我々と同じく知性があり、笑ったり泣いたり、時に怒ったり・・・人間と全く変わらない小さな女の子です。ここ最近、貴族との間でこの子の同胞が今日も悲鳴を上げています」
そうしてパーティー会場は戸惑いの声が上がる。しかしヴィリー・タイバーは続けた。
「そして、それはオラリオが知っていてあえて黙秘している状況にあります!!」
「「「・・・・・・・ッ!」」」
「私は確かにこの世界を知ってモンスターの根絶を願いました。しかし、彼女のような小さな少女が、人間と同じ気持ちを持つ少女がオラリオによって虐げられている!!」
パーティー会場中ざわつき声が次々と現れる。オラリオでも驚きの声が上がっていた。
「モンスターと言うだけで、オラリオの冒険者は一人の少女、そして子ども達を無残に殺していく!!この子はもう一人の私達のようです。世界から生まれることを望まれなかった存在と思ってしまっている哀れな心を持っている。そんな彼らに、私は生まれてきたことを望まれたと言うことを教えてあげたい!!彼らは生きていてもいいんだと思えるようになってもらいたい!!そのために、どうか力を貸して欲しい!!どうか彼女の同胞を、異端児を、子ども達を、オラリオから救って欲しい!!そのために力を合わせてオラリオと戦って欲しい!!」
そうしてヴィリー・タイバーは涙を流す。それに動じてパーティーにいる者全てが感動したのか拍手を送る。そうしてヴィリー・タイバーは手を広げ今まで以上に壮大な声で宣言した。
「私、ヴィリー・タイバーはラキア王国代表としてここに宣言します!!」
そうして会場が盛り上がり始める。ヴィリーはそれを見込んだかのように高らかに声を上げた。。
「オラリオ勢力に、宣戦布告を!!」
「「「オオオオ!!」」」」
会場はここで一気に大盛り上がりを見せた。
「俺も参戦するぞ!!」
「俺もだ!!」
こうしてラキア王国含む連合軍がここに集結しオラリオに宣戦布告をするのだった。
はい、今回はここまでです。次回はオラリオ編がスタートします。それではまた次回お楽しみに!!