白兎は正義に憎しみを抱く   作:暗闇水明

23 / 49
こんにちは、今回は開戦前をかきました。それではどうぞ!


Chaptear23混乱

「オイオイ、こりゃあどういうことだ?」

 

「分からねぇがラキア王国が・・・宣戦布告をしたってか?」

 

オラリオでは戸惑いの声が相次いで聞こえた。突然鏡が出たと思いきやラキア王国がオラリオに宣戦布告をしてきたからだ。ラキア王国とは戦争していたとはいえ、ここまで派手にやることもなかった為住民達は戸惑いを隠せない。

 

「アレス、とうとう気が狂っちまったのか?」

 

「確かに・・・と言うかあのモンスター何?演出?」

 

「にしてはリアルだったな・・・アレは本当なのか?」

 

住人達は次々アレスへの陰口を口にする。誰もオラリオの勝利を確信しているからだ。しかし神達は更なる戸惑いを見せた。

 

「アレがモンスターって・・・」

 

「ああ、本物だったな」

 

神が地上で許された力の一つ、人間の嘘を見抜く力。コレにより神は人間が嘘をついているか分かるため嘘ではないことが分かる。

 

「ロキ・・・アレって」

 

「ああ、本物のモンスターや・・・恐らく異端児って言うのも本当やろ」

 

そう言ってロキは顔を曇らせる。それはロキファミリアの全員が同じだった。

 

「何よ・・・アレ、まるで私達が悪者みたいじゃない」

 

「勝手に判断しやがって・・・ふざけるな!」

 

ほとんどの冒険者がラキア王国に怒りを見せていた。それは他の冒険者だって同じだ。異端児の存在は一部のファミリア以外知られていない。更にモンスターは人類の敵と言う概念が存在し、ラキア王国が言ったことは悪その者であると踏んでいるからだ。

 

「ともかく明日緊急の神会もあるだろう・・・当然、後で会議は開くがフィン・・・お前はどう思う」

 

リヴェリアは演説を聴いた後、少し悪態をつきながらフィンに問いかけた。フィンは机に肘を置き両手のこうを顔に置きながら口を開く。

 

「正直・・・コレは僕も想定外だ。驚きが隠せないよ」

 

「ああ、まさかこのタイミングで宣戦布告じゃからのぉ」

 

それぞれ、威圧感がある雰囲気が辺りに漂う。常人であればすぐ逃げ出したいところだ。それは気にしないのかフィン達は話を進めた。

 

「ともかく、また防衛戦か?」

 

「ああ、何時もならそうするだろう・・・だが今回は少し妙だ」

 

「アレスがただ脳筋なだけじゃないの?」

 

ティオナは少し怒りがこもりながらも落ち着いて話を進めていた。それにアイズは険しい顔つきをしていた。

 

「アイズさん・・・」

 

「何時もの事よ・・・まぁ私達もモンスターは恨んでいるからねぇ」

 

オラリオではほぼ毎日ダンジョンを攻略するため当然、モンスターによる犠牲者が出るのは日常茶飯事だ。それにより両親を失い孤児になる子どもも多い。オラリオではモンスターは憎しみの的でしかなかった。それは誰だって同じだ。モンスターの共存なんて彼らは死んでもごめんだろう。

 

「でも・・・その異端児(ゼノス)って人たちと話しあうことが出来たらこの戦争もなくなるのかな?」

 

しかしそこにとある男の声が聞こえる。全員にその男に視線が集まった。

 

「マルコ・・・君は自分が何言っているのか分かっているの?」

 

アイズは鋭い視線で黒髪の男、マルコ・ポッドに話しかける。

 

マルコ・ポッドは7年前、ロキ・ファミリアに入り以来レベル4の第二級冒険者になった人物の一人である。周りの人間からは優しく好印象であり人気者だ。二つ名はかつて兵士の経験があることから『天使兵』となっている。もう、まんまだ。

 

「もちろん、モンスターを恨むのは分かっているよ・・・でも、話し合えるなら話し合った方がいいんじゃないかなって」

 

「マルコ・・・君が無駄な争いをしたくない気持ちは分かる。だが、人間とモンスターの共存は不可能だ。モンスターは絶対悪。それがこの世界の全てさ。共存などそれは単なる御伽噺にすぎないんだよ」

 

「でも・・・」と言ってもマルコが何やら言おうとしてもそう言ってフィンはマルコを冷たくあしらう。いくら人望があってもこの事に関しては皆フォロー出来ない状況であった。それと同時にティオネがこれ以上反論するなと圧をかけてくる。マルコは反論しようにも周りのせいで反論出来なくなっていた。やがて作戦のための会議が開かれようとしていた

 

(なんで皆・・・そんなに急ぐんだよ・・・)

 

会議の中マルコはただそう思い拳を握りしめあの時を思い出すのだった・・・

 

一方、ギルドのとある空間。ここでガネーシャ、ウラノス、フェルズ、シャクティ、アーディ達が一斉に集まりだし怒りと驚きの声を上げながら話しあっていた。

 

「クソ・・・ッ!どういうつもりだ、ヘルメス!!」

 

「まさか、こんなことになるなんて・・・」

 

突如、オラリオに宣戦布告が出てきたことに全員に怒りが生じる。もちろん、宣戦布告が出た途端ヘルメスを探したが既に逃げられていた様子だった。

 

「ヘルメス・ファミリアはラキア王国の内通者だったのか・・・」

 

徐々にそのことが明らかになりシャクティは怒りのあまり拳を握りしめ壁に当てる。それにアーディも不安に襲われた。

 

「ともかく、全ファミリアに対しすぐに強制任務を出しましょう」

 

「ああ、オラリオを守り抜くための盾とならなければ」

 

そうしてウラノスはフェルズに強制任務を出すように指示する。それによりシャクティ達もそれぞれ団員達に呼びかけたのだった。

 

一方ここは『星屑の館』・・・アストレア・ファミリアのホームである。こちらも先ほどの宣戦布告により準備が進められていた。

 

「まさかまたラキア王国が仕掛けてくるなんてな」

 

「今度は何を企んでいるでしょうね」

 

そうしてアストレア・ファミリアの幹部と一人の栗色の髪をした小人族、リリルカ・アーデは突然の事に驚きは隠せなかったがすぐに冷静に対処してこれからの方針を決める。

 

リリルカ・アーデは以前ソーマ・ファミリアにより環境が劣悪で仕方なく悪事を働いていたが、アストレア・ファミリアから助けてもらい恩返しをするためアストレア・ファミリアに入りサポーターをしている。頭脳が高く時々指揮官もやっているのだ。

 

「とにかく、防衛戦は私達も参戦ですね・・・皆も回復しているし」

 

「全く、少しはマシになった途端コレか」

 

あれからカウンセリングをして徐々に精神も回復していきアストレア・ファミリアの団員達は戦えるようになったらしい。しかし時々罪悪感で吐くことが多々ある。それにはディアンケヒト・ファミリアも苦労しているらしい。

 

「にしても・・・何であんな風に派手にやったんでしょうか・・・」

 

「分からん・・・だが、何やら企んでいるように見えた」

 

「今回は・・・なんか何時もより違う気がするぜ」

 

星屑の館にも不穏な空気がなだれ込んでいたのだった。

 

 

 

「オーライ、オーライ」

 

一方こちらはとある港、ここでラキア王国側はとある準備をしていた。大きな歓声が辺りに響く。

 

「とりあえず、これでいいかな?」

 

「何とか二年間で終わらせましたが・・・正直、大丈夫でしょうか?」

 

アスフィ達率いるヘルメス・ファミリアも協力してある物を運び出している。少しして作業が終わりヘルメス達は休憩を取っていた。

 

「ああ、彼らならきっとオラリオを打ち負かすだろうさ・・・」

 

「だとしても少し戦力が足りない気が・・・」

 

そうしてアスフィはヘルメスを見る。その様子にアスフィはゾッとした。

 

「もうすぐだ・・・もうすぐ・・・もう少しで目覚める」

 

何やら狂信的に崇めているような雰囲気を出していたのだ。その目は、狂っているような目で恐怖を煽るような目つきだった。

 

「ヘルメス様・・・」

 

「ん?なんだい?」

 

「・・・いえ、何でもありません」

 

アスフィは見たことにせずそのままスルーすることにした。しかし、ヘルメスの様子にアスフィは忘れられないようだった。

 

(ヘルメス様は、何を企んでいるのでしょうか・・・)

 

アスフィは流れゆく作業の中そう思うのだった。

 

 

やがて二ヶ月が経った。オラリオではラキアが攻めてきたという報告がなく現在はそれぞれ配置についており壁から見下ろしていた。

 

「あんだけ派手にしたのに全然来ねぇな・・・」

 

「やっぱ口だけじゃねぇか?」

 

しかし全く来ないからか他の団員達も次々と不満を口走っていた。それにロキファミリアの幹部達も来るが待てど待てど、ギルドからは何も報告させられていない。

 

「暇ねぇ・・・」

 

「ああ、最近、ダンジョン攻略は禁止されているからな・・・」

 

ラキア王国との戦争が起きた中、ギルドは強制任務を出し、一般人の避難、そして冒険者はオラリオを防衛をするようにと言われている。もちろん24時間態勢のため誰もダンジョンへは行けない。そんな中、複数の冒険者はいらだちを覚えていた。

 

「クソ・・・ギルドのせいでうまくダンジョンにいけねぇから商売まで出来ねぇじゃないか」

 

イケロス・ファミリア、ディックス・ペルディクスは悪態をつきながら小声で愚痴を言った。

 

イケロス・ファミリアは闇派閥(イヴィルス)とつながっており、異端児の密輸をしている張本人だ。本来ならこんなことしないのだがここで異端児の密輸経路がラキア王国にばれてしまえば自分の商売は影響しかねないため参戦することにしたのだ。

 

「ディックスの兄貴、落ち着け・・・ここで聞かれちまったら何もかもお終いだろうが」

 

そこにスキンヘッドで顔に入れ墨をいれている男、グランに諭されディックスは落ち着く。

 

「クソ・・・元はと言えば彼奴らがあの歌人鳥を逃がさなければこんなことにはならずにすんだのによ」

 

ディックスはそう言って槍を投げ、壁に刺す。それに驚いたのか他の団員達も怯え離れていった。

 

「まぁ、いざという時は俺たちで乗り込めればいい・・・そしてあのモンスターを狩れば終わりだ」

 

「・・・ああ、そうだな」

 

そう言ってディックスは落ち着き壁から槍を抜き城壁の下を眺めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「準備はいいか?神ヘルメスよ」

 

とある場所で一人の男がヘルメスに連絡する。ヘルメスが用意した魔道具により遠距離で話をつけている。

 

「ああ、問題ないさ・・・」

 

「ならいい、ともかくこちらも準備は整っている。後はアレを出すだけだ」

 

「ああ、まずは戦力をここで減らさないとね・・・正直、君の作戦は驚いたが、彼女達の反応からして大丈夫そうだね・・・作戦の成功を願うよ」

 

そう言ってヘルメスは通信を切る。遠くの丘でオラリオの様子をうかがっていた。やがて顔には狂気的な笑みを浮かべる。ヘルメスは誰にも聞こえないような場所で笑っていた。

 

「さぁ、始めようか・・・オラリオを舞台とした復活の儀式を!!」

 

誰もいない場所でヘルメスの笑い声は夜空の虚空に響いたのだった。

 

 

 

 

 




はい、今回はここまでです。次回は本格的に戦争が・・・そして次回あのキャラ達が・・・お楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。