「逃げろおおおおおおおおおおおおお!!」
そうして冒険者達は一人の巨人から逃げる。胸に一突きしても死なず、剣を手放し逃走する。しかし、スピードが高くそのまま悲鳴も聞こえず、肉片だけが残る。
(全く・・・この世界でも変わらないな・・・)
戦いながら
ユミルはサシャの同期であり、サシャが心配でこの戦争に参加したのだ。
最初は断ったがヘルメスからサシャも出るとなると仲間となるとそうも行かなくなったのだ。仲間が・・・サシャが大切だからだ。(ヒストリアが一番だとするとサシャは二番だが)この世界に転生してユミルは自分の為に生きると決めていたがやはりサシャ、仲間が大切で心配なのだ。そしてなんとなく察してはいたがサシャがこの世界にいると言うことは前の世界でサシャは死んだと言うこと。それを知った途端ユミルは悲しみにくれた。それと同時に喜びもあったのだ。また会えると・・・アレスから収集されたときは、泣きながらサシャに抱きついてしまった。
「馬鹿野郎・・・速すぎるんだよ、芋女」
最初に出た言葉はそれだった。やはり心配していたのだ。そばには見慣れない人物もいたが空気を読んでくれたのか暫く泣きながらサシャに抱きつく時間が流れたのだった。
「そうか・・・お前は・・・」
「ええ、戦争で油断していたらそのまま」
サシャの経緯を聞いた後、ユミルはどうしようか頭を抱えていた。ユミルとしてはもう戦争には行かせたくなかった。出来ることならもう人を殺して欲しくなかったのだ。説得もした。だが、それは一言によって無駄だとさとる。
「私には・・・息子のような大切な子が出来たんです、ヘルメス様からの決定で戦争参加は免れないようなんです。もし、逃がせばあの子も殺すと言われ・・・それにあの子も・・・」
そう言ってサシャはベルのことを話し始めた。サシャはベルの事が大切だと。そして彼の村は戦争する相手・・・オラリオに殺されたのだと・・・止めれば精神崩壊が起きる可能性もあることがあった。実はこの時ヘルメスから彼女達、アストレア・ファミリアは今でも正義と名乗ってのうのうと生きていることが伝えられ、全員が怒りに燃えていた。それはサシャも同じである。
「そう・・・か」
そう言ってユミルは少し迷った後参戦することを決めた。幸い九つの巨人は健在だったらしい。そのため、重要な役割が与えられた。他にも3体いる巨人と共に敵を殲滅するために選ばれた。(始祖の方のユミルの呪いは解除されていたらしい)
ユミルはただ黙々と戦闘を行っていた。冒険者をかみ砕き、引き裂き肉片と化していく。
「ハァ!!」
(取った!)
そこに剣を持ったエルフィが剣をつきたてユミルの胸を射してきた。しかし・・・
「なんで・・・」
エルフィは胸を一突きしたが消えないのに戸惑っていた。ユミルは巨人はうなじにやらなきゃ無駄だと言うことは理解しているため哀れんでいた。冒険者達は、モンスターは魔石を傷つければ死ぬと思っている為、エルヴィンは巨人に対応するには時間がかかると踏んだのだ。
(すまない・・・)
そうしてユミルはエルフィに向かって腕を振りかぶる。そしてエルフィの身体も肉片とかした。
「ヤァ!!」
(・・・・・・・ッ!)
しかしそれは防がれた。ラウルがユミルのウデを切り裂いたのだ。
(チッ!!)
「ラウル?!」
「速く逃げてくださいっす!!こいつらは謎・・・今の俺たちが到底かなうものじゃない」
(クソガ・・・だがまだもう一本ある)
そう言ってラウルは何とかしてユミルを押さえていた。ユミルはもう一つの腕で振り上げラウルを仕留めようとするが・・・
「ハァ!!」
(な・・・?!)
ラウルがもう一本の腕を切り落とした。すぐにラウル達はユミルのそばから離れる。
(クソガ・・・ッ!)
そうして急いで腕を再生しようとするがそばには冒険者がいた。全員、剣を出しユミルの周りに立つ。そして次の瞬間・・・
(・・・・・・・ッ!)
体中を刺し始めた。足、頭、顔に手当たり次第刺していた。すぐに再生使用とするもすぐ切られてしまう。
(クソ・・・ッ!このままじゃ・・・)
やがてうなじを攻撃され死ぬことが見えた。足も切られ、逃げられそうにもなかった。
(不味い・・・このままじゃうなじを!!)
やがて全員、うなじの方を差し始めようとしている。このままでは死ぬ。そう直感した。
「後はここだけだな!」
「死ね!!」
そう言って冒険者達はユミルのうなじを切り落とそうとした。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「な・・・!?しまった!!」
だがそれは防がれた。それと同時に茶色い髪をしており、白い仮面をした巨人が冒険者達を潰したからだ。
(マルセル・・・)
マルセル・ガリアード・・・マーレの戦士でありもう一人の顎の巨人の継承者だ。ユミルが無垢の巨人であった頃、ユミルに食べられた男である。ヘルメスの招集により呼ばれた巨人の一人だ。強さで言うならマルセルが上である。
(クソ・・・冒険者を少し侮っていた・・・だが!)
「しねぇ!!モンスター!!」
そうして冒険者達はマルセルの腕を切ろうとする。しかし・・・
「な・・・ッ?!俺の剣が!!」
瞬間何か水晶のような物・・・硬質化でマルセルの身体を守る。剣は折れ、冒険者は丸腰だった。
「しまッ・・・・」
それから冒険者は喋る前に身体がなくなっていた。血が地面に散乱する。
「ひいいいいいいいいいいいいいいい!」
「助けてぇぇぇぇ!!」
冒険者の悲鳴が辺りに響く。しかし、それはむなしく全身から血が流れながら死んでいった。
やがて、マルセルは周辺の冒険者を殲滅し、ユミルを守る。ユミルは安全を確認したのか一旦出ることにした。
「助かったよ・・・マルセル」
「ここはあらかた片付いた・・・さっさと戻るぞ」
「ああ」
そうして、マルセルは信号弾で場所を伝える。暫くするとラキア王国の軍勢がこちらにやって来た。
「戦槌の方は?」
戦槌の巨人、ヴィリー・タイバーの妹、ラーラ・タイバーが継承している巨人である。通常、巨人はうなじが弱点だが戦槌は地中に身体が埋まっているため、うなじを攻撃しても死なない。さらに硬質化を利用し様々な武器を作り出す。先ほどディックス達を潰していたのはこの巨人である。
「私ならここに・・・」
そうして水晶体から出てきたラーラはアスフィ達と合流する。ヘルメスファミリアは全員ラキア王国側についているのだ。先ほどルルネからも敵は森に逃げたことが伝えられており巨人達により逃げ道はバラバラだと伝えた。
「とりあえず、一旦メレンに戻る?」
「ああ、そうした方がいい・・・」
そう言ってアスフィ達は艦隊に戻ることにした。遠くから歓声が聞こえる。
「やったあああああ!!」
「俺たちがオラリオに勝った!!」
連合軍はオラリオに勝ったことにより歓喜に包まれていた。もちろん、カサンドラも参戦しており、そのような者は暗い顔をするも宿命なのか手を握りしめる。
「まだ油断をするには早い!コレより、逃亡者の捜索に当たる!生き残りは絶対に逃がすな!!」
エルヴィンの指示により全員が動き出す。謎のカリスマ性というものか全員がエルヴィンを信頼し行動に移す。その時だった・・・
「報告です!!」
「なんだ?!」
一人の兵が、エルヴィンに詰め寄る。それに全員が驚いていた。エルヴィンは急いで状況を整理させる。
「何があった?!」
「実は・・・ベル・クラネル一同が、イシュタル・ファミリアによって捕らえられました!!」
「「「・・・・・・・ッ!?」」」
時は少し遡る・・・
「ローゼ・・・アレって」
「イシュタル・ファミリア・・・娼婦系だけど・・・レベル5がいる」
ベル達はイシュタルファミリアを途中で見つけ、どうしようか探っていた。草むらに隠れ様子をうかがっていた。
「どうしますか?我が主・・・」
「アレは今の俺達じゃ敵わねぇ・・・巨人がいてくれると助かったが・・・どうも無理そうだ」
そうして全員どうするべきか議論をしている中、マルセルの信号弾が現れ全員一旦戻ることにした・・・のだが・・・
「若い男の匂いがするよぉ・・・」
「・・・・・・・ッ!」
「そこかぁ!!」
突然鼻をひくつかせ、猛スピードでベルの元に向かってきた。ベル達は急いで逃げようとする。しかし・・・
「逃がさないよオオオオオオオオオ!!」
レベル5のスピードな為すぐに追いつかれてしまった。フリュネは両手に斧を持ち振り回している。
「チッ!!」
「ここは私が!」
そうして竜型の化け物はフリュネに向かって光線をぶつける。しかし・・・
「後ろ忘れていないかなぁ?!」
「グァ・・・・・・・ッ!」
ローゼがアイシャによって不意打ちを受け倒れる。
「ローゼ!クソ・・・・・・・ッ!」
そうしてベルは剣を引き抜き、アイシャを攻撃する。しかし・・・
「遅い!!」
「ガアアアアアアアアアアアアアア!!」
「我が主!!」
「邪魔だぁ!!」
戦闘経験もないためベルは敵うはずもなく倒れ伏す。それにフリュネが竜型の化け物に接近すると斧で攻撃する。竜型の化け物は翼が折れ倒れる。
「・・・ッ!貴様ぁ!!」
残りの3体もフリュネに攻撃を仕掛ける。しかし・・・
「ガァァ!!」
「クソ・・・ッ!」
「グゥ・・・・・・・ッ!」
それぞれの化け物も刃が立たず、そのまま倒れ、気を失ってしまう。
「皆・・・ッ!」
「ベ・・・ル」
「ローゼェ!クソ!!」
そうしてベルは剣を引き抜く。フリュネ達は一斉にベルの方を見てすぐに武器を手に取りそのままかける。
「グァ!!」
ベルはレベルと戦闘経験の差もあってそのまま地面に突きつけられる。
「ゲゲゲ、坊や。どうやらアタイ達の強さが分かっていないようだね。アタイ達の種族は戦闘民族・・・それにレベル5だ。どう考えたって勝てねぇんだよ!!」
「ゴホォ!!」
そう言ってフリュネはベルの腹を蹴り出す。ベルは口から血を出しており地面に散らばる。息も荒くなり、口元は赤く地面にたれていた。
「貴様・・・ッ!!」
そうしてベルはフリュネを睨み付ける。ヒキガエルの瞳で気色が悪く吐き気を催す目でフリュネはベルを見つける。
「ほぅ・・・よく見たら可愛い顔つきしているねぇ」
そうしてフリュネは何かを思いついたようにベルを見つめる。ローゼは助けようとするもイシュタル・ファミリアの団員により囲まれていた。フードは血で赤くなり、ローゼも動けない状況だった。
「ン・・・?こいつ」
ふと、アイシャは何か気になったようだが気にしないでおいた。ローゼの顔はフードで隠れている。やがてフリュネは口を開く。
「アイシャ、その女は殺しておけ。この小僧は食ってから殺すことにするよ」
「・・・ッ!」
そうしてフリュネはベルの上に乗り出す。ベルは察した。コレは夢で同じである。アイシャはそっと頷きローゼに剣を突き立てた。
「悪く思うなよ・・・こっちも仕事なんだ」
「ベ・・・ル・・・逃げ・・・て」
「ローゼ!クソ、クソ!!」
その一言によってベルはフリュネの身体を押し出し、ローゼを助けようとする。しかし腕を捕まれる。フリュネの瞳からベルの背中から悪寒が、走る。こんな不細工に犯される。そう直感したからだ。いや、それはどうでも良かった。このままじゃ夢と同じだった。
「・・・ッ!このままじゃ・・・」
そうしてベルは暴れ出す。しかし腕の力から動けずにいる。このままではローゼが殺される。そう直感し、どうにか助け出さないといけない。だが、重いのだ。
(クソ、クソ!!速く、速くしないと・・・ッ!)
「暴れんなよ、全くアイシャさっさと殺せよ」
「あいよ・・・」
そうしてアイシャは、剣を振りかぶろうとした。それにローゼは死ぬと直感する。
(このままじゃ・・・!!)
そうしてベルは暴れ出すも力で抑えられて抜け出せない。やがて服も乱れていた。
「さぁ・・・食うとするか」
そうしてフリュネはベルの服を脱がそうとしたのだった・・・
(ああ、同じだ・・・)
目の前の光景は、夢と同じだった。ローゼが殺されて、ベルが犯される悪夢・・・
ベルは何も出来ず、弱いままだった。ずっと・・・英雄譚には憧れていた。強くてかっこいい英雄になりたいと思っていた。アルゴノゥト・・・アンタレス・・・いろんな英雄がいた。だけど少年は、なれなかった。そのせいで祖父達は死んだ・・・あのアストレア・ファミリアによって・・・ローゼを守るために・・・皆の無念を果たすために、ここに来た。しかし、力が足りなかった。ベルには後悔が続く
(僕は・・・弱い、ままなの?)
やがてヒキガエルがこちらに迫ってきた。
(これから、僕は犯されて死ぬのかな?ああ、死ぬのもいいかもしれない・・・そしたら皆に会えるから・・・)
そうして少年は諦めたようとしていた。腕の力を抜き、そのまま脱力する。
(お爺ちゃん・・・今行くよ)
そうして少年は目をつぶった・・・
(ベルよ・・・お前がなりたい英雄とはなんだ?)
(強くてかっこいい人)
突然記憶が思い浮かぶ。走馬灯という物かベルは懐かしんでいた。
(そうじゃ、そしてそういう者はどんな困難を打ち破ってきた・・・なんのためか、分かるか?)
(な~に?)
そうして祖父はベルの頭を撫でる。そうして、お爺ちゃんは笑みを浮かべながら言った。
(それはな・・・大切な人を守るためじゃ)
(大切な人?)
(ああ、人は誰しも大切な者を守ろうとするから英雄になれるんじゃ・・・それが、例え悪魔でもな・・・)
(悪魔でも・・・?)
そうしてベルは首をかしげる。当然ピンとこなかった。悪魔と英雄は対極の立場。ベルにとっては分からなかった。
(ああ、誰しも大切な者を守るからこそ英雄になるんじゃ!だから悪魔にだってなる。ベルよ、お主も大切な者を守りたいなら、英雄になれ!悪魔になれ!!女を守れ!!それがこの世で一番かっこいい男じゃ!!)
「違う!!」
「・・・・・・・ッ!」
無意識にベルの意識は覚醒した。それと同時に、赤い光が出てくる。フリュネ・ジャミールは風圧を受け後ろに下がる。イシュタルファミリアの団員達も後ずさりしていた。
「僕は・・・僕はローゼを守るんだ!!そのために僕は力を欲した!!もう、失いたくはないから!!おい、いるんだろ?!そこに!!あるんだろ!!こいつらを、アストレアファミリアを、悪を滅ぼす力が・・・悪魔の力が!!その力を・・・貸せええええええええええええ!!」
そうして少年の叫びが森に響いた。その気迫にフリュネも武者震いをする。
「・・・・・・・ッ!なんだ?アタイの身体が震えて・・・」
「アイシャ・・・なんか怖いよ」
それと同時に、ベルの持っていた剣が光り出した。赤く、毒々しい色が辺りを包み込む。やがて空に魔方陣が出てきた。
「なんだ?!」
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
少年の・・・竜の・・・悪魔の咆哮が森を一掃する。それと同時にオーラが、殺意がイシュタルファミリアを襲った。
(ククク、気に入ったぞ。やはりお我が目に狂いはなかった・・・良かろう、力をくれてやる、我が
どこからか声が聞こえた・・・低く恐怖を感じる声が・・・全員、身体が震えていた。恐怖していたのだ。普段強い男には好意をよせるアマゾネスが本気で恐れていた。そんなのは殆どない。以前あったとするなら闇派閥だろう。しかし、今回はそれを優に超していた。
やがて魔方陣から竜の姿が現れる。赤く、三つの首を持ち、禍々しいオーラを放つ、竜がそこにいた・・・
「・・・・・・・ッ!」
バベルの最上階。オラリオ四大派閥の一つ、フレイヤ・ファミリアの主神フレイヤが突然ベッドから起き上がる。悪夢を見ていたように身体が震えていた。
「どうしました?!フレイヤ様?!」
フレイヤはただ唇をカタカタさせ、震え、涙を流していた。やがて口を開く。
「ヤツが・・・復活した・・・の?」
「フレイヤ様?!」
「あり得ない・・・でも、そうなら・・・」
そうしてフレイヤは汗を大量に流す。オッタルとメイド達は落ち着かせようにもフレイヤは震えが止まらなかった。
「あ・・・」
とある森の一角、ヘルメス達はベルを観察していた。団員達はその姿に恐怖し座り込むしかし、ヘルメスは何やら狂気的な笑みを浮かべる。
「アハハハハハハハハハハハハァ!!ついに復活した!!ゼウスよ!!やはり彼は器だった!コレが証拠だ!オラリオよ!!俺はついにやってのけたぞ!!本当の神を、僕は目覚めさせた!!アハハハハハは!!」
突然ヘルメスは笑い出した。それに他の団員達は引いてしまった。もはや今のヘルメスは狂っている。そうでしかなかった。
「アスフィ・・・コレって」
「・・・ええ、私達はとんでもない・・・パンドラの箱を開けてしまったのかも知れません・・・」
ヘルメスファミリアの団員達はその光景にへたりつく。いくらかは恐怖で涙も出ていた。それでこそ、その者は絶対であり本物の神であった。
「なんなのよ・・・あれ」
禍々しい竜にアイシャ達は恐怖で震える。赤いからだが絶対感を出し恐怖を煽る。姿は禍々しく、しかしどこか神とも思わされた。それは自分の知っている神が偽物ではないかと思えるほど。やがて竜は名乗った
「我が名は、終焉魔竜 アジ・ダハーカ!全てを滅ぼし、破壊し、創造する神である!!」
そうして神も恐れた竜、終焉魔竜 アジ・ダハーカはここに復活した。少年はここに悪魔となったのであった。
はい、今回はフューチャーカード!バディファイトより、終焉魔竜 アジ・ダハーカを登場させました。バディファイトは僕にとって最初に始めたカードゲームなので思い出は結構深いです。これからドンドン出番を与えるのでお楽しみに!!