白兎は正義に憎しみを抱く   作:暗闇水明

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こんにちは、今回は後日談のオラリオ視点です。それでは、どうぞ!


Chaptear29道化の後悔

迷宮都市オラリオ、ラキアの、メレン襲撃から数時間が経った後、事件が起きた。メレンヘ行った冒険者の殆ど恩恵が消えたのだ。恩恵は神と眷属の繋がり、死ぬときは消える仕組みである。そう、殆どが死んだと言うことだ。

 

「どういうことだ?なんで・・・」

 

神や一般市民が騒ぎ出す。直ぐに神会も開かれ、ラキア王国の事について話された。ガネーシャは自分達の選択に後悔が残り、神会でも普段ならうるさいガネーシャも今回は静かだった。神は眷属を全て奪われ、天界送還をしたものもいたのだ。

 

「ウソダアアアアアアアア!リッソス、ルアン、ヒュアキントスゥゥゥゥ!!」

 

それを知ったアポロンは涙を流しながらうなだれていた。眷属を失ってカサンドラを追わせたことに後悔し部屋にこもっていた様子であった。

 

「嘘よ・・・こんなはずでは」

 

イシュタルも春姫以外を失い、戸惑いを隠せないでいた。冷や汗が、イシュタルに伝わる。

 

「へへ、こりゃあ面白くなってきたなぁ」

 

一方、イケロスはにやつき何やら楽しんでいたのだ。イケロスにとって娯楽優先な為、眷属はただの娯楽としての道具をしているためあまり、関心を持っていなかった。

 

「クソ・・・ッ!まさかここまで強くなっているなんて」

 

輝夜は拳に壁をぶつけ怒りをあらわにしていた。まさかここまで死者が出るなんて思いもしなかったのだ。

 

「このままじゃ・・・」

 

「ああ、恐らくオラリオが火の海になる・・・」

 

アストレア・ファミリアは全員、懸念を見せる。ロキ・ファミリアでも死者が出た事に戸惑いを隠せない状態であった。

 

「直ぐに対策を!!オラリオの市民の避難を促さなければ!!」

 

「ああ、急ぐぞ!!」

 

そうして正義のファミリアは武器を構え、壁に向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

罪が刻々と迫ってくることも知らずに・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまん・・・すまんなぁ・・・ラウル・・・」

 

カランという氷の音と共にロキはうずくまり泣いていた。

 

ロキは現在、酒場にいた。ロキの行きつけの店、『豊穣の女主人』に来ていた。ラウルが死んだことが分かっていたからだ。アキは見回りにいるためまだ気が付いていない。ロキはアキが帰ってくる前に酒場に走って行った。逃げたのだ・・・今のロキにはアキに会わせる顔もなく、ここに逃げ込んできたのだ。

 

「ロキ・・・」

 

店主のミアただ見守っていた。眷属を失った悲しみから、明るい酒場も暗くなっていた。涙で顔をぐしゃぐしゃにしながらただ、ラウルに謝り続けていた。

 

「ロキ様・・・」

 

その様子にアーニャ達はただ見守るしかなかった。ロキの声に胸の奥が締め付けられ、アーニャ達も涙を流しそうだった。

 

「ミア母さん・・・」

 

「そっとしておきな・・・酒、いいやつを渡しておいてやってくれ」

 

「分かったにゃ」

 

そう言ってアーニャはソーマ・ファミリアが作っている、『神酒』を棚から持ってきてそれを酒瓶ごとおいていった。

 

「ああ、ありがとうな・・・金、はらっとくで」

 

「良いにゃ、今回は金はいらないにゃ」

 

そう言ってアーニャは立ち去る。ロキはグラスに入っていった酒を一気に飲み干す。

 

「ウウ・・・アアアアアアアアアアアアアア!!」

 

瞬間、辛くなったのか大声で泣き始めた。ラウルを行かせなければ、もっと自分が慎重になっていたら・・・その後悔がロキの胸に鳴り響く。

 

「うちのせいや・・・うちのせいで・・・・・・・ッ!」

 

ロキは自分の眷属を死なせてしまったことに罪悪感がのし掛かる。今はアキにも会いたくもなかった。会えばきっと自分を憎むだろうから・・・

 

「ロキ・・・」

 

その酒場には子どもに身長でたわんだ果実・・・通称『ロリ巨乳』のヘスティアも来ていた。

 

ヘスティアはヘファイストスに居候していたが、あまりのぐうたらさに追い出されバイトをしながら廃教会に住んでいる女神である。

 

「よぉ、ドチビ・・・なんや、笑いにきたんか?」

 

ロキとヘスティアは犬猿の仲であり、良く口げんかをしていたのだが今回は両者ともそんな気すらも起きなかった。ヘスティアも黙って酒を飲み始める。

 

「そんなことはしないさ・・・その気持ちは僕にも分かる・・・」

 

「・・・・・・・ッ!なんや!お前に何が分かる?!お前は眷属いないくせに!!分かった気をして!!ふざけんなや!!」

 

「・・・・・・」

 

ヘスティアは黙って受け止めていた。ロキの暴言を、悲しみを、後悔も、ただひたすら黙って受け止めていた。泣きじゃくるロキに対してただヘスティアは聖母のように優しく受け止めていた。暫く、怒鳴り声が響いた。酒場、いやまちの周辺はシンッと静まる。

 

「あんたに、あんたなんかに、・・・私の何が分かるって言うんや!!」

 

そうしてロキは思わず、拳を振りあげる。バンという音と共にヘスティアは倒れ込んだ。ロキはハッとしヘスティアに近づいて大丈夫かと声をかける。この時、普通ならドチビと呼んでいたが今回はヘスティアと呼んでいた。

 

「痛いな・・・ロキ・・・流石にきつすぎるよ」

 

そう言ってヘスティアは起き上がる。ヘスティアは優しく微笑みかけていた。

 

「すまん・・・ヘスティア・・・うち・・・」

 

「いいや、きっと僕も同じ立場なら、そうしていたかもだからね・・・」

 

そう言ってヘスティアは手を差し伸べる。ロキはただ、顔をうつむくことしか出来なかった。

 

「ハハ・・・ヘスティアには敵わんなぁ・・・」

 

そう言ってロキは立ち上がる。暫くしていると、何やら騒ぎが起きていそうだった。

 

「なんにゃ・・・街で騒ぎが・・・」

 

そう聞いた途端、何が起こったのか聞いてみることにした。一人の男性が答える。

 

「ロキ・ファミリアの『道化の魔書(ロモワール)』が帰って来たんだってよ!!」

 

それを聞いた途端、ロキは酒場を飛び出した。ヘスティアは金を置き、後を追う。

 

城門を見下ろしている見回りの冒険者は酷く驚いていた。ロキ・ファミリアのレベル3がこんなにもボロボロで帰って来たのだ。腕からは血が流れており、装備は壊れかけ寸前、何かを必死に持っているようで泣きながらそれを抱えていた。

 

「エルフィ!!」

 

仲の良かったアキがエルフィのそばによる。しかし、エルフィはどことなく避けていた。・・・が、レベル4の俊敏に敵わず追いつかれてしまっていた。

 

「・・・アキ・・・」

 

エルフィは今にも消えそうな声でアキに声をかける。アキは治療しようとするもエルフィは涙を流しながら、アキに顔を見せるのをためらっているようだった。

 

「エルフィ・・・?」

 

そうしてアキは布に包まれている何かに目が移る。エルフィはそれを見て涙が更に出てきた。

 

「ごめん・・・ごめんなさい、アキ!!」

 

「・・・・・・・ッ!」

 

何かイヤな予感がして、アキは直ぐ布を解き中身を確認した。そこにあったのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何時も知っている同期の腕だった。

 

「私は・・・守れなかった・・・・約束したのに・・・ごめんなさい・・・ごめんなさぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃぃ!!」

 

大きい声と共に、泣き叫ぶ声が聞こえた。アキはただ泣き崩れ足の力を失っていた。アキは目をつぶる、しかし現実は逃がしやしなかった。現実はアキの身体にそっと抱きつき、つぶやいた。

 

『ラウル・ノールドは死んだ』

 

その声と共に再び、彼の腕が目に入る。

 

「イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

悲痛の叫び声が迷宮都市の壁を突き抜け、街全体に響くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラキア・・・王国・・・・・・・ッ!」

 

ロキ・ファミリアの一室、ロキからラウルが死んだと言うことが伝えられ、オラリオが混乱に満ちていた頃、同期であったアリシアは普段の冷静さを忘れ怒りで満ちていた。何時ものような落ち着きはない・・・

 

「なんでよ!!なんでラウルが死んだのよ!!」

 

幹部でありながらもティオナは怒りのあまり怒鳴っていた。他は落ち着いていたようだったが怒りと悲しみが表情に表れていた。

 

「・・・・惜しい人材をなくしたな・・・」

 

「ああ、僕の責任だ・・・」

 

「今回は、殺すのを第一に考えた方が良さそうじゃの・・・」

 

そうして三人は黙り込む。全員、ラウルを行かせたことに後悔をしていた。そして、油断をしていて大丈夫だろうと慢心していた自分への怒り・・・三人の間に流れていたのはそれだけだった・・・

 

「エルフィから聞いたが、敵は新兵器を使っているらしい・・・」

 

「ああ、気を引き締めないといけないかもな・・・」

 

そう言って三人はアキから届いた腕を見つめていた。ふと、扉からノックがなった。

 

「入ってください・・・」

 

「失礼します・・・」

 

そこにいたのはラウルの母親だった・・・ラウルが死んだことに早馬で駆けつけたのだ・・・ラウルの母はラウルの腕を見つめていた。

 

「では私はコレで・・・」

 

そう言ってラウルの母親はその一言以外何も言わず、部屋を出て行ったのだった・・・フィン達はただ拳を振るわせる。

 

「リヴェリア、ガレス・・・僕達は・・・いつから忘れていたんだろうね・・・」

 

そう言ってフィンは声を震わせる。今までモンスターや闇派閥とは戦ってきた。戦力はあったものの、人数は少なかったためなんとか勝てた。しかし、今回は60万という兵士が襲ってくる・・・しかも新兵器で強化された兵士が・・・その恐怖がフィン達を襲った。

 

コレが戦争だと改めて知ったのだ・・・・

 

「分からない・・・だが・・・いつかは起こる・・・そんな気はしていた・・・」

 

「・・・ああ、今がその時だな・・・リヴェリア、ガレス・・・準備するぞ」

 

「・・・そうじゃな・・・一時の感情にまかせてはおれん」

 

そう言って会議の準備をするのだった・・・その時フィンは拳を振るわせてたのだという・・・

 

 

 




はい、今回はここまでです。次回は、エルフィ以外で生き残った人たちの物語を書きます。それではまた次回、お楽しみに!!
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