「チッ・・・・・・・ッ!ここは何処だ?!」
ダフネ・ラウロスは現在、森を彷徨っていた。あの襲撃から逃げ延びたものの、方角が分からなくなってしまい、道中モンスターを倒しながら木の陰で休んでいた。雨が激しく降り、肌から冷たい感触が流れてくる。
「ハハ、あの変態神・・・どんな顔をしているかな?」
そう言ってダフネは、少し仮眠を取ろうと目を閉じる。
ダフネは元々別のファミリアであった。小さい頃、母親からオラリオのことを教えられ14歳の頃オラリオに着いた。そこでは大切な仲間がいて、毎日が充実していた。時に励まし、時には衝突し、時には馬鹿騒ぎをしていた。
だが、それも唐突に終わりを告げる。突然、あの太陽神がやって来たのだ。アポロンはこの頃から有名であり、ダフネは警戒していた。
(太陽神が・・・なんのようですか?)
そう言ってダフネは睨み付ける。アポロンはのらりくらりと躱し薄汚い笑みでダフネを見つめていた。
(ダフネ・ラウロス・・・我がファミリアへ入れ)
それを聞いた途端、ダフネは直ぐ断った。離れたくなかったからだ。それからアポロン・ファミリアの団員が日常茶飯事追いかけてきた。ファミリアの団員達も巻き込み、無関係の一般市民まで被害が出るという始末だった。
最終手段としてダフネ自身がオラリオを出るということもした。しかし、現実は無情かアポロンは直ぐに追ってきた。
それでも逃げ続けた。絶対入りたくない。その一心だった。しかしとある事を耳にした。
(アポロンが人質を取っている)
その瞬間、ダフネは選択を強いられた。仲間を見捨て、自分は逃げるか・・・或いは大人しく入るか・・・その二択であった。
結果は後者であった・・・仲間を見捨てる訳にはいかなかった・・・そう思っていた・・・
しかしダフネの心は直ぐに踏みにじられた。そう、元の派閥の仲間達は以前からダフネを邪魔な存在として扱っていたのだ。成長のスピードは他の団員より優れていたからだ。それにより・・・他の団員達はアポロンと協力してダフネを追い詰めていた。ダフネはそれに失望していた・・・大切な仲間だと思っていたのに・・・それ一心にダフネは唇を噛みしめた。
やがて、ダフネはアポロン・ファミリアに入った。唯一の救いはアポロンはダフネをいれた後、何もせず、ある程度自由に過ごせた事だけだった。アポロンも流石に申し訳なかったと思いコレには気を使ったそうだ。
だが、それでもダフネの心の傷は癒えなかった。生きている意味すらもなくなった。足からの痛みがダフネの傷を更に深めていく。
「ハハ・・・コレで、終わるのか?」
そう言ってダフネは木によりかかったまま、眠ることにした・・・
「・・・・・・・ッ!誰?!」
瞬間、どこからか音が聞こえた。草木が揺れる音だ。ダフネは剣を構える。やがて、木の陰から一人の少女が出た。
「カサンドラ・イリオン・・・ラキア王国か・・・・・・・ッ!」
そこには、アポロンが気に入って手に入れようとし、それに返り討ちにあったカサンドラだった。銃をダフネの方に向け、引き金を構えていた。ダフネは立ち上がろうとするも、メレンでの戦闘で足を負傷しており立ち上がることが出来なかった。もう自分に体力が残っていないことに気が付きダフネはもう駄目かと思いながら諦めたように剣を置いた。
「ハハ・・・良いよ、どうせウチはもう終わりだ・・・やるならひと思いにやれ・・・」
そう言ってダフネは目をつぶる。
(ああ、コレで楽になるんだ)
そう思い、走馬灯のような思い出がダフネに過ぎった。小さい頃の母の温もり偽りだったとしても楽しかった思い出がダフネに過ぎる。ダフネは目を閉じたまま永遠の眠りにつこうとした・・・
「は・・・?」
だが、ダフネは直ぐに目覚めた。銃の音は鳴らず、足に謎の感触があった。目を開けてみると、なんとカサンドラがバックパックみたいなものから包帯を取り出しダフネの足に巻き付けていたのだ。
「あの・・・大丈夫ですか?立て・・・ますか?」
カサンドラは包帯を巻き終えるとダフネに手を差し伸べた。ダフネは開いた口が塞がらず、カサンドラを見つめる。
「何してんのよ、あんた、ウチは敵で貴方を散々追い回したアポロンファミリアなのよ!こんなことしてもあんたにメリットはないでしょ?!馬鹿なの?!」
思わずダフネは叫び出す。それもそうだろう。普通、敵であれば警戒するはず、イヤ殺すくらいするはずだ。だが目の前の彼女はそうしない。むしろ自分を助けようとしていた。それにダフネは戸惑う。カサンドラは、そのことを言われた途端少し迷っており間が開くが、途端カサンドラはダフネの肩をのせ、歩き出した。
「貴方を捕虜にします・・・捕虜とは言っても拷問はしないので安心してください。」
そう言ってカサンドラはダフネを自分達の基地に連れて行く。雨の中、冷たい中カサンドラは歩き出す。
「あんた・・・なんで」
ふと、ダフネはそうこぼした。カサンドラはそのことに何も言わずただ自分達の基地に歩き出すのだった。
「ハァ・・・ハァ・・・」
薄暗い中、極東風の狐人、サンジョウノ・春姫は逃げていた。恐ろしく、恐怖を具現化した竜から・・・
アイシャから背中を押され、春姫は逃げ出す。解放された身から自由・・・そして罪悪感を抱きながら走っていた。
春姫は貴族であった。小さい頃は母親から英雄譚など様々なものを読ませてもらった。友達が少ない春姫にとって楽しみの一つであった。そこで出てくるオラリオは憧れがあった。貴族である自分はいけないのだと悟ってはいたものの憧れを持ちいつか自分を救ってくれる英雄が来る。そんな幻想を抱いていた。
だがそれも唐突に終わる。ある日、春姫は神のお供え物を寝ぼけて食べてしまったと言う理由で小人族の男によって売られたのだ。だが途中、モンスターに襲われ盗賊によって捕まえられ、処女だと分かると春姫はイシュタル・ファミリアに売られた。
それから暫く、教育を受けながらすごしてきた。ある日、春姫は自分に新しい魔法が発現していた事が判明した。それにより、春姫は将来生け贄になる事が決定された。それを、春姫を妹に思っていたアイシャは失敗させ数日が経った。
そこに、ラキアがやって来た。春姫もアイシャ自身がいない間にイシュタルに心配だからついていくことにしたのだが、それを後悔していた。まさか、あんな竜が出てくるとは思ってもいなかったからだ。春姫は何も出来ず逃げた。ただひたすらに逃げ続けた。
「あっ・・・・・・・ッ!」
だが体力の限界か春姫は木の枝に足が突っかかり転んだ。春姫は起き上がろうにも、体力が残されてはいなかった。
「・・・・・・・ッ!」
ふと、足音が聞こえた。瞬間、銃を持った黒髪の男がやって来た。装備からしてラキア王国なのは間違えなかった。
(アア・・・私は・・・)
春姫は死を悟った。もう、起き上がる気も起きなかった。やがて意識が暗くなる。
(アイシャ様・・・今そちらに・・・)
そうして春姫は意識を落とすのだった・・・・・・・・
はい、今回はここまでです。最後の男は誰なのか予想してください。それではまた次回お楽しみに!