白兎は正義に憎しみを抱く   作:暗闇水明

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Chaptear35 襲来

「ウソだろ・・・?立体起動装置?」

 

辺りが混乱している中、マルコは唖然と彼らを見つめる。そこには、自分が知っている武器がそこにあるからだ・・・いつでも自分にお世話になって、そしてその恐ろしさを何より知っている武器が・・・

 

「なんでここに・・・」

 

「マルコ、危ない!」

 

「え・・・?」

 

だが、彼に傍観する時間は彼に与えなかった。彼のそばに、あの爆発する槍が突き刺さる。アリシアが直ぐにそれに反応し、マルコをそこから引っ張り出し、物陰に隠れる。その瞬間再び雷の音と共に、爆発する。

 

「・・・ッ!馬鹿!ボーッとしている場合じゃないわよ!!」

 

「アリシアさん・・・」

 

「・・・・その様子だとあのことを知っているみたいね・・・」

 

「ハイ・・・全てではありませんが」

 

マルコはうつむきながらそう言葉にする。

 

「ともかく・・・このままじゃ、全滅よ!とりあえず、団長達と・・・」

 

そう言って、アリシアは物陰から出ようとする。その時だった・・・

 

「――――ッ」

 

「え・・・?」

 

急に轟音がマルコの耳に入った途端アリシアが頭に血を流しながら倒れたのだ。幸い、少し掠っただけのようだった。驚いただけだったのか、後ろに倒れる。

 

「アリ・・・シア・・・さん?」

 

マルコは一瞬何が起きたのか分からなかった。数秒間、動くことが出来なかった。

 

「アリシアさん!しっかりしてください!!」

 

マルコはアリシアの目を覚まさせようと肩を揺らす。暫くしてアリシアは目を覚ました。

 

「大丈夫・・・でも、今の何?見えなかった・・・」

 

そう言って、アリシアは自分の手に持っている包帯を頭にくくりつける。少し彼女の頭に痛みが現れる。

 

「アリシアさん、マルコさん、大丈夫ですか?!

 

「レフィーヤさん!」

 

瞬間、マルコは危ないと感づき直ぐにレフィーヤの身体を引き寄せ、物影に身を隠す。やがて再び轟音が聞こえた。

 

その地面から小さい穴が開いた。よく見ると、小さな金属の弾が地面にあった。

 

「コレは・・・・まさか」

 

マルコは、ともかくそばにある物を運び入り口をふさいだ。

 

「アレって・・・」

 

「多分だけど・・・弓・・・違う、まさか」

 

そう言って、マルコは少しある隙間から覗く。

 

「やっぱり・・・」

 

マルコが見た先には、前世にあった銃という武器を持った兵士がいた。予想より遠くにいるため顔は分からない。

 

「レフィーヤさん・・・あそこに狙撃手がいます・・・あそこに魔法を打てますか?僕が囮になります・・・」

 

マルコは僅かな隙間から、指を差す。レフィーヤはマルコが指を差す方向を凝視する。そして位置を確認する。

 

「でも、危ないですよ!」

 

「大丈夫です・・・それに、あの兵器のことは僕が一番理解できています」

 

そう言って、マルコは武器を構える。自分の剣を構え、タイミングを見計らう。

 

「分かった・・・」

 

「アリシアさん?!」

 

「でも、私も行くわよ・・・まかせっきりは許せないからね」

 

そう言って、アリシアは武器を構え準備をしていた。レフィーヤは心配そうに見つめる。

 

「アリシアさん・・・」

 

「レフィーヤ、私達の命・・・貴方に預けるわよ」

 

それを見て、アリシアはレフィーヤの肩に手をかける。レフィーヤは暫く迷いが出来る。

 

「レフィーヤさん・・・」

 

マルコは少し戸惑う。プレッシャーという物は、とても重いものである。それは本来の力だって出せない・・・なんとかフォローをしようとする。

 

「分かりました、マルコさん、アリシアさん・・・死なないでくださいね」

 

そう言って、レフィーヤはマルコの背中にカツを入れる。マルコとアリシアはそれに安心したように頷いた。

 

「それじゃあ・・・行くよ!!」

 

そう言って、二人は戦場に向かう・・・信じる仲間と共に・・・

 

「・・・助かった・・・サンキュウ、カサンドラ」

 

「無事で何よりです・・・それより・・・」

 

「ああ、絶讃ピンチだな」

 

カサンドラはマルセルとユミルを巨人の身体から引き離した後、立体起動装置を構え、建物の頂上から見下ろす。正直、マルセル達も想定外だったそうだ・・・

 

「時間は・・・」

 

「私達だけでも手一杯です・・・となれば・・・」

 

そう言って、カサンドラは小さな銃を手に持つ。そして、片耳を抑え引き金を引いた。

 

「なんだ?」

 

フィン達は煙に紛れながら頭上に出る緑色の煙を目にして、何が起ききるか警戒して、武器を構える。

 

「・・・ッ!また巨人化・・・・・・・ッ!」

 

その瞬間、再び雷が降ってくる。フィン達は、直ぐに武器を構え始めた。全員、雷が落ちた方向を見つめる。

 

「な・・・?!でかい・・・・・・・ッ!」

 

全員、その大きさに驚きを隠せないようであった・・・大きさは15m・・・モンスターの超大型を遙かに上回っている大きさ・・・それに、白い鎧を身に纏っており顔が何やら騎士のような巨人、『戦槌の巨人』が現れた

 

「こんな・・・・・・・ッ!」

 

「なんだ?!」

 

フィン達が状況を飲み込めない中、戦槌の手に光が集まってくる。やがて、それは徐々に大きくなっていった。

 

「総員、避けろおおおおおお!!」

 

フィンは全員に撤退命令を出す。その瞬間、巨大なハンマーがロキ・ファミリアに向かって振り下ろされた。

 

「ぎゃあああああああああ!!」

 

「グゥッッッゥ・・・・・・・ッ!」

 

ぐしゃり、と言う潰れた音と同時に逃げ遅れたものは肉片と化していた。生き残った者はそれを見て恐怖心が湧き上がる。

 

「不味いな・・・」

 

「ああ、まさか巨人がまた来るなんて・・・」

 

「しかもあやつ、武器をつくっておるぞ・・・」

 

戦槌を目の前にして、恐れるを超えて笑ってしまうほどだ。それほどの恐怖がフィン達を襲う。

 

「リヴェリア・・・」

 

「ああ、分かっている!」

 

「総員、あの巨人を討ち取るぞ!!この戦いにはオラリオの命運がかかっている!!諸君達の覚悟がオラリオを救うのだ!!」

 

「「「「「オオオオオオオオオオ!」」」」」

 

戦いはまだ始まったばかりだ・・・・

 

 

「オラァ・・・・・・・ッ!」

 

「ヌゥ・・・・・・・ッ!」

 

「チッ・・・・・・・ッ!」

 

一方、オラリオの西側の方ではフレイヤ・ファミリアが戦闘をしていた。

 

「クソ・・・さっきからすばしっこい!!」

 

「「「それな!!」」」

 

「急げ、フレイヤ様を守るためなんとしても打ち落とすのだ!!」

 

気迫のある、王者の声が辺りに鳴り響く。立体機動で飛んでいる兵士は次々と倒れた・・・

 

『猛者』オッタル・・・フレイヤ・ファミリア団長であり、オラリオで唯一のレベル7の冒険者であり、屈強な身体の持ち主だ。その身にあう力と見た目に合わないほどの、素早さを持っている。

 

(先日のフレイヤ様は終焉魔竜という名を与えられているモンスターを恐れている・・・どれほど恐ろしい者か・・・分からないが、だがなんだ?この違和感・・・何かが変だ・・・)

 

オッタルは何かが引っかかっていた・・・だが、それを与える暇もなかった・・・

 

「よそ見してるんじゃねぇよ!!」

 

「・・・・・・・ッ!」

 

謎の発砲音と共に、地面に散らばった穴が出る。オッタルはそれを避け、撃たれた方を見ていた。

 

「貴様・・・なかなかやるようだな・・・」

 

発砲音と共に、屋根の上でオッタルタチを見下ろしている帽子をつけた中年の男がオッタルタチを睨む。

 

「やれやれ、流石世界一強い男には流石の俺も手が焼くぜ、まさか、アッカーマン家とやり合えるとはな・・・」

 

中年の男は、やれやれと首を振りオッタルを見つめている。アッカーマン家という名を聞きオッタルはその男の名を凝視する。

 

「・・・問おう、貴様の名はなんだ」

 

「・・・ケニー・・・ただのケニーだ」

 

そう言って中年男・・・ケニー・アッカーマンは他の兵士と違う銃型の立体機動装置で宙に舞った・・・それと同時に、アンカーが飛び出し、壁に刺さる。その瞬間、発砲音と共に地面から小さな穴が複数開く。

 

「・・・・・・ッ!」

 

オッタルはそれに少し、ひるみながらも二つの大剣を構えながら迎え撃つのだった・・・

 

「行くわよ!!」

 

「はい!!」

 

アリシアとマルコは、あの作戦会議の後数分間覚悟を決めた後、物陰から出た。辺りから煙がもくもくと上がっていて目の前が見えなくなる。

 

「・・・・・・・ッ!」

 

屋根にいる狙撃手は、舌打ちをして再び引き金に指をかける。

 

「・・・よし!」

 

それと同時にマルコは自分の武器を投げ、狙撃手に向かい飛んできた。

 

「・・・・・・・ッ!」

 

狙撃手は驚いたものの、撃ち抜いた。一度、空の薬莢を外に出し再び引き金に手をかける。

 

「ハァ!」

 

「・・・・・・・ッ!チッ!!」

 

舌打ちしながらも投げられる武器を撃ち抜く。すぐに薬莢を取り出し、再び引き金に指をかけようにも、また武器を投げられる。どうやら無げナイフをありったけ用意していたのだろう・・・

 

だがその数だって限りがある・・・それを察ししているのか見つけては投げられては撃つの繰り返しだった。

 

だが、マルコ達の手に持っている武器は石も使っていたが尽きようとしていた。

 

「見つけた・・・」

 

そう言って、狙撃手は再び引き金を引こうとする。

 

「・・・・・・・ッ!もう一人は・・・・・・・ッ!」

 

だが、狙撃手は気が付いていなかった。そこに一条の光があると。

 

『解き放つ一条の光、聖木の弓幹(ゆがら)。汝、弓の名手なり。狙撃せよ、妖精の射手。穿て、必中の矢』

 

「『アルクス・レイ』!」

 

「・・・・・・・ッ!」

 

光の矢が、狙撃手の元に放たれた。狙撃手は必死に撃ち抜こうとするが魔力の塊みたいなものであるため意味が無かった。

 

「チッ!」

 

狙撃手は屋根からおり、立体起動で避ける。所々壁を盾にして、レフィーヤの魔法を防ぐが、生半可な堅さでは防ぎきれなかった。

 

「・・・・・・・ッ!」

 

やがて目の前まで、光の矢が迫ってきた。狙撃手は、、避けるもレフィーヤの追尾は止まらない。

 

「コレは・・・不味い!!」

 

狙撃手はすぐに、体勢を立て直す。その時だった・・・

 

『光散』

 

その途端、一気に爆発した。狙撃手はその衝撃で吹き飛び、地面へと激突する。

 

「ウグゥ・・・・・・・ッ!」

 

うめき声のような悲鳴と共に、全体のみを隠していた、灰色のローブが落ちていた。

 

「止まりなさい!あなた達は私達が完全に包囲しました!」

 

その声と共に、レフィーヤとアリシアは自分の持っている予備のナイフを顔を見せた狙撃手に向けられる。

 

「・・・・・・・ッ!」

 

ギリッと唇を噛みしめながら狙撃手はレフィーヤ達を見つめる。そこに駆けつけたマルコがやって来た。

 

「ありがとうございます、レフィ・・・ア・・・さん」

 

だが次の瞬間、マルコは固まっていた。氷のようにピクリとも動かず・・・そのままポカンと豆鉄砲を当てられたように・・・

 

「ウソ・・・だろ?」

 

「マルコ・・・?」

 

 

固まっている口からかすかに聞こえる声が二人を不穏な空気に連れ込む。暫くそこで時が経っていた。やがて氷のように閉ざしていた彼の口から、かすかに動く・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サ・・・シャ?」

 

「マルコ・・・」

 

そこから出たのはかつて、マルコと共に苦楽をともにした仲間、サシャ・ブラウスだったからだ。

 

 

 

 

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