白兎は正義に憎しみを抱く   作:暗闇水明

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Chaptear36 巨人

「クソ・・・こいつ、かなり器用だぞ!」

 

「ああ、それなりの能力を持っているだけはある」

 

ガレス達は、戦槌の猛攻に耐えながら反撃をしていた。フィンの指揮により、的確に動き互角に戦えていた。

 

「ウグゥ・・・・・・・ッ!」

 

だが、一つだけ大きな壁があった。そう、戦槌に纏われている鎧だ。いくつもの兵士がうなじに攻撃するも、硬質化のせいかとても頑丈であった。

 

「どうする・・・」

 

リヴェリアは、自分自身前線には向いていないため後方で眺めていることしか出来なかった・・・

 

だが、その隙すらも与えない・・・

 

「・・・・・・・ッ!」

 

飛んでくる、雷の槍がリヴェリアを襲った。先ほどの、顎の巨人の中身、ユミルからだ・・・更に他の兵士達も、後方支援に向かって雷槍を放つ。

 

「グゥウウウウウッッッッ!」

 

爆発の威力もあるためか、リヴェリアはその爆発から出てくる大きな破片を受け止める。だが、痛みは尋常ではなかった。

 

「このままでは・・・」

 

「リヴェリア!!」

 

ティオネは戦槌からの戦闘を離脱しており、リヴェリアの防衛に徹していた。だが、どの兵士もエルヴィンにより精錬され、立体起動などの兵器による技術で苦戦を強いられていた

 

「・・・・・・・ッ!調子に乗るんじゃねぇぞ、雑魚がぁ!!」

 

ティオネは遂に我慢の限界か、武器を手に取りやけになったのか、ラキアの兵士に目がけて、ナイフを投げる。もちろん、防がれそのまま引き金に指をかける。

 

「危ない!」

 

それにいち早く気がつけたのかリヴェリアはティオネを引き戻す。その瞬間、ティオナの頬に銃弾が掠った。

 

「・・・ありがとう、リヴェリア・・・」

 

「落ち着けティオネ・・・このままでは奴らの思う坪だ」

 

そう言って、ティオネを諭すリヴェリアだったが苦戦と言うには十分であった。正体不明の巨人に苦戦し、ロキ・ファミリアも死傷者が出てしまっていた。戦槌と顎で三分の一の兵士達が戦闘不能状態まで落ちていた。

 

「クソ・・・このままでは」

 

その瞬間、地響きが鳴り響く。ティオネ達がいる場所も狙われているようであった。

 

「グゥ・・・・・・・ッ!」

 

「リヴェリア!!」

 

なんとか避けつつも、瓦礫により腕から、血が流れる。ティオネはすぐにポーションを取り出した。

 

「ティオネ!」

 

そこにアイズもやってくる。アイズもティオネ達が心配で見に来たのだ。

 

「あの巨人・・・今までの巨人とは明らかに違う・・・」

 

「ああ、強い・・・しかもうなじをがっちりと守られているな・・・」

 

そう言って、リヴェリアは戦槌をじっと見つめる。戦槌は容赦なく、剣を生成して振り回していた。

 

「ハアアアアアアアアアア!」

 

女性っぽく、それでいて低い声と共に剣を振りかぶる。更に、地上には巨大な針が出てきて下級の冒険者は串刺しにされる。

 

恐ろしい光景であった。辺りは、血まみれだった・・・中には身体の残骸すら残らずバラバラに砕けていた。

 

「ハァ!!」

 

「・・・・・・・ッ!」

 

突然、全身黒い鎧の兵士が黒く炎の模様の剣を持ち、リヴェリアに振るった。

 

「貴様は・・・・・・・ッ!」

 

「・・・・」

 

鎧の騎士は無言を貫いていた。そっと、自分の持っている剣を構えリヴェリアに立ち会う。

 

「リヴェリア・・・ここは私が」

 

「久し振りですね、剣姫」

 

「・・・・・・・ッ!」

 

アイズが相手にしようと、デスペレートを引き抜いた途端どこからか、聞き慣れた声が聞こえた。ふと、上空を見上げる。

 

「『万能者(ペルセウス)』!?」

 

そこには、立体起動装置をつけておりオラリオのファミリアであった『ヘルメス・ファミリア』のアスフィがいた。

 

「貴方の相手は・・・私がさせてもらいます」

 

そう言って、アスフィは立体起動装置のアンカーを出す。それと同時に、銃を撃った。

 

「・・・・・・・ッ!」

 

アイズは銃の弾を避けきるも、所々掠っていた。

 

「強い・・・」

 

技術の力は時にレベルを超えるとアイズは聞いたことがある。今がそれだった。レベル4の相手に苦戦しているのだから。

 

「アイズ!」

 

「・・・・・・・ッ!」

 

「・・・チッ!」

 

アイズに加勢しようにも、目の前にいる鎧の騎士によって阻まれる。

 

「ヘルメス・ファミリア・・・確かギルドも言っていたが・・・本当だったんだな」

 

そうして、リヴェリアはアスフィ達を睨み付ける。アスフィはただ無情に、雷槍を構える。

 

「・・・・・・・ッ!」

 

雷槍はアイズに目がけて、放たれた。瞬時に引き、爆発を避けるが読まれ、そのまま銃を向けられる。

 

「・・・・・・・ッ!」

 

銃の発砲音と共に、掠ったのかアイズの頬に傷がついた。

 

「ク・・・ッ!」

 

「ハァ!!」

 

アスフィはそのまま、壁を伝いアイズに蹴りを入れた。

 

「ウ・・・ッ!」

 

少し後ろに向かうもすぐ態勢を整える。

 

「アイズ!!」

 

そこにティオネが割って入ってくる。

 

「貴方は、あの巨人を!あの巨人は貴方にまかせるから行って!」

 

「でも・・・」

 

「速く!」

 

「・・・分かった」

 

「逃がすか!」

 

アイズは戦槌に向かって、走り出す。それをアスフィは追おうとした。

 

「あんたの相手は私よ!」

 

だが、ティオネがそれを阻む。アスフィは舌打ちしながら銃を構えた。

 

「・・・すぐに終わらせます」

 

そうして、二人の戦いは始まるのだった・・・・

 

リヴェリアのほうも謎の騎士によって苦戦を強いられていた。前線に向いていないリヴェリアは一応接近戦の武器で応戦するが、互角に渡り合えていた。

 

(思ったよりやるな・・・それに)

 

リヴェリアは感じていた。何かの魔力を・・・強化されているのだろうが顔が隠れていて不気味であった

 

「貴様は・・・何者だ?」

 

「・・・煉獄騎士」

 

どこか、懐かしい声と共に煉獄騎士は自ら持っている『煉獄剣 フェイタル』をリヴェリアに向かって振るうのだった。

 

 

 

戦槌の巨人の能力で小さな針山が、地面から出る。冒険者はそれに、苦戦を強いられ中には串刺しにされたものもいたほどだ。

 

「ハアアアアアアアアアア!!」

 

「ヌゥウウウウウウウウウウウウウ!」

 

ガレスが、戦槌の一撃を受け止める。ドワーフの身体でなんとか持ちこたえてはいたが、足の下の地面が割れる。

 

(不味い・・・・・・・ッ!)

 

このままでは押しつぶされることは目に見えていた。ガレスは押し返そうにも巨人の力にドワーフの力でさえ劣るようであった。

 

「ガレス!!」

 

ティオナの声と共に自分の愛武器、大双刀を振るう。

 

「・・・・・・・ッ!」

 

だが、無意味であった。武器の耐久力が、戦槌よりももろかったのだ。大双刀は折れ、地面に刺さる。

 

「このままじゃ・・・」

 

ティオナは見ているしかなかった。圧倒的な力の差を見せつけられて・・・見下していた相手がここまで強くなった事に驚きを隠せなく、更には恥ずかしさ・・・そして力不足で仲間を死なせた悔しさが、ティオナを絶望へと突き落とす。ラウルの死が頭に過ぎった。

 

「お願い・・・やめて」

 

ついには懇願までしてしまった。もちろん、相手はそんなのお構いなしに押しつぶそうとしている。

 

「やめて・・・・お願いだから・・・」

 

ガレスの腕も限界を迎えたのか震え始めた。やがてガレスは膝をつき始める。彼の死はもう目前だった。

 

「やめてえええええええええええ!!」

 

その叫びも、むなしく力は強くなるばかり。ガレスは全てを諦めたかのようにティオナ達を見つめた・・・

 

「後は・・・頼んだぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『紅牙』・・・・・・・ッ!」

 

「・・・・・・・ッ!」

 

男の声と共に巨大な紅蓮の炎が、戦槌に向かって放たれる。戦槌は、耐えるが突然の事に力を緩める。

 

「・・・ウウウウウウウウウウウオオオオオオオオオオ!」

 

「しまっ・・・・・・・ッ!」

 

「ぬぅん!!」

 

それと同時に、戦槌のハンマーは折れた。戦槌は少し、ひるむが新しくボウガンを作る。

 

「遅いわ!!」

 

同時に再び、紅蓮の炎によって阻まれる。そのうちにガレスの体力も回復されていた。

 

「よう、ガレス!久し振りだなぁ!!」

 

「椿!」

 

アマゾネスだと思われるような肌の色に、長身的で刀を持っているヘファイストス・ファミリア団長、椿・ゴルブランドがそこにいた。

 

「今の・・・魔法か?でも誰が・・・」

 

「ふん、エルフなら分かるだろう?」

 

「まさか・・・っ!」

 

「そのまさかだ・・・」

 

そう言って、椿は指を差す。

 

「チッ!まさかコレを打つときが来たなんてな」

 

そう言って、赤髪の男、ヴェルフ・クロッゾが何本もの剣を持って舌打ちをしていた。

 

ヴェルフ・クロッゾ・・・代々、ラキアで第一級魔法使いにも劣らない『クロッゾの魔剣』を打てることで名誉をえていたがある日を境にその力はとあることにより使えなくなった。

 

「おら、お前らも受け取れ!」

 

「なっ!?我々に魔剣を使えと言うことか!」

 

エルフは、ヴェルフが渡そうとする魔剣を拒否する。実はクロッゾの魔剣によりエルフの森が焼かれたことがあるのだ。それは昔のことだが今でも根に持っているエルフもいるそうだ。

 

「ふざけるな!我々は断じて貴様らのようなヤツには・・・「ありがとう・・・ありがたく使わせてもらうよ」な・・・?団長!!」

 

「総員、今はその考えを捨てろ!それとも、一つの恨みだけで仲間を死なすつもりか!!」

 

フィンの圧力にエルフ達は、渋々と魔剣を受け取った。

 

「オイオイ、勇者様・・・良いのか?」

 

「僕は小人族だからね・・・それに、今は恨みなど関係ないさ!」

 

そうして、魔法の雨が戦槌に向かって放たれた。あるものは雷、あるものは風、あるものは氷だった。

 

だが、どれもうなじに当たってもなかなか削れずにいた。

 

 

「巨人だろうが・・・もう弱点は分かっているんだよ!!」

 

ベートは屋根の上を走りながら魔剣を自分の装備、『フロスヴィルト』に当てる。魔剣からは炎が出ており、燃え上がる。同時に、スピードが上がった。

 

「コレが、クロッゾの魔剣か・・・重ぇ」

 

「ヌゥウウウウウ!!」

 

戦槌はベートのスピードに追いつけないのか、剣を振り回す。だが、ベートはそんなものには当たらず、遂に屋根から戦槌のうなじの目の前まで来た。

 

「オラアアアアアアアアア!!」

 

「グアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

戦槌の悲鳴がオラリオ中に、響き渡る。動じに首は完全に折れていた。鎧は壊れうなじの肉がむき出しになっている。

 

「今だ、アイズ!!」

 

「『目覚めよ』」

 

アイズは、自身の脚力で、宙に舞いうなじまで飛ぶ。そして、自身の武器に風の力を貯めた。

 

「『リル・ラファーガ』!」

 

ロキに教えてもらった必殺技と共にうなじが大きく傷ついた。うなじの肉片が地面に落ちる。

 

うなじにも大きく損傷し、戦槌は死んだように倒れ込む。それにラキアの兵士達は気がついたのか、黒い煙弾が宙に舞った・・・

 

「よっしゃあああああああ!」

 

「コレで、ラキアも終わりだろ!!」

 

戦槌の死体を見て、全員喜びを見せる。フィンもコレには喜びを隠せなかった。

 

「ウソだろ・・・クソォ!!」

 

ラキアの兵士達も戸惑いを見せる。絶望の声がフィン達まで聞こえた。

 

「へッ、今までのつけが回ってきたようだな・・・」

 

そう言って、ベートは兵士達の目の前に立つ。カサンドラは、ビクリと震え銃をベートに向ける。

 

「テメェ・・・さっきは良くもやってくれたなぁ!!」

 

「――――――ッ!」

 

それと同時に憎しみからかカサンドラを蹴り飛ばす。カサンドラの口からは血が流れていた。

 

「テメェらのせいで・・・何人、死んだと思っているんだ!」

 

他の冒険者も次々と集まる。憎しみの感情がカサンドラ含むラキアの兵士に向けられる。

 

「よくも・・・よくもラウルを!!」

 

特に、ラウルと親しかった冒険者は特に恨みが大きかった。全員でラキアの兵士に殴りかかる。もちろん立体起動で逃げようとしたが、その前に戦槌の攻撃による建物倒壊が目立っていた。そのせいで立体物がない。だから、剣で攻撃しようにも立体物が無い限りレベルは1か2である。

 

「よくも・・・よくも!!」

 

そう言って、カサンドラ達に殴りかかってくる。一部の団員からは血が流れており、倒れそうであった。

 

だが、そんなことはお構いなしにベートを除く幹部達以外の一方的な暴力が兵士達を襲った。

 

(・・・なんだ?なんなのだ・・・この違和感は)

 

だが、フィンは何かの違和感が頭の中を渦巻く。そう、何故巨人の弱点を知られたはずなのに主力の巨人を出してきたのか・・・なぜ、あそこで撤退しなかったのか・・・あの煙弾・・・恐らく何かしらの合図・・・だがその合図はなんだ?なんの合図だ?ばれてしまった後なら何故巨人を出した・・・ばれてしまったら巨人は控えるはず・・・なのに・・・

 

「まさか!!」

 

その瞬間、フィンの目は戦槌へと向けられた。

 

「総員、そこから離れろぉぉぉぉぉ!!」

 

フィンの声と共に、全員が後ろを向く。

 

「ハ・・・?」

 

その瞬間、金属音と共にグシャリと言う音が鳴り響いた。

 

「ウウウっぅっぅぅぅうううううう!」

 

「ウソ・・・だろ?」

 

全員が、絶望という名の絶対零度の空間で氷のように固まる。そこにいたのは・・・

 

「復活している・・・?」

 

うなじをすっ飛ばし、死んでいたはずの戦槌の巨人が復活していたのであった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

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