白兎は正義に憎しみを抱く   作:暗闇水明

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こんにちは、今回は番外編第一話・・・春姫とあの男の絡みです。それでは、どうぞ!


Extra edition1娼婦と戦士

夜の静けさの中、小刻みに揺れるランプがキィキィと、音を立てる。ここは以前も紹介した『マルテリオス・ラキア』・・・ここの牢屋でもう一人の少女が目覚めようとしていた。

 

「ウ・・・ン」

 

サンジョウノ・春姫・・・とある事からイシュタルファミリアの世話になっていたが現在、この船の牢屋にいた。

 

「ここは・・・」

 

数時間前に倒れていたこともあり、記憶が混乱している。暫くして記憶が元に戻ってきた。

 

「そうだ・・・私は・・・・・・・ッ!」

 

「ア・・・気が付いた?!」

 

春姫が少し記憶を整理している頃に、一人の男が牢屋の見張りにやって来た。長身的で細く、気弱そうな雰囲気を漂わせ、それでいて強く、特別のような感じだった。

 

「初めまして・・・僕はベルトルト・フーバー・・・ここは、ラキア王国の軍艦の中だよ」

 

「ラキア・・・王国・・・」

 

春姫はそれを聞き、突如怒りがわき上がってきた。それもそうだ・・・自分の姉の立場だったアイシャを殺したのがラキア王国だったからだ・・・当然だろう・・・

 

「あなたが・・・・・・・ッ!」

 

瞬間、牢屋の柱の間から、ベルトルトの胸ぐらをつかむ。ベルトルトは大人しくそれを受け入れた。春姫は涙を流しながら怒りをあらわにする。

 

「あなたの・・・あなた達のせいで・・・アイシャ様は!!」

 

怒号の音と共に、泣き叫ぶような声が辺りに響く。それは痛ましく悲しみに暮れていた。だが春姫は完全には恨めなかった。

 

実は、イシュタル・ファミリアは闇派閥と裏で取引をしていたのだ。その目的はフレイヤファミリアに抗争するためのだった。その取引していたアイテムは『殺生石』・・・狐人専用の禁忌とされている魔道具だ。コレは、一人の狐人を犠牲にして、石を砕かせ持っている者にその狐人のスキル、魔法が、使えるようになる。狐人はその後石を集めてもよくても廃人になってしまうのである。

 

春姫は、一定時間レベルを上げられる魔法を持っている為イシュタルはそれに目をつけ近頃、取引をしてフレイヤ・ファミリアを襲撃しようともくろんでいたがフリュネ達が死んでしまいその計画も出来なくなった・・・

 

つまり、アイシャ達を殺したラキア王国には本来命の恩人、英雄みたいな立ち位置だったのだ。少なくともラキア王国によって自分の命は助かったと言うこともまた同じであった。アイシャ達の犠牲によって・・・

 

更に言うなら今回は完全にアイシャ達が、悪いのだから・・・命令だとしてもベルの大切な家族を傷つけてしまい、殺されても仕方ない状況であった・・・

 

「・・・・・・・ッ!」

 

だから、春姫は手を離した・・・この思いが複雑だから・・・自分の姉のような人物を奪った人間は憎い・・・だが、助けられた・・・正直、感謝と憎悪、そして罪悪感がグシャグシャと混じり合っていたから・・・春姫はなにをすれば良いのか分からなくなってしまった。

 

「食事、置いとくね・・・」

 

「春姫・・・」

 

「・・・?」

 

「サンジョウノ・春姫・・・私の名前です」

 

そう言って食事に手をつけた。ベルトルトは、少しほっとしたように監視用の椅子に座り持ってきたコーヒーを飲みながらその様子を見守っていた。

 

「美味しい・・・」

 

そう言って、春姫は少しホッコリとしていた。

 

余談だがコレはベルが作ったものである。魚介類な為、いつも以上に料理が出来るのだ。メニューは焼き魚にレモンソースを入れた料理や海などのシーフード系だった。ローゼ達も食べていたがうますぎて発狂したヤツも出たらしい。

 

「あの・・・少し良いですか?」

 

「ド・・・どうしたの?」

 

春姫はふと、手を止めベルトルトを見つめた。ベルトルトは少し戸惑いながら春姫を見つける。

 

「どうして・・・貴方は戦争に参戦したのですか?貴方は、正直向いていない気がしていますが・・・」

 

そう言って暫くベルトルトはだまりこんだ。何か迷っているようだった・・・言うべきか、言わないべきかと言ったところだろう・・・

 

「あの・・・何か失礼な事を話しましたでしょうか?」

 

「あ、イヤ・・・ただ、少し昔話で長くなるだけなんだけど話して良いかな?」

 

そう言ってベルトルトは手に持っているカップを置きうつむく。

 

「大丈夫ですよ・・・あ、先に私の話をしましょうか?流石にベルトルトさんの話を聞くだけでは不公平ですし・・・」

 

「うん、じゃあお願いしようかな・・・」

 

そうして春姫の昔話が始まった。

 

春姫が元は貴族だった事、自分が神に与えるお供え物を寝ぼけて食べて自分が勘当されたこと、小人族につれて彼途中でモンスターに襲われ、イシュタル・ファミリアによってオラリオに流れ着き、世話になった事。そして自分は生け贄にさせられかけたことも

 

「・・・・・・・ッ!なんなんだよ、それ・・・神は娯楽に飢えていると知っていたけど・・・そのためだけに・・・・・・・ッ!」

 

ベルトルトは話を聞いた途端、ベルトルトは怒った。怒りながら手を震えていた。

 

「大丈夫ですよ・・・オラリオには憧れていましたし、もう生け贄にもならずにすんだので・・・」

 

少し皮肉ぽく言ったが、それでもどこか春姫は嬉しかった。自分の過去を知って怒ってくれていることに・・・

 

「ア・・・ごめんね、話をそらしちゃって」

 

「いいえ、少し嬉しかったです・・・ありがとうございます」

 

そう言って、春姫はそばにあったベッドに座りだした。ベルトルトは少し深呼吸をすると落ち着いたような瞳で春姫を見つめていた・・・

 

「それじゃあ、僕のお話をしようかな・・・少し、長いから飽きたら寝て良いよ」

 

そう言ってベルトルトは自分の過去を話し始めるのだった・・・

 

???視点 end

 

ベルトルトside

 

僕の話は・・・何が良いかな?僕はある収容区で生まれた。お母さんとお父さんはとっても優しかった。聞いた話によれば、僕はその時は小さかったんだ。小さい頃はよく本を読んでくれた・・・普通の家庭だったら僕達の場合歴史書だったんだけれどね・・・だけど、母親は別の本を見せてくれた。童話、科学、良く聞かれている物とは違う別の歴史・・・いっぱいあった・・・僕はその時憧れていたんだ。外の世界に・・・いつか、この収容区をお母さんと出るんだって・・・

 

「いつか・・・お母さんと、一緒に外の世界で暮らせるのかな・・・」

 

お母さんは僕の頭を撫でながら

 

「ええ、きっと出来るわよ・・・貴方なら・・・」

 

そう言ってくれた。僕は外の世界の憧れが強くなっていったんだ。僕は、いつか外の世界に出るんだと日に日に夢に見たんだ・・・

 

ある日、とあることで一度だけ外の世界に出られるようになったんだ・・・お父さんの仕事でね・・・僕のお母さんと僕は一緒に行くことにしたんだ。

 

「お母さん、楽しみだね!!何があるのかな?!」

 

「ええ、そうね・・・きっといっぱい見られるわよ・・・きっと・・・」

 

僕はその時は途轍もなくわくわくしていた。どんな景色が広がっているんだろう・・・どんな場所があるんだろうって・・・

 

 

 

でも・・・現実は残酷だった・・・

 

「ア・・・・・・・ッ!」

 

「・・・どうぞ」

 

一人の女の子が、僕の前から物を落としたんだ。僕は直ぐ拾ったんだけどそばにはその子の母親らしき人がいた・・・

 

「悪魔の末裔が!!ウチの娘に・・・宝物に汚らわしい手で触らないで!」

 

「え・・・?」

 

その一言で、僕は完全に凍り付いた。その瞬間、周りの大人から子ども・・・挙げ句の果てには他の子どもには親切にしていた老人までが僕に石を投げてきた。

 

「出てけ、エルディア人!」

 

「また子どもを作りやがって!とっとと消えろ、エルディア人!!」

 

「え・・・何!痛い!!止めてよ!!」

 

「ベルトルト!!」

 

お母さんは僕を抱きしめて、ただ黙って僕を守ってくれた・・・周りの怒号が僕の耳から聞こえてくる・・・そんな一日だった。

 

「怖い・・・痛いよ・・・・・・・お母さん」

 

「大丈夫よ・・・」

 

お母さんは僕を抱きしめて、慰めてくれた。それが唯一の救いだったよ・・・帰って来た後、僕の幼なじみは僕を励ましてくれた。優しい友人だったよ・・・

 

家に帰ってから、僕のお母さんは皆に知られている・・・エルディア人の歴史についての本を読まされた。エルディア人は過去に大きな過ちを犯した悪魔の民族だと・・・僕達の同胞の一部は、パラディ島に逃げ、壁を作り暮らしていると・・・当初、残ったエルディア人は殺すように命じられたが偉大なマーレはそれを撤回し、この収容区で暮らすようにしてくれたと教えられたよ・・・僕達はその罪があるから、こんな仕打ちを受けているんだと思って納得していた僕だけどお母さんは本を閉じた後、頭を撫でてこういってくれた。

 

「良い、ベルトルト?歴史って言うのはね・・・その国それぞれなのよ・・・確かにこの国ではエルディア人否定の歴史かも知れない・・・だけどね、真実はその民族にしか分からない・・・それと同じで、どこか受け入れてくれる人たちも必ずいる・・・だから・・・そういう人たちを探しなさい・・・」

 

そして・・・僕を抱きしめてくれた・・・あの時はとても温かかったよ・・・この温もりは今でも忘れていないよ・・・

 

そんなあるとき、戦士候補生の訓練が始まった。収容区のエルディア人の唯一、優遇される地位、『名誉マーレ人』の称号をもらえるから・・・そして、それは家族にも与えられる。

そうすればいつか、お母さんを外の世界に連れて行けるから・・・

 

13年しか生きられないのを代償に外の世界へとつながれるんだ・・・僕はあの約束を守れるかも知れないと思って戦士になることを決めた・・・お母さんは反対したよ。でも僕は連れて行きたかったんだ・・・外の世界に・・・僕は友達と一緒に戦士になると、決めた日から訓練に勤しんだ。必死に走って必死に勉強して・・・それでこの力が手に入った・・・超大型巨人の力を・・・

 

お父さんは、泣きながら喜んでいたよ。お母さんは泣きながら抱きしめて謝っていたけどね・・・超大型巨人は一回の爆発で凄まじい破壊力だからね。かなり、マーレの人たちからも優遇されたよ・・・知人も僕を褒めて抱きしめてくれた。友達も巨人を手に入れて喜んでいた・・・

 

あるとき、パラディ島を征服し壁内にいる始祖の巨人を奪還せよとの命令が出たんだ・・・出発する数時間前にお母さんと会ったんだけど、その時、お母さんは僕をあの時のように抱きしめてくれた。そして、こういってくれた

 

「いい?ベルトルト、私はマーレが間違っていると思う・・・貴方がもし、壁の中の人類を愛したいなら愛しなさい・・・それで全世界が敵に回っても私は味方だから・・・だからお願い・・・生きのびて・・・」

 

それが・・・・お母さんの最期に話した会話だった・・・・

 

あれから、僕はパラディ島で友人達と一緒に壁まで行った。でも・・・一人の仲間が巨人に食われた・・・僕達は作戦を中止にしようとしたけど・・・ひとりの友人が止めたんだ・・・

 

それにもう一人の女の子が反発してボロボロになるまで蹴り上げたんだけど・・・友人は我慢強すぎて、そのまま首を締め始めた・・・その姿を今でも覚えているよ・・・彼はそのまま首を締め続け、自分は死んでその仲間になるからって言っていた・・・

 

「ライナーは死んだ・・・マルセルが必要なら俺がマルセルになるから・・・帰ろう・・・故郷に」

 

正直恐怖を感じたよ。そこには僕の知る友人はいなく何か亡霊のようだった。血まみれの顔面で首を締めたんだ・・・

 

「もう・・・止めてくれ」

 

僕はそう言いながらそれを泣きながら見ているだけしか出来なかったんだ・・・

 

そしてその日が来た。僕は、超大型巨人になって壁の扉を破壊した。僕達は壁にいるのは悪魔がいると言われていた。でも・・・違った・・・

 

壁にいたのは人だった・・・それも、僕と同じエルディア人だ・・・その中、僕は5年間壁ですごした。僕はその時から罪を感じていた。一人の少年は母親を食われたと言われ、その時はとても心が痛んだ・・・兵士になっていた頃は少しだけ楽だと思ってしまったほどね・・・最低だよね・・・でも、あの頃は楽しかった時期かも知れない・・・馬鹿な友人に囲まれて、苦楽をともにして・・・楽しかったなぁ・・・

 

でも、そんな幸せな時間は長くならなかった。

 

女の子が一人捕らえられちゃったんだ・・・助けようにも任務もあり見ているだけしか出来なかった。

 

それから暫く経ったんだけどとうとう僕達も来てしまったんだ

 

ある日、僕の兵団仲間に賢い人がいてさ・・・怪しまれちゃって・・・最終的に正体をばらしちゃったんだ。その後から僕達の戦いは始まった・・・・

 

最終的に死んじゃったんだけどね・・・最期は情けなくも前の仲間に助けを求めてね・・・

 

それで、気が付いた時とある街で目覚めたんだ。この世界に・・・最初は混乱したんだ・・・ここはマーレなのか・・・故郷なのか焦ったよ・・・でも、違った・・・僕はその後少しずつ記憶が戻ってきて僕は死んだと言うことが理解できた。

 

「僕・・・は・・・」

 

その瞬間、悔しさが最初に出たね・・・だましておいて、母親の約束を守ることが出来ないなんて・・・駄目なヤツだなって思ったよ・・・

 

でも、いつまでもそうするわけにはいかないって思って僕は新しい生活が始まったよ。畑を耕して、少しの労働の生活だけどね・・・家は、いろんな依頼で稼いだよ・・・幸い超大型巨人は残っていたから破壊系は得意だったよ。その後はゆっくりだけどね・・・

 

それから7年経った後・・・あの話が来た・・・

 

「すいません・・・ベルトルトさん、いませんか?」

 

「はい・・・」

 

その日僕は何時ものように寝ていたんだけど、突然扉がなってね・・・そこにはヘルメス様がやって来たよ・・・ヘルメス様はかなり有名だから驚いたからね・・・僕はとりあえず、中に入れた後コーヒーを入れといたよ・・・ヘルメス様は僕に商談のような雰囲気を出していた・・・

 

「君の力が借りたい・・・協力してくれないかな・・・」

 

僕はその時なんとなく予感していた・・・もしかして超大型巨人の力を知ってここに来たのかなって・・・最初は断ろうと思ったけど異端児の件を聞いた途端、彼らが僕達に見えたんだ。他の人たちに虐げられている姿が話から想像できたんだ。

 

「どうだい?やってみる価値はあると思うけど・・・どう?」

 

僕は悩んだよ・・・もう、人は殺したくない・・・でも今まで僕はマーレの言いなりで同胞を殺してきた・・・それはとても罪深いことだった・・・人殺しよりもっと重い罪・・・どうやって罪を滅ぼせる?いや、そんな話ではないと百も承知だ・・・でも、今ここで僕達と同じ、差別に苦しんでいる・・・いわば僕達の亡霊だ・・・そもそもの間違いを僕は気が付いていなかった・・・本来なら巨人の力でマーレに反抗して、足掻くべきだったんだ・・・それをしてこなかった・・・その結果がコレだ・・・母親を悲しませ、仲間をだます酷いヤツに成り下がった・・・そのせいでどれほど同胞を殺したか・・・ならば、僕のやることは一つ・・・

 

「分かりました・・・僕もやりましょう・・・彼らを・・・異端児(ゼノス)を救うために!」

 

僕はこの戦争で僕の・・・罪滅ぼしをするために、異端児(過去の自分達)を救うために、僕は僕自身の意思で戦うことを決めたんだ・・・

 

 

 

ベルトルトside end

 

???視点

 

「と言うのが、僕の話だけど・・・ごめんね、長い話聞かせちゃって・・・」

 

ベルトルトは少し、笑いながら春姫を見た。きっと、憎しみで自分の話はどうでも良いかなと思っていると感じ春姫を見た・・・だが、ベルトルトの予想は大きく外れた・・・

 

「ヒッグ・・・・・・・ッ!エッグ・・・・・・・ッ!」

 

泣いていたのだ・・・春姫は・・・全てを聞いて、敵国の相手に・・・ベルトルトは驚きを隠せず、春姫を見つめる・・・

 

「あ・・・あの・・・」

 

「辛い・・・思いをしてきたんですね・・・」

 

春姫は一緒に悲しんでくれた。敵国で、自分の姉という存在を殺した仲間に、だ・・・春姫はそっと折りの隙間に手を伸ばしできる限り抱きしめる・・・

 

「ウ・・・アアアァァァ!」

 

ベルトルトは泣き出してしまった。身長に似合わず泣き出してしまったのだ・・・

 

「大丈夫です・・・ベルトルトさん・・・貴方に助けられたご恩・・・私が貴方の味方になることを誓い貴方に返しましょう・・・」

 

そう言って春姫はそう誓いながら檻越しから優しく抱擁するのだった・・・

 




はい、今回はベルトルト×春姫でした・・・次回からまたオラリオに戻り、その後番外編2話出す予定です!それではまた次回!
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