白兎は正義に憎しみを抱く   作:暗闇水明

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こんにちは、今回は番外編です。活動報告でもお知らせしたように一回オラリオ編を改変します。しばらくは番外編なのでよろしくお願いします。


Extra edition2宴会

青い晴天下の真下・・・所々赤い血の染みたこの砂浜・・・地獄と化したメレンは終わった後物静けさを出していた。あの、メレン上陸作戦は成功・・・一日で決着がついた。それもあっけない形に・・・

 

結果はラキア王国の死者数は何と0・・・オラリオは数百人という数であった。そこに追い打ちをかけるのが捕虜の存在だ。オラリオは約千人の数でラキア王国の兵士を向かい撃ったが、帰って来た者は一人という事実・・・オラリオでは氷のような空気が漂っている中、ラキア王国は現在、祝勝祝いの宴会の準備だった。

 

だが、一人の男が暗い顔をしていた・・・

 

「ハァ・・・」

 

ベルトルト・フーバー・・・先ほどでも紹介した、超大型巨人の継承者だ。唐突だが、彼には悩みがあった。

 

「サシャ・・・」

 

そう、前世でまだ兵士時代の仲間でベルトルトが裏切った仲間の一人、サシャ・ブラウスが再び共に戦うことになったのだ・・・

 

だが、ベルトルトは正直気が重くなるばかりであった・・・普通はそうだろう・・・なんせ、一度裏切った仲間だ・・・更に言えば、一度は殺そうとした相手・・・気まずいレベルの話ではないだろう・・・

 

もちろん、ベルトルトは、それは自分が悪いと割り切っていた。なんせ、サシャだけではなく他の仲間の心まで踏みにじったのだから・・・特にエレンの顔と言葉はベルトルトにとって忘れがたいものであった。

 

(お前らは兵士でも戦士でもねぇよ・・・ただの人殺しだ・・・なんも罪のない人々を殺した大量殺人鬼だ!)

 

「分かっている・・・・分かっているんだ・・・」

 

ベルトルトはエレンを連れ去った後、巨大樹の森で休憩している時のエレンの顔を思い出し、自分がサシャと共に笑うことは許されないと言い聞かせ、その場を後にしようとしていた。

 

「隣、良いですか・・・?」

 

「え・・・?」

 

「無言なら良いですね・・・」

 

突然、サシャが隣にやって来た。ベルトルトは豆鉄砲をくらった表情で見つめる。サシャはお構いなしにベルトルトのとなりに座った。座った途端、くすねてきたのかふかした芋を頬張る。何時もどうりな雰囲気に正直ベルトルトは不思議でしかなかった。

 

「半分・・・食べますか?」

 

そう言って、サシャはベルトルトに半分(どう見てもベルトルトのほうが小さい)ふかした芋をベルトルトに渡す。

 

ベルトルトは困惑しながらも受け取り、それを食べる。サシャはまるで何時ものようにふかした芋を頬張りながら空を眺めている。

 

「あの・・・サシャ・・・」

 

「ん・・・?なんりぇすか?」モッキュモッキュ

 

「僕が・・・憎くないの?」

 

ベルトルトは、戸惑いながらも勇気を出しサシャに問いかけた。それもそうだ・・・サシャにとってベルトルトは裏切り者・・・敵意をむき出しても良いのに、なぜかそれを全く感じられなかった。

 

「どうしてそんなこと聞くんですか?

 

「・・・・・・・ッ!だって、僕達は君を裏切ったあげく殺そうとしたんだよ?!それなのに・・・・」

 

サシャはそれを聞いて何やらため息と少しの笑みをこぼした・・・それはどこか優しい雰囲気に満ちていた。

 

「確かに、私は以前貴方を憎んでいました・・・貴方が壁を壊したせいでよそ者が獲物を横取りして、私達は森を明け渡す羽目になりましたよ」

 

その途端、ベルトルトは顔をうつむかせて何かを察したようだった・・・いや、正確に言うなら自分への怒りだろう・・・

 

(やっぱり・・・僕は許されるべきではないんだ・・・)

 

「でも、それは前の世界での話ですよね?」

 

「・・・・・・・え・・・・?」

 

しかし、サシャのその言葉が出た瞬間サシャはベルトルトを自分の胸元に預けた。

 

「確かに、私は恨んでいました・・・なんで裏切ったのかって・・・でも、それはもう前の世界の話です・・・今は、ベルに手を出さないというなら関係ありません・・・それに・・・」

 

そう言ってサシャはベルトルトの背中を撫で、優しい母のように抱きしめていた。

 

「春姫さんに話したあの話・・・聞いていましたよ・・・」

 

「・・・・・・・ッ!僕は・・・・・・・ッ!」

 

その瞬間、あの思い出が二人の頭に過ぎる・・・サシャ達に正体をばらし、ベルトルト達がエレンを連れ去り、鎧の巨人に守られ、状況が硬直している間のあの言葉だ・・・

 

(誰か僕らを・・・見つけてくれ・・・・・・・ッ!)

 

「ようやく・・・貴方を見つける事が出来ましたよ・・・ベルトルト・・・」

 

「ウ・・・・・アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 

ベルトルトは再び泣き出してしまった。もう枯れたのかと思っていた涙が再び目の前の海のように流れた。

 

「大丈夫ですか・・・?もう、お陰で胸元がぬれましたよ・・・」

 

「ああ、ごめんね・・・情けない姿を見せちゃって・・・」

 

「オーイ、皆!そろそろ宴会だよ!!」

 

「お、ベル!分かった、今いくで!!」

 

そう言ってサシャは、ベルの元に向かった。だが途中で立ち止まりベルトルトを見つめる。

 

「・・・早く行きましょう。料理、冷めちゃいますよ」

 

そう言って、サシャの笑顔が夕日に当たり輝いていた。

 

「・・・ああ、今行く」

 

(今度は・・・僕が君を・・・君たちを守るよ。仲間として・・・)

 

そう言ってベルトルトは仲間の元に向かう。今度こそ、仲間を守るために・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~さあ、始まったぞ。メレン上陸作戦成功を祝う宴会、名付けて『メレン上陸成功やったー宴会』!」

 

「「「いや、まんまじゃん・・・」

 

「まぁそれは良いとして、今回は我のために戦ってくれてありがとう・・・諸君には感謝してもしきれないほど諸君達に感謝しているのだ・・・これからオラリオ征服に向けて再び、厳しい戦いなるかも知れない・・・・だが、兵士なら休むときは全力で休め!コレは主神命令である!!そして、今回は捕虜も参加を許可した!」

 

 

辺り一面、夜のメレンで占領した領域の酒場の中でアレスは兵士から突っ込まれながらも酒の入ったジョッキを持ちながら、エルヴィンと並び演説をする。中には捕虜もおり、殆どは捕虜同士で食べるが春姫とダフネはベル達同じ場所で食事をすることにした。兵士達の目の前にはメレンで取れた海鮮類、大きな肉・・・そして様々な料理が並んでいた。

 

「アハハ、もう肉で驚かなくなりましたよ・・・」

 

そう言いながらよだれを垂らしながらも全部噛みつくようなことはしていなさそうだ。それに知っている者はやれやれとため息を吐いている。

 

「今回、戦いでたまった疲れを癒やすために今回は最高級の『グラトニー』という品種の肉を用意した!」

 

「「「・・・・・・・ッ!」」」

 

その瞬間、全員が驚きに包まれる。全員肉を凝視する。

 

『グラトニー』・・・以前ベルがモウで死闘を繰り広げた都市、フェレライで手に入る牛肉である。

 

以前からレディがこの肉を好んでおり、領主しか食べられないようにしたのである・・・その味は上品なうまみと油・・・しかも食べるだけで美容にも良いと言われている。しかも餌もかなり上品で、モウがなくなってもなかなか手に入らない代物である。アレスはそんなことも気にしないのか、ジョッキを持って杯を上げる

 

「それでは、オラリオ征服の健闘・・・・そしてメレン上陸成功を祝ってかんp」

 

「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!」」」」

 

「ええ?」

 

だがその瞬間、アレスの乾杯を無視して全員雄叫びを上げながら肉をとりわけ、イヤ争奪戦が始まった。

 

「おい、落ち着け!均等に分けろ!!」

 

「おめぇ、そりゃ多いだろ!俺によこせ!!」

 

「うるさいわね!あんたは立体起動も魔法も底辺だから黙っていなさいよ!!」

 

「なんだとぉ!」

 

兵士達の怒号が、辺り一面に響く。

 

「ヌゥウウウウウ!!」

 

だが、サシャはそれを聞いた途端肉の塊を全部に噛みついた。それに、全員で取り押さえようとする。

 

「テメェ、ふざけんなよ芋女!!自分がなにをしているか分かっているのか!?」

 

「止めてくれ、サシャ!僕、君を殺したくないよ!!」

 

「ああ、クソ!テメェ、一人で全部食うヤツがあるかよ!」

 

ベルトルトも押さえつけ、なんとかサシャを止めようとする。ユミルはその隙を突き、サシャから肉を取り上げる。

 

「ぬぁああ!!」

 

「・・・・・・・ッ!痛ええええええええええ!!こいつ、私の手を食ってやがるぅうううううう!!」

 

「やべええええええええええ!ユミルが・・・ユミルが巨人化しちまううううううううううう!」

 

「とりあえず、こいつを外で巨人化させろ!」

 

「いや、そんなことで力を使うかぁ!!」

 

「駄目だ!サシャ、それはユミルの肉だ!忘れちゃったの?!」

 

「とりあえず、サシャさん!落ち着いてください!」

 

だが、サシャは我を忘れたのかユミルの手を思いっきりかみ始めた。それを見て、巨人化のやばさを知っている者達は直ぐに離そうとする。そこにカサンドラが焦りながらも制止に入ろうとする。

 

「ヌン!」

 

「「「「ア・・・・・・」」」」

 

「・・・・キュウ」

 

「カサンドラアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

カサンドラが制止しようとした瞬間サシャはカサンドラの顔を殴ってしまいカサンドラは気絶しダフネの絶叫が響く。

 

 

 

「ともかく、ベルトルト!なんとかしろ!そいつを超大型巨人のちからで何とかしろ!!」

 

「分かっているよ!でも、サシャ・・・意識ないのに、動いているんだよ!!」

 

「ちょ、それやばくないかしら!?」

 

「食の執念って・・・すごい」

 

「コ・・コン」

 

 

「おい、なんで、あの肉にした」

 

「アレス様が兵士の士気を高めるためらしいです」

 

「おいおい、コレは士気どころの騒ぎじゃないと思うぞ」

 

「・・・なんか、この光景どこかで見たことあるな」

 

サシャをそのテーブルにいる全員が抑えている中、エルヴィン達は少し微笑みも出し肉を頬張りながら見ているのだった。

 

「ハァ・・・ようやく押さえられた」

 

「と言うより、力が尽きたんだと思う」

 

それから約10分後、なんとか抑えられ壁に縛り付けられていたサシャであった。ちなみにその後ベルの提案でサシャにも肉を食べられるようにしたのだった・・・

 

「はぁ~疲れた・・・」

 

「本当、サシャさんは手がかかるわね・・・」

 

「でもそれは、ローゼも同じじゃない?」

 

「な・・・?!ちょっと、それはどういうことよ!?」

 

「だって、昔お腹がすいたからって得体の知れないキノコを食べようとしていたよね?あれ、毒キノコじゃなかったからよかったけど毒キノコだったら危なかったよ」

 

「ウグゥ・・・何も言い返せない」

 

そうしてベルが昔話をしていると聞こえたのか大爆笑が辺りに響く。ローゼは怒りながらも笑っていたのだった。

 

「ねぇ・・・ベル」

 

「何・・・?」

 

ふと、ローゼはベルの手をきゅっと握りだした。

 

「・・・・・・絶対生きて帰ろうね」

 

「うん・・・」

 

そうしてお互い誓い合った後、自分の席に戻るのだった・・・

 




はい、今回はここまでです。ちなみに皆さん、ご存じの方もいると思いますが、今回進撃の巨人のあのシーンをいれました。次回はとあるやばいネタをやろうと思います・・・何が出るのかお楽しみに!
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